いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
このシステムにおいて
インテグリンを一つの標的としたいと思っています。
その中で本日は発見、薬剤開発の歴史について
簡素ですがまとめたいと思います。
インテグリンが発見されたのは1984年です。
Michael D. Pierschbacher氏と
Erkki Ruoslahti(エルキ・ルースラーティ)氏
によりネイチャー誌より報告されました。
フェブロネクチンの細胞接着活性が
インテグリン受容体によって
強められるというものです(1)。
つまりこのフェブロネクチンという糖たんぱく質は
インテグリンと結合するということです。
これは現在24種類あるとされているインテグリンのうち
RBD面を結合部位としている種類のインテグリンです。
RBDは、
アミノ酸Arg-Gly-Asp(アルギニン-グリシン-アスパラギン酸)
の配列を意味します。
例えば、いくつかの悪性腫瘍と関連がある
インテグリンαvβ3はRBD面を結合面とします。
このフェブロネクチンは
Richard O. Hynes(リチャード・ハインズ)氏が
1973年に細胞接着分子として発見されています。
リチャード・ハインズ氏はアメリカの生物学者で
1997年にガードナー国際賞を受賞しています。
Michael D. Pierschbacher氏は
American Life Science Pharmaceuticals社でCEOをしています。
Erkki Ruoslahti(エルキ・ルースラーティ)氏は
アメリカのがんの生物学・生化学者で
1997年にガードナー国際賞、
2005年に日本国際賞を受賞しています。
このガードナー国際賞は
医学にたいして顕著な発見や貢献を行った者に与えられる学術賞で
医学に関する賞として最も著名な賞の一つとして知られています。
日本国際賞は
科学技術において、独創的・飛躍的な成果を挙げ、
科学技術の進歩に大きく寄与し、
人類の平和と繁栄に著しく貢献した人物に対して、
国際科学技術財団が授与する賞です。
日本におけるノーベル賞に匹敵する賞です。
従って、細胞接着分子が分かったのは47年前で、
インテグリンが発見されたのも36年前です。
また、共にガードナー国際賞が贈られていることから、
医学において大きな意味があったと考えられます。
さらに2020年に送られたガードナー国際賞は
理化学研究所名誉研究員、名古屋大学特別教授、京都大学名誉教授
の竹市雅俊先生です。
それも細胞接着分子カドヘリンであり、
細胞接着の機序という点において
インテグリンと同様に重要な役割を果たしています。
カドヘリンについても今後調査する予定です。
このインテグリンは
生理機能において重要な役割を担っている事がわかっています。
従って、インテグリンを標的とした治療は鋭意考えられてきました。
初めて、インテグリンの薬剤が承認されたのは
1994年でアブシキシマブ(abciximab)という薬です。
血小板凝集阻害薬で
結合するインテグリンの型は
αIIbβ3、 αVβ3とされています(2)。
血小板のインテグリンのβ鎖はβ3とされているので
血小板と高い親和性を持つ薬剤であるとされています。
処方されるのは
経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention)で
狭心症、急性心筋梗塞による心臓の冠状動脈の狭窄、閉塞病変に対して、
血管の内側から狭窄病変を拡張する、カテーテルを使った低侵襲的な治療
を施した時に
血液の凝固を防ぎ血栓のリスクを避けるために(?)
処方されると理解しています。
副作用は、出血で、消化管出血などが懸念されます。
通常血液は出血したら固まりますが、
その作用が抑制されるという理解です。
その後、血小板凝固阻害薬として
Eptifibatide、Tirofibanが認可されています(ref.(2),Table.1より)。
1994年にアブシキシマブ(abciximab)が承認された後
Ref.(2)が報告されている2016年時点で
ClinicalTrials.gov listsとして
80の臨床試験が行われています(2)。
その他、インテグリン標的治療薬としては
クローン病、潰瘍性大腸炎に対するものがあります。
インテグリンα4β7に親和性を持つ薬剤で
MLN02、Vedolizumabがあります。
このMLN02に関しては武田製薬工業社(さん)のNew releaseによれば
Crohn's Disease Activity Index (CDAI)が
70ポイント以上さがり、
副作用に関しても「well tolerated」
つまり耐容性良好であるという評価です。
これは2002年9月16日時点のレポートです(3)。
最も新しい2008年の報告でも
フェーズⅡですがクローン病に対して
投与量に応じた薬効が得られ、
「well tolerated」と評されています(4)。
従って、認可はまだであると考えられます。
一方、
Vedolizumabは武田製薬工業社がEUと米国に申請し
2014年5月20日にFDA(米国)によって承認されました。
対象は中程度から重症の
潰瘍性大腸炎とクローン病に対してです。
2014年5月27日にEU28カ国で同様に承認されました。
2018年7月に日本でも承認されました。
------
クローン病は指定難病96となっています。
指定難病とは
「日本において 厚生労働省が実施する難治性疾患克服研究事業の
臨床調査研究分野の対象に指定された疾患」
難病とは
「発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない
希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり
療養を必要とすることとなるものをいう。」
とあります。
クローン病は口腔から肛門までの全消化管に
慢性的に肉芽腫性炎症が起こる疾患です。
原因ははっきりわかっていないですが、
免疫系の異常であるとされています。
10代から20代に多く見られ
日本の罹患者数は4万人以上とされています。
症状が良くなったり、悪くなったりすることがあり
場合によれば脂質制限などの食事制限が必要で
若い人がかかる病気ですから
長く付き合っていかないといけない疾患です。
一方、潰瘍性大腸炎は
大腸のみに起こる疾患です。
------
以上です。
(参考文献)
(1)
Michael D. Pierschbacher & Erkki Ruoslahti
Cell attachment activity of fibronectin can be duplicated by small synthetic fragments of the molecule
Nature volume 309, pages30–33(1984)
doi.org/10.1038/309030a0
(2)
Klaus Ley, Jesus Rivera-Nieves, William J. Sandborn & Sanford Shattil
Integrin-based therapeutics: biological basis, clinical use and new drugs
Nature Reviews Drug Discovery volume 15, pages173–183(2016)
doi.org/10.1038/nrd.2015.10
(3)
Takeda oncology news releases
Millennium Announces Phase II Data for MLN02 in Crohn's Disease
(4)
Brian G Feagan, Gordon R Greenberg, Gary Wild, Richard N Fedorak, Pierre Paré, John W D McDonald, Albert Cohen, Alain Bitton, Jeffrey Baker, Réjean Dubé, Steven B Landau, Margaret K Vandervoort, Asit Parikh
Treatment of active Crohn's disease with MLN0002, a humanized antibody to the alpha4beta7 integrin
Clin Gastroenterol Hepatol. 2008 Dec;6(12):1370-7.
DOI: 10.1016/j.cgh.2008.06.007
登録:
コメントの投稿 (Atom)

0 コメント:
コメントを投稿