2024年7月30日火曜日

エラスチン誘導組織回復治療による系統的技術の拡張

特注細胞外マトリックスパッチ治療。
(Customized ECMs patch madicine)
昨日の私の提案を聞いて、日本、世界の研究者の方が
この提案の価値についてどれくらいの値を付けたか?
それについては未だわかりません。
少なくとも、私の中では
「細胞種特異的薬物送達システム」の発明と同等か、それを超えるものです。
なぜなら、組織学的な治療はほとんど進展がないからです。
その進展を強力に駆動する可能性があるからです。
今、私が取り組んでいる細胞接着分子と細胞外マトリックスで
共通的に関与する学問は「組織学」です。
その中で、人の臓器形成(Organogenesis)や
組織学的な恒常性の理解はまだ黎明期(infancy)にあると思っています。
理解が伴っていないわけですから、
当然、組織学的な治療も進むはずがありません。
日本の大阪大学の澤 芳樹先生が主導されている
心筋シートによる心臓機能の回復は組織学的治療と言えますが、
こうしたケースは非常に限られています。
(あとは、網膜などもあります。)
特注細胞外マトリックスパッチ治療は仮の名前であり、
名称を変える可能性があります。
なぜなら「パッチ」という部分が外科的であり、
私は当然、内科的なアプローチも考えているからです。
今まで、細胞外マトリックスを最適化するという構想はあったかもしれませんが、
それについて臨床応用を真剣に考えた人はいないと思いますし、
細胞接着分子をここまで理解して、骨格のネットワークを掴んで
具体的なプロトコルに落とし込んだ人はさらに皆無だと思います。
「パッチ」はどちらかというと、
組織を積極的に作って、それを適切な位置に外科的に貼る。
あるいは、内科的においても
何らかの方法で特異的に送達して結合させる(貼る)ということです。
こうしたアプローチは施術する範囲が限定されるというデメリットもあります。
例えば、
「90歳の人の身体の大きな血管のほとんどを20歳若返らせる」
という壮大なプロジェクトを考えたとします。
ステントのアプローチでは範囲が大きすぎてできません。
外科的アプローチでは一回で送達できる量が限られるので、
何度も施術する必要があり、現実的ではありません。
身体に残るものなので、高いリスクはありますが、
そのリスクの裏側には非常に大きな可能性があります。
主要な循環器の組織が広範囲に若返ったら、
脳を含めて、全身の臓器に影響があるはずです。
しかも、血管の内皮細胞は通常は癌化しない、
少なくとも極めてしにくいので、
細胞外マトリックスが細胞に何らかの影響を与えるにしても、
その細胞が上皮細胞のように癌化するリスクも少ないです。
しかも、循環器は内科的な薬物送達のメインルートです。

細胞外マトリックスは水分を通常含むので
ヒドロゲルとも言えます。
このヒドロゲルを使った薬物送達はすでに考えられてますが(1,2)、
そのヒドロゲルそのものが組織を回復させる機会がある
という報告はあまりないかもしれません。
あったとしても、少し目的が乖離しています(5-7)。
鍵を握るのはエラスチンです(6,7)。

血液の中の薬物の濃度分析から
全身の血管に比較的均一に弾性の富んだ細胞外マトリックスが
送り込まれるというのでもいいですし、
もっと制御した形で血管に取り込まれるようにするでもいいです。

血管は脳、心臓、肺、肝臓、腎臓、胃、気管支、骨、骨格筋など
全ての臓器、組織に当然、影響供給が必要ですから伸びています。
その人にとって可能な限りの「最高の」血管網を実現することです。
それを細胞外マトリックスを起点として具現化する事を考えます。
そうした時に欲しいのが
それぞれの臓器、組織の中に入り込んでいる主要な血管の
特に細胞外マトリックス(基質)に結合する事ができる
細胞接着分子
インテグリン、
シンデカン、
サルコグリカン-ジストログリカン-ラミニン複合体
これらの組織特異的な分子レベルの構造の情報です。
プロモーターや選択的スプライシングによる構造の違い、
あるいはmiRNA、siRNAの違いによる発現量の違い、
これらの転写因子に組織特的な違いが
血管の内皮、平滑筋、周皮などにあれば、
血管内の「最適化された細胞外マトリックスを骨格とする」
あるいは「エラスチンベースの」
ヒドロゲルの特異的送達の実現の可能性が出てきます。
細胞外マトリックスの細胞接着分子との結合部位を
その組織特異的に結合親和性が上がるように設計して
ヒドロゲルとして組み込むということです。
例えば
脳の血管は「細胞外マトリックスA」からなるヒドロゲル
肺の血管は「細胞外マトリックスB」からなるヒドロゲル
肝臓の血管は「細胞外マトリックスC」からなるヒドロゲル
腎臓の血管は「細胞外マトリックスD」からなるヒドロゲル
胃、気管支、骨、骨格筋、、、
といったようにそれぞれの血管で設計を変えて
個別に送達する事も可能になります。

