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このシステムの想定している一つの形は
球状の袋、胞があって、
その中に任意の薬剤を入れて、
その胞の表面に特定の細胞に接合するような突起を発現させて
体の狙ったところに任意の薬剤を
効率よく持っていくことです。
そういう背景にあって、
ある程度様々な種類の細胞に普遍的にあって、
細胞特異性を持つようないくつかの型がある受容体が
アンカーさせる標的として好ましいです。
その一つになるのが「インテグリン」だと
今は考えています。
すでにこのインテグリンは細胞特異的で
多様なことから、治療において標的となっています。
一つの型のインテグリンに特異性を持つような
モノクローナル抗体を設計して、
それを薬剤として投与します。
そのような研究が幅広くすでに行われています。
従って、すでに
体の任意の組織の任意の細胞に対して
どの型のインテグリンがあって
インテグリン表面の幾何構造、残基などは
ある程度明らかになっていると認識しています。
従って、このデータをフルに活用しながら
上述したような新規のシステムの早期実現に貢献したい
と考えています。
ゆえに、インテグリンの情報を広くとることは
出発点の一つとして重要な位置づけです。
北里大学のチームによる研究によれば、
PAタグをα4β7インテグリンのβ鎖のPSI面に挿入して、
Mn2+イオン依存性持つ
つまりMnイオンがあることで親和性が変わる
高PAタグ抗体(NZ-1)と反応させました(1)。
この抗体NZ-1を効率よく結合させるための条件
〇GTPase Rap1欠損
〇ケモカイン誘発
〇Rap1、Rap1V12の活性型の導入
というのが挙げられています。
※
PAタグは日本発のアフィニティーシステムです。
つまり、特定の結合部位に親和性を示すように
目印として結合させる物質と理解してます。
従って、それに対して抗PAタグ抗体というのが存在します(2)。
これは解析用に使われるもので、
この場合、Rap1が欠損した時の配座の改変を
証明するために使われたと理解しています。
前述したα4β7インテグリンのβ7鎖において
〇PSI面結合部位はRap1欠損細胞で露出される
〇融合面結合部位はRap1欠損細胞で露出されない
ということがわかりました。
この露出とは結合面において
インテグリンでは広く観察される配座変換(構造の変化)
を示しており、
Rap1-GDPからGDPに変換される
つまりRap1が欠損することによって
ドメイン(面)ごとに構造変換の有無がある、
特異性があることを示しています(1)。
白血球の亜型であるリンパ球は免疫と炎症において重要な役割を果たしており
インテグリンは結合、もしくは吸着させる受容体であり
リンパ球のインテグリンが連続してそれらの受容体を
上皮細胞の受容体に作用させることによって
上皮細胞の上を転がり(rolling)
やがて安定して結合(arrest)します。
それは腸管のような粘膜がある組織においても
同様でリンパ球を通じたそれらの動的機序は
α4β7インテグリンを介するといわれています(1,3)。
上述したようなRap1-GDPとGDP
つまりRap1の発言有無において、
T細胞のトラフィッキング、
つまりT細胞が腸の粘膜の分布は
リンパ球の吸着、捕獲の動的機序に大きく影響を与えます。
Rap1-GDPはリンパ球の粘膜表面のローリングを抑制する
と言われています。
つまりRap1がある事でリンパ球は
大腸の粘膜に留まることができます。
腸管膜リンパ節のT細胞の数は粘膜の許容性において
重要な役割を果たします。
Rap1-GDPは特定受容体を発現した分化したT細胞のうち
エフェクター、メモリーT細胞の
ローリングを抑制します。
エフェクター細胞は免疫機能を発揮して
体を防御する働きがあり、
メモリー細胞は、免疫記憶をしているので、
免疫機能を素早く発揮させるために貢献する細胞です。
これらの細胞の粘膜上でのローリングを抑制するということは
それを循環させて排出することを留めるという認識です。
つまりこれらの免疫機能において
重要なT細胞の粘膜上での数を多い状態に維持することが
できるということです。
さらに上述したようにリンパ球でも同じです。
つまり粘膜上のリンパ球の数も増やすことができます。
一方、
Rap1が欠損すると、
リンパ球の減少が起き、
さらに病原性を持つエフェクターT細胞を生み出し、
粘膜の状態を悪化させます。
このRap1の発現有無には、
α4β7インテグリンが関わっているとされています。
Rap1-GDPでRap1が発現されている状態では、
α4β7インテグリンが不活性な状態に束縛されるように
配座が固定されていると考えられます
このRapは細胞質性のタンパク質であり
それがGDPという酵素と合わせて
「細胞内⇔外で?」作用することによって
細胞表面に出ているインテグリンの構造が変わります。
α4β7インテグリンの結合面が露出しないように
例えば、どこかのドメイン間を架橋するような
有機物質が存在する可能性を考えました。
従って、もしRap1の発言有無の細胞を類別でき
そのα4β7インテグリンの構造を個別に調べることができたら
どこに差があるかわかる可能性があります。
例えば、
新型コロナウィルスのSタンパク質では
3量体構造になっていて、2つのへき開面が存在します。
そのへき開面が架橋されて固定されている状態と
そうではない状態で、
結合面の活性化が変わるとされています。
従って、
Rap1というたんぱく質は
α4β7インテグリンの開放度を変える
架橋となるような物質の発現有無を制御している
可能性を考えました。
またその他の関与の可能性のあるタンパク質として
また細胞骨格プロテインである
RIAMやタリンもα4β7インテグリン配座改変に
関わっている可能性が仮説として挙げられています。
従って、Rap1が欠損していて
その影響によって
腸粘膜の免疫機能が弱っている状態の時に、
Rap1の欠損によってα4β7インテグリンが
活性化されている状態を
どうやって不活性に持っていくか?
というのが治療の選択として考えられます。
そのために少なくとも2つの方略があります。
①α4β7インテグリンの構造変異を安定化によって防ぐ(1)。
②構造変異したα4β7インテグリンに特異的抗体を付ける。
これらの選択は、
大腸の代表的な疾患である
大腸炎や大腸がんの新たな治療方針として考えられます。
従って、腸に作用する腸内細菌をいれたナノ粒子に
活性化したα4β7インテグリンに特異的に結合するように
表面装飾すれば、
Rap1が欠損している免疫機能が落ちたところに
選択的にナノ粒子を運ぶことができる可能性があります。
ナノ粒子の中には
善玉腸内細菌、抗体などの薬剤を入れておいて
その病変部位を複数のアプローチで特異的に治療できれば
副作用が少ない治療を実現できる可能性もあります。
以上です。
(1)
Tsuyoshi Sato, Sayaka Ishihara, Ryoya Marui, Junichi Takagi & Koko Katagiri
Dissection of α4β7 integrin regulation by Rap1 using novel conformation-specific monoclonal anti-β7 antibodies
Scientific Reports volume 10, Article number: 13221 (2020)
doi.org/10.1038/s41598-020-70111-0
(2)
FUJIFILM 富士フィルム和光純薬株式会社 試薬
高い親和性・特異性と低コストを実現、ループ構造にも適用可能な新規アフィニティータグ
(3)
Yu, Y. et al.
Structural specializations of alpha(4)beta(7), an integrin that mediates rolling adhesion.
J. Cell Biol. 196, 131–146 (2012).
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