2024年7月16日火曜日

免疫グロブリンスーパーファミリーの構造、機能

免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)は
下述するように数百種類がありますが、
全てが細胞接着分子に分類されるわけではありません。
例えば、
一番、下の段落で述べるB細胞受容体による
B細胞の液性免疫機序については
樹状細胞などによってリンパ節まで送達された抗原を
このIgSFが認識するところから開始されます。
これは抗原という物質を認識する過程であり、
今、現在、私が包括的に調査する細胞接着分子に分類されるものではありません。
従って、CAMomeを実施するにあたり、
IgSFに関しては全ての遺伝子コードから
細胞接着分子に分類されるたんぱく質を抽出する作業が必要になります。
例えば、IgSFの細胞接着分子は以下が挙げられます。
(ICAMs(Intercellular Adhesion Molecules))
ICAM-1(CD54)
ICAM-2(CD102)
ICAM-3(CD50)
ICAM-4(LW blood group antigen)
ICAM-5(Telencephalin)
(VCAMs(Vascular Cell Adhesion Molecules))
VCAM-1(CD106)
(NCAMs(Neural Cell Adhesion Molecules))
NCAM-1(CD56)
(PECAM-1(Platelet Endothelial Cell Adhesion Molecule-1))
PECAM-1(CD31)
(L1CAM(L1 Cell Adhesion Molecule))
L1CAM(CD171)
(JAMs(Junctional Adhesion Molecules))
JAM-A(F11R, CD321)
JAM-B(CD322)
JAM-C
(MAG(Myelin-associated Glycoprotein))
MAG
(Axonin-1)
Axonin-1(TAG-1, Contactin-2)
(Contactins)
Contactin-1
Contactin-2(Axonin-1, TAG-1)
Contactin-3
Contactin-4
Contactin-5
Contactin-6
(Nectin-like Molecules (Necls))
Necl-1
Necl-2
Necl-3
Necl-4
Necl-5(PVR, CD155)
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下述するように免疫グロブリンスーパーファミリーの特徴は
複数のリガンドを取ることできます。
上述したIgSF-CAMsのそれぞれのサブタイプのリガンドを示します。
ICAMs(Intercellular Adhesion Molecules)
ICAM-1(CD54)
リガンド: LFA-1(CD11a/CD18)、Mac-1(CD11b/CD18)
ICAM-2(CD102)
リガンド: LFA-1(CD11a/CD18)
ICAM-3(CD50)
リガンド: LFA-1(CD11a/CD18)、Mac-1(CD11b/CD18)
ICAM-4(LW blood group antigen)
リガンド: α4β1インテグリン、αLβ2インテグリン
ICAM-5(Telencephalin)
リガンド: LFA-1(CD11a/CD18)
VCAMs(Vascular Cell Adhesion Molecules)
VCAM-1(CD106)
リガンド: VLA-4(α4β1インテグリン)、α4β7インテグリン
NCAMs(Neural Cell Adhesion Molecules)
NCAM-1(CD56)
リガンド: NCAM-1(ホモフィリック結合)
PECAM-1(Platelet Endothelial Cell Adhesion Molecule-1)
PECAM-1(CD31)
リガンド: PECAM-1(ホモフィリック結合)
L1CAM(L1 Cell Adhesion Molecule)
L1CAM(CD171)
リガンド: L1CAM(ホモフィリック結合)、Neurocan、Ankyrin、Neurofascin
JAMs(Junctional Adhesion Molecules)
JAM-A(F11R, CD321)
リガンド: LFA-1(CD11a/CD18)、JAM-A(ホモフィリック結合)
JAM-B(CD322)
リガンド: JAM-C、VLA-4(α4β1インテグリン)
JAM-C
リガンド: JAM-B、Mac-1(CD11b/CD18)
MAG(Myelin-associated Glycoprotein)
MAG
リガンド: Sialic acid-containing glycoproteins, Integrin αvβ3, Integrin αvβ5
Axonin-1
Axonin-1(TAG-1, Contactin-2)
