2020年10月28日水曜日

低酸素症による心臓疾患への影響

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

新型コロナウィルスの症状で怖さがあるのが
血管に損傷を受けることです。
免疫が異常に活性化して、サイトカインストームが
起こることで血液が異常に凝固して(1)、
それが血管内皮に付着して血液の流れを悪くします。
この事は肝臓で作られるビタミンK依存の血漿糖プロテインである
プロテインSの輸送、分泌を低下させます(1)。
このプロテインSは
・ダメージを受けた細胞を細胞死させて体から除去
・前述した血液の凝固を防ぐ(2)
これらの機能があります。
このプロテインSの発現が抑制されることによって
低酸素症が惹起されるといわれています(1)。

そのように血液の循環は体の様々な組織、臓器の
不全につながると考えられますが、
特に心臓は血液を全身に流すためのポンプ役で
ずっと動いていて、かつ大きな臓器ですから、
エネルギー需要の大きな臓器の一つです。

新型コロナウィルスによって
血液の過剰凝固が起き、循環が悪くなると
局所貧血(ischaemia)のリスクもあがり、
それによって酸素の供給が不十分になると考えられます。
酸素が不十分になると酸化代謝が損なわれるため
ミトコンドリアの機能不全につながる可能性があります(3)。
また局所貧血によって低循環、低酸素血症になると
心筋の機能不全につながることも懸念されています(3)。
このような酸素供給が低下すると
嫌気性雰囲気の中で糖の代謝(解糖)が行われ
代謝経路が改変されます。
このような代謝改変は
・心筋壁のストレス(4)、
・脂肪酸の代謝の中間体の毒性ある蓄積(5,6)
に関与すると言われています(3)。
一方で
・胎児の遺伝子発現のプログラム再活性化
これが起き心臓の機能を回復させようとします(7)。

ウィルス性心筋炎がインフルエンザなどで確認されており、
新型コロナウィルスも
それと似た様式で起こる可能性があるとされています(8)。
それらはマクロファージなど免疫細胞が
バランスを崩した状態で心筋に侵入することで
異常をきたしている可能性があるとされています(9)。
しかしながら、
免疫系統だけではなく代謝的な経路においても、
心臓関連疾患との関連が可能性として考えられます。

以上です。

(参考文献)
(1)
Sean M. Hacking
Red blood cell exchange for SARS-CoV-2: A Gemini of therapeutic opportunities
Medical Hypotheses 144 (2020) 110227
(2)
Castoldi E, Hackeng TM
Regulation of coagulation by protein S. 
Curr. Opin. Hematol. 15 (5): 529–36.(2008)
(3)
P. Christian Schulze & Jasmine M. F. Wu 
Ketone bodies for the starving heart
Nature Metabolism (2020)
(4)
Kato, T. S. et al. 
Circ. Heart Fail. 4, 546–553 (2011).
(5)
Chokshi, A. et al. 
Circulation 125, 2844–2853 (2012).
(6)
Ji, R. et al. 
JCI Insight 2, e82922 (2017).
(7)
Christophe Depre, Gregory L. Shipley, Wenhao Chen, Qiuying Han, Torsten Doenst, Meredith L. Moore, Stanislaw Stepkowski, Peter J.A. Davies & Heinrich Taegtmeyer
Unloaded heart in vivo replicates fetal gene expression of cardiac hypertrophy
Nature Medicine volume 4, pages1269–1275(1998)
(8)
Carsten Tschöpe, Enrico Ammirati, Biykem Bozkurt, Alida L. P. Caforio, Leslie T. Cooper, Stephan B. Felix, Joshua M. Hare, Bettina Heidecker, Stephane Heymans, Norbert Hübner, Sebastian Kelle, Karin Klingel, Henrike Maatz, Abdul S. Parwani, Frank Spillmann, Randall C. Starling, Hiroyuki Tsutsui, Petar Seferovic & Sophie Van Linthout 
Myocarditis and inflammatory cardiomyopathy: current evidence and future directions
Nature Reviews Cardiology (2020)
(9)
Tavazzi, G. et al. 
Myocardial localization of coronavirus in COVID-19 cardiogenic shock. 
Eur. J. Heart Fail. 22, 911–915 (2020).


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