では、それぞれの血管の弾性があがると
それぞれの臓器、組織にどういった影響があるか?
少なくとも「(その部位の)血圧」が下がるため
血管の動きと連動して動く実質や上皮組織の圧力も下がります。
機械的なストレスが増えると
線維化、細胞外マトリックスの合成が高まります。
細胞外マトリックスは
線維芽細胞から放出されますが、
弾性の為に大切なエラスチンは高齢になるとほとんど発現されません(3)。
一方で、線維として固いコラーゲンが放出されます。
(参考文献(4) Fig.3)
コラーゲンの弾性係数はエラスチンの100倍です。
つまり、100倍硬いということです。
従って、各臓器の機械的ストレスが高まる事は
特に高齢になると「負のスパイラル」と言えます。
弾性の高い細胞外マトリックスはエラスチンとヒアルロン酸です。
ヒアルロン酸は内皮細胞、上皮細胞からも発現されます。
年齢と共に減りますが、成人以降も分泌します。
但し、重要なポイントがあります。
ヒアルロン酸は数週間で代謝されるので半減期が1か月程度です。
しかし、エラスチンは約70年です(3)。
ヒアルロン酸はすぐに分解されるため、
弾性を得るための介入には適していません。
ヒアルロン酸で介入を行うならば、細胞の機能にアプローチする必要性が出てきます。
例えば、ヒアルロン酸のDNAやRNAに作用して発現量を亢進させるとかです。
従って、エラスチンが鍵になります。
エラスチンは安定性が高いので、1回の最適化で
その効果が長期間続く可能性があるからです。
しかし、それは「リスク」も伴います。
初めから組織化してパッチのように固定するというコンセプトもありますが、
エラスチンをうまく元々ある細胞外マトリックスに浸透させたい
という需要もあります。
血管の弾性がエラスチン依存的に適正に高まることで
組織にかかる圧力が緩和され、
それが細胞レベルで見た時の細胞の機能の回復につながる事は十分に考えられます。
少なくとも炎症、線維化などの悪化は防げるはずです。

また、主要な血管の径が必要な血流量に対して弾性により最適化されると
全体的な血流のバランスがよくなる可能性もあります。
毛細血管の拡張や局所的な調節が活発化される可能性もあります。
ただ、高齢の人にする場合には、下手したら即死します。
それだけ循環器は生命活動にインパクトがあるからです。
エラスチンによる弾性の効果がそれだけ大きい可能性があるからです。
ただ、血流の分布だけではなく、
そのポンプ機能に関わる心臓の負担も減るため、
心臓の機能劣化のスピードも下げられる可能性があります。
しかし、影響が絶大的であればあるほど
「ハイリスク、ハイリターン」です。
従って、リスクを
コンピューター解析、AI、医師の手腕、
私を含めた技術者の実力によって最小化できれば、
それによって医療的な利益(健康)を得る人は
特に高齢の人で多く生まれます。

系統的技術
〇細胞外小胞(⇒薬物キャリア(合成ナノ粒子、ウィルス、ゲルなど)
〇細胞接着分子
〇CAMome
〇iPS細胞技術との融合(⇒多能性幹細胞技術)
〇細胞種特異的薬物送達システム
〇人工知能、スーパーコンピュータ、仮想空間
〇CAM-Glycome(各細胞接着分子-糖鎖の集合)
〇CAM-Adhesome(各細胞接着分子-アクセサリタンパク質の集合)
〇CAM-trascriptome(各細胞接着分子-転写因子ネットワーク構造)
〇マルチオミックスデータベース構築(CAMome,CAM-Glycome、CAM-Adhesome、CAM-transcriptome)
〇過去の文献の整理
これは、どちらかというと細胞にアプローチするものです。
例えば、癌細胞を細胞死させるとか、
神経細胞内のシグナル伝達を最適化させる、
免疫細胞の機能を調整するとかです。
でも、おそらくこれだけではできる事は限られています。
細胞外マトリックス、特に20歳から分泌が見られない
エラスチンを最適に送達する事で
機械的特性の調整を行い、
それを起点とした組織の若返りを図る事は
細胞ベースの治療を拡張させるものです。
従って、エラスチンベースの治療は系統的技術と
技術的かつ医療的な連携性があります。
内科的なアプローチをするとなると
〇CAM-Glycome(各細胞接着分子-糖鎖の集合)
〇CAM-Adhesome(各細胞接着分子-アクセサリタンパク質の集合)
〇CAM-trascriptome(各細胞接着分子-転写因子ネットワーク構造)
〇マルチオミックスデータベース構築(CAMome,CAM-Glycome、CAM-Adhesome、CAM-transcriptome)
これらの資源は共通的に利用できます。
特に、全身の血管の組織特異的な内皮細胞、平滑筋細胞、周皮細胞の情報がほしい。
そして、この場合
薬物キャリアの要素である
〇細胞外小胞(⇒薬物キャリア(合成ナノ粒子、ウィルス、ゲルなど)
これが
〇ヒドロゲル
これに代わります。
ヒドロゲルそのものがエラスチンを含む細胞外マトリックスです。
エラスチンは10万~50万ダルトンあるので、
通常のナノ粒子で輸送できる大きさではないので、
断片化する必要があります。
それなら、それそのものを水で保護しながら
ヒドロゲルとして血管になじむ形で
細胞種特異的送達を実現しようということです。
ヒドロゲルを用いた薬物送達は提案されています(1,2)。

