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特定の既往歴が新型コロナウィルスの重症度に
影響を与えると統計的なデータから示されています。
例えば、癌に罹患している人は、
通常よりも感染時のリスクが高いと言われています。
従って、その患者さんを抱えている病院では、
院内感染を起こさないように神経を尖らせる必要があります。
ゆえに、新型コロナウィルスの患者さんを
受け入れる専門の病院を設けたり、
病棟や対応される医療従事者を分けることが
対策としてすでに考えられています。
また、頻度の低い事例を含めて
治療の難しい患者さんを抱えている大学病院では
新型コロナウィルスの患者さんを受け入れない
という選択もあるかと思います。
冒頭で述べた既往歴の中には、
糖尿病というのがあります。
糖尿病にはインスリン抵抗性を示すⅡ型糖尿病と
インスリンが分泌されないⅠ型糖尿病があり、
2型糖尿病はどちらかというと
生活習慣に関わっているため、
肥満などがリスク因子になるという理解です。
これらの糖尿病と新型コロナウィルスの関連性について
世界的に議論されており、
それらの関連は双方向性を示す可能性がある
とされています。
新型コロナウィルスはACE2受容体に
ウィルス粒子のスパイクが結合して
細胞内に侵入しますが、
糖尿病と関わりのあるインスリンを分泌する
膵臓にACE2受容体が発現されています。
この受容体の材料、糖タンパク質が
インスリンの分泌を制御するβ細胞の恒常性に関わっています。
従って、新型コロナウィルスの体内への浸入によって
膵臓のACE2受容体に結合し、
その機能を改変する事によってβ細胞の恒常性が乱され、
糖尿病の病理がより複雑になることが懸念されています。
実際に、ケースとしては今のところ非常にまれですが
19歳の白人男性が
新型コロナウィルスに罹患した後、
5~7週後にⅠ型糖尿病に罹患しました。
具体的な症状としては、
異常な疲労感、倦怠感、12kgの体重減少、
多渇症、食後の間欠的な左腹部の痛み
などがあります。
しかし、発熱や腰部の痛むはありません。
診断として、
アルコール、薬の乱用、胆石、脂質疾患はないので
急性膵炎の可能性は否定されました。
また下痢、便の状態などから
膵臓外分泌腺機能異常の所見はないとされています。
またこの1型糖尿病のタイプは
自己抗体陰性
Auto-antibody negativeであるとされています。
糖化ヘモグロビン(haemoglobin A1c)が16.8%と高く、
急性Ⅰ型糖尿病の可能性を否定できない
とされています。
一般的に自己抗体陰性のⅠ型糖尿病は
18歳以下の859人の調査によれば、
年齢が上がるほど頻度があがるといわれています。
またさらにBMIが高く肥満傾向にあると
同じようにリスクが高まるという結果が示されています(2)。
膵臓の細胞にACE2受容体を通じて
ウィルスが侵入してβ細胞が乱された事と
この患者さんの年齢が関係している可能性が考えられます。
Ⅰ型糖尿病の報告例は少ないと理解していますが、
高血糖症は新型コロナウィルス罹患とともに
多くの患者さんで確認されています。
それは糖尿病の既往歴と顕著な関連がないとされています。
またアジアやドイツでは
糖尿病性ケトアシドーシスが確認されており、
ドイツでは子供や若い人で確認されています(3)。
この糖尿病性ケトアシドーシスは
肝臓による脂肪が異常に分解されケトンになり
血液のpHが酸性になることです。
命の危険がある疾患です。
日本の新型コロナウィルスとの合併症
あるいは後遺症において
膵臓の機能不全があるかという点は気になるところです。
基本的にはACE2受容体が関与している可能性があるため
体内のウィルスを増やさないということが
当たり前になりますが根本的な対策の一つになります。
以上です。
(参考文献)
(1)
Tim Hollstein, Dominik M. Schulte, Juliane Schulz, Andreas Glück, Anette G. Ziegler, Ezio Bonifacio, Mareike Wendorff, Andre Franke, Stefan Schreiber, Stefan R. Bornstein & Matthias Laudes
Autoantibody-negative insulin-dependent diabetes mellitus after SARS-CoV-2 infection: a case report
Nature Metabolism (2020)
doi.org/10.1038/s42255-020-00281-8
(2)
Wang, J. et al.
Prevalence of autoantibody-negative diabetes is not rare at all ages and increases with older age and obesity.
J. Clin. Endocrinol. Metab. 92,88–92 (2007).
(3)
Kamrath, C. et al.
Ketoacidosis in children and adolescents with newly diagnosed type 1 diabetes during the COVID-19 pandemic in Germany.
JAMA 324, 801–804 (2020).
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