2021年3月22日月曜日

Ⅰ型インターフェロンを抑制する生理機序

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

新型コロナウィルスでは全ての罹患者がそうではないですが、
一部の方において感染初期の段階でインターフェロンの
応答が遅れる事が確認されています。
Ⅰ型インターフェロンに関しては
抗ウィルス作用があるため、新型コロナウィルスが侵入したら
直ちにこのサイトカインが反応し、ウィルス株を損傷させて、
ウィルス量を減らすことに貢献すると考えられます。
従って、Ⅰ型インターフェロンの応答は重要で
参考文献(2) Fig.2の赤のラインで示されているように
このサイトカインの応答によって
発症した時に症状の程度に影響を及ぼすと考えられます。
例えば、初期のインターフェロンの応答が良ければ
参考文献(2) Fig.2aの緑のラインのように
ウィルス量の最大値、時間積分値を減らすことができるため
好ましいと考えられます。
従って、インターフェロンがどのような機序で
分泌が抑えられるか?
この機序について調査することは非常に重要です。
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GuanQun Liu, Jung-Hyun Lee, Zachary M. Parker(敬称略)ら
アメリカ合衆国の医療研究グループは
上述したインターフェロンの発現を抑える
新型コロナウィルスの生理機序に関して報告されています(1)。
本日は、筆者の視点に基づく追記をしながら
読者の方とその内容の一部について情報共有したいと思います。
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//重要な結果//ーーーーーーーー
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新型コロナウィルスが細胞感染した後、
身体の自然な生理としてそのウィルスを免疫機能によって
除外するために細胞内にRIG-1受容体というたんぱく質が存在します。
このRIG-1はインターフェロンを産生するために働くと言われています。
このRIG-1の他に
Melanoma differentiation-associated protein (MDA5)が
インターフェロンの産生に関わるとされています。
このMDA5の機能が新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)の
タンパク質分解酵素(パパイン様)によって構造変化し(de-ISGylation)、
機能が弱められる(Antagonized)事が確認されています。
-
参考文献(1) Fig.6cより
Anti-MDA5の有無でMDA5とISG15(インターフェロン誘発遺伝子)
の発現が2色化しています。
-
実際にRIG-1よりもMDA5のほうが
インターフェロン産生への依存性、正の相関が大きい
ことがデータとしてあります。
従って、MDA5の細胞内の機能を守ることはより大切になります。
(参考文献(1) Fig.1b赤色の比較)
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//筆者の考察//ーーーーー
実際に疫学的なデータでは
インターフェロンの初期応答が良い人とそうではない人がいます。
例えば、インターフェロンの応答が
良い人と悪い人から細胞を取り出して、
新型コロナウィルスとパパイン様タンパク質分解酵素と
MDA5の反応について個別に調べる事が考えられます。
そう考える背景には補償的な経路も含めて
別の機序が存在する可能性があるからです。
それがもし存在すれば、
また別の治療戦略が生まれる可能性があります。
その様な視点に立てば、
インターフェロンの応答は重要な可能性が高いので
良い人と悪い人の最も感染リスクが高い組織の細胞を
それぞれ取り出して
新型コロナウィルスに感染させたときに
細胞内の応答はどうか?という視点があります。
細胞を多く使う、保護、保存などの利便性の観点から
iPS細胞技術などが利用できる可能性もあります。
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以上です。

(参考文献)
(1)
GuanQun Liu, Jung-Hyun Lee, Zachary M. Parker, Dhiraj Acharya, Jessica J. Chiang, Michiel van Gent, William Riedl, Meredith E. Davis-Gardner, Effi Wies, Cindy Chiang & Michaela U. Gack 
ISG15-dependent activation of the sensor MDA5 is antagonized by the SARS-CoV-2 papain-like protease to evade host innate immunity
Nature Microbiology (2021)
(2)
Thiago Carvalho, Florian Krammer and Akiko Iwasaki
The first 12 months of COVID-19: a timeline of immunological insights
Nature Reviews Immunology (2021)


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