隔離接合(Separate junction)は閉鎖結合に分類されます。
無脊柱動物の上皮組織の閉塞機能を提供します。
具体的には脊柱動物の密着接合と同様に
上皮組織の細胞脇の領域における物質の浸透、通過を制限します。
キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)における
隔離接合の形成、維持のためには30以上のタンパク質が必要である
ということがわかっています。
隔離接合は2つの分子的な特徴を持ちます。
Smooth separate junction(sSJs)、Pleated separate junction(pSJs)。
これらです。
sSJsは中腸(midgut),内胚葉由来の上皮に存在します。
〇Proteins Snakeskin
〇Tetraspanin 2A
〇Fasciclin III (FasIII)
〇Coracle (Cora)
〇Discs Large (Dlg)
〇Lethal (2) Giant Larvae (Lgl)
これらから構成されます。
人を含む脊柱動物では同じく閉鎖結合に当たる密着接合は
接着接合よりも頂端部側に形成されますが、
無脊柱動物ではそれらの位置関係が逆になります。
(参考文献(1) Figure 1A)
Nrx-IV, Cont, Nrg and Lacは膜貫通タンパク質で
細胞外ドメインを持ち、このドメインは
タンパク質同士、あるいは
タンパク質と細胞外マトリックスの相互作用に関与します。
従って、密着接合でいうクラウディンやオクルーディンなどの分類に当たりますが、
これらは細胞同士の接着だけではなく
インテグリンのように細胞外マトリックスとも相互作用することができます。
これらは隣接する細胞との結合に関わりますが、
その接合はヘテロ(異種)接合を取ることができます。
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隔離接合の生物発生は胚形成時に生じます。
Neurexin IV (Nrx-IV)
Neuroglian (Nrg)
Macroglobulin complement-related (Mcr)
Sinuous(Sinu)
Kune-Kune (Kune)
the GPI-linked protein Contactin (Cont)
the cytoplasmic proteins Cora
Varicose (Vari)
これらのタンパク質がコアタンパク質として挙げられます。
これらのタンパク質は全て、隔離接合の形成に関わっています。
隔離接合のタンパク質の種類としては
Clinton Ric(敬称略)らがTable 1に示すように
上で述べたコアタンパク質以外に
レジデントタンパク質、アクセサリタンパク質があります。
このアクセサリタンパク質も隔離接合の形成と成熟の為に必要です。
これらは他の接合と同様に
細胞膜貫通タンパク質の構造、結合安定性や
細胞内に存在する細胞骨格の架橋因子として働くかもしれません。
隔離接合も他の脊柱動物で確認される接合と同様に
細胞内にエンドサイトーシス様式で取り込まれ、
複合体として代謝回転、リサイクル機能があります。
この隔離接合は単に上皮組織の細胞周辺(側面)での
物質の流動を構成タンパク質が有するバリア機能によって
制限するだけではなく、組織の形態形成にも関与します。
密着接合と同様に細胞の分化、増殖(5)、それらの抑制(3)など
組織形成に必要な細胞数の制御などに関わっている可能性があります。
実際に細胞極性の維持(2)、
細胞増殖の抑制に関わるHippo経路(3)にも関与する事が確認されています。
また、組織の形、大きさに関わる細胞の形にも寄与します(4)。
例えば、細胞極性の維持は脊柱動物の密着接合と同様に
細胞質側のタンパク質aPKCによるリン酸化による
膜貫通タンパク質の頂端部、基底部への局在化が指摘されています(1)。
こうした、細胞の増殖、抑制、形の制御は
組織、臓器の形態形成における基本的な要素であり、
具体的には
Dorsal Closure、Head Involution
Trachea, Salivary Glands, Hindgut
Dorsal Vessel
Imaginal Disc
Oogenesis
これらの形態形成に関わることが確認されています。
従って、隔離接合は上皮組織の細胞周辺の物質のバリア機能だけではなく、
胚形成時など生命発生の初期から
組織、臓器の形態形成に関与すると考えられています。
(参考文献)
(1)
Clinton Rice, Oindrila De, Haifa Alhadyian, Sonia Hall and Robert E. Ward
Expanding the Junction: New Insights into Non-Occluding Roles for Septate Junction Proteins during Development
J. Dev. Biol. 2021, 9, 11
(2)
Patrick Laprise 1, Sarah M Paul, Jim Boulanger, Renée M Robbins, Greg J Beitel, Ulrich Tepass
Epithelial polarity proteins regulate Drosophila tracheal tube size in parallel to the luminal matrix pathway
Curr Biol. 2010 Jan 12;20(1):55-61.
(3)
Renée M Robbins 1, Samantha C Gbur 1, Greg J Beitel
Non-canonical roles for Yorkie and Drosophila Inhibitor of Apoptosis 1 in epithelial tube size control
PLoS One. 2014 Jul 18;9(7):e101609
(4)
Sonia Hall 1, Robert E Ward 4th
Septate Junction Proteins Play Essential Roles in Morphogenesis Throughout Embryonic Development in Drosophila
G3 (Bethesda). 2016 Aug 9;6(8):2375-84
(5)
Marta Llimargas 1, Maura Strigini, Markella Katidou, Domna Karagogeos, Jordi Casanova
Lachesin is a component of a septate junction-based mechanism that controls tube size and epithelial integrity in the Drosophila tracheal system
Development. 2004 Jan;131(1):181-90.
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