リガンド: NrCAM(Neuronal cell adhesion molecule)
Contactins
Contactin-1
リガンド: Contactin-1(ホモフィリック結合)、NrCAM
Contactin-2(Axonin-1, TAG-1)
リガンド: NrCAM、Contactin-1
Contactin-3
リガンド: Unknown
Contactin-4
リガンド: Unknown
Contactin-5
リガンド: Unknown
Contactin-6
リガンド: Unknown
Nectin-like Molecules (Necls)
Necl-1
リガンド: Necl-1(ホモフィリック結合)、Necl-2
Necl-2
リガンド: Necl-1、Necl-3
Necl-3
リガンド: Necl-2
Necl-4
リガンド: Unknown
Necl-5(PVR, CD155)
リガンド: CD226(DNAM-1)、TIGIT、CD96
これらですが、細胞種によって異なる可能性があるとされています。
--
免疫グロブリンスーパーファミリーとは細胞表面に発現する
タンパク質のことで抗体として知られるような分子に分類されます。
下の分類のClass I MHC Class Ⅱ MHCに代表されるように
T細胞やB細胞の抗原認識にも関わり、
抗原チャージに伴う獲得免疫系システムにも関与します。
また、サイトカインの受容体としても機能します。
また神経細胞のマイグレーション(並進運動)や成長、
軸索の枝構造形成、神経系細胞の樹状突起形成
神経細胞同士のシナプス、軸索などを通じた連結にも関与します。
--
例えば、IgMタンパク質では
細胞表面にY字型の構造が露出されます。
A F Williams(敬称略)らがFigure 1の左上に示すIgMの構造では(1)
Y字型の構造にC、Vドメインが直列的に存在します。
Cドメインは(Constant domain)、
Vドメインは(Variable domain)であり
それぞれ定常領域、可変領域を示します。
このうちCドメインに当たる定常領域は構造的に安定な部分で
それは100個のアミノ酸をコード化する共通の原初の遺伝子からなります。
「原初の遺伝子(Primordial gene)」という記述は(26)、
私たち生物の祖先が共通であり、その原始的な共通の遺伝子が
脈々と安定した状態で引き継がれてきたことを明示します。
Igの折り畳み構造内に存在する二硫化結合を安定化させる
サンドイッチのパンのような挟みこみの役割をする
2つのβシートはタンパク質は5-10のアミノ酸で構成されます。
A F Williams(敬称略)らがFigure 1に示すように(1)
免疫グロブリンスーパーファミリーの様々なサブタイプは
その細胞外突起構造の中に複数のCドメイン、Vドメインを持ちます。
Cドメインは55-60のアミノ酸残基を持ち、
Vドメインは65-75のアミノ酸残基を持ちます。
Vドメインは構造的に可変な領域であることから
免疫グロブリンファミリーと相方のタンパク質を通じた
特異的な結合に関与するドメインであると考えられます。
それが表面突起の複数の部分に存在する事は
この免疫グロブリンファミリーの表面突起の複数の部位に
それと親和性の持つ抗原などのタンパク質が
高い選択性を持ってアクセスできる事を示します。
--
上述したCドメイン、Vドメインは免疫グロブリン様ドメイン(Ig-like domain)
このように呼ばれます。
これ以外の細胞外ドメインとしては
フィブロネクチンタイプⅢドメイン(Fibronectin type-Ⅲ domain)があり、
Ig-likeドメインと直列に連結しています。
(参考文献(2) FIGURE 1)
Ig-likeドメインは細胞外で細胞接着分子として
隣り合う細胞のIg-likeドメインと同種結合することができます。
(参考文献(2) FIGURE 3)
--
細胞内の定在するアクセサリタンパク質としては
Ankyrin Spectrin dimerがあります(3)。
これはらせん状にIgSFクラスター構造を
細胞質内の細胞膜付近で横方向に貫通するような構造をとります。
(参考文献(2) FIGURE 3)
他のインテグリンやカドヘリンと同様に
細胞骨格系のアダプタータンパク質であるエズリン(Ezrin)、アクチン
あるいは微小管などを細胞質内で構築します。
IgSFの種類によってどのような
細胞骨格系アダプタータンパク質を誘導するかは異なります。
(参考文献(2) Table 1)
-
免疫グロブリンスーパーファミリーは
他の細胞接着分子と比べて以下のようにサブクラスが多いことが特徴です。
Igドメインに関連する遺伝子は765メンバーが確認されています。
人間では全てのタンパク質をコードする遺伝子の2.5%を占めると見積もられています。
(3-1)抗原受容体(Antigen receptor)
   ・抗体(Antibodies) or 免疫グロブリン
    IgA、IgD、IgE、IgM
   ・T細胞受容体(T-cell receptor)
(3-2)抗原提示分子(Angigen presenting molecules
