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新型コロナウィルスの発症が2019年12月に確認されて
翌年2020年3月にはそのワクチンに対する治験が始まりました。
現在180のワクチンが治験段階にあります。
フェーズⅢの最終段階の治験のワクチンも数種類あり
数か月後には提供が可能かもしれない
という見方もあります(1)。
従来のワクチンでは通常開発まで15年くらいの
時間を必要とするといわれています。
治験前の段階で5年、
治験自体も短くても5年はかかるといわれています。
それを新型コロナウィルスのワクチン開発では
10か月~1年半で行おうとしていることから、
従来では考えられないような速度で進んでいます。
(参考文献(1), Fig.1参照)
従って、従来よりもウィルスと生体内での作用における
詳細な理解、多面的な解析、評価など
今まで蓄積してきた科学技術を結集して分野横断的に
世界で団結して開発に臨む必要があると考えます。
基本的に一人当たり間隔をあけて
ワクチンは2回接種します。
従って必要なワクチンの量は世界で160億個になります。
WHOもワクチンの包括的に確保に動いていますが、
ワクチンによる抗体の維持が永続的ではない
というデータが出ていますから、
インフルエンザのように毎年仮に接種するとなると
毎年それくらいのワクチンの量を
継続的に世界に提供する必要があります。
そうした場合に単に数を作れるだけではなく
資金的な面の課題も出てくると思います。
ワクチンの種類はいくつかあります。
大枠では
〇増殖能力をなくしたウィルスそのもの
〇受容体結合面に結合するタンパク質そのもの
〇ウィルスのような形をしたもの
〇抗体をつくる設計図(DNA、RNA)
(参考文献(1), Fig.3参照)
その中で今治験最終段階(フェーズⅢ)にあるのは
〇不活性化したコロナウィルス
〇複製不能にしたウィルスをベースとしたワクチン
(アストラゼネカ社(さん))
〇RNAワクチン(ファイザー社(さん))
(参考文献(1), Fig.4参照)
※括弧内は日本のワクチン供給と関連がある企業
です。
以下、参考文献(1)で個別に挙げられている
ワクチンについての説明です。
-----
〇Sinovac社(さん) CoronaVac
(治験ナンバーNCT04456595)(3)
・不活性化ウィルスワクチン
・現在フェーズⅢ
600人の健康な人に対する調査(2)
・90%の人が血液中で抗体が検出可能
・18~39歳の人が高齢の方よりも抗体反応が良い
・グレード3の副作用は確認されず
-----
〇CanSino社(さん)AdV5-based vaccine
・複製不能AdV5ベースウィルスワクチン
・中国で一部ライセンスされている
フェーズⅡのデータ(NCT04341389)(4)
・59%の人が血液中で抗体が検出可能(高ドープグループ)
・AdV5事前免疫がある人は反応が弱い
・グレード3の副作用は9%確認(高ドープグループ)
・現在フェーズⅢで評価
((治験ナンバーNCT04526990, NCT04540419など)
------
〇AstraZeneca社(さん)ChAdOxnCoV-19
・複製不能ChAdOx1ベースウィルスワクチン
・オックスフォード大学、Serum Institute of Indiaと
共同開発
・現在フェーズⅢ※複数国で
(治験ナンバー:ISRCTN89951424, NCT04516746)
フェーズⅠ/Ⅱのデータ
(治験ナンバー:NCT04324606)(5)
・1077人(18~55歳)
・接種14日後に高い免疫応答、56日継続
・副作用、倦怠感、筋肉痛など回復する
発熱のケースは少ない、迅速に回復
-----
〇Moderna社(さん) mRNA-1273
・mRNAベースワクチン
・現在フェーズⅢ(治験ナンバー:NCT04470427)
報告データ(6)
・接種15日後には免疫応答あり
・半数以上が副作用を経験
高ドープグループでは重篤な副作用も報告される
-------
〇Pfizer社(さん)(BNT162b1,BNT162b2)
・BioNTech社(さん)と共同開発
・現在フェーズⅢ(治験ナンバー:NCT04368728)
フェーズⅠ/Ⅱのデータ(7)
・45人(18~45歳)(治験ナンバー:NCT04368728)
・2回目の接種後高い免疫応答あり
・最適だと考えられる30μgにおける副作用
熱、倦怠感、頭痛、悪寒など
程度はほぼ軽度が中程度。
------
〇Novavax社(さん)NVX-CoV2373
・ナノ粒子ワクチン
・現在フェーズⅡ(治験ナンバー:NCT04533399)
フェーズⅠのデータ(8)
・131人(18~59歳)(治験ナンバー:NCT04368988)
・2回目の接種後高い免疫応答
・5μgと免疫補強剤が最適だと考えられる
・最適な条件の副作用
筋肉痛、倦怠感、関節痛などは所見されるが
発熱の副作用はない
特に高齢の方に対するワクチン接種においては
