2021年9月29日水曜日

脂質合成阻害する抗肥満薬(経口投与薬)の新型コロナ抗ウィルス性

新型コロナウィルスのワクチン接種率がどれくらい
高まるか不透明です。
リスクもゼロではありませんし、
リスクとベネフィットの天秤も時期(感染状況)や年齢、
あるいは健康状態によっても変わるので
最終的には個人の判断によって進められています。
但し、社会全体、経済(暮らし)、早期収束の視点で見ると、
ワクチン接種率が上がるのが好ましいのは言うまでもありません。
しかし、ワクチン接種率が80%程度と高い
シンガポールでも現在、感染者数が増えています。
新型コロナウィルスは(なぜか?)波があるので、
第五波の後に、第六波は世界の状況をみると
高い確率で来ると考えられます。
第五波と状況は異なると考えられますが、
一定割合、中等症以上になる人がいる事を考えると
罹患した後、適切なスクリーニングを行い
早期に適切な治療を行うことが求められます。
現在、2種類の抗体治療薬が日本で承認されています。
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しかしながら、これらは点滴による治療が必要なため
多くの人に実施することはできません。
従って、適応条件が存在します。
逆に言えば、それ以外の人には投与されず、
中等症になる可能性があります。
この事を考慮すると、
インフルエンザのように経口投与できる
錠剤、カプセル(粉末)の治療薬の開発が待たれます。
そうすれば、重症化のリスクに関わらず、
陽性になった人に処方できるようになるため、
新型コロナウィルスの社会的脅威は下がると考えられます。
ゆえに経口投与できる治療薬の開発は重要です。
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新型コロナウィルスの治療を考える際、
中等症以上の方に投与されるデキサメタゾン、アクテムラ
などの免疫に作用する薬は誰でも簡単に処方する事は
難しいと考えられます。逆効果になる事も考えられるからです。
従って、医師、看護師などの医療スタッフの判断、監視のもとで
適切に処方、投与される必要があります。
従って、インフルエンザなどと同様に
治療薬を考える際には「抗ウィルス薬」となります。
つまりウィルスの増殖を抑える、
あるいはウィルスの数を減らす薬です。
この薬は早期治療が前提です。
なぜなら、ウィルスは感染後、7~10日以内で
ピークを迎え、顕著に減少するからです。
重症化する人はこの間に組織や免疫機能が損傷を受けます。
従って、症状から疑われる場合には
すぐに医療機関を受診出来て、薬が速やかに処方
投与される環境が必要です。
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抗ウィルス薬の開発のためには
ウィルスのライフサイクルを掴み、
一つ一つの機序が薬剤標的となります。
ウィルスは細胞内で増殖しますから、
細胞内でどのような機序で増殖するかを掌握することによって
それを治療に生かすことができます。
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Junjun Chu, Changsheng Xing, Yang Du(敬称略)ら
医療研究グループは
新型コロナウィルスの細胞内での代謝機能の利用について
着目しています(1)。
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新型コロナウィルスは宿主細胞の代謝機能(葉酸、TCAサイクル)
を利用する事が知られています(2,3)。
今回、Junjun Chu氏らが注目したプロセスは
ACC1-FAS脂質合成プロセスです。
この脂質合成プロセスが新型コロナウィルスの感染、増殖において
必要であることが示されました。
この脂質合成を制限する
肥満治療薬オルリスタットとTVB-2640が
新型コロナウィルスのRNAの増殖を防ぐことが
試験管やマウスのケースで示されました(1)。
(※但し、人ではない。)
マウスの肺の組織ではオルリスタットによって
ウィルスRNA量が1桁程度下がったことが示されています。
感染によるマウス生存率も向上しています。
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このオルリスタットは海外では販売されていますが
日本では承認されていません。
しかし、この薬が良いのはカプセルの経口治療薬です。
従って、上述したように
処方条件を点滴に比べて広げる可能性があります。
日本で承認されている肥満治療薬は
セチリスタット(商品名:オブリーン)です。
これも錠剤になっています。
従って、この薬が抗ウィルス性を持つかどうか?
これについて調べる価値があると思います。
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これらはリパーポスであり、
すでに承認されている事から副作用、禁忌、安全性などが
明らかになっているものです。
マウスの肺組織のウィルス減少量が1桁であり、
劇的ではない可能性がありますが、
効果を追跡する価値があるのではないかと考えています。

//その他のリパーポス候補薬(参考)//---
〇Aplidin
eEF1Aタンパク質標的(宿主細胞)
ウィルスの活性に関わる(4)
〇Topotecan(TPT)
Topoisomerase 1標的
致死性の炎症を防ぐ(5)

(Reference)
(1)
Junjun Chu, Changsheng Xing, Yang Du, Tianhao Duan, Siyao Liu, Pengfei Zhang, Chumeng Cheng, Jill Henley, Xin Liu, Chen Qian, Bingnan Yin, Helen Yicheng Wang & Rong-Fu Wang 
Pharmacological inhibition of fatty acid synthesis blocks SARS-CoV-2 replication
Nature Metabolism (2021)
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Author information
Author notes
These authors contributed equally: Junjun Chu, Changsheng Xing, Yang Du.
Affiliations
Department of Medicine, Keck School of Medicine, University of Southern California, Los Angeles, CA, USA
Junjun Chu, Changsheng Xing, Yang Du, Tianhao Duan, Xin Liu, Chen Qian, Bingnan Yin, Helen Yicheng Wang & Rong-Fu Wang
Department of Molecular Microbiology and Immunology, Keck School of Medicine, University of Southern California, Los Angeles, CA, USA
Siyao Liu & Pengfei Zhang
Mork Family Department of Chemical Engineering and Materials Science, University of Southern California, Los Angeles, CA, USA
Chumeng Cheng
The Hastings and Wright Laboratories, Keck School of Medicine, University of Southern California, Los Angeles, CA, USA
Jill Henley
Department of Pediatrics, Children’s Hospital Los Angeles, Keck School of Medicine, University of Southern California, Los Angeles, CA, USA
Helen Yicheng Wang & Rong-Fu Wang
Norris Comprehensive Cancer Center, Keck School of Medicine, University of Southern California, Los Angeles, CA, USA
Rong-Fu Wang
(2)
Mullen, P. J. et al. 
SARS-CoV-2 infection rewires host cell metabolism and is potentially susceptible to mTORC1 inhibition. 
Nat. Commun. 12,  1876 (2021).
(3)
Zhang, Y. et al. 
SARS-CoV-2 hijacks folate and one-carbon metabolism for viral replication. 
Nat. Commun. 12, 1676 (2021).
(4)
White, K. M. et al. 
Plitidepsin has potent preclinical efficacy against SARS-CoV-2 by targeting the host protein eEF1A. 
Science 371,  926–931 (2021).
(5)
Ho, J. S. Y. et al. 
TOP1 inhibition therapy protects against SARS-CoV-2-induced lethal inflammation. 
Cell 184, 2618–2632 (2021).


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