コネキシンは一つのチャンネルとして完成した構造が
独立に存在するのではなく、結合する事によって完成します。
言い換えれば、ヘミチャンネル、半チャンネル同士、
コネキシン同士が結合する事でチャンネルを形成します。
コネキシンはチャンネル構造を取るので、
細胞内外の物質交換に適しています。
この機能は細胞種特異的薬物送達システム、ドラッグデリバリーに
おいて利用価値が高いです。
すなわち、薬物キャリアである細胞外小胞に
コネキシン、半チャンネルを装飾しておき、
標的細胞のコネキシンと結合する事で、
細胞外小胞内にある約1.5nm径(約1.1kDa)以下の(7)
低分子量の薬剤を効率的に標的細胞の細胞質に送達させる事が原理的に可能です。
コネキシンはsiRNAを通過させることもできます(4)。
このsiRNAは細胞外小胞で送達させる事が可能で、
遺伝子をmRNAの切断を通じてサイレンスさせる機能があります。
(参考文献(5) Figure 1)
従って、細胞外小胞を薬物送達キャリアとして
コネキシンを利用して、遺伝子的な治療をすることが原理的に可能です。
コネキシンには
Cx43,46,37,40,33,50,59,62,32,26,31,(30.3),(31.1),
Cx30,25,45,47,(31.3),36,(31.9),39,(40.1),23
パネキシン(pannexin)(コネキシンF)
Panx1, Panx2, Panx3
これだけのサブタイプがあります。
実際に、これらのコネキシンは異種結合、トランス結合ができるので
細胞種特異的薬物送達において重要なのは、
結合親和性が高いと考えられる複合体としての型が完全に一致した
シス結合とそれとは異なるトランス結合でどれくらい
結合親和性が変わるかということです。
これが特異的送達の能力に関わるからです。
はっきりとした数字はわかりませんが、最大で数十倍変わる可能性があります。
--
コネキシンのサブタイプを復習します。
Cx43,46,37,40,33,50,59,62,32,26,31,(30.3),(31.1),
Cx30,25,45,47,(31.3),36,(31.9),39,(40.1),23
パネキシン(pannexin)(コネキシンF)
Panx1, Panx2, Panx3
これらです。
これらはどの細胞種に発現されているでしょうか?
コネキシン(Connexin)
Cx43:心筋細胞 神経細胞 肺、皮膚、乳腺などの多くの組織
Cx46:水晶体細胞(眼)
Cx37:血管内皮細胞
Cx40:血管内皮細胞 心房筋細胞 肺
Cx33:精巣
Cx50:水晶体細胞(眼)
Cx59:一部の神経細胞や心筋細胞での発現が報告されていますが、正確な発現パターンは不明瞭です。
Cx62:網膜水平細胞
Cx32:肝細胞 シュワン細胞 腺房細胞
Cx26:肝細胞 皮膚 蝸牛 乳房 胎盤 膵臓 腎臓 小腸
Cx31:皮膚 一部の神経細胞 胎盤 蝸牛
Cx30.2:脳 脊髄 シュワン細胞
Cx30.3:皮膚 腎臓
Cx31.1;皮膚
Cx31.9;不明
Cx30:脳 蝸牛 皮膚
Cx25:一部の内分泌細胞や消化管の上皮細胞での発現が報告されていますが、正確な発現パターンは不明瞭です。
Cx45:心筋細胞 平滑筋細胞 神経細胞
Cx47:脳 脊髄
Cx31.3:皮膚
Cx36:神経細胞 膵臓β細胞
Cx39:一部の筋肉細胞での発現が報告されていますが、正確な発現パターンは不明瞭です。
Cx40.1:心筋細胞
Cx23:正確な発現パターンは不明瞭ですが、いくつかの上皮細胞での発現が報告されています。
パネキシン(Pannexin)
Panx1:多くの組織で広く発現 神経細胞 筋肉細胞
Panx2:主に神経細胞
Panx3:骨細胞 軟骨細胞
これらです。(参考文献(6) Table 1参照)
神経系に絞って整理すると
神経細胞:Cx36, Cx45, Cx57
星状膠細胞:Cx30, Cx43, Cx26
乏突起膠細胞 Cx29, Cx32, Cx47
Leptomeningeal cells(軟髄膜) Cx26,Cx30,Cx43
上衣細胞 Cx30, Cx43
マイクログリア Cx36,Cx43
(参考文献(6) Table 3)
-
これらはチャンネル構造なので通過させる物質の選択性があります。
それぞれどのような物質を選択的に通過させるか?
