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標的細胞に特異性を持つ薬剤輸送を実現するために
細胞膜表面に出ている受容体に
薬剤が入ったナノ粒子をテザリングして
そこでの滞在時間を長くすることによって
局所的な薬剤放出を実現することが提案としてあります。
細胞膜表面には様々な化学物質が突出していると
理解していますが。
その中には細胞表面受容体というのがあり、
細胞の原形質膜に埋め込まれて膜を貫通して
細胞の内外に突出している物質があります。
例えば、このような細胞表面受容体の
任意の結合部位に親和性を持たせて、
薬剤が入ったナノ粒子をアンカーさせる場合において
懸念されることは、
このような受容体に作用することで
何らかの機能を発揮する信号のきっかけになることです。
その細胞表面受容体を通した信号経路として
Wntシグナル経路(Wnt signal pathway)があります。
この経路は細胞と細胞のコミュニケーション
傍分泌や自己分泌などの際の経路として使われます。
例えば、その機能として発がん作用や
細胞を成熟させるような機能があるとされています。
また細胞の増殖や分布など
細胞の動的な振る舞いにも関与しているとされています。
従って、細胞や細胞外マトリックスなどからなる
組織の形成において重要な役割を担っていると考えられます。
従って、もしこのような細胞表面受容体に
意図的に結合させるようなナノ粒子を輸送した場合には
このような生体にとって重要な機能を擾乱する可能性は
否定できません。
Wntシグナルは細胞外に出たFrizzled受容体の
タンパク質を架橋するシステインリッチの結合面に
Wntタンパク質が結合することによって
この信号が促進されます(2)。
従って、ナノ粒子をこの結合面に親和性を持たせて
テザリングする際には注意が必要です。
それ以外の関与が指摘されている受容体は
lRP5,lRP6
(lDl‑receptor related protein 5)
(lDl‑receptor related protein 6)
があります(3-5)。
以上です。
(参考文献)
(1)
Wikipedia:Wnt signaling pathway
(2)
Tata Purushothama Rao et al.
An Updated Overview on Wnt Signaling Pathways
Circulation Research. 106 (12): 1798–806.
(3)
Pinson, K. I., Brennan, J., Monkley, S., Avery, B. J. & Skarnes, W. C.
An LDL-receptor-related protein mediates Wnt signalling in mice.
Nature 407, 535–538 (2000).
(4)
Tamai, K. et al.
LDL-receptor-related proteins in Wnt signal transduction.
Nature 407, 530–535 (2000).
(5)
Wehrli, M. et al.
arrow encodes an LDL-receptor-related protein essential for Wingless signalling.
Nature 407, 527–530 (2000).
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