2024年7月22日月曜日

テトラスパニンの構造と機能

テトラスパニン。
Tetraspanins (Tspans, also called transmembrane 4 superfamily (TM4SF) proteins)。
これはそれそのものが細胞接着に関わらないので
細胞接着分子に分類されませんが、
インテグリンや免疫グロブリンファミリーとマクロドメインを作り、
複合体化して、これらの細胞接着分子の活性を高める効果があります。
また、テトラスパニンは私が注力する薬物キャリアである
細胞外小胞のマーカー物質としても利用され、
細胞内で細胞外小胞が生成されるときに向性を示し、
細胞外小胞の表面に優先的に発現される特性を持ちます。
従って、特定の細胞接着分子を細胞外小胞に装飾させる時には
こうしたテトラスパニンの特性を利用して
遺伝子的に直列にテトラスパニンと細胞接着分子を繋ぎ、
リボソーム生成の時に複合体化させ、
テトラスパニン依存的に細胞外小胞に狙いとする細胞接着分子を
装飾させるバイオテクノロジーも考えられます。
これはテトラスパニンが「Sacffolding protein」(1)
つまり、土台として働くようなタンパク質としての機能があるからです。
テトラスパニンはエクソソーム形成を促すので
細胞外小胞膜上にテトラスパニンを土台とした
細胞接着分子の自然な装飾を施すことができます。
従って、テトラスパニンの構造、分類、特性を確認する事が
重要なので、一連のCAMsの記事の中に含める事にします。

まず初めに、テトラスパニンのサブタイプ、アイソフォームについて確認します。
TSP-1,2,3,4(NAG-2),5,6,7(CD231,TLLA-1,A15),8(CO-029)
TSP-9(NET-5),10(OCULOSPANIN),11(CD151-like),12(NET-2)
TSP-13(NET-6),14,15(NET-7),16(TM4-B),17,18,19
TSP-19,20(UPK1B,UP1b,UPK1B),21(UP1a,UPK1A)
TSP-21(UP1a,UPK1A),22(PRPH2,RDS),23(ROM1)
TSP-24(CD151),25(CD53),26(CD37),27(CD82)
TSP-28(CD81),29(CD9),30(CD63),31(SAS),32(TSSC6),33
少なくとも33種類確認されています。
従って、構造として多様です。ではそれぞれどの細胞種で観られるか?
TSP-1: エンドセリン細胞、線維芽細胞、血小板などの様々な細胞種で発現。
TSP-2: 線維芽細胞、エンドセリン細胞、および一部の腫瘍細胞で見られる。
TSP-3: エンドセリン細胞および一部のがん細胞で発現。
TSP-4 (NAG-2): エンドセリン細胞および様々な組織で発現。
TSP-5: 血小板やエンドセリン細胞など、いくつかの細胞種で発現。
TSP-6: 血小板およびエンドセリン細胞で発現。
TSP-7 (CD231, TLLA-1, A15): 造血細胞および一部のがん細胞で見られる。
TSP-8 (CO-029): 上皮細胞および一部のがん細胞で発現。
TSP-9 (NET-5): 上皮細胞およびエンドセリン細胞などの様々な細胞種で発現。
TSP-10 (OCULOSPANIN): 網膜細胞および一部の上皮細胞で見られる。
TSP-11 (CD151-like): 上皮細胞、線維芽細胞、およびエンドセリン細胞で発現。
TSP-12 (NET-2): 上皮細胞および様々ながん細胞で発現。
TSP-13 (NET-6): 様々な細胞種で見られるが、特にがん細胞で発現。
TSP-14: 上皮細胞およびエンドセリン細胞などの様々な細胞種で発現。
TSP-15 (NET-7): 上皮細胞および一部のがん細胞で発現。
TSP-16 (TM4-B): 上皮細胞および造血細胞などの様々な細胞種で発現。
TSP-17: エンドセリン細胞および一部のがん細胞で発現。
TSP-18: エンドセリン細胞および線維芽細胞などの様々な細胞種で発現。
TSP-19: 様々な細胞種で見られるが、特にがん細胞およびエンドセリン細胞で発現。
TSP-20 (UPK1B, UP1b, UPK1B): 尿路上皮細胞および一部の上皮細胞で見られる。
TSP-21 (UP1a, UPK1A): 尿路上皮細胞および一部の上皮細胞で発現。
TSP-22 (PRPH2, RDS): 網膜細胞および一部の上皮細胞で発現。
TSP-23 (ROM1): 網膜細胞および一部の上皮細胞で発現。
TSP-24 (CD151): 上皮細胞、線維芽細胞、およびエンドセリン細胞などの様々な細胞種で発現。
TSP-25 (CD53): 白血球および他の造血細胞で発現。
TSP-26 (CD37): B細胞やマクロファージなどの様々な造血細胞で見られる。
TSP-27 (CD82): 多くの細胞種で発現し、特に上皮細胞および一部のがん細胞で見られる。
TSP-28 (CD81): B細胞、T細胞、および肝細胞などの様々な細胞種で発現。
TSP-29 (CD9): 血小板、白血球、およびがん細胞などの多くの細胞種で見られる。
TSP-30 (CD63): 血管内皮細胞、血小板、白血球、および様々ながん細胞などの多くの細胞種で発現。
TSP-31 (SAS): 特定のがん細胞および線維芽細胞で発現。
TSP-32 (TSSC6): 様々な細胞種で見られ、一部のがん細胞でも発現。
TSP-33: 特定の発現データは異なる場合があるが、一般的には様々な細胞種で発現。
これらです。但し、これら細胞種は一部です。
「これらのテトラスパニンの内、インテグリンの細胞内信号非依存的に
アロステリック因子となるたんぱく質を引き付けることができる型は?」
これをOpen AIに質問しましたが、本質的に私が考えている事が伝わらず、
意図する回答は得られませんでした。
読者の中で、私は何を考えて、この質問をしたかわかる人はいるだろうか?
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テトラスパニンは4回膜貫通構造を取ります。
テトラスパニンは4回膜貫通構造によって必然に出来るループ構造があります。
細胞外に2回ループし、Nターミナルドメイン側がループが小さく、
ループ構造の高分子の長さは異なることが特徴です。
細胞内に1回ループ構造を取り、細胞外よりも小さいことが特徴です。
(参考文献(1) Fig.1)
テトラスパニンの膜貫通ドメインはαヘリックス構造をとり、
Nターミナル側からTM1,TM2,TM3,TM4となります(5)。
テトラスパニンは細胞外のCターミナル(COOH)側の
大きなループ構造において特にシステイン残基から成る
多くの結合部位を有するので
(参考文献(1) Figure.1)
こうした結合部位を通じて細胞膜上の細胞接着分子を含めた
多様な物質を結合し、複合体を形成します。
実際のテトラスパニンの構造は、
TM1, TM2, TM3, TM4が平行に並ぶわけではなく、
傾きながら取り囲むような構造をとります。
従って、必然的に細胞外ループ構造もねじれた構造を取ります。
(参考文献(7) Figure 1)
このEC2ドメインはテトラスパニン同士の結合、
つまりシス2量体化、多量体化に貢献します。
このテトラスパニンは細胞膜上にあるタンパク質と複合体を作り、
テトラスパニン自体も集合体を形成する事によって
脂質ラフトなどと協働しながら、細胞膜を曲げる機序があります。
この細胞膜が局所的に曲がる事は、エクソソームの形成に関わります(3)。
この時、テトラスパニンは細胞接着分子である
インテグリン、免疫グロブリンスーパーファミリー、
あるいはこれらと協同的に細胞質側でアクチンと相互作用することによって
エクソソーム形成の元となる細胞膜の曲げ、出芽に貢献します。
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テトラスパニンは他の細胞接着分子と同様に糖化します。
また、パルミトイル化(palmitoylation)し、細胞膜上で安定します。
このパルミトイル化は疎水性相互作用によって
テトラスパニンと細胞膜を細胞質側で固定します。
(参考文献(4) Figure 1)
また、テトラスパニンが集合し、他の細胞接着分子と複合体化する
構造体であるtetraspanin-enriched microdomainsの形成に必要な
細胞膜に飽和脂質が集合する脂質ラフトの形成に
このパルミトイル化は関与しています。
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テトラスパニンは典型的にどれくらいの大きさのクラスターを形成するでしょうか?
Malou Zuidscherwoude(敬称略)らのFigure 4による計測によれば(6)
おおよそ100-400nm2くらいです(1,6)。では、これはテトラスパニン何個に相当するか?
テトラスパニンの直径が5nmであるとすると約5~20個クラスター化していることになります。
これが10nmであれば、約1~5個になります。

