2021年2月23日火曜日

緊急挿管について

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

新型コロナウィルスで酸素レベルが下がり、
呼吸が困難になった場合においては
緊急挿管が検討されることがあると思います。
Gentle Sunder Shrestha, Ninadini Shrestha, Ritesh Lamsal
(敬称略)らネパールとアメリカの医療研究チームは
新型コロナウィルスに関する緊急挿管について
ビデオ、文章により、
その手順、想定される問題、対策を報告されています(1)。
その内容の一部について
読者の方と情報共有したいと思います。

//準備//ーーーーーー
新型コロナウィルスに気管内挿管を行う場合
作業される方は感染のリスクにさらされます。
従って、それを予防するために
極めて周囲深い計画、準備、実施訓練を行う必要があります。
予め手順や注意事項など書面でのチェックリストを作成、確認します。
しかしながら
新型コロナウィルスの緊急挿管については
共通のガイドラインが現状ではなく、
医療機関ごとによって変わるのが現状です。
また、利用できる装置によってもそれは変わります。
ーーーーーー

//挿管を行うチーム//ーーーーーー
期間内挿管を行うスタッフは必要最小限にする必要があります。
4人が適切だと考えられています。
第一、第二の作業者のみ
個人用保護具(PPE)を身に着け、患者の部屋に入ります。
-
(個人用保護具)
・マスク(N95レベル、それ以上の性能)
・ガウン
・グローブ
・保護メガネ
(参考文献(1) Figure 2より)
-
(第一作業者)
最も高い専門性を有する。
全ての作業に関わります。
・事前の酸素供給(Preoxygenation)
・気管内挿管
・期間内チューブを固定
-
(第二作業者)
第一作業者の作業を支援します。
・人工呼吸器、モニターの管理、動作