しかし、1.5nm以下の径の物質は比較的非選択的に通すとされています(7)。
Cx43:小分子(ATP、cAMP、イオンなど)カルシウム シグナル分子(IP3など)
Cx46:小分子(ATP、cAMP、イオンなど)水晶体の透明性を維持するための分子
Cx37:小分子(ATP、cAMP、イオンなど)
Cx40:小分子(ATP、cAMP、イオンなど)
Cx33:主に精巣での役割が示唆されていますが、具体的な分子選択性については詳細な研究が必要です。
Cx50:小分子(ATP、cAMP、イオンなど) 水晶体の透明性を維持するための分子
Cx59:詳細な研究が少ないため、具体的な分子選択性は不明確です。
Cx62:詳細な研究が少ないため、具体的な分子選択性は不明確です。
Cx32:小分子(ATP、cAMP、イオンなど)神経伝達物質(グルタミン酸など)
Cx26:小分子(ATP、cAMP、イオンなど)聴覚関連分子(K+など)
Cx31:小分子(ATP、cAMP、イオンなど)
Cx30.3:詳細な研究が少ないため、具体的な分子選択性は不明確です。
Cx31.1:詳細な研究が少ないため、具体的な分子選択性は不明確です。
Cx30:小分子(ATP、cAMP、イオンなど)
Cx25:詳細な研究が少ないため、具体的な分子選択性は不明確です。
Cx45:小分子(ATP、cAMP、イオンなど)
Cx47:小分子(ATP、cAMP、イオンなど)
Cx31.3:詳細な研究が少ないため、具体的な分子選択性は不明確です。
Cx36:小分子(ATP、cAMP、イオンなど)神経伝達物質(グルタミン酸など)
Cx31.9:詳細な研究が少ないため、具体的な分子選択性は不明確です。
Cx39:詳細な研究が少ないため、具体的な分子選択性は不明確です。
Cx40.1:詳細な研究が少ないため、具体的な分子選択性は不明確です。
Cx23:詳細な研究が少ないため、具体的な分子選択性は不明確です。
パネキシン(Pannexin)
パネキシンチャネルは、ギャップジャンクションを形成せず、主に単一細胞の膜を通過する分子を選択的に透過させます。
Panx1:ATPイオン(K+、Ca2+など)シグナル分子(cAMPなど)
Panx2:詳細な研究が少ないため、具体的な分子選択性は不明確ですが、主に神経細胞で機能していると考えられます。
Panx3:ATP イオン(K+、Ca2+など)骨および軟骨細胞に関連するシグナル分子
-
これらは細胞接着分子なのでアダプタータンパク質が存在し、
それを通じて細胞内経路を誘導します。
それぞれの型のアダプタータンパク質を明らかにすることは
コネキシンを通した細胞内経路の誘導、細胞機能への影響を評価する上での
元データとなります。そのアダプタータンパク質の機能(概略)と合わせて記載します。
コネキシン(Connexin)
Cx43 (Connexin 43)
ZO-1 (Zonula Occludens-1): Tight junctionの形成と維持に関与し、コネキシンの安定性とギャップジャンクションチャネルの形成を調節。
CASK (Calcium/Calmodulin-dependent Serine Protein Kinase): シグナル伝達に関与し、コネキシンの機能を調節。
Src (Proto-oncogene tyrosine-protein kinase Src): Tyr265リン酸化サイトに結合。タンパク質リン酸化に関与し、コネキシンの分解や内部化を促進。
MAPK (Mitogen-Activated Protein Kinase): 細胞の増殖、分化、ストレス応答に関与し、コネキシンの機能に影響を与える。
PKC (Protein Kinase C): コネキシンのリン酸化を調節し、ギャップジャンクションの開閉を制御。
Cx46 (Connexin 46)
Calmodulin: カルシウムイオンと結合し、コネキシンの機能を調節。
Cx37 (Connexin 37)
VE-cadherin (Vascular Endothelial Cadherin): 血管内皮細胞の接着に関与し、コネキシンの機能に影響を与える。
Cx40 (Connexin 40)
ZO-1 (Zonula Occludens-1): Tight junctionの形成と維持に関与し、コネキシンの安定性とギャップジャンクションチャネルの形成を調節。
