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γδT細胞は、T細胞の派生物の中では特徴的で
リンパ節や脾臓などの2次リンパ系組織には
あまり存在せず、皮膚、腸、肺などの
抹消組織に多く存在するといわれています(1)。
γδT細胞は様々な種類のサイトカインと
活発に相互作用することから、
組織の「監視役」としての働きがあります。
例えば、温度管理、完全性、免疫防御、修復など
組織の恒常性を保つための役割があります(1)。
ここではγδT細胞の組織の修復について
読者の方と情報共有したいと思います。
その背景には、この細胞特異的輸送系統によって
繊維化、炎症、癌化など損傷を受けた組織を
再生させたいということがあります。
肝細胞を含む炎症など損傷を受けると
それに対して免疫細胞が活性化され、
それらを修復しようとします(2)。
その免疫細胞、機能の中心的な役割の一翼を担うのが
γδT細胞だと考えています。
ここからは皮膚、腸、肺について
その修復についての内容を紹介いたします(1)。
/皮膚の修復/
樹状表皮性T細胞(dendritic epidermal T cells(DETCs))
はγδT細胞の亜型と理解していますが、
皮膚の上皮の修復において重要な役割を担っています(3-5)。
その修復は、
〇insulin-like growth factor 1(IGF1):インスリン様成長因子
〇keratinocyte growth factors 21 :角化細胞成長因子
角化細胞は皮膚の表面の
角質層/顆粒層/有棘層/基底層の4層からなります。
これらの90%は角化細胞からできており、
その成長因子は組織の入れ替え、修復に大きく貢献すると
考えられます。
インスリン様成長因子1は成長ホルモンの仲介役として働きます。
また皮膚は紫外線によって一定の損傷を受けますが
そこからDNAの修復をIL-17というサイトカインが行い
それは樹状表皮性T細胞(DETCs)によって活性化されます(6)。
また、
皮膚にはVγ4、Vγ5というγδT細胞の亜型細胞があり、
それらが成長因子、サイトカインを放出して
DNAレベルの修復、さらには組織の修復を行います。
(参考文献(1) Fig.3 (a)参照)
/腸上皮の修復/
γδ上皮内のリンパ球:γδintraepithelial lymphocytes (IELs)
高い運動性を持って分布し、
NADHを酸化する酵素であるオクルディンを介して
細胞と細胞を接合することを介して
この運動能力を実現しています。
それによって広範な腸上皮組織の監視、制御が
可能になっています(7)。
その恒常性はリンパ球が
〇keratinocyte growth factors 1 :角化細胞成長因子
を利用することで保たれています(8)。
組織の回転(入れ替わり)、修復は
γδT細胞の亜型であるVγ7型によって行われ
それが上述した成長因子、サイトカインなどを
放出しています。
(参考文献(1) Fig.3(b)参照)
このサイトカインのうちIL-22は
腸の上皮組織の修復や腸内細菌の調整などの
機能があると言われています(9)。
/肺の修復/
新型コロナウィルスで肺組織の線維化が
後遺症の一つとして問題となっています。
その中でサイトカインストームという
免疫暴走が病因の一つとして挙げられており、
肺組織の線維化、修復の機序を理解することは
大切になります。
このγδT細胞は肺組織の恒常性に貢献しています。
亜型であるVγ6活性型細胞によって
生み出された腸の組織を防御するのと同じ型の
サイトカインIL-22は肺の線維化を防ぐと
いわれています(10)。
このVγ6活性型T細胞はVγ4活性型T細胞ともに
肺組織に多く存在することが「マウス」で
確かめられていますが、
その生理機序はまだよくわかってない部分があります(1)。
このγδT細胞の理解は、完全には進んでいません。
今までは
「生体防御の最前線」
「制御性細胞」
「自然免疫系と獲得免疫系の架け橋」
と言われていました(1)、それは機能の一部にしか
すぎないといわれています。
実際に上で紹介したように細胞の創傷治癒などにおいて
重要な役割を果たしています。
特に肝臓とは違い、
肺、皮膚、腸といった細胞は、
大きく組織が損なわれた時の再生は難しい
と考えています。
実際に再生医療などを通じて、
通常の質の良い細胞組織を適切な場所(病変部位)に
結合させたときにその助けを借りて
どのような再生が可能になるか考えるときに
γδT細胞による再生や、
マクロファージなどによる食作用などの
免疫応答を正確に捉えることが大切になると考えられます。
以上です。
(参考文献)
(1)
Julie C. Ribot, Noëlla Lopes & Bruno Silva-Santos
γδ T cells in tissue physiology and surveillance
Nature Reviews Immunology (2020)
(2)
Changyu Zhu, Ira Tabas, Robert F. Schwabe & Utpal B. Pajvani
Maladaptive regeneration — the reawakening of developmental pathways in NASH and fibrosis
Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology (2020)
(3)
Jameson, J. et al.
A role for skin γδ T cells in wound repair.
Science 296, 747–749 (2002).
(4)
Nielsen, M. M., Witherden, D. A. & Havran, W. L.
gammadelta T cells in homeostasis and host defence of epithelial barrier tissues.
Nat. Rev. Immunol. 17, 733–745 (2017).
(5)
Johnson, M. D., Witherden, D. A. & Havran, W. L.
The role of tissue-resident T cells in stress surveillance and tissue maintenance.
Cells 9, 686 (2020).
(6)
MacLeod, A. S. et al.
Skin-resident T cells sense ultraviolet radiation-induced injury and contribute to DNA repair.
J. Immunol. 192, 5695–5702 (2014).
(7)
Edelblum, K. L. et al.
Dynamic migration of gammadelta intraepithelial lymphocytes requires occludin.
Proc. Natl Acad. Sci. USA 109, 7097–7102 (2012).
(8)
Boismenu, R. & Havran, W. L.
Modulation of epithelial cell growth by intraepithelial gamma delta T cells.
Science 266, 1253–1255 (1994).
(9)
Zheng, Y. et al.
Interleukin-22 mediates early host defense against attaching and effacing bacterial pathogens.
Nat. Med. 14, 282–289 (2008).
(10)
Simonian, P. L. et al.
gammadelta T cells protect against lung fibrosis via IL-22.
J. Exp. Med. 207, 2239–2253 (2010).
(11)
Holtmeier, W; Kabelitz, D
Gammadelta T cells link innate and adaptive immune responses.
Chemical immunology and allergy 86: 151–83.(2005).
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