   ・Class I MHC
  ・Class Ⅱ MHC
   ・beta-2 microglobulin
(3-3)コレセプター(Co-receptor)
   ・CD4
  ・CD8
   ・CD19
(3-4)抗原受容体アクセサリー分子
  ・CD3-γ、-δ and -ε chain
  ・CD79a and CD79b
(3-5)共刺激(Co-stimulatory) or 抑制分子(inhibitory molecules)
   ・CD28
   ・CD80 and CD86
(3-6)NK細胞上受容体(Recetors on Natural killer cells)
   ・Killer-cell immunoglobulin-like receptor (KIR)
(3-7)白血球上受容体(Recetors on Leukocytes)
   ・Leukocyte immunoglobulin-like receptors (LILR)
(3-8)IgSF 
   (3-8-1s)神経細胞接着分子(N-CAM、neural cell adhesion molecule)
   (3-8-2a)ICAM(Intercellular adhesion molecule)(テレンセファリン telencephalin)
   ・CD2サブセット
   ・Type IIa and Type IIbs RPTPs,
     (RPTPs)Receptor type protein tyrosine phosphatase
(3-9)サイトカイン受容体
   ・インターロイキン-1(Interleukin-1 receptor)
   ・コロニー刺激因子1受容体(Colony stimulating factor 1 receptor) (3-10)成長因子受容体(Growth factor receptors)
   ・血小板由来成長因子受容体
     (Platelet-derived growth factor receptor (PDGFR)
   ・肥満、幹細胞成長因子受容体前駆物質
     (Mast/stem cell growth factor receptor precursor(SCFR, c-kit, CD117 antigen)
(3-11)チロシンキナーゼ(フォスファーゼ)受容体(Receptor tyrosine kinases/phosphatase)
   ・チロシンタンパク質キナーゼ受容体Tie-1前駆物質
   (Tyrosine-protein kinase receptor Tie-1 precursor)
  ・Type IIa and Type IIbs RPTPs,
     (RPTPs)Receptor type protein tyrosine phosphatase
    PTPRM, PTPRK, PTPRU, PTPRD, PTPRF
(3-12)Ig結合受容体(Ig binding receptors)
   ・ポリマー免疫グロブリン受容体(Polymeric immunoglobulin receptor(PIGR))
   ・Some Fc receptors
(3-13)細胞骨格(Cytoskeleton)
   ・マイヨチリン(Myotilin)、マイヨパラディン(Myopalladin)、パラディン(Palladin)
  ・チチン(Titin)、オブスクリン(Obscurin)
   ・MYOM1, MYOM2
(3-14)TAG-1(transiently expressed axonal surface glycoprotein-1)
  ・Axionin-1
  ・TAX-1
(3-15)Others
   ・CD147
   ・CD90
  ・CD96
  ・CD7
  ・ブティロフィリン(Butyrophilins (Btn))
  (3-14-1a)ネクチン(nectin)
   (3-14-2a)血小板内皮細胞接着分子(Platelet endothelial cell adhesion molecule(PECAM-1)(CD31))
   (3-14-3a)血管細胞接着分子1(vascular cell adhesion molecule 1)(VCAM1)(CD106)
   (3-14-4s)コンタクチン(contactin)(F3、F11)
   (3-14-5s)ファシクリン2(fasciclin 2)ショウジョウバエのNCAM
   (3-14-6s)L1
   (3-14-7s)SYG-1
   (3-14-8t)ジャム(Junctional adhesion molecule (JAM))
他の分類方法は4つのグループに分けられます。
グループⅠ:細胞外領域が1つあるいは複数のIgドメインだけから構成される分子群。
グループⅡ:細胞外領域が複数のIgドメインと複数のフィブロネクチンⅢ型ドメイン(FNⅢドメイン)から構成される分子群。
グループⅢ:細胞内領域にチロシンキナーゼ(TK)ドメインあるいはチロシンホスファターゼ(TP)ドメインを有する分子群。