Cx33 (Connexin 33)
β-catenin: 細胞接着とシグナル伝達に関与し、コネキシンの機能に影響を与える。
Cx50 (Connexin 50)
Calmodulin: カルシウムイオンと結合し、コネキシンの機能を調節。
Cx59 (Connexin 59)
ZO-1 (Zonula Occludens-1)(推測): Tight junctionの形成と維持に関与し、コネキシンの安定性とギャップジャンクションチャネルの形成を調節。
Calmodulin(推測): カルシウムイオンと結合し、コネキシンの機能を調節。
Cx62 (Connexin 62)
詳細な情報は限られています。
Cx32 (Connexin 32)
ZO-1 (Zonula Occludens-1): Tight junctionの形成と維持に関与し、コネキシンの安定性とギャップジャンクションチャネルの形成を調節。
Calmodulin: カルシウムイオンと結合し、コネキシンの機能を調節。
Cx26 (Connexin 26)
ZO-1 (Zonula Occludens-1): Tight junctionの形成と維持に関与し、コネキシンの安定性とギャップジャンクションチャネルの形成を調節。
Calmodulin: カルシウムイオンと結合し、コネキシンの機能を調節。
Cx31 (Connexin 31)
詳細な情報は限られていますが、他のコネキシンと同様のアダプタータンパク質との相互作用が考えられます。
Cx30.3 (Connexin 30.3)
詳細な情報は限られています。
Cx31.1 (Connexin 31.1)
詳細な情報は限られています。
Cx30 (Connexin 30)
ZO-1 (Zonula Occludens-1): Tight junctionの形成と維持に関与し、コネキシンの安定性とギャップジャンクションチャネルの形成を調節。
Calmodulin: カルシウムイオンと結合し、コネキシンの機能を調節。
Cx25 (Connexin 25)
詳細な情報は限られています。
Cx45 (Connexin 45)
ZO-1 (Zonula Occludens-1): Tight junctionの形成と維持に関与し、コネキシンの安定性とギャップジャンクションチャネルの形成を調節。
Calmodulin: カルシウムイオンと結合し、コネキシンの機能を調節。
Cx47 (Connexin 47)
ZO-1 (Zonula Occludens-1): Tight junctionの形成と維持に関与し、コネキシンの安定性とギャップジャンクションチャネルの形成を調節。
Cx31.3 (Connexin 31.3)
詳細な情報は限られています。
Cx36 (Connexin 36)
ZO-1 (Zonula Occludens-1): Tight junctionの形成と維持に関与し、コネキシンの安定性とギャップジャンクションチャネルの形成を調節。
Calmodulin: カルシウムイオンと結合し、コネキシンの機能を調節。
Cx31.9 (Connexin 31.9)
詳細な情報は限られています。
Cx39 (Connexin 39)
詳細な情報は限られています。
Cx40.1 (Connexin 40.1)
詳細な情報は限られています。
Cx23 (Connexin 23)
詳細な情報は限られています。
パネキシン(Pannexin)
Panx1 (Pannexin 1)
ZO-1 (Zonula Occludens-1): Tight junctionの形成と維持に関与し、パネキシンの安定性と機能を調節。
CASK (Calcium/Calmodulin-dependent Serine Protein Kinase): シグナル伝達に関与し、パネキシンの機能を調節。
Src (Proto-oncogene tyrosine-protein kinase Src): タンパク質リン酸化に関与し、パネキシンの分解や内部化を促進。
Actin: 細胞骨格の主要構成要素であり、パネキシンの細胞内局在や機能を調節。
Panx2 (Pannexin 2)
詳細な情報は限られていますが、Panx1と同様の相互作用が考えられます。