(参考文献)
(1)
Daniel Kummer 1,2  · Tim Steinbacher 1,3  · Mariel Flavia Schwietzer 1  · Sonja Thölmann 1  · Klaus Ebnet
Tetraspanins: integrating cell surface receptors to functional microdomains in homeostasis and disease
Medical Microbiology and Immunology (2020) 209:397–405 
(2)
Tetraspanins of extracellular vesicles
Scholerly Communitiy Encyclopedia 10.3390/ijms21207568
(3)
Rie Umeda, Yuhkoh Satouh, Mizuki Takemoto, Yoshiko Nakada-Nakura, Kehong Liu, Takeshi Yokoyama, Mikako Shirouzu, So Iwata, Norimichi Nomura, Ken Sato, Masahito Ikawa, Tomohiro Nishizawa & Osamu Nureki 
Structural insights into tetraspanin CD9 function
Nature Communications volume 11, Article number: 1606 (2020) 
(4)
Ivana 1, Petr Draber 1
Tetraspanins and Transmembrane Adaptor Proteins As Plasma Membrane Organizers-Mast Cell Case
Front Cell Dev Biol. 2016 May 10:4:43.
(5)
Martin E. Hemler 
Tetraspanin functions and associated microdomains
Nature Reviews Molecular Cell Biology volume 6, pages801–811 (2005)
(6)
Malou Zuidscherwoude, Fabian Göttfert, Vera Marie E. Dunlock, Carl G. Figdor, Geert van den Bogaart & Annemiek B. van Spriel 
The tetraspanin web revisited by super-resolution microscopy
Scientific Reports volume 5, Article number: 12201 (2015) 
(7)
Brandon Zimmerman 1, Brendan Kelly 2, Brian J McMillan 1, Tom C M Seegar 1, Ron O Dror 2, Andrew C Kruse 3, Stephen C Blacklow 4
Crystal Structure of a Full-Length Human Tetraspanin Reveals a Cholesterol-Binding Pocket
Cell. 2016 Nov 3;167(4):1041-1051.e11. 

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