高い中和能が必要であるということは
インフルエンザでは明らかになっています(9,10)。
高齢の方への接種にかんしては
Sinovac社、Pfizer社に関しては
改善が必要かもしれないと考えられています(1)。
逆に子供は免疫応答がよいために
リスクとベネフィットの天秤を考えた時に
副作用のリスクが大きくなる可能性があるため
大人と比べて摂取分量を減らすなどの
調整が必要であるとされています(1)。
従って、日本で供給されるワクチンが複数であれば、
年齢別にワクチンの種類、あるいは接種の条件などを
検討する必要性があると考えられます。
以上です。
(参考文献)
(1)
Florian Krammer
SARS-CoV-2 vaccines in development
Nature (2020)
doi.org/10.1038/s41586-020-2798-3
(2)
Zang,Y,J et al.
Immunogenicity and Safety of a SARS-CoV-2 Inactivated Vaccine in Healthy Adults Aged 18-59 years: Report of the Randomized, Double-blind, and Placebo-controlled Phase 2 Clinical Trial.
medRxiv, 2020.2007.2031.20161216,
https://doi.org/10.1101/2020.07.31.20161216 (2020).
(3)
WHO.
https://www.who.int/publications/m/item/draft-landscape-of-covid-19-candidate-vaccines (2020).
(4)
Zhu, F. C. et al.
Immunogenicity and safety of a recombinant adenovirus type-5-vectored COVID-19 vaccine in healthy adults aged 18 years or older: a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2 trial.
Lancet 396, 479-488, (2020).
DOI:10.1016/S0140-6736(20)31605-6
(5)
Folegatti, P. M. et al.
Safety and immunogenicity of the ChAdOx1 nCoV-19 vaccine against SARS-CoV-2: a preliminary report of a phase 1/2, single-blind, randomised controlled trial.
Lancet 396, 467-478, (2020).
DOI:10.1016/S0140-6736(20)31604-4
(6)
Jackson, L. A. et al.
An mRNA Vaccine against SARS-CoV-2 - Preliminary Report.
N Engl J Med, (2020).
DOI:10.1056/NEJMoa2022483
(7)
Mulligan, M. J. et al.
Phase 1/2 study of COVID-19 RNA vaccine BNT162b1 in adults.
Nature,
DOI:10.1038/s41586-020-2639-4 (2020).
(8)
Keech, C. et al.
Phase 1-2 Trial of a SARS-CoV-2 Recombinant Spike Protein Nanoparticle Vaccine.
N Engl J Med,
DOI:10.1056/NEJMoa2026920 (2020).
(9)
Dunning, A. J. et al.
Correlates of Protection against Influenza in the Elderly: Results from an Influenza Vaccine Efficacy Trial.
Clin Vaccine Immunol 23, 228-235,
https://doi.org/10.1128/CVI.00604-15 (2016).
(10)
McElhaney, J. E. et al.
Granzyme B: Correlates with protection and enhanced CTL response to influenza vaccination in older adults.
Vaccine 27, 2418-2425,
DOI:10.1016/j.vaccine.2009.01.136 (2009).
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