グループⅣ:細胞外領域にトロンボスポンジン様ドメイン、Semaドメイン、EGFドメイン、ロイシンンリッチリピート (LRR)、MAMドメインなどを含む分子群。
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インテグリンやカドヘリンなど他のファミリーに属する細胞接着分子群が
Mg2+やCa2+などの2価カチオン依存的に結合するのに対して、
ほとんどのIgSF分子群の結合はカチオンを利用しません。
こうした特定のイオンに結合を委ねるのではなく、
タンパク質そのものが持つ構造によって結合力を生み出します。
具体的には疎水性相互作用、水素結合、静電気的引力などが関与します。
上述したように細胞外のIg-likeドメインが同種結合(シス結合)をすると説明しましたが、
IgSFの結合様式は多様で、異種結合(トランス結合)もでき、
細胞間の接着だけではなく、インテグリンのように
細胞外マトリックスタンパク質と結合することもできます。
また、IgSFは異なる細胞接着分子と結合することもできます。
例えば、その相手はインテグリンです(4)。
ICAMsはインテグリンと結合できる代表的なIgSFです。
このICAMsは異なるリガンドを有する事で知られています。
複数のウィルスや寄生生物の受容体としても働きます。
こうした機能は特に食作用のあるマクロファージなどの
抗ウィルス、抗菌作用と関連があります。
IgSFはほぼ全ての細胞種で発現が見られますが、
特に免疫細胞(自然免疫系と獲得免疫系細胞両方)で発現が多く見られます。
IgSFはシス、トランス(IgSF同市、他のCAMs)、細胞間、細胞外マトリックスなど
多様な物質と結合する事ができるので、
様々なシグナル依存的に高い自由度を有した免疫細胞の
全身の移動性、運動機能と密接にリンクします。
--
IgSFもインテグリン、カドヘリンと同様にクラスタリングし、
細胞膜の脂質ラフトの集まる性質があります。
IgSFは細胞外ドメインの結合を通じて、
細胞内に構築されている細胞骨格をリモデリングする機序がります。
酵素によって構造を切断したり、重合化を制御する機序が生じます。
このタンパク質分解酵素カスパーゼは
脂質ラフトの部分に多く存在することが知られています。
--
免疫グロブリンスーパーファミリーは全ての細胞種で発現が見られ、
細胞膜が関与するタンパク質の34%がIgSFであるという見積もりもあります。
IgSFの細胞外ドメインのメインであるIgドメインは
2つのβシートからなり、一つのβシートは複数のβらせん構造から成ります。
それぞれのβシートはジスルフィド結合で架橋されています。
VドメインはIgSFの抗原特異的な可変性に関わっています。
この可変性は構造内に存在する
3つの相補性決定領域(CDR1, CDR2, CDR3)の可塑性で決まり、
このループ領域が抗原に対して結合します。
--
IgSFはglycosylphosphatidylinositol (GPI) anchorを通じて
細胞膜と接続し、他の細胞接着分子と同様に
細胞膜を移動することができます。


免疫グロブリンスーパーファミリーの記事の中で確認すべきことの一つは、
獲得免疫系のメカニズムです。
私は、最終的には系統的技術を小児医療に適用する事を
優先に考えている事に変わりなく、何度も明記した事です。
免疫機能は、子どもの時に生じる疾患の病理やその予防につながるため、
この免疫機能の根本的な事を理解、確認、共有する事が大切です。
例えば、川崎病という日本人を始め、アジア人の
5歳以下の子どもに好発する免疫性疾患があります。
この川崎病は大人のポリクローナルの抗体を高濃度でいれる
免疫グロブリン治療(IVIG)を行えば、
抵抗性を持つ事は一定ありますが、
おおよそ80%程度の子どもを救うことができます。
当然、同じような環境ストレスを受けたにもかからず、
川崎病の初期の病変すら生じない子どもも多くいるわけです。
免疫グロブリン治療で良くなるという事は、
子どもが抗原チャージを受けた時に抗体を生み出す能力が高ければ、
川崎病の発症を予防する事ができることを示すものかもしれません。
その可能性は十分に考えられます。
川崎病は5歳以下が好発年齢です。
5歳以降では発症人数が顕著に下がります。
こうした疫学結果は一定、腸を中心とした消化器の
腸内細菌叢との関連を疑わせます。
この腸内細菌叢のα多様性、β多様性の程度が
大人の水準と近くなるのが、5歳以降だからです。
従って、5歳以下で、腸内細菌叢にDisbiosisが生じていた場合に、
腸に存在するリンパ節である
パイエル板(パイエルばん、Peyer's patch)の
抗体を生み出すB細胞の形質に影響を与え、
その結果、抗体の産生能力に影響を与えている可能性があります。
一般的な大人では
体内には約10^9〜10^12種類の異なるB細胞が存在すると言われています。
このB細胞の多様性が様々な環境ストレスから
液性免疫、抗体の産生を通じて身体を守る事に貢献しています。
では、腸内細菌はどのようにB細胞の機能に影響を与えるでしょうか?
