日本政府は7月31日に米製薬会社のファイザー社(さん)と
契約を結び、6千万人分の供給を受ける事となっています。
本日10月17日の報道によれば、
効果が確認された場合においては、
アメリカで11月後半にも緊急使用の許可を申請する
とあります。
またファイザー社も
「ワクチンに効果があるかどうかは今月末にわかるだろう。」
という見解を示しています。
日本が供給を受けるワクチンですから、
その動向に注目が集まります。
このワクチンはナノ粒子RNAワクチンで、
新型コロナウィルスのSタンパク質を
ナノ粒子膜の表面に生み出せるように設計されたものです。
体内に入れられると、
それによってB細胞が抗原認識し、
Sタンパク質に整合する中和抗体を
液性免疫の機序に従って分泌します。
Edward E. Walsh氏らは、
従来のBNT162b1というタイプのワクチンに改良を加えました。
BNT162b2というのタイプは
より発現されたスパイクの配座、構造が安定化されたもので
大きさもフルサイズで再現されています。
Edward E. Walsh氏らは
従来のBNT162b1と新しいBNT162b2というタイプの
ワクチンの治験結果(フェーズⅠ)を報告しています(1)。
評価期間
2020年5月4日~6月22日
対象者数
332名
接種条件
10μg、20μg、30μg、プラセボ
21日間空けて2回接種
(条件詳細は参考文献(1)
Figure 1フローチャート、Table 1参照)
/副作用について/
注射した時の痛みは軽いもので比較的多くみられます。
それはワクチンのタイプ、摂取量、年齢によらず共通しています。
しかし、赤みや腫れなどはほとんど診られません。
発熱、倦怠感、寒気などの副作用は
2回目接種後にやや多くなっていますが、
新しいタイプのBNT162b2では
特に発熱の副作用が少なくなっています。
また年齢別で高齢の65-85歳の方の副作用は
少なくとも若年層18~55歳より重度ではなく、
また高齢の方においては
新しいタイプのBNT162b2の副作用が全体的に
従来タイプBNT162b1よりも少なくなっています。
(参考文献(1) Figure 2、Figure 3参照)
/IgG抗体価/
新しいタイプのBNT162b2は、従来タイプBNT162b1よりの
やや数値としては少なくなっていますが、
新型コロナウィルス罹患回復期の方の抗体価よりも
十分に高い値が出ており、
値としては十分であると評価できます。
この要因からは20μg、30μgの用量が最適である
と考えられます。
また高齢の方(65-85歳)の抗体価は若年層よりも
やや少なくなっていますが、
値の絶対値としては十分な量であると評価できます。
また抗体価の値は1回目接種から
28日~35日後の2回目接種(21日)より後のタイミングで
高くなっています。
(参考文献(1) Figure 4参照)
/中和能/
新型コロナウィルス罹患回復期の方の値が
非常にばらつきが大きく
それに比べてワクチン接種の場合には
偏差はやや小さくなっています。
新型のBNT162b2の値の平均値としては、
高齢の方(65-85歳)の値がやや小さくなっており、
回復期の方の水準を超えるような値にするためには
用量が30μgであることが望ましいと考えられます。
中和能に関しては
やや年齢依存が見られ、高齢層で低くなっています。
(参考文献(1) Figure 4参照)
新型のBNT162b2に関して、
免疫細胞の働きCD4,CD8活性型の評価は現在実施中とのことです(1)。
これによって液性免疫だけではなく
感染細胞に直接攻撃する細胞性免疫の能力についても
評価することができます。
また、上の抗体価、中和能が
実際にどれくらい新型コロナウィルス感染性に寄与するか
どうかは未知なのでその点には注意が必要である
と言及されています(1)。
今回の結果はフェーズⅠの治験結果であり
今後規模を44000人にまで引き上げ、
BNT162b2に対して30μgの用量で評価していかれます。
その中で慢性疾患のある方や
職業上感染リスクの高い方、
あるいは人種の多様性を上げて評価されます(1)。
また新しいタイプのBNT162b2において
従来タイプと副作用に差がありましたが、
薬理上どのような違いを生んだかというのは、
現状では未知であるとされています(1)。
以上です。
(参考文献)
(1)
Edward E. Walsh, M.D., Robert W. Frenck, Jr., M.D., Ann R. Falsey, M.D., Nicholas Kitchin, M.D., Judith Absalon, M.D., Alejandra Gurtman, M.D., Stephen Lockhart, D.M., Kathleen Neuzil, M.D., Mark J. Mulligan, M.D., Ruth Bailey, B.Sc., Kena A. Swanson, Ph.D., Ping Li, Ph.D., Kenneth Koury, Ph.D., Warren Kalina, Ph.D., David Cooper, Ph.D., Camila Fontes-Garfias, B.Sc., Pei-Yong Shi, Ph.D., Özlem Türeci, M.D., Kristin R. Tompkins, B.Sc., Kirsten E. Lyke, M.D., Vanessa Raabe, M.D., Philip R. Dormitzer, M.D., Kathrin U. Jansen, Ph.D., Uğur Şahin, M.D., and William C. Gruber, M.D.
Safety and Immunogenicity of Two RNA-Based Covid-19 Vaccine Candidates
The New England Journal of Medicine October 14 2020
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