2021年3月16日火曜日

1年間の後知恵を生かしたポストコロナ社会の在り方

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

今、日本の関東の各都市では昼間、夜間、平日、休日の
いずれの日も人出はスマートフォンの追跡調査によって
増えていることが明らかになっています。
去年の4月に緊急事態宣言があって
その時には街中の人の数が激減しましたが、
そこから第二波、第三波と経験し、1年近くが経過しています。
毎日のように報道機関では新型コロナウィルスのニュースが流れ
それ以外でもこのウィルスを題材とした情報提供があります。
そういった中で当然人ですから「慣れ」の部分もあります。
外を眺めてたくさんの人が歩いていると
自分も大丈夫ではないかと思います。
周りに新規感染者がいなければそう感じても自然です。
それが連鎖して今の人出に反映している部分があると思います。
しかし一方で、マスクの着用をしている人は多く
リスクの多い場所を避けたり、
店の多くには消毒液が置かれていて、
衛生対策においては高いレベルが維持されている部分もあります。
これが今の感染状況にプラスに反映している部分もあると考えられます。
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2020年、ずっと経験してきたコロナ禍から
私たちは何を学ぶことができるのか?
これからもしばらくは続くと思いますが、
そこから得られた教訓をどう生かすことができるのか?
それが今の時点で社会として問われている事の一つです。
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Ines Hassan, Mitsuru Mukaigawara, Lois King, Genevie Fernandes & Devi Sridhar
(敬称略)からなるイギリス、アメリカ、日本(沖縄)の
医療、公共政策の研究グループは
この1年の公共政策を振り返り、
成功例、課題について詳しく包括されています(1)。
本日は内容を参照しながら筆者の視点を中心に内容を展開し
読者の方と情報共有したいと思います。
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//社会として今後、後遺症とどう向き合うか?//ーーーーー
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2021年1月26日の時点でイギリスでは
10万人を超える死亡者が報告されています。
1日3万人を超える新規感染者が報告され、
感染した方のうち約10%が後遺症(Long-Covid)に罹患した
と言われています(2)。
後遺症を経験している人は数週間から数か月の間
呼吸困難や倦怠感を経験すると言われています(3)。
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この後遺症は急性期の症状が安定した後、
慢性疲労症候群(様に)切り替わるとされています。
現時点で慢性疲労症候群に関して
二重盲検法などによって治験が少なくとも
活発に行われている状況ではありませんが、
倦怠感などが残り生活に支障が出ている方がいれば、
そういった臨床研究も社会で必要になると考えられます。
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後遺症の原因の一つは、治療が後手に回っていることが
上げられると思います。
ウィルス量の最大量が上がってしまい、
それによってウィルスが脳を含めて体の至る所に分散したり
免疫機能の惹起によって炎症が生じることで
生じている可能性もあります。
従って、今後、後遺症の患者を減らすためには
発症の初期の段階で有効な治療を行うことが求められます。
しかし、新型コロナウィルスは
潜伏期間が比較的に長いために発見遅れてしまう特徴があります。
その点が早期治療を難しくしているところです。
従って、ワクチンなど予防的な医療介入が
新型コロナウィルスでは非常に重要になります。
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//社会での集団免疫、ワクチンの今後//ーーーーー
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(免疫の持続期間について)
免疫機能は抗体、リンパ球、骨髄系細胞など
それぞれで持続期間は異なりますが、
B細胞など抗体発現を担う細胞においては
長く続くことが知られています(4)。
今の時点ではとにかく1セット(2回)の接種を如何に
世界全体で迅速に行うか?ということが焦点です。
その中でワクチン接種をどの周期で行うかという
意見の一致(コンセンサス)は世界では取られていませんが、
手続き上の問題も考えると1年に1回程度が
妥当なところであると筆者は考えています。
また、今後、繰り返しワクチン接種が行われる中で
基礎、臨床、トランスレーショナルとあらゆる領域で
免疫機能の発展について人のケースで調査していく事が大切になります。
ワクチンの開発においては
ウィルス株が逃避変異を繰り返し
その都度、ワクチンの設計変更をするという
「いたちごっこ(a cat-and-mouse game)」の懸念が指摘されています(5)。
このような逃避変異のリスクの見積もりにおいては
ワクチン接種する中での免疫機能の「交差性」の理解が大切になります。
そのためには免疫細胞の表現型を詳しく調べる必要性が出てきます。
従って、基礎医学的なアプローチと疫学を含めた臨床医学的なアプローチ、
それらをつなぐトランスレーショナル医療が
全て社会として求められてきます。
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(ワクチンの配分について)
現在、日本の取り組みとしては
COVAXファシリティーへの資金提供や
アメリカ、オーストラリア、インドと協力して
低、中所得の国々を含めた世界的なワクチンの供給体制の構築に
貢献する取り組みを行っています。
しかしながら、2021年1月時点では
低、中所得の国々のワクチン接種はどこも実施されていない状況です(6)。
世界で感染している地域が残る事は
国際的な移動、貿易の問題ももちろんありますが、
変異が継続的に起こりやすいというデメリットもあります。
決してその国だけの問題ではなく
現時点で接種が行われている国における脅威にもなりうることなので
世界的なワクチンの分配は社会問題として向き合う必要があります。
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//今後の社会活動の在り方//ーーーーー
今後、ワクチンの接種が始まり、
免疫を手に入れる人の割合が社会で高まっていきます。
しかし、同時に逃避変異も確認されており、
ワクチンの効果が出にくいウィルス系統も台頭する可能性があります。
そうした中でワクチンを接種しても
今まで通りの生活を行う事のリスクは依然高いと考えられます。
一方、活動を制限する事は社会経済として問題があり
世界的な金融緩和も限界があります。
そうした中でウィルスの感染対策も配慮しながら
経済活動を少しずつ活性化させていく必要があります。
おそらく時間が経過するごとに
ワクチンの接種回数が増えるごとに
新型コロナウィルスのリスクは漸減していくと考えられます。
常に世界、自国の感染者数、医療提供体制、変異などを
モニターしながらそれを調整していく事になります。
基本的に社会活動を行う上でそれほど負担にならない事。
例えば、衛生(手荒い、アルコール消毒)や
密集、密閉空間でのマスクの着用などは継続できる事です。
これは文化の問題もあるので
こうした対策の壁が小さな国と大きな国があります。
しかしながら、マスクは重要であるという研究報告もあります(7)。
そういった手軽にできる感染対策を
どう地域社会として啓蒙していくかという課題があります。
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//新型コロナウィルスが広がった一つの要因//----------
尾身会長のコメントによれば
SARS(-CoV-1)と異なる点は新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)は
症状が出る前に2次感染を引き起こすことです。
SARSの場合は症状が出たら迅速に隔離すれば
それで感染のネットワークを止める事ができました。
しかし、新型コロナウィルスは症状が出る前に
2次感染させるためにそういった囲い込み作戦が
功を奏しない部分がある事です。
従って、疫学データから感染リスクの高いところ
「結果的に」導き出して、
その後、そのリスクが高いところを封じ込める
というプロセスを踏む必要があります。
そのため感染を世界的に抑えることができなかった
というのがあります。
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新型コロナウィルスを早く収束させるためには
上述した様々な軸で「多重に」対策していく必要があります。
そのためには個人レベルから国、世界に至るまで
様々なレベルでの継続的な協力関係が必要になります。

