新型コロナウィルスでは陽性、陰性と
2つの指標で評価されることがほとんどですが、
実際にはカットオフがあって、
PCRではある一定のRNA以上で陽性ということが定義されます。
従って、抗原検査とPCRで異なる結果になることがあります。
冒頭で述べた様な2極化した考え方ではなく
陽性の中でもウィルス量が多い人がいる。
陰性でもカットオフよりも少ない量で感染している人がいる。
このように身体の中のウィルス量を連続的に考える
ことでいくつかの判断に役立つことがあります。
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例えば、今、オミクロン株が流行しています。
感染した後の隔離期間はそれぞれの国で定められています。
しかし、実際には
ワクチンを何回接種しているのか?
その時期はいつだったのか?
あるいは
感染後、抗ウィルス薬で治療を受けたのか?
そうではなく
ワクチンの接種も抗ウィルス薬の治療も受けていないのか?
これらのケースによって
それぞれウィルス量の推移は変わる事が推定されます。
オミクロン株はワクチン逃避性がありますが、
3回目のワクチン接種を終えた場合
中和抗体量はそうでない場合に比べて顕著にあがります。
そうした時に、3回目接種を済ませた
医療従事者の方は感染しても
比較的早くウィルス量が減るため、
症状がなくなれば、早い段階で職場復帰できる。
濃厚接触時の隔離でも同様です。
そのような判断ができる可能性があります。
エッセンシャルワーカーの方々に対しては
特にこのような分析は意義があります。
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一方で、ワクチンが本当に効いているということを
感染の有無における疫学と異なる定量的な結果として
ウィルス量の推移を接種有無で比較して評価する事は
科学的に意義がある事です。
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Rolando Pajon(敬称略)からなる医療研究グループは
モデルナ社のワクチンmRNA-1273において
ワクチン接種有無における
感染からのウィルス量の推移を評価されています(1)。
評価された期間での主なウィルス株は
〇B.1/B.1.2
これとなっています。
デルタ株、オミクロン株が流行するよりも
前の段階での評価となっています。
ウィルス量は1日目は鼻、3日目以降は唾液で
PCR測定によって評価しています(1)。
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そのデータFig.2を見ると
感染1日目のウィルス量の差は
ワクチン接種をしている群と
そうではない群と比べて、
中央値で2桁以上低い値となっています。
そこから3日間で共に3桁程度減少するので
ワクチン接種群はほぼ検出限界以下の
ウィルス量となります。
ただし、ワクチン接種群は個人差があります。
95%CIの両極で1桁以上のウィルス量の差があります。
一方で
ワクチンを接種していない群の個人差は小さく、
ほぼ同程度の値に収束しています。
これが、不可解な部分です。
なぜ、ワクチンを接種していない感染者は
初期のウィルス量の値においてほとんど同じなのでしょうか?
これは測定系の問題でしょうか?
その様に測定系を疑う理由は
各自、目、鼻、口から入るウィルス量は
暴露した環境、時間によって異なるはずである
と考えるからです。
ーー
治療薬においても同様の事が言える可能性があります。
ウィルス量のピークからの減少スピードが
抗ウィルス投与によって速くなるか?
これについて調べる事も意義があります。
ーー
また、ブレークスルー感染した中で
ウィルス量のばらつきがありますが、
そのばらつきないでウィルス量依存的な
症状の程度はあるかどうか?
つまり、上限に近い人は
やや症状が重くなる傾向にあるかどうか?
そうではなく、
桁で下がっているのでウィルス量依存的ではないのか?
その点に関心があります。
(参考文献)
(1)
Rolando Pajon, Yamuna D. Paila, Bethany Girard, Groves Dixon, Katherine Kacena, Lindsey R. Baden, Hana M. El Sahly, Brandon Essink, Kathleen M. Mullane, Ian Frank, Douglas Denhan, Edward Kerwin, Xiaoping Zhao, Baoyu Ding, Weiping Deng, Joanne E. Tomassini, Honghong Zhou, Brett Leav, Florian Schödel & Lindsey R. Baden, Hana M. El Sahly, Brandon Essink, Kathleen M. Mullane, Ian Frank, Douglas Denhan & Edward Kerwin
Initial analysis of viral dynamics and circulating viral variants during the mRNA-1273 Phase 3 COVE trial
Nature Medicine (2022)
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