2024年7月22日月曜日

異種コネクソン完全一致による高度な細胞種特異的薬物送達システム

コネキシンは神経系にも多く発現されている
ギャップ接合を形成する細胞接着分子で
細胞種特異的な遺伝子制御システムがあるとされています(1)。
少なくとも人のケースで21種類ありますが、
多くの細胞では1つ以上の種類のコネキシンを発現します。
これが非常に興味深いアプローチを可能にします。
コネキシンは他の細胞接着分子にはない
少なくとも2つの特徴があります。
1つはチャンネル構造なので、イオンチャンネルのように
間に空洞があり、そこを通して物質を交換できます。
従って、薬物キャリアとして細胞外小胞を選択し、
細胞外小胞にチャンネルを通る事ができる
約1kDaから1.2kDaまでの小分子を薬として封入すれば、
細胞外小胞から有効に標的細胞の細胞質に物質を輸送出来ます。
これは細胞外小胞が分解される必要もなく
そのままの状態でコネキシン(コネクソン)が結合さえすれば、
細胞外小胞-標的細胞間の物質の送達が可能になります。
最近の結果ではsiRNAも通すことができるとされています(2)。
このsiRNAは細胞外小胞に当然封入することができます。
これはmRNAを切る働きがあるため、
特定の遺伝子をサイレンシングすることができます(3)。
従って、コネキシン装飾の細胞外小胞は
原理的に遺伝子治療が可能になるという事です。
さらに先ほど述べたように2つ目の他にはない可能性が興味深いです。
コネキシンは構造単位で
それが6量体を取り囲むように形成して半チャンネルを形成します。
これがコネクソンと呼ばれます。
このコネクソンは同一の構造のコネキシンだけを選ぶわけではありません。
この6つのコネキシンが異なる型の物を含む場合があります。
1つの細胞に発現されるコネキシンは
細胞種特異的な遺伝子発現構造を取り、
たいてい、複数のコネキシンを発現できます。
従って、その複数のコネキシンが混在し、
ヘテロティピックなコネクソンを形成することがあります。
神経細胞は
Cx36, Cx45, Cx57これらの生成することができます(1)。
そうすると原理的にはこれら3つのコネキシンが「混在した」
ヘテロティピックなコネクソンができる可能性があります。
この3つの組み合わせのコネクソンを
人為的に設計して細胞外小胞に装飾すれば、
神経細胞「だけ」に特異的に薬物を送達できる可能性があります。
例えば、Cx36だけのホモティピックコネクソンの場合には
他の細胞種でも見られるため特異性が低下します。
従って、
それぞれの細胞種で「複数の」コネキシン発現を明らかにし
それらを「全て」含む形の異種コネクソンを形成する事で
原理的にヘテロティピックコネキシン構造を一致させることができ、
他のコネクソンに対して特別高い結合親和性を得る事ができる可能性があります。
組み合わせが全て一致する他の細胞種はほとんどない可能性があるからです。
これは原理的に高度な細胞種特異的薬物送達システムの潜在性を与えます。
細胞外小胞にも
複数のコネキシン遺伝子を直列接合させ、
テトラスパニン遺伝子を直列に加えて、複合体を形成すれば、
狙いの組み合わせの異種コネクソンを細胞外小胞に装飾できる可能性があります。
但し、コネキシンの6量体のアセンブリ、組み立てに関わる
タンパク質はコネキシンのアダプタータンパク質だけではなく、
周辺の密着結合、接着結合に関わるアダプタータンパク質や
細胞接着分子が関わるため、
この方式ではうまく細胞外小胞上で6量体のコネクソン半チャンネルが
形成されないかもしれません。
コネキシンが特異的に持つ2つの特徴は
細胞種特異的薬物送達システム実現において
かなり強力なポテンシャル、潜在性を提供します。

(参考文献)
(1)
Masahito Oyamada 1, Yumiko Oyamada, Tetsuro Takamatsu
Regulation of connexin expression
Biochim Biophys Acta. 2005 Dec 20;1719(1-2):6-23.
(2)
V Valiunas 1, Y Y Polosina, H Miller, I A Potapova, L Valiuniene, S Doronin, R T Mathias, R B Robinson, M R Rosen, I S Cohen, P R Brink
Connexin-specific cell-to-cell transfer of short interfering RNA by gap junctions
J Physiol. 2005 Oct 15;568(Pt 2):459-68. 
(3)
Kathryn A. Whitehead, Robert Langer & Daniel G. Anderson
Knocking down barriers: advances in siRNA delivery
Nature Reviews Drug Discovery volume 8, pages129–138 (2009)

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