いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
種(ウィルスでは系統(lineage)、株(strain))の進化における
選択優位性(Selection advantage)は
基本的にはその環境に最も適合できたものである
と考えています。
世界の人口が増えつづけ、80億人にまでなっているのは
幼少期も含めた感染症などの予防、治療や
衛生、食糧、水など
基本的な生活水準が向上しているからである
と考えられます。
言い換えれば、人は進化の過程において
成功しているということになります。
それはこれだけ世界で広がって勢力を高めた
新型コロナウィルスでも同じです。
ウィルスは独立した代謝機能を持たないので
生物と言えるかどうかという議論はあります。
しかし、生物と同じように
変異を加えながら進化していきます。
その中でランダムに変異を繰り返し、
結果として環境に最も適合した系統が
社会で勢力を伸ばしています。
従って、今後、新型コロナウィルスの根絶を目指すのであれば、
進化に関する専門家の方の知識は非常に重要になります。
例えば、ポリオウィルスは一部の地域を除いて
根絶する事に成功しています。
しかし、インフルエンザは根絶には成功していません。
何が違うのでしょうか?
インフルエンザは毎年起こる流行の起源が人ではなく
渡り鳥にあるからというのはあるかもしれません。
他には、RNAウィルスはRNAは不安定で
変異の頻度が高いから基本的には根絶が難しい
ということかもしれません。
あるいは空気感染するウィルスは
感染経路の遮断が難しいため根絶が難しい
のかもしれません。
(ただし、ポリオもRNAウィルス。飛沫感染もする。)
このようなことが考えられます。
これから
〇ワクチンを開発する
〇逃避変異が起こる
〇再度、ワクチンを改変する
〇また逃避変異が起こる
〇再再度、ワクチンを開発する
、、、、
このようないたちごっこにならないためには
RNAの特徴、感染経路など遺伝子学、疫学的な事も含めて
進化の過程をよく考える必要があります。
言い換えれば、進化論的に絶滅させるためには
どのようなアプローチが最も論理根拠があるのか?
そのことを問う必要があります。
ただ、コロナ系ウィルスは起源はコウモリにありますから
その系統全てを根絶する事は不可能だと思います。
そうであるとするならば、
新型コロナウィルスの系統に当たる
少なくとも「人社会での」現在の蔓延を根絶できないか?
このような視点があります。
ーーーーーーーー
Houriiyah Tegally, Eduan Wilkinson, Marta Giovanetti, Arash Iranzadeh
(敬称略)ら
南アフリカ、ブラジル、ドイツ、アメリカ、イギリス
の国際的な医療研究チームは
南アフリカで確認されている変異株(501Y.V2(B.1.1.351))
これに関する進化、疫学的な調査結果に関して
詳しく報告されています(1)。
本日は、その内容の一部について
筆者独自の視点を中心に読者の方と情報共有したいと思います。
ーーーーーーーー
//重要な考察:選択優位性について//ーーーーーーー
筆者が参考文献(1)で最も注目しているのは
選択優位性(Selection advantage)です。
--
見ていただきたいのが
参考文献(1)Fig.2CとExtended Data Fig.4Aです。
--
新型コロナウィルスの疫学的な多様性が
2020年10月の初めから一気に低下して
B.1.1.351が一気に増えています。
それから1か月半の短い間で
確認株のうち8割程度がこの変異株になっています。
これは進化の中での
「選択優位性(Selection advatange)」といえます。
これがなぜ生じるのか?
Houriiyah Tegally氏らは
〇感染力の増大/〇免疫逃避
これらの両方を上げています。
どちらかかもしれないし、両方かもしれない
ということです(1)。
--
ここでイギリスで確認された変異株(B.1.1.7)
の疫学的なデータを調べてみました(2)。
参考文献(2)Figure 3をみると
2020年10月くらいから徐々に広がりを見せて
1か月後には全体の10%程度になっています。
その変化の割合は「指数関数的」です。
そのまま外挿すると一カ月後には
ほぼ、このウィルス変異株で占めるともいえます。
--
イギリスの変異株は
「逃避変異は入っていません。」
しかし、それは生み出された抗体に対してであって
ACE2結合面には変異が入っています。
しかし、過去罹患した人の
血漿中の抗体は効力がありますから
南アフリカ株とは状況が異なります。
そうすると「選択優位性は」おそらく
〇感染力の増大
この要素が大きいのではないか?
