いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
去年度のインフルエンザ流行時には
まだ日本には新型コロナ感染者がいない、
あるいは少なかったので、
両方の感染の問題が顕在化することはなかったですが、
今年度は違います。
年末から年明けに向けて
インフルエンザ流行時に合わせて
新型コロナウィルスの対策をする必要があります。
共に呼吸器疾患で症状の類似性が認められることから
診察の際に分別することが難しいというのが一つの課題です。
従って、厚生労働省の方は、
両方の検査ができるように環境を整えています。
しかし、今まで以上に
インフルエンザについて考えることは重要になっています。
また、インフルエンザはワクチンが開発され
普及して久しいです。
その中で体内でどのような薬理、生理が生まれているのか
というのは気になる点です。
ワクチンは液性免疫を通して抗体が
新型コロナウィルスならばSタンパク質、
インフルエンザならばヘマグルチニン
に結合してそれを通して細胞への浸入を防ぐようにします。
この抗体価に注目が集まりますが、
一方で細胞性免疫であるT細胞であったり
抗原を認識して抗体を発現するB細胞の働きがどうであるか?
というのは同様に重要です。
ワクチンの持続性を考える上でも
T細胞やB細胞がワクチン接種でどのように改変するか?
というのを評価することは大事です。
参考文献ではインフルエンザのワクチンによっての
B細胞の振る舞いについて報告されています。
インフルエンザワクチンは
不活性化ワクチンと言われる
感染力、毒性を失わせたウィルスが一般的に採用され
この報告でも
不活性化インフルエンザワクチンが使われています。
その無害化ウィルスを認識して、
記憶型と未感作性のB細胞が検出されたとあります。
胚中心から生まれたのは未感作細胞であり、
同時に血液からも記憶型のB細胞が検出されたということです。
血液からの記憶型のB細胞は交差性を持ち
体細胞超変異(Somatic hypermutation)が認められました。
この体細胞超変異は、
免疫システムが新しい外来要素に適応する細胞メカニズム
であり、ワクチンによるウィルスを血液中にある
B細胞が検出して、それに適応するように
変異が起こったということだと理解しています。
一方、胚中心で生まれたB細胞は、
そのような変異は少なく、
接種されたウィルスに強い特殊性を持つとされています。
胚中心(germinal centre GC)とは、
免疫応答の際に二次免疫組織につくられる微小構造.
抗体を産生するB細胞の活発な増殖,選択,成熟
と消失がみられる部位と説明されます。
24歳から40歳の男女計8名(1:女性,7:男性)。
少なくとも接種後9週間の持続性が確認されました。
おそらくこの意味は
すでに過去のインフルエンザ株に対する暴露
あるいは予防接種によって
ある程度改変されたすでに血管中にあるB細胞において、
様々なインフルエンザ株に効果を発揮するような
交差性を確認できた一方で、
ワクチン接種によって胚中心で
その不活性化ウィルス特異的な未成熟な細胞が産生された
ということだと理解しています。
そのような2刀流のような両輪性を示す生理機序があると
理解しました。
従って、インフルエンザも
毎年予防接種を受ける事は
抗体を発現するB細胞の交差性にも
影響を与える可能性が示唆されます。
新型コロナウィルスでも
インフルエンザのように毎年ワクチンを接種することになれば
同じようにより広範に効果を発揮するような
抗体を産生するB細胞の改変、産生に貢献する
可能性があるかもしれません。
ただ、新型コロナウィルスのワクチンには
様々なタイプがあり、
ウィルスを入れない方式でも
同じようにB細胞の改変、産生を促すことができるか?
今後、その研究結果が待たれます。
以上です。
(参考文献)
Jackson S. Turner, Julian Q. Zhou, Julianna Han, Aaron J. Schmitz, Amena A. Rizk, Wafaa B. Alsoussi, Tingting Lei, Mostafa Amor, Katherine M. McIntire, Philip Meade, Shirin Strohmeier, Rafael I. Brent, Sara T. Richey, Alem Haile, Yuhe R. Yang, Michael K. Klebert, Teresa Suessen, Sharlene Teefey, Rachel M. Presti, Florian Krammer, Steven H. Kleinstein, Andrew B. Ward & Ali H. Ellebedy
Human germinal centres engage memory and naive B cells after influenza vaccination
Nature (2020)
doi.org/10.1038/s41586-020-2711-0
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