親御さんが簡単に取り入れることができる
食生活の提案から、免疫学、細胞分子生物学に至るまで
広範に本質的な事を記述します。
--
私の娘と夕食を共にする機会が多かったです。
よく母親に「いつまで食べよん!」って怒られていました。
娘はニコニコしていましたが、
おそらく出された食事の中で嫌いなものもあったのでしょう。
子どもが日ごろ何を食べるか?
特に5歳くらいまでは免疫系の発達期にあるので重要です。
免疫細胞の7割は腸に集まっていて、
その免疫細胞がどのような運命をたどるかで
少なくともその年齢での子どもの免疫機能に影響を与えます。
免疫系はアクセルとブレーキがあるので、
単純に高ければいいというものではないですが、
健全な免疫系を考え、そのための必要最低限の日常生活を定義して
それを一般的な知識として国民に共有化することは
公衆衛生(Public health of Children)の一つの骨子となります。
感染症などのリスクもありますからね。
おそらく一つ鍵を握るのは「食物繊維」です。
三大栄養素である「タンパク質」「脂質」「炭水化物」が
必要な事は周知の事実ですが、
そうした食生活の中に継続的に過不足なく食物繊維が摂取できるようにする事。
これは子どもの公衆衛生を高める上で少なくとも無視できない事です。
冒頭で述べた様に、子どもに嫌いなものを無理やり食べさすことはできません。
嫌いなものがあると、「いつまで食べよん!」ということになります。
子どもが食べやすい、あるいは好きな食材の中で
「上手に食物繊維をとっていきましょう」ということがあります。
子どもの好きなメニューにカレーがあります。
カレーの具材としてジャガイモを入れる場合は多くあります。
子どもが好む食材の中で食物繊維を多く含む
おすすめの食材は「ジャガイモ」です。
ジャガイモの名産地は北海道ですね。
日本以外の海外でも主食とされるような食材です。
例えば、
耐熱性のプラスチックの容器に水を適量いれて
レンジで10分くらい暖めれば、ホクホクのジャガイモが簡単に調理されます。
放置しておいていいので、調理する人は、
他のおかずを調理することに集中できますね。
出来上がった、子どもも食べやすい
水分を適量に含んだジャガイモに、
バター、マヨネーズ、醤油などをお好みでかけて簡単に味付けすると、
子どもは喜んで食べるのではないでしょうか?
一方で、
味噌汁などに含まれるワカメなど海藻類もすごくいいですよね。
海藻類も食物繊維が豊富です。
乾燥ワカメが売られていますから、
日持ちするので、食物繊維摂取の為の具材として重宝されます。
こうした調理者である親御さんにとっても負担の無い食材、調理法で、
「継続的に」子どもの過不足ない食物繊維量を確保することです。
こうした食生活は実感はないですが、
水面下で様々な病気の予防になる可能性があります。
その根拠について下述します。
--
小児医療に力を入れる私にとって、ここを掘り下げて考えていく事は極めて重要です。
私として最も喜ばしいのは「あらゆる子どもの病気を治す」というのではなく、
「あらゆる子どもが無病である」ということだからです。
この内容は、この最も喜ばしいことと関連します。
子供であれば、3食、毎日食事しますから、
継続的に何を食べるかが重要です。
免疫機能という点において「食物繊維」に着目しています。
なかなか情報としてない「子どもの為の栄養:食物繊維」について考えます。
人の味覚において、
甘味 (Sweet)、酸味 (Sour)、塩味 (Salty)、苦味 (Bitter)、うま味 (Umami)。
これらが基本的な要素です。
子どもにおいて「美味しい」と感じやすい味覚はどれでしょうか?
