//背景//
新型コロナウィルスのワクチンの接種率は
低い国で60%、高い国で80-90%となっています。
日本ではリスクの高い高齢の方は接種率が高く、
そうではない若い人はやや低くなっています。
中には
ワクチンを免疫、副反応の問題で接種できない人もいます。
一方で、
ワクチン接種の意思がない人でも
実際に新型コロナウィルスに罹患したら、
治療薬があれば、それを飲む人は多いと思います。
様々な状況を包摂すると、
治療薬の探索、開発はワクチン開発と並ぶ
重要な一翼を担います。
ワクチンと同様に治療薬の供給体制を
世界のあらゆる地域で整える事は、
コロナ禍を収束させる
あるいは共存する一つの道筋となります。
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ワクチンにはワクチンしかできないことがあります。
それは感染予防したり、重症化のリスクを下げる
ということです。
なぜなら、罹患する前に接種するからです。
しかし、ワクチンは現在のオミクロン株のように
変異によって効果が変わる特徴があります。
一方、治療薬は
下述するように変異に強く、ウィルス種を超えた
交差性の高い生理機序を利用することができます。
従って、今まで示されたように
新型コロナウィルスの変異株に関わらず
高い効果が期待できます。
しかしながら、投与するタイミングが重要で
処方が遅れると効果を失ってしまいます。
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両者、メリット、デメリットがある中で
共に欠かす事の出来ない両輪となる医療介入ツールである
と考えられます。
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David C. Schultz, Robert M. Johnson, Kasirajan Ayyanathan, Jesse Miller
(敬称略)ら医療研究グループは
上述した新型コロナウィルスに対する
効果的な治療薬の組み合わせについて報告されています(1)。
結果の概要と
推定上の考察を読者の方と共有したいと思います。
//結果概要//
①Nusleoside analogs
ヌクレオシド類似物
レムデシビルやモルヌピラビル(EIDD-2801)
-
②ピリミジン阻害剤
BAY 2402234, Brequinar
--
①+②の組み合わせで抗ウィルス性の相乗効果がみられます。
気管支、鼻の細胞(in vitro)
マウスの肺のウィルス量
これら共に抗ウィルス性が組み合わせによって
高まっています。
(参考文献(1) Fig.3e,f Fig.4A,D)
但し、相乗効果を得るためには
①と②の組み合わせの投与量を最適化する必要があります。
//考察1//
今、日本で承認されたモルヌピラビルと
ピリミジン阻害薬であるBAY 2402234, Brequinarは
錠剤での処方が可能です。
ただ、ピリミジン阻害薬は新型コロナウィルスの
治療薬としては承認されていません。
ただし、ピリミジン阻害薬は単独では
効果が低いため、組み合わせでの検討になります。
上述したように錠剤での処方が可能であるため、
注射による投与よりも、
各自、家で飲むことができるため
承認されれば治療の負担は少なくて済みます。
//考察2//
RNAウィルスが細胞内で増殖するためには
RNAをポリメラーゼにより重合化させ
繰り返し構造を伸長させる必要があります。
たとえば、
RNAがABCという記号で表せるとするならば、
ABC-ABC-ABC-ABC、、、
このように繰り返し構造を細胞内で作って
最後に周期的に切断して、数を増やす必要があります。
このABCはRNAなので構造の単位としては
ヌクレオシドです。
従って、ヌクレオシドを宿主細胞から取得して
それを繋げる必要があります。
レムデシビルやモルヌピラビルは
ヌクレオシドの類似物なので
ウィルスのRNAは「間違って」
この類似物を結合させてしまいます。
ABC-A'B'C'というようにです。
この類似物によって重合体化は止まってしまいます。
これがNusleoside analogsの効果であると認識しています。
このようなプロセスは「共通性が高い」ため
他のウィルス、インフルエンザやエボラウィルス
などと同様に新型コロナウィルスでも効果があります(2,3)。
また、オミクロン株など変異にも強いです。
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一方、ピリミジン阻害薬は
RNAであるABCの細胞の中での合成を抑制する働きがあります。
従って、
ABC(ウィルスRNA)←単位ABC(宿主細胞ヌクレオチド)
この矢印、供給が止まってしまいます。
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従って、これらを組み合わせるということは
構造が人為的に不活性となっている
ヌクレオチド類似物を結合させる機会があるとともに
必要な細胞内ヌクレオチドも減っている状態である
という状況になります。
従って、相乗効果が見込めるのではないか?
これが研究の出発点になっていると推定します。
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しかし、特にピリミジン阻害薬は
ヌクレオチドの合成を通常の細胞でも止めてしまう(?)
可能性があるため、副作用については考える必要があります。
従って、David C. Schultz氏らは
細胞毒性も同様に評価されています(1)。
(参考文献)
(1)
David C. Schultz, Robert M. Johnson, Kasirajan Ayyanathan, Jesse Miller, Kanupriya Whig, Brinda Kamalia, Mark Dittmar, Stuart Weston, Holly L. Hammond, Carly Dillen, Jeremy Ardanuy, Louis Taylor, Jae Seung Lee, Minghua Li, Emily Lee, Clarissa Shoffler, Christopher Petucci, Samuel Constant, Marc Ferrer, Christoph A. Thaiss, Matthew B. Frieman & Sara Cherry
Pyrimidine inhibitors synergize with nucleoside analogues to block SARS-CoV-2
Nature (2022)
(2)
Sheahan, T. P. et al.
Comparative therapeutic efficacy of remdesivir and combination lopinavir, ritonavir, and interferon beta against MERS-CoV.
Nat Commun 11, 222,
https://doi.org/10.1038/s41467-019-13940-6 (2020).
(3)
Agostini, M. L. et al.
Coronavirus Susceptibility to the Antiviral Remdesivir (GS-5734) Is Mediated by the Viral Polymerase and the Proofreading Exoribonuclease.
MBio 9, e00221–18, https://doi.org/10.1128/mBio.00221-18 (2018).
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