Panx3 (Pannexin 3)
詳細な情報は限られていますが、Panx1と同様の相互作用が考えられます。
従って、コネキシン、パネキシンは様々な方で密着結合の形成に関わる
ZO-1をアダプタータンパク質としますから、
ギャップ接合は密着接合と相互作用することが推定できます。
そのことはカドヘリンを含む接着結合との相互作用も暗示します。
逆に言えば、上皮や内皮細胞同士のイオンなどの低分子の物質の交換に
密着接合や接着接合は協働的に関与しているとも言えます。
(参考文献(1) Figure 1参照)
例えば、
コネキシン43に対して代表的なアダプタータンパク質のZO-1は
ZO-1のPDZドメインと結合します。
このZO-1はコネキシン43に対して「Scaffold protein」
つまり、土台となるタンパク質として働き、
様々なシグナルタンパク質を誘導します(2)。
このシグナルタンパク質とは具体的に以下で
それぞれの役割を明記します。
Src Family Kinases(例:Src, Yes, Fyn)
機能: タイロシンキナーゼとして、さまざまなシグナル伝達経路を調節し、Cx43のリン酸化とギャップジャンクションの開閉を制御します。
MAPK (Mitogen-Activated Protein Kinase)
機能: 細胞の増殖、分化、ストレス応答に関与し、Cx43のリン酸化を通じてギャップジャンクションの機能に影響を与えます。
PKC (Protein Kinase C)
機能: プロテインキナーゼとして、さまざまな細胞内シグナル伝達を調節し、Cx43のリン酸化を介してギャップジャンクションの開閉を制御します。
β-catenin
機能: 細胞接着とシグナル伝達に関与し、Wntシグナル伝達経路の一部として機能します。ZO-1を介してギャップジャンクションにリクルートされ、細胞接着とシグナル伝達を調整します。
Actin Cytoskeleton
機能: 細胞の形状維持、移動、シグナル伝達に関与します。アクチンフィラメントはZO-1を介してギャップジャンクションに結合し、ギャップジャンクションの安定性と配置を制御します。
CaMKII (Calcium/Calmodulin-dependent Kinase II)
機能: カルシウムシグナル伝達に関与し、Cx43をリン酸化することでギャップジャンクションの機能を調節します。
他方で、上述したようなアダプタータンパク質全て(Adhesome, Interactome)が
実際にコネキシン構造のどこにそれぞれ結合するか?
(1)細胞内ループ構造
Calmodulin
(2)N-terminal上部
SRC CDK1 MAPK Cyclin E
(3)N-terminal 中部(上)
ERK CK1 Drebrin CASK
(4)N-terminal 中部(下)
TSG101 NOV β-Catenin BAC p62 EPs15 PKC
(5)N-terminal 末端
ZO-1
(参考文献(11) Figure 3)
-
次にコネキシン転写因子について整理します(6)。
(1)Nkx2-5
コネキシン:Cx40, Cx43、Cx45
組織:心臓
(2-1)T-box transcription factors (Tbx5)
コネキシン:Cx40
組織:心臓
(2-2)T-box transcription factors (Tbx2)
コネキシン:Cx40, Cx43
組織:心臓
(2-3)T-box transcription factors (Tbx3)
コネキシン:Cx40, Cx43
組織:心臓
(3)GATA family
(3-1)GATA-1, -2, and -3
コネキシン:Cx40
細胞種:造血幹細胞
(3-2)GATA-4, -5, and -6
コネキシン:Cx40
組織:中胚葉、内胚葉、心臓、肝臓、肺、性腺、腸
(4)HNF-1
コネキシン:Cx32
組織:肝臓、腎臓、腸、膵臓
(5)Mist1
コネキシン:Cx32
細胞種:全ての外分泌細胞
(6)Sox10 and Egr2/Knox20
コネキシン:Cx32
組織:神経系
--
コネキシンのの構造は4回膜貫通構造を取ります。
テトラスパニンと構造は類似しますかが、
コネキシンの場合は2つの細胞外ループ構造の大きさに
それほど大きな違いはありません。