多くの人が想像がつくと思います。
それは「甘味」です。
子どもは酸味、苦みが苦手な傾向がありますよね。
この理由は酸味、苦みは未熟な果物や有毒な植物を識別するために役立つ味覚であり、
人が進化的に生まれながらに持っている感覚で、
本能的にそれを避けようとすることが働いていると考えられます。
一方、甘みは
甘味は糖分を含む食品によって引き起こされます。
即座に利用できるエネルギー源であり、
成長と発達に必要なカロリーを提供します。
子供の体は成長に多くのエネルギーを必要とするため、
本能的に甘味を好む傾向があるとされています。
母乳の糖分を受け取ることで甘みに対する好みが強化されるともあります。
食物繊維の摂取によって期待される効果は
ビフィズス菌などの善玉細菌が増える事なのですが、
残念ながら、こうした効果は永続しません。
善玉細菌も人と同じように毎日エサが必要です。
だから、「継続的に」「過不足なく」食物繊維を取る必要があります。
もし、子どもが「美味しくない」と感じる食材で
食物繊維をとっても、それは多くの場合、持続しないので、
本能的に子どもが好みやすい、言いかえれば、
甘みがある食材の中で食物繊維を豊富に含む食材を探し、
そうした複数の食材から
多様な形式で継続的に食物繊維を取る事を提案します。
提案できる食材は
「果物」「イモ類」です。
果物には甘みの成分である果糖が含まれます。
いも類には甘みの元となるデンプンがあります。
野菜も、ニンジン、カボチャなど蒸して甘みを引き出すことができますね。
それも、上手に野菜から子供が好む味で食物繊維を取る戦略です。
「果物」で
一般的に甘くて安くておすすめは
「バナナ」です。バナナ安いですよね。
バナナの100g当たりの食物繊維量は2.6gです。
あとは、りんご、オレンジなども同程度の食物繊維量があります。
ただ、りんごの場合は皮に多く含まれます。
皮は子どもは嫌うかもしれません。
「イモ類」
サツマイモ。食物繊維量100gあたり3.0gです。
ジャガイモ。食物繊維量100gあたり8.9gです。
従って、ジャガイモは甘みもあり、食物繊維を効率的に取れる食材です。
長いもなどよりも顕著に食物繊維量が多いです。
私の提案通りの結果になりました。
では、ジャガイモの中で特に甘い品種は何でしょうか?
北海道の村上農場のホームページより引用させていただきます。
スーパーマーケットなどでもみる代表的な品種の中で
特に甘みがあるのは「メークイン」です。
ジャガイモは熟成させると甘くなり、
雪下熟成の場合は、ショ糖が2倍に増えて、お菓子のような甘さになるようです。
ジャガイモはスーパーで1つ80-100円程度です。
野菜も蒸したら甘くなるので、
適度に野菜、果物とローテーションしながら、
ジャガイモを食物繊維の摂取の主要な食材として
日々のメニューに採用されてはいかがでしょうか?
--
食物繊維はプレバイオティクスとして善玉細菌の餌になります。
食物繊維リッチな食事ではビフィズス菌などの善玉菌が
増えることが確認されています(8)。
このビフィズス菌などの善玉細菌は
短鎖脂肪酸(short-chain fatty acids)を
代謝生成物として生み出します。
この短鎖脂肪酸は免疫機能において
単にエフェクター機能だけではなく、
免疫機能を調整するレギュレーター機能も高めます(8)。
短鎖脂肪酸は抗体の産生に関わるB細胞においても
下述するように多様な機能に貢献します(5)。
B細胞は抗体の産生において重要な役割を果たすため、
川崎病の病理や予防においておそらく重要であり、
それに関わる短鎖脂肪酸、食生活なども関連する事が想定されます。
-
①B細胞のクラススイッチの促進
これによって最適な抗体クラス(IgG, IgA)の産生が促されます。
これらがバランスよく産生されれば、
抗原に対するB細胞の抗体産生能力向上に貢献します。
-
②B細胞の分化、増殖を促進
B細胞の数や多様性に貢献します。
これにより様々な抗原に対して抗原認識し、
それに合わせた抗体を生み出すことができるようになります。
-
③B細胞のエネルギー源となる
短鎖脂肪酸はB細胞のエネルギーの工場である
ミトコンドリアのエネルギー生成を促進し、
また糖化を促すことで活性な状態にすることができます。
B細胞にエネルギーを与える事は
B細胞の分化、増殖、抗体産生能力などの機能を高めることになります。
-
こうしたB細胞の機能を高める事は、
アレルギー、自己免疫疾患、小児がん、川崎病、感染症など
様々な疾患の予防になりうることです。
従って、特に腸内細菌の餌となる食物繊維を過不足なく摂取する事は
子どもの健全な成長を一つ支持するものになります。
-
なぜ、人は大人になるにしたがって、病気にかかりにくくなるか?