ただ、なぜ、20歳を過ぎるとエラスチンが分泌されなくなるのか?
進化の過程で何らかの重要な理由があるかもしれません。
少なくとも高齢のマウスに対して、
ある程度、ダイナミックにエラスチンを変えた時に与える
高齢のマウスの細胞への影響を見る必要があります。
あるいは人のiPS細胞技術や
高齢の方からの組織採取などで任意の細胞種において
高齢の状態にしておいて、人の高齢の細胞で作られた組織に対する
エラスチンの影響(特に負の影響)を見ておく必要があります。

例えば、エラスチンはしばらく高齢の人の体内にないのであれば
免疫原性が高い状態にあるかもしれません。
つまり、高齢の人の身体は「異物とみなす」ということです。
それを避けるためにはエラスチンの分子量、
あるいはヒドロゲルにするのであれば、水でうまく覆ったり、
ヒドロゲルの粒子径を上げる事が重要です。
しかし、ヒドロゲルを薬物キャリアとしてみて、
血液中の拡散性を上げるためには、
粒子径をできるだけ下げる必要があります。
その計算式が以下です。これは非常に重要です。
しかし、血液中は理想的な液体ではなく、多くの細胞を含むため
固体同士の衝突の影響を考慮する必要があります。
それは別途、下記以外で数式化する必要があります。
それを決めるのがStokes-Einstein式です。
粒子の拡散係数Dは
D = (kb*T)/(6π*μ*r)できまります。
ここで:
D は粒子の拡散係数(m²/s)
kbはボルツマン定数(1.380649 × 10^-23 J/K)
T は絶対温度(ケルビン、K)
η は流体の粘性(Pa·s、パスカル秒)
r は粒子の半径(m)
これらです。従って、拡散係数は粒子径の1乗で反比例します。
また、流れに対して同じ速度で拡散する限界はペクレ数(Pe)です。
Pe = (L×U) / D
L は特徴長さ(m)
U は流速(m/s)
D は拡散係数(m²/s)
これあrです。
ペクレ数が1に近い場合、拡散と対流が同程度の影響力を持つことを示します。
ペクレ数が1以下になると、拡散の影響が大きくなり、
ペクレ数が1以上になると対流の影響が大きくなります。
すなわち、ペクレ数が1以下では
その流れと違う方向に速く動くことができます。
一方で、1以上になると物質は血液の流れに従って動きます。

この治療の仮の名前として
Elastin induced tissue recovery medicine
エラスチン誘導組織回復治療
このようにしておきます。

(参考文献)
(1)
Ruibo Zhong, Sepehr Talebian, Bárbara B. Mendes, Gordon Wallace, Robert Langer, João Conde & Jinjun Shi
Hydrogels for RNA delivery
Nature Materials volume 22, pages818–831 (2023)
(2)
Jianyu Li & David J. Mooney
Designing hydrogels for controlled drug delivery
Nature Reviews Materials volume 1, Article number: 16071 (2016) 
(3)
Hanna Trębacz 1, Angelika Barzycka
Mechanical Properties and Functions of Elastin: An Overview
Biomolecules. 2023 Mar 22;13(3):574.
(4)
Xingpeng Di, Xiaoshuai Gao, Liao Peng, Jianzhong Ai, Xi Jin, Shiqian Qi, Hong Li, Kunjie Wang & Deyi Luo
Cellular mechanotransduction in health and diseases: from molecular mechanism to therapeutic targets
Signal Transduction and Targeted Therapy volume 8, Article number: 282 (2023) 
(5)
Helena Vilaça-Faria, Jennifer Noro, Rui L. Reis, Rogério P. Pirraco a b
Extracellular matrix-derived materials for tissue engineering and regenerative medicine: A journey from isolation to characterization and application
Bioactive Materials Volume 34, April 2024, Pages 494-519
(6)
Duo-Mei Tian,a,b,1 Huan-Huan Wan,b,c,1 Jia-Reng Chen,d,1 Yong-Bin Ye,e,1 Yong He,b,c Yu Liu,b,c Lu-Yao Tang,d Zhong-Yuan He,b,f Kai-Zheng Liu,g Chong-Jian Gao,g Sheng-Lin Li,h Qian Xu,i Zheng Yang,j Chen Lai,k Xiao-Jun Xu,l Chang-Shun Ruan,g Yun-Sheng Xu,c,∗∗ Chao Zhang,d,∗∗∗ Liang Luo,a,∗∗∗∗ and Le-Ping Yanb,m
In-situ formed elastin-based hydrogels enhance wound healing via promoting innate immune cells recruitment and angiogenesis
Mater Today Bio. 2022 Jun; 15: 100300.
(7)
Chandrasekhar R. Kothapalli1 and Anand Ramamurthi2,
Induced Elastin Regeneration by Chronically-Activated Smooth Muscle Cells for Targeted Aneurysm Repair
Acta Biomater. 2010 Jan; 6(1): 170–178.
 

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