2020年9月16日水曜日

癌組織血管形成と薬剤輸送経路

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

癌細胞がどのように組織化して成長、転移するか
というのは様々な要因があると言われていますが、
血管形成があることが
一つの必要条件だといわれています。
例えば、
血液の供給がない状態では1-2mm3の径までしか
癌組織は成長しなかったけど、
血液の供給があって血管形成が可能な場合には
それ以上の成長が可能だったという報告もあります(1)。
従って
癌組織が描写される時には
その組織にまとわりつくように細い血管が描かれています。

これは細胞標的型の薬剤輸送において
一つの機会になると考えます。
上皮細胞から成長した癌細胞が
もし血液輸送内空間から独立した形で
離れて成長しているとすると
血液を通じて循環している
ナノ粒子の中に封入した薬剤が
この細胞組織に作用するためには、
血管壁を貫通して
細胞外マトリックスなどの障害を越えて
輸送される必要があります。
それがもし可能だったとしても、
そこで輸送効率におけるロスが生じてしまいます。
できるだけ少ない薬剤の量で
必要なところだけに供給したいという
変わらぬ需要があります。
そうした場合にこの状況が空間的経路として障壁になる
と推測しています。
しかし、癌細胞の周りに血管が張り巡らされていることによって
そこにナノ粒子薬剤が到達可能なので、
より大きな表面積の癌細胞に対して
薬剤が作用することができます。
もちろんテザリングしたい標的となる
インテグリンのような細胞特異性のある
膜貫通タンパク質が薬剤がロスなく到達できる経路において
多く露出していることが望まれます。
従って理想を言えば
一つの癌細胞当たりのそれを取り巻く
すべての細胞表面に薬がアクセスできるように
血管形成が進んでいれば好ましいです。
一方で、
薬剤輸送経路としてのリンパ管の利用も考えられています(2)。
もし血管だけではなくリンパ管も利用できれば
それだけアクセスできる場所が増えることになります。

以上です。

(参考文献)
(1)
Naoyo Nishida, Hirohisa Yano, Takashi Nishida, Toshiharu Kamura, Masamichi Kojiro
Angiogenesis in cancer
Vascular Health and Risk Management 2006:2(3) 213–219
(2)
藤村 朗、小野寺政雄、野坂洋一郎、斎藤恒夫、太田敏博、世良耕一郎、二ツ川章二
岩手医科大学歯学部口腔解剖学第一講座他、
薬剤輸送経路としてのリンパ管の利用 

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