その一つは、獲得免疫機能に依ります。
身体を刺激する抗原の種類は何億種類以上もあるでしょう。
では、なぜ、そうした多様性ある構造に対して、
人は柔軟に対応することができるでしょうか?
それは、B細胞、T細胞などの形質が多様だからです。
そうした抗原を認識するのが、
この記事で取り上げる免疫グロブリンスーパーファミリーに属する
B細胞受容体、T細胞受容体です。
元々、多様なB細胞、T細胞をランダムにプールしていて、
そのごく一部の抗原に整合した細胞が認識する事で、
抗原特異的なB細胞、T細胞は活性化され、
そのごく一部の抗原特異的なB細胞、T細胞が増殖し
その勢力を増すことになります。
それがメモリー細胞として記憶され、
もう一度、同じ刺激があった時に迅速に免疫系を高めることができます。
B細胞であれば、形質細胞に分化し、迅速に十分な量の
抗原にあった多様なクラスの抗体を産生します。
一方で、T細胞は抗原特異的な細胞性免疫として働きます。
より具体的にはB細胞の分化を促す遺伝子に働きかける
転写因子は
• BACH2
• PAX5
• PU.1–IRF8
これらです(参考文献(6) Figure 1)。
例えば、B細胞受容体のAdhesomeに含まれる、
細胞内のアクセサリタンパク質であるSYKは
上述した転写因子に間接的に働きかけ、B細胞に分化、増殖に関連します。
(参考文献(7) Figure 1)
これは抗原認識するB細胞受容体が
具体的にどのような経路でその形質を持つB細胞が分化、増殖するのか?
その流れの一部を説明するものです。


(参考文献)
(1)
A F Williams 1, A N Barclay
The immunoglobulin superfamily--domains for cell surface recognition
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(2)
Iryna Leshchyns'ka and Vladimir Sytnyk
Reciprocal Interactions between Cell Adhesion Molecules of the Immunoglobulin Superfamily and the Cytoskeleton in Neurons
Front Cell Dev Biol. 2016; 4: 9.
(3)
Vann Bennett 1, Damaris N Lorenzo
Spectrin- and ankyrin-based membrane domains and the evolution of vertebrates
Curr Top Membr. 2013:72:1-37. 
(4)
Ping Hu, 1 , † Lisette Leyton, 2 , 3 , † James S. Hagood, 4 , 5 , † and Thomas H. Barker
Thy-1-Integrin Interactions in cis and Trans Mediate Distinctive Signaling
Front Cell Dev Biol. 2022; 10: 928510.
(5)
Shengming Qu a , Yihang Gao b,* , Jingru Ma b , Qingzhu Yan
Microbiota-derived short-chain fatty acids functions in the biology of B  lymphocytes: From differentiation to antibody formation 
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(6)
Stephen L. Nutt, Philip D. Hodgkin, David M. Tarlinton & Lynn M. Corcoran 
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(7)
A Bresin1,LD’Abundo2, MG Narducci1, MT Fiorenza3, CM Croce4, M Negrini*,2 and G Russo
TCL1 transgenic mouse model as a tool for the study of therapeutic targets and microenvironment in human B-cell chronic lymphocytic leukemia
Citation: Cell Death and Disease (2016) 7, e2071;
(8)
Fiona C. Ross, Dhrati Patangia, Ghjuvan Grimaud, Aonghus Lavelle, Eugene M. Dempsey, R. Paul Ross & Catherine Stanton
The interplay between diet and the gut microbiome: implications for health and disease
Nature Reviews Microbiology (2024)

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