人は他の動物に比べて大人になるまでの年齢が高く
長い期間、親からの生活の手助けを必要とします。
しかし、身体の少なくとも組織としての成長は
特に生まれてから3年間くらいは臨界的です。
発達曲線を見ると、特に脳は
他の臓器、組織と比べても
容量、組織としての発達は早く、
おおよそ3歳で大人の80%まで成長します。
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生まれてから1000日間は脳神経が著しく成長するので
この時期の脳神経を健全に守る事、
また、障害(傷害)があれば、適切な治療を継続的に行う事は
そのお子さんの残された多くの人生を見据えた時に
非常に重要になります。
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Mark. S. Scher(敬称略)は
"The first 1000 days influence life-course brain health:
interdisciplinary fetal/neonatal neurology training"
と題して、Pediatric research詩にコメントを上梓されています(1)。
上述したように、生まれてから1000日の
脳神経の健康状態、治療は
お子さんの一生の脳の健康に関わる
ということです。
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しかし、子供を授かる始まりは受精をしたときで
親の遺伝子、胎内での環境などもより初期的に大きく
影響を与えると考えられています。
従って、子供の脳神経の発達の健全性を担保するにあたって、
考える時期というのは生まれる前も含まれます。
特に胎内にいるときには
①母体、②胎盤、③胎児
これらの3つの要素が主に健康に関わることから
これらの3要素を概念としてまとめて
Maternal/Placental/Fetal (MPF) triad。
このように定義しています。
上述した1000日とは2歳までとされているので
胎内にいる10か月間も含まれています。
そこまでの治療プログラムを包括的に考えましょう。
これが
Neonatal neurocritical care programs (NNCCPs)。
このプログラムです。
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この新生児を含めた2歳までの脳神経の治療プログラムで
特に問題にしているのが、
Great neonatal neurologic syndromes (GNNS) 。
これに定義される
・脳症
・(脳症に関連する)早産
・てんかん
・脳卒中
これらです。
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このGNNSに対する適切な治療を行うために
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①早期の発見
多くは無症状の時期があり、その時点で見つける
妊娠前期、中期、後期での特徴的な生物学的マーカー。
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②診断技術の向上
患者さん特異的な精密診断
画像、生物学、遺伝子学的検査
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③原因
妊娠時の免疫活性化(2)、胎盤の虚血(3)
(先天、後天的)遺伝子的特徴
生まれてからの感染症などの環境要因
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④分野横断的な治療
神経科医、精神科医、リハビリ専門スタッフ、
栄養士(ヘルスケア)、看護師
疫学研究社、社会科学研究者、倫理研究者
緩和ケア医、エンジニア、コンピュータ科学者
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⑤発達機能を定期的に評価する(Ontogenetic adaptation)
子供は発達過程でいくつかの典型的な機能を獲得していきます。
例えば、寝返り、まね、お座り、言葉
それらの多くは脳神経が関係しているので
脳神経の異常を組織だけではなく機能として評価します。
-
これらを包括する事が必要だと言われています(1)。
//考察//
早い段階で診断して適切な治療につなげる事は
いくつかの障壁があると考えられます。
まだ、はっきり症状が出る前に
そういった現実を認めたくないという親心も
一般的に理解できることです。
そういった事も含めた障壁を乗り越えて
初期の臨界的な脳組織発達の健全性をより高めていくためには
少なくとも
様々な角度でのエビデンス(遺伝子、組織学、生物学)
そして臨床結果を積み上げていく必要があると考えられます。
(参考文献)
(1)
Mark. S. Scher
The first 1000 days influence life-course brain health: interdisciplinary fetal/neonatal neurology training
Pediatric Research (2022)
(2)
Meyer, U.
Neurodevelopmental resilience and susceptibility to maternal immune activation.
Trends Neurosci. 42, 793 – 806 (2019).
(3)
Kwiatkowski, S., Kwiatkowska, E., Rzepka, R., Torbe, A. & Dolegowska, B.
Ischemic placental syndrome – prediction and new disease monitoring.
J. Matern. Fetal Neonatal Med. 29, 2033 – 2039 (2016).
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