以上です。

(参考文献)
(1)
Ines Hassan, Mitsuru Mukaigawara, Lois King, Genevie Fernandes & Devi Sridhar 
Hindsight is 2020? Lessons in global health governance one year into the pandemic
Nature Medicine volume 27, pages396–400(2021)
(2)
Official UK Coronavirus Dashboard, 
https://coronavirus.data.gov.uk/details/deaths
(3)
Centers for Disease Control and Prevention. Long-term effects of COVID-19. 
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/long-term-effects.html (2020).
(4)
Jennifer M. Dan et al.
Immunological memory to SARS-CoV-2 assessed for up to 8 months after infection
Science  05 Feb 2021:Vol. 371, Issue 6529, eabf4063
(5)
Joseph, A. 
Scientists monitor a coronavirus mutation that could affect vaccine strength. 
STAT https://www.statnews.com/2021/01/07/coronavirus-mutation- vaccine-strength/ (7 January 2021)
(6)
Soy, A. 
Africa’s long wait for the Covid-19 vaccine. 
BBC News https://www.bbc.com/news/world-africa-55751714 (22 January 2021).
(7)
Brooks, J. T., Butler, J. C. & Redfield, R. R.
Universal masking to prevent SARS-CoV-2 transmission—the time is now. 
JAMA https://doi.org/10.1001/jama.2020.13107 (2020).


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