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RECOVERYによる調査によると
デキサメタゾンによって
酸素供給が必要な患者さんに限ってみれば、
亡くなられる患者さんが1/3になり、
顕著な奏功が見られたと報告されています。
日本でもレムデシビルに続き、
厚生労働省により認可されている薬剤です。
このデキサメタゾンはステロイド系抗炎症剤で
糖質コルチコイド作用と言われています。
この糖質コルチコイドは、
視床下部、下垂体、副腎に関係するホルモンで
明暗の刺激によって、量がコントロールされています。
従って、サーカディアンズム(概日リズム)の中で
糖質コルチコイドからなるホルモンの量が
適正に制御されているという理解です。
あるいは食欲のリズムも関係します。
このホルモンはウィルスによる感染や
それが一部関与する組織の炎症過程などの
ストレスによって活性化されるといわれています。
このホルモンが
細胞に作用して体の機能を調整するときには
その細胞にこのホルモンに特異的な受容体があり
その受容体と結合します。
従って、このホルモンと受容体は、
代謝、発育、認知、免疫プロセスと関係があります。
新型コロナウィルスで問題となっている
免疫機能と関係があるため、
生理として注目すべきホルモンです。
冒頭で述べたデキサメタゾンなど
糖質コルチコイド作用
ステロイド系抗炎症剤の使用によって
免疫の暴走を抑えることが考えられますが、
この糖質コルチコイドは
適正な量が存在し、副作用も有していると考えられています。
例えば、
骨粗しょう症、高血圧、糖尿病、脂質異常症、高血糖、
クッシング症候群などの副作用が報告されています(2,3)。
従って、用量やタイミング
さらには既往歴に対する考慮など
処方にあたっては注意が必要であると考えられます。
この糖質コルチコイドの薬理を最大限生かすためには
「必要な組織、細胞にだけ供給させる。」
といったコンセプトがあります。
そうすれば副作用を小さくできるかもしれない
と考えられています。
例えば、
標的細胞がわかってその特異的受容体が明らかであれば、
その受容体に親和性があって排他的に結合できるような
スパイクなどを人工的に作ったナノ粒子の中に
薬剤を入れて体内にいれることで
細胞特異的に働くような薬剤投与ができる
可能性があります。
このデキサメタゾンは、
免疫チェックポイントとなるPD-1にも作用することが
わかっているために、
癌の免役療法にも生かすことができるかもしれません。
しかし、癌細胞の特徴、あるいはその土壌である
微小環境によって作用が異なると言われており、
効果の分類など
より細かな研究が必要になると考えられます。
また糖質コルチコイドは一般的に
Ⅰ型インターフェロンを抑制する働きがあるために
これは抗ウィルス性があるので、
おそらく感染初期に投与することは
好ましくないと考えます。
症状が悪化して、サイトカインストームが起こって
Ⅰ型インターフェロンが長く、余分に放出して
組織の炎症に関与している段階で
それを抑制するために処方することが好ましい
と考えられます。
さらに
MHC II というヘルパーT細胞の活性化に関わる
細胞表面にある分子を抑制する働きが
ネズミですが報告されています(4)。
従ってヘルパーT細胞の働きに影響を与える
可能性が示唆されます。
また糖質コルチコイドが抑制する可能性のある
サイトカイン、ケモカインは
IL-1β, IL-6, IL-12, TNF-α, GM-CSF
RANTES, MCP-1, and IL-8であると言われています。
冒頭で述べた様に
糖質コルチコイドは免疫機能と関係しますが、
概日リズムや食欲とも関係があると言われています。
また、代謝なども関係があるので、
処方する際にモニターする項目として
睡眠の状態、あるいは食欲
体重の増減なども挙げられると考えます。
以上です。
(参考文献)
(1)
Linda Quatrini & Sophie Ugolini
New insights into the cell- and tissue-specificity of glucocorticoid actions
Cellular & Molecular Immunology (2020)
doi.org/10.1038/s41423-020-00526-2
(2)
Reid, I. R. G
lucocorticoid-induced osteoporosis. Bailliere ’ s Best.
Pract. Res. Clin. Endocrinol. Metab. 14, 279 – 298 (2000).
(3)
Barnes, P. J. & Adcock, I. M.
Glucocorticoid resistance in in flammatory diseases.
Lancet 373, 1905 – 1917 (2009).
(4)
Celada, A., McKercher, S. & Maki, R. A.
Repression of major histocompatibility complex IA expression by glucocorticoids: the glucocorticoid receptor inhibits the DNA binding of the X box DNA binding protein.
J. Exp. Med. 177, 691 – 698 (1993).
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