2021年3月3日水曜日

逃避変異株501Y.V2に対する抗体の評価

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

新型コロナ対策分科会、研究機関が
注目しているのは変異株であると考えられます。
報道ではイギリスで主に広がっている変異株が
どちらかというと焦点を当てられますが、
ワクチン接種を進めている今の状況では
南アフリカで主に広がっている変異株。
こちらの方が重要であるという認識です。
一般的に逃避変異といわれて、
ワクチンの効力が落ちると考えられているからです。
日本で1億人くらいの人に接種する事は
色んな人が関わる中で
人材、金銭、時間全ておいて多くの資源を使います。
もし、南アフリカの変異株が
日本で広がって、効果がなくなるまでにはならなくても
その効果が下がれば、大きな社会的損失になります。
従って、リスク因子のある
南アフリカで主に広がっている変異株は
南アフリカを始め、世界の動向を調べながら
水際対策を確実にして広めないことが大切です。
また、今後出てくる
逃避変異に対するワクチンの効果の
国際的な報告、データを逐次チェックしていく
ことが求められます。
その優先順位は高いと考えられます。
ーーーーーーーー
Constantinos Kurt Wibmer, Frances Ayres, Tandile Hermanus
(敬称略)ら南アフリカの医療研究グループが
現地で広がっている逃避変異を持つ
501Y.V2ウィルス株について
回復者血漿、ワクチンの抗体の評価を行われています(1)。
本日はその内容の一部を読者の方と
情報共有したいと思います。
ーーーーーーーー

//各抗体における中和能//ーーーーーー
逃避変異株501Y.V2における
抗体(CA1、LyCoV016、CC12.1、BD23、C119、P2B-2F6)
これらに対する中和能は
その濃度に関わらず上昇しない。
(参考文献(1) Fig.1d,gより)
ーーーーーー

//回復者血漿の中和能//ーーーーーー
新型コロナウィルス罹患者の回復後の血漿の
混在する抗体における中和能の統計の結果
--
D614G(オリジナル)
401以上:50%
101-400:36%
21-100:14%
--
RBD変異のみ(501Y.V2のRBD変異部)
401以上:23%
101-400:14%
21-100:36%
20未満:27%
--
501Y.V2変異株(NTD変異も含む)
401以上:6%?
101-400:23%
21-100:23%
20未満:48%
--
(参考文献(1) Fig.2より)
中和能の最大値は16000程度あるので
20以下が如何に低いかということがわかります。
それがおおよそ半分なので
D416G株などの新型コロナウィルスに
罹患した人の抗体は
南アフリカ変異株で多くは機能しないことが示されています。
また、RBD以外のNTDの変異も一定割合
抗体逃避機能に関わっていることがわかります。
ーーーーーー

ただ、注意が必要なのは
この結果は抗体自身の機能における問題であり、
感染時のB細胞の抗体産生能力、速度や
細胞性免疫であるT細胞、NK細胞
あるいは自然免疫系の機能において
抗体ほど機能を弱めるかどうかはわかりません。
また
ワクチンの抗体の機能においても
ファイザー社の2回接種においては
中和能は1/2程度でした(2)ので
ワクチンの効果があるかないかに関しては
いくつかの報告を総括して
慎重に考える必要があります。

以上です。

(参考文献)
(1)
Constantinos Kurt Wibmer, Frances Ayres, Tandile Hermanus, Mashudu Madzivhandila, Prudence Kgagudi, Brent Oosthuysen, Bronwen E. Lambson, Tulio de Oliveira, Marion Vermeulen, Karin van der Berg, Theresa Rossouw, Michael Boswell, Veronica Ueckermann, Susan Meiring, Anne von Gottberg, Cheryl Cohen, Lynn Morris, Jinal N. Bhiman & Penny L. Moore 
SARS-CoV-2 501Y.V2 escapes neutralization by South African COVID-19 donor plasma
Nature Medicine (2021)
(2)
Xuping Xie, Yang Liu, Jianying Liu, Xianwen Zhang, Jing Zou, Camila R. Fontes-Garfias, Hongjie Xia, Kena A. Swanson, Mark Cutler, David Cooper, Vineet D. Menachery, Scott C. Weaver, Philip R. Dormitzer & Pei-Yong Shi 
Neutralization of SARS-CoV-2 spike 69/70 deletion, E484K and N501Y variants by BNT162b2 vaccine-elicited sera
Nature Medicine (2021)


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