いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
インフルエンザでは数種類のワクチンがあって
毎年、流行株の分析によって
どのワクチンが使われるか特定されると理解しています。
インフルエンザの抗体結合位置の可塑性(変化のしやすさ)が
新型コロナウィルスよりも高い事が
ワクチンの効力が50%程度と低い値になっている
原因の一つではないかとされています。
新型コロナウィルスのワクチンに関して
SARS収束やポリオ根絶に貢献されてきた尾身会長は
「総じて性能の良いワクチン」と評されています。
効果が高く、副反応が許容的であるということです。
しかし、新型コロナウィルスの効力が高いのは
結合面に親和性が高い抗体が「正確に」設計されているから
と捉えることもできます。
そうであるならば、
その結合面に構造変異が入ると
一気に効力が変わってしまう可能性も考えられます。
なぜなら整合性が非常に高いからです。
実際に南アフリカで確認された変異株(B.1.351)は
逃避変異と呼ばれており、
回復者の血漿やワクチンの抗体の効力を落とす
ことが確認されています。
従って、今年はその逃避変異を水際対策
クラスター対策によって広げないことが求められます。
さらには
その逃避変異に効果を示すワクチンを改良版として
設計、開発、承認のプロセスに回す必要があります。
来年以降の2度目の接種のための準備です。
将来的には
インフルエンザのように複数のタイプの
ワクチンが必要になるか?
あるいは
混合ワクチンやナノボディーなど
変異に強いワクチンの接種方法、開発が進むか?
今後、そういった選択肢になると思います。
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Pengfei Wang, Manoj S. Nair, Lihong Liu,Sho Iketani
(敬称略ら)アメリカ合衆国の医療研究グループは
イギリス、南アフリカで確認された変異株において
抗体の評価を詳しく行われています(1)。
その内容の一部を追記を入れて
読者の方と情報共有したいと思います。
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//重要な考察:配置の観点//ーーーーーー
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参考文献(1)Fig.1, Fig.2参照
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(重要な考察)
筆者の分析では、ACE2受容体の結合面(黄色)の
部分の残基に抗体が結合していると
基本的には中和能が向上します。
しかし、抗体結合面のいずれかの部分に
変異が入ると中和能は一気に低下する傾向にあります。
南アフリカ変異株のE484K変異は
比較的多くの抗体が結合する部分にあるので
多くの抗体タイプにおいて中和能を低下させます。
--
抗体として理想的なのは
ACE2受容体結合面(黄色)に一部、抗体は結合する一方
ACE2結合面以外の(灰色)部分にも多く結合するような抗体です。
結合位置としては「Outer side view」の部分の抗体です。
灰色の部分が多く、多くの抗体は
一部ACE2結合面に掛かっていますが、
大部分が灰色の部分です。
元々の抗体の中和能の絶対値も小さくなく
かつ変異が起きても変化の小さい抗体です。
--
一方、「Inner side view」で
変異に対して中和能の変化が小さい抗体は
ACE2結合面の残基にほとんど結合していないので
従来株(変異前)の中和能の絶対値が
そもそも低い値になっています。
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従って
①ACE2結合面の残基に結合する
②ACE2結合面以外の残基に結合する
これらにおいて
②/①の比の値が大きな抗体は
比較的ACE2結合面の変異(E484, N501)の影響が
小さいと評価できます。
(①の結合部分はゼロではない。)
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//回復者血漿の抗体中和能の変化//ーーーーーー
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(イギリス変異株 B.1.1.7)
20人に対して大きな変化はありません。
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(南アフリカ変異株 B.1.351)
20人に対して16人、8割の人が
抗体に対する抵抗性が顕著に上がっています。
つまり抗体の効力が低下しています。
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(参考文献(1) Fig.3より)
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//ワクチンの抗体中和能の変化//ーーーーーー
(イギリス変異株 B.1.1.7)
モデルナ12人、ファイザー10人において
大きな変化がありません。
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(南アフリカ変異株 B.1.351)
モデルナ12人、ファイザー10人において
全てで抗体に対する抵抗性が向上しています。
つまり抗体の効力が低下しています。
※
回復者血漿抗体よりも変化量にバラツキが小さい
ことが特徴です。
ワクチンの抗体に関しては
E484Kの変異の影響が回復者に対して
相対的に大きくなっているとデータから推測できます。
これはおそらく回復者血漿よりも
抗体のクローン性が高いからであると考えられます。
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//追記//ーーーーーー
日本の変異株でもE484K逃避変異が確認されているので
高い確率でワクチンの効果に影響を与えていると考えられます。
ただし、繰り返しになりますが、
抗体の中和能が1/10になっても
ワクチンの効果が1/10になる
ということではありません。
自然免疫系、獲得免疫系の記憶性
それによる応答速度、細胞性免疫なども関わります。
その上でこの逃避変異株に対して
どれくらい効果があるか?
これについては追加の調査が必要です。
ーーーーーー
以上です。
(参考文献)
(1)
Pengfei Wang, Manoj S. Nair, Lihong Liu, Sho Iketani, Yang Luo, Yicheng Guo, Maple Wang, Jian Yu, Baoshan Zhang, Peter D. Kwong, Barney S. Graham, John R. Mascola, Jennifer Y. Chang, Michael T. Yin, Magdalena Sobieszczyk, Christos A. Kyratsous, Lawrence Shapiro, Zizhang Sheng, Yaoxing Huang & David D. Ho
Antibody Resistance of SARS-CoV-2 Variants B.1.351 and B.1.1.7
Nature (2021)
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