いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
新型コロナウィルスの治療、あるいは予防医療のために
様々な方法が提案されています。
その中で
実際に新型コロナウィルスに罹患した方の
回復期の血漿から抗体を集めて
それを罹患中に人に投与することが検討されています。
それをconvalescent plasma therapyと呼びます。
アメリカがそれを採用するかどうかという
ニュースが日本でも報道されていました。
しかし、
新型コロナウィルスに罹患した人に出来た
抗体は多種にわたるため、
質の良い抗体を分別するする必要があります。
そうでなければ、
抗体依存性感染増強が起こり、
逆に新型コロナウィルスのリスクが上がってしまうことが
懸念されます(1)。
しかし、過去流行したSARS-CoVやMARS-CoVでは
この回復期血漿療法は良い臨床実績を残した
という報告もあります(2,3)。
新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)でも
5000人の患者さんに対するケースで
安全であり、病状は改善したとあります(4-8)。
下記、その治療の一例です(4)。
5人の呼吸器疾患が現れている重症の患者さんに
IgG抗体価:1000(ELISA)-中和能:40の抗体を含む
回復期血漿を
病状が現れてから10~22日の間投与されました。
その他治療として投与前を含めて
抗ウィルス薬
(Lopinavir, ritonavir, favipiravir
interferon alfa-1bなど)
と免疫抑制剤である
ステロイド・糖質コルチコイド系薬剤である
メチルプレドニゾロンが投薬されていました。
従って、新型コロナウィルスで
一般的に行われている方針に従った治療が施され、
それに加えて回復期血漿が輸液されました。
その結果、3日以内5人中4人が解熱し(37.6-39.0⇒36.6-37.9)、
Sequential Organ Failure Assessment (SOFA) scoreが下がり、
※呼吸器、神経、心臓、肝臓、血管、腎臓の機能評価
PAO2/FIO2が(172-276)→(284-366)に向上し、
※吸い込まれた酸素分圧に対する動脈の酸素分圧
ウィルス量が注入から12日後検出限界以下
になりました。
抗体価向上(1800-16200)、中和能向上(80-480)。
炎症性サイトカインIL-6が低下(63.9-438.2⇒0-54.6)。
5人中4人は注入後12日後に呼吸器症状は改善されました。
3人は注入2週間後には人工呼吸器が不要になりました。
3人は注入後51~55日で退院、2人は注入後37日で安定状態でした(4)。
場所は、中国、深セン市、Shenzhen Third People's Hospital。
実施時期は、2020年1月20日から3月25日。
人数は5人、年齢は30から70代。男性3人、女性2人(4)。
今、日本で行われている治療に加えて
回復期血漿を輸液するかどうか?
検討の余地があると思います。
それによって重症化のリスク、
あるいは重症化した患者さんの予後がよくなるのであれば、
採用する価値が現れてきます。
上のデータで一つ注目されるのは
輸液された血漿が持つ抗体価、中和能よりも
高い能力を示す抗体が輸液され回復した患者さんから
みられたということです。
以上です。
(参考文献)
(1)
Wen Shi Lee, Adam K. Wheatley, Stephen J. Kent & Brandon J. DeKosky
Antibody-dependent enhancement and SARS-CoV-2 vaccines and therapies
Nature Microbiology (2020)
doi.org/10.1038/s41564-020-00789-5
(2)
Mair-Jenkins, J. et al.
The effectiveness of convalescent plasma and hyperimmune immunoglobulin for the treatment of severe acute respiratory infections of viral etiology: a systematic review and exploratory meta-analysis.
J. Infect. Dis. 211, 80–90 (2015).
(3)
Ko, J. H. et al.
Challenges of convalescent plasma infusion therapy in Middle East respiratory coronavirus infection: a single centre experience.
Antivir. Ther. 23, 617–622 (2018).
(4)
Shen, C. et al.
Treatment of 5 critically ill patients with COVID-19 with convalescent plasma.
JAMA 323, 1582–1589 (2020).
(5)
Duan, K. et al.
Effectiveness of convalescent plasma therapy in severe COVID-19 patients.
Proc. Natl Acad. Sci. USA 117, 9490–9496 (2020).
(6)
Ahn, J. Y. et al.
Use of convalescent plasma therapy in two COVID-19 patients with acute respiratory distress syndrome in Korea.
J. Korean Med. Sci. 35, e149 (2020).
(7)
Zhang, B. et al.
Treatment with convalescent plasma for critically ill patients with SARS-CoV-2 infection.
Chest 158, e9–e13 (2020).
(8)
Joyner, M. J. et al.
Early safety indicators of COVID-19 convalescent plasma in 5,000 patients.
J. Clin. Invest.
https://doi.org/10.1172/JCI140200 (2020).
登録:
コメントの投稿 (Atom)

0 コメント:
コメントを投稿