免疫機能を担う細胞のうち
T細胞は感染細胞に働きかけ免疫機能を示す
細胞性免疫の機序に従う要素が強いです。
一方、B細胞はウィルスを認識し(抗原認識)、
それに従ってウィルスに特異性を示す抗体を発現し
放出する液性免疫の機序に従います。
従って、新型コロナウィルスに感染した時に
獲得する免疫のうち抗体の産生に強くかかわる細胞です。
このB細胞は感染前と感染後で全く同じ状態ではなく、
状態が変わるといわれています。
B細胞のみに関わらず、T細胞などの免疫細胞
他の体を構成するあらゆる細胞の表面には
様々な受容体が発現しています。
このような受容体は細胞の表現型(機能)に大きく
影響を及ぼすと考えられます。
B細胞において、新型コロナウィルスに感染した場合に
この細胞外(Extrafollicular)の受容体が
変化することがわかっています(1)。
その細胞外の変化の過程が重症の患者さんでは
従来の自己免疫疾患になるケース(2)と
類似性がみられるとされています。
(Systemic lupus erythematosusという自己免疫疾患)
サイトカインストームというのは
免疫の暴走ですから、一種の自己免疫疾患といえます。
そのような身体の異常な状態というのは
B細胞の表現型にも表れているということです。
軽症の患者さんと健康な人の
B細胞の表現型
(CD19-CD38-BB515, CD27-CD38-BB515, mature cell-IgD,BV605)
はその数の分布の類似性が高いですが、
重症で集中治療を受けた患者さんでは、
これらの分布は異なります。
(参考文献(1) Fig.1(a)より)
また重症の場合、抗体を多く発現した痕跡が
B細胞に残っており、
エフェクターB細胞の活性化が確認されています。
(参考文献(1) Fig.3(g) ASC(antibody-secreting cells)の数)
B細胞によって発現、放出された中和抗体の量は
病状の程度の従って数が異なり、
集中治療を受けた方がIgM, IgG, IgA抗体ともに
顕著に多くなっています。
(参考文献(1) Fig.6(g)より)
これは上述したASC(抗体を分泌した細胞)のB細胞の数が
多くなっている事と矛盾しない結果です。
また多くの抗原に暴露されて、
多くのストレスを受けて(?)
それに合わせて抗体を多く放出したB細胞は
同時に細胞外(Extrafollicular)の受容体の変化させましたが
これらはSystemic lupus erythematosusという自己免疫疾患で診られる
ケースと類似しているとされています。
そのような免疫暴走を促すような(?)
特異的な細胞外受容体の成長はIL-6サイトカインの
放出の一翼を担っている可能性が示唆されています。
実際にB細胞「だけに」依存するものではないと
考えられますが、重症、もしくは亡くなられた方の
炎症性サイトカインIL-6は顕著に多くなっています。
(参考文献(1) Fig.6(b)より)
これらのB細胞の反応は感染後も記憶されるかもしれないので(1)、
炎症性サイトカインを発現しやすい状態が続き、
それが後遺症と一定の関係性がある可能性もあります。
従って、B細胞に限らずT細胞などの免疫細胞において
後遺症が見られる患者さんにおける
細胞外受容体の状態を評価することは、
その後のケアにおいて役立つ可能性があります。
以上です。
(参考文献)
(1)
Matthew C. Woodruff, Richard P. Ramonell, Doan C. Nguyen, Kevin S. Cashman, Ankur Singh Saini, Natalie S. Haddad, Ariel M. Ley, Shuya Kyu, J. Christina Howell, Tugba Ozturk, Saeyun Lee, Naveenchandra Suryadevara, James Brett Case, Regina Bugrovsky, Weirong Chen, Jacob Estrada, Andrea Morrison-Porter, Andrew Derrico, Fabliha A. Anam, Monika Sharma, Henry M. Wu, Sang N. Le, Scott A. Jenks, Christopher M. Tipton, Bashar Staitieh, John L. Daiss, Eliver Ghosn, Michael S. Diamond, Robert H. Carnahan, James E. Crowe Jr., William T. Hu, F. Eun-Hyung Lee & Ignacio Sanz
Extrafollicular B cell responses correlate with neutralizing antibodies and morbidity in COVID-19
Nature Immunology (2020)
(2)
Jenks, S. A. et al.
Distinct effector B cells induced by unregulated Toll-like receptor 7 contribute to pathogenic responses in systemic lupus erythematosus.
Immunity 49, 725–739 (2018).
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