気道確保困難、心停止時を除いて
第二作業者は患者とは直接接触はしません。
-
(第三、第四作業者)
患者の部屋の外側から作業をモニターします。
気道確保困難、心停止時など
緊急の状態に備えて個人用保護具を準備してきます。
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//装置//ーーーーーー
理想的な環境としては
挿管を行う部屋は陰圧室であることです。
陰圧であれば部屋の中から外部に空気が漏れ出る
割合が顕著にさがるからです。
薬物治療や装置の準備は患者の部屋の外で行う必要があります。
部屋の中でしかできない投薬、装置の準備だけ
患者の部屋の中で行います。
つまり、患者の部屋の中での作業は
必要最小限にするように努めます。
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((準備するアイテム))
<ベッドサイド>
・心電計
・パルスオキシメーター
・二酸化炭素はき出し量を検出する装置
・非侵襲血圧モニター
・吸引カテーテル
・バッグバルブマスク
※肺胞虚脱を最小化し、酸素供給を必要に応じて改善する
-
<挿管に必要な装置>
・ビデオ喉頭鏡(なければ直達喉頭鏡)
・(Cuffed)気管内チューブ(適切なサイズ)
・気管内チューブスタイレット(探り針)
・エアシリンジ
・適切なサイズのフェースマスク
・経口咽頭チューブ
・気管内チューブを固定するもの(粘着テープ、チューブホルダー)
・高効率ウィルスフィルター
-
<追加装置>
・付属的な気道カート(気道確保が難しい時)
例えば、ブジー、ラリンジアルマスク、気管支ファイバースコープ
・心肺蘇生カート
・比色化学試験(二酸化炭素検出のため)
・カプノグラフ(二酸化炭素検出のため)
-
(参考文献(1) Table 1より)
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//薬物治療//ーーーーーー
部屋に入る前の静脈注射による薬物治療
・プロポフォール
・ミダゾラム
・ケタミン
・エトミデート(etomidate)
これらのいずれかが睡眠薬として検討されます。
決定因子は、臨床状態、薬の禁忌などの利用可能性、
第一作業者の判断などです。
神経筋遮断薬として
・サクシニールコリン
・ロクロニウム
これらが検討されます。
その他、循環作動薬、昇圧剤などが検討されます。
・エフェドリン
・フェニレフリン
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//手順//ーーーーーー
迅速導入が手順の時間を減らすため望ましい。
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無呼吸のリスクが高い患者さんにおいては
挿管の前に肺を通気する事によって
状況が改変する可能性があります。
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患者の手術用マスクを外します。
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患者が高流量鼻腔カニューレや非侵襲の通気により
酸素補充処置をすでに受けている場合には
挿管を試みる準備までに
これらの装置を適切な場所に置くことを考えます。
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100%純度の酸素を3~5分間バッグバルブ装置で投与します。
自発的な呼吸を患者にさせながら行います。
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呼吸による飛沫、エアロゾルの飛散を最小化させるために
密封性の良いフェースマスクを患者に装着し、酸素供給します。
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適切な事前の酸素供給を達成するために必要最小限の
酸素流量を採用します。
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あおむけ状態で呼吸が難しいようであれば、
一時的に頭部を少し上げます。
その時も酸素供給は行います。
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「flow-inflating resuscitation」装置の使用が
吸入の抵抗性を避けるために好ましい患者さんは
いるかもしれません。
吸入の抵抗性は手順の中で使われる
バッグバルブ装置の使用中に起こるかもしれません。
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事前の酸素供給が完了したら
第二の作業者は睡眠導入剤、神経筋遮断薬を投与します。
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気管内挿管を行う前に神経筋遮断薬の投与を完了します。
その後、薬や用量に依存しますが、
薬が効力を発揮するまでは30秒から60秒待つ必要が
あるかもしれません。
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末梢神経の刺激は神経筋作動薬の開始、効力の決定因子を
促進するものです。
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ビデオ喉頭鏡、スタイレットと気管内チューブを使用して
気管内挿管を行います。
(参考文献(1) Figure 3より)
ーー
気管内チューブからスタイレットを取り外します。
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通気を試みる前に気道を閉じるためにチューブカフを
膨張させます。
inflate the tube cuff to seal the airway 
before attempting ventilation.
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呼吸装置を気管内チューブに接続して、
チューブの最も近くにウィルスフィルターを置きます。
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もし、二酸化炭素が比色化学試験、カプノグラフィーで
検出されたら気管内チューブが正しい位置に装着されているか
確認します。
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患者さんの胸部の上下動を確認します。
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汚染物質のリスクを減らすために聴診器の使用は避けます。
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最後に気管内チューブを固定します。
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//想定される問題//ーーーーーー
重症患者に対する気管内挿管においては
軽度な問題から、生命に関わる事まで様々な問題があります。
生命に関わるものは
肺の通気を遮断したり、血液の流れを止めるものです。
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もし、麻酔薬の投与後、酸素飽和度の低下が進行すれば
バッグバルブ装置で低一回換気量、陽圧通気を導入し、
酸素供給を維持しながら、
気管内挿管を迅速に行う必要があります。
(参考文献(1) Figure 4より)
--
もし気管内挿管が初めの試みで成功しなければ、
フェースマスクを通して低換気量、陽圧通気を行います(2)。
それによって酸素供給を維持します。
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第二の作業者は第一のメイン作業者の補助をします。
・患者の位置、ベッドの一の調整
・喉頭鏡の視認性を上げるために外部から喉頭鏡の調整
・気道の付属アイテムを第一作業者に渡す
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もし気管内挿管が2回目の試みでも失敗すれば
第二の作業者は挿管を行う事を検討します。
その際も
適切な酸素供給をフェイスマスクを通した
低流量、陽圧通気を供給維持します。
--
フェースマスク通気が適用できなければ、
喉頭マスク気道(laryngeal mask airway)
を設置する必要があります。
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もし喉頭マスク気道による通気が難しく、
酸素レベルの低下が起これば、
緊急の「front-of-neck(首の喉頭隆起のあたり、体外から)」
通気の為のアクセスを気道に対して行います。
--
心停止の場合、第一、第二の作業者は蘇生をすぐに
行う必要があります。
それはガイドラインに従います。
第三、第四の作業者が挿管室内に入る際には
個人用防護装置を着用する必要があります。
そして心肺停止の組成救急を援助します。
それでも不足で有れば
他のヘルスケア作業者が援助する事も検討します。
その際には同様に個人用防護装置を着用します(3)。
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以上です。

(参考文献)
(1)
Gentle Sunder Shrestha, M.D., Ninadini Shrestha, M.D., Ritesh Lamsal, M.D., D.M., Saurabh Pradhan, M.D., D.M., Anil Shrestha, M.D., Robert Canelli, M.D., and Rafael Ortega, M.D. 
Emergency Intubation in Covid-19
The New England Journal of Medicine  2021;384:e20.
(2)
Orser BA. 
Recommendations for endotracheal intubation of COVID-19 patients. 
Anesth Analg 2020; 130: 1109-10.
(3)
Ramzy M, Montrief T, Gottlieb M, Brady WJ, Singh M, Long B. 
COVID-19 cardiac arrest management: a review for emergency clinicians. 
Am J Emerg Med 2020; 38: 2693-702.


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