このように考えています。
もう一つの理由は
去年の10月の時点で疫学的に南アフリカで
集団免疫が形成されていたとは考えにくいからです。
従って、免疫的な逃避よりも
感染力の増大が大きいと思います。
--
しかし、考えないといけないのは
ここでいう免疫とは「特異的な獲得免疫」であって
自然免疫、従来からある獲得免疫ではない
ということです。
この点を考慮に入れると
免疫逃避の影響は除外できるものではありません。
つまり、もともと持っている免疫に対して
効力が発揮しにくい特質を変異株が有している
かもしれないということです。
しかし、それは感染力の増大と
完全に切り分けられるものではありません。
お互いに関係している可能性があります。
--
おそらく日本でも
南アフリカやイギリスでこのような
強い選択優位性が働いている結果から
感染対策をしたとしても
日本において感染力の高い系統、株が
いずれ主要になると考えられます。
ワクチンを接種すれば、
より感染力が強く、逃避変異を持つウィルスが
社会の主要になるのではないかと推測しています。
ーーーーーーー
//Special note in English//ーーーーーー
I consider that selection advantage for B.1.1.351 lineage occurred due to mainly increased tranmissibility from epidemiological data(2) of lineage B.1.1.7.
What can we do in order to avoid vicious circle in which we must repeat design improvement of vaccine?
Why can we highly control or partly eradicate polio, but not flu?
What characteristics differ for these viruses?
For example, the flu structure related to infection is highly plastic.
What factor determines this structural placiticity?
In additon to genetical view, I hope to know evolutionary perspective to eradicate SARS-CoV-2 virus at least in the human society.
ーーーーーー
//その他の特記//ーーーーーー
南アフリカので確認された変異株(501Y.V2(B.1.1.351))は
10月以前に南アフリカで「多様に広がっていた」
C1, B.1.156, B.1.1.54を含めた系統とは
進化初期の時点で異なる属に分類されていた
遺伝子的な相違性が高い系統です。
(参考文献(1) Fig.2Aより)
---
(感染力に影響を与えうる報告)
E484K変異は人ACE2受容体との結合親和性を高める(3-5)。
ーーーーーー
以上です。
(参考文献)
(1)
Houriiyah Tegally, Eduan Wilkinson, Marta Giovanetti, Arash Iranzadeh, Vagner Fonseca, Jennifer Giandhari, Deelan Doolabh, Sureshnee Pillay, Emmanuel James San, Nokukhanya Msomi, Koleka Mlisana, Anne von Gottberg, Sibongile Walaza, Mushal Allam, Arshad Ismail, Thabo Mohale, Allison J. Glass, Susan Engelbrecht, Gert Van Zyl, Wolfgang Preiser, Francesco Petruccione, Alex Sigal, Diana Hardie, Gert Marais, Marvin Hsiao, Stephen Korsman, Mary-Ann Davies, Lynn Tyers, Innocent Mudau, Denis York, Caroline Maslo, Dominique Goedhals, Shareef Abrahams, Oluwakemi Laguda-Akingba, Arghavan Alisoltani-Dehkordi, Adam Godzik, Constantinos Kurt Wibmer, Bryan Trevor Sewell, José Lourenço, Luiz Carlos Junior Alcantara, Sergei L. Kosakovsky Pond, Steven Weaver, Darren Martin, Richard J. Lessells, Jinal N. Bhiman, Carolyn Williamson & Tulio de Oliveira
Emergence of a SARS-CoV-2 variant of concern with mutations in spike glycoprotein
Nature (2021)
(2)
ECDC experts (in alphabetic order): Cornelia Adlhoch, Erik Alm, Sabrina Bacci, Kari Johansen, Teymur Noori, Pasi
Penttinen, Anastasia Pharris, Diamantis Plachouras, and Senia Rosales-Klintz.
External public health experts: Ines Campos-Matos (Public Health England), Marco Cavaleri (European Medicines
Agency), Meera Chand (Public Health England), Thomas Connor (Public Health Wales), Nicholas Gunning
(Department of Health and Social Care, UK), Susan Hopkins (Public Health England), Catherine Moore (Public
Health Wales), Katherine Russell (Public Health England), Giri Shankar (Public Health Wales), Christopher Williams
(Public Health Wales).
Rapid increase of a SARS-CoV-2 variant withmultiple spike protein mutations observed inthe United Kingdom
20 December 2020
(3)
Starr TN, Greaney AJ, Hilton SK, et al.
Deep Mutational Scanning of SARS-CoV-2 Receptor Binding Domain Reveals Constraints on Folding and ACE2 Binding.
Cell. 2020;182(5): 1295-1310 e1220.
(4)
Nelson G, Buzko O, Spilman P, Niazi K, Rabizadeh S, Soon-Shiong P.
Molecular dynamic simulation reveals E484K mutation enhances spike RBD-ACE2 affinity and the combination of E484K, K417N and N501Y mutations (501Y.V2 variant) induces conformational change greater than N501Y mutant alone, potentially resulting in an escape mutant.
bioRxiv. 2021:2021.2001.2013.426558.
(5)
Zahradník J, Marciano S, Shemesh M, et al.
SARS-CoV-2 RBD in vitro evolution follows contagious mutation spread, yet generates an able infection inhibitor.
bioRxiv. 2021:2021.2001.2006.425392.
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