NターミナルからTM1,TM2,TM3,TM4と膜貫通ドメインが並びます。
これらは取り囲むように立体的に位置します。
このコネキシンを単位として6つのコネキシンが
取り囲むように複合体を形成し、コネクソン半チャンネルを形成します。
(参考文献(3) Fig.1)
--
コネキシンは細胞種特異的な転写因子によって
特定の型のコネキシンが発現されるので(6)、
細胞種特異的薬物送達システムの一つの選択肢となります。
すなわち細胞種特異的な転写因子が
特定のコネキシンアイソフォーム遺伝子配列の
発現量、局所性を制御するので、
特定のコネキシンの発現量、数が細胞種ごとに
かなり高い異種性をもつかもしれないということです。
例えば、Cx43は多くの細胞種で観られる代表的なコネキシンですが、
細胞種特異的な転写因子の性能によって
その発現量、局所性に細胞種ごと高い偏差がある可能性があるということです。
例えば、Masahito Oyamada(敬称略)らが総括の中で挙げている(6)、
コネキシン遺伝子に対する細胞種特異的転写因子があります。
Nkx2-5 T-box転写因子(Tbx5, Tbx2, Tbx3) GATAファミリー
HNF-1: Mist1: Sox10およびEgr2(Knox20):
これらの内、最も転写効率が高いのはSox10です。
このSoxは神経堤など神経系の特異的転写因子で
神経系に発現されているCx36、Cx43の発現量を高める効果があります。
言い換えれば、神経細胞のコネキシンは
他の細胞に比べて、コネキシン発現量が多いかもしれないということです。
これは神経細胞がカルシウムイオンなど
シナプスなどでの活発な物質交換が他の細胞に比べて必要である
という機能的な側面からも推定できます。
従って、コネキシンを使った細胞種特異的薬物送達システムでは
特に脳に対して適用性が高いとも言えます。
--
例えば、Cx30.3は皮膚を回避すれば
腎臓への特異的送達が可能になるかもしれません。
半チャンネルを形成するコネクソンにおいて
6つのコネキシンが異なるコネキシンの型が含まれる場合、
ヘテロティピックコネクソンと呼ばれますが、
この組み合わせが完全に一致する
ヘテロティピック同士の結合は親和性が原理的に高くなる可能性があります。
その一つの理由はコネキシンはサブタイプごと大きさが異なるからです。
(例:Cx26, Cx32, Cx43 ⇒26 kDa, 32 kDa and 43 kDa respectively)(1)
従って、ヘテロティピックなコネクソンは多少の段差ができる可能性があり、
その形が一致しないと結合力が顕著に弱まる事も想定されます。
それは結合力が距離の2乗に反比例するとすると合理性があります。
この事は細胞種特異性をより高める事が可能になるかもしれません。
例えば、
神経細胞は上に示した通り
Cx36, Cx45, Cx57これらの生成することができます。
そうすると原理的にはこれら3つのコネキシンが「混在した」
ヘテロティピックなコネクソンができる可能性があります。
この3つの組み合わせのコネクソンを
人為的に設計して細胞外小胞に装飾すれば、
神経細胞「だけ」に特異的に薬物を送達できる可能性があります。
例えば、Cx36だけのホモティピックコネクソンの場合には
他の細胞種でも見られるため特異性が低下します。
言い換えると、コネキシンを利用した標的の場合は
コネキシンが6量体を取り、半チャンネルを構成するために
その組み合わせ「AND」の形で一致させることができるからです。
コネキシンが異種6量体を取る場合、
その組み合わせは顕著に多くなり、
特定の組み合わせによる一致は高度に細胞種特異的になります。
--
コネキシンのCターミナルドメインに結合する
カテニンなどのアダプタータンパク質は
コネキシンの半減期、寿命などの特性に影響を与えます(1)。
コネキシンの寿命は短く、数時間以下であるとされています(1)。
コネキシンの寿命を決める分解は
プロテイン分解酵素とリソソーム-オートファジー経路があります。
この二つではリソソーム-オートファジー経路が
コネキシンの分解において主要な役割を果たしているとされています(9)。
--
コネキシンに限らず、細胞核付近のリボソームによって生成された
細胞接着分子などのタンパク質がどのように細胞膜で輸送されるか?
あるいは逆に細胞接着分子やアダプタータンパク質が
どのように細胞核に向かって輸送されるか?
その主要なメカニズムは細胞骨格、アクチンが関与します。
アクチンと直接的に物質が着脱を通じて輸送されるのではなく、
アクチンの結合したアクチン上で並進性の
運動能力のあるミオシンが輸送機器となって
様々な物質を細胞骨格に沿って移動させる機序があります。
(参考文献(8) Figure 2)
コネキシンは微小管、アクチンなど多様な細胞骨格と結合性を持ちます。
これは他の細胞接着分子、インテグリン、カドヘリンなどと同様です。
こうした細胞骨格との相互作用は
ギャップ結合、接着結合、密着結合が上皮細胞の側面に
大きな集合体を形成するときに
細胞質側の高度に張り巡らされた根として働く細胞骨格が
存在しうることを明瞭に示します。
(参考文献(1) Figure 1)
--
細胞接着分子に限らず、テトラスパニンなどを含めた
細胞膜表面に膜貫通タンパク質として発現される物質の多くは
パルミトイル化する可能性があります。
コネキシンもパルミトイル化する事で
細胞膜上に安定して存在することができます(1)。
--
上述したようにコネキシンは6量体を形成し、
細胞接着分子としての構造を完成させます。
このアセンブリは多様なたんぱく質が関与しています(1)。
少なくとも
Zonula Occludens (ZO) Proteins
Catenins
CASK (Calcium/Calmodulin-dependent Serine Protein Kinase):
Drebrin:
Claudins
EB1 (End Binding Protein 1):
Calnexin and Calreticulin
Caveolins
14-3-3 Proteins
SRC Family Kinases
これらのアクセサリタンパク質、細胞接着分子が関与している可能性があります。
この中でZO-1は土台となるコネキシンの代表的なアダプタータンパク質です。
これが脂質ラフトに集合したコネキシンをギャップ接合が集まっている
領域までコネキシンを誘導し、6量体構造のアセンブリに主要に関与しています(10)。
このデリバリーの際には複合的にもう一つのアダプタータンパク質である
カテニンも関与しています(1)。
--
コネキシンはイオンチャンネルと独立してイオンの物質交換を細胞間で行うことができます。
これが細胞間で連動した心筋細胞、平滑筋細胞、骨格筋などの
収縮、伸張運動に関わってると考えられます。
具体的には筋肉を収縮させるためには電気的な興奮が必要で、
そのためにはカルシウムイオンなどの信号が必要です(12)。
コネキシンはカルシウムイオンを通すことができ、
細胞間の連絡なので、イオンチャンネルと異なる事は
こうしたイオンによる信号の伝達を細胞間で行うことができることです。
ここから細胞間の連動した動きに関わるはずです。
--
組織の恒常性維持のためには機能不全に陥った細胞、
それに影響を受ける周辺の細胞を細胞死させる事も重要です。
いずれにしても組織の恒常性維持のためには
細胞間の物質の交換は重要になります。
ギャップ接合は「Death signal」を周辺細胞に
ギャップ接合のチャンネルを通じて送る事が出来ます(1)。
例えば、「Death signal」として
ギャップ接合チャンネルを通ることができる
約1.5nm以下の小分子と機能は以下です。
cAMP(サイクリックAMP):
cAMPは細胞内シグナル伝達に重要な役割を果たす小分子であり、アポトーシス(計画的細胞死)のプロセスに関与することが知られています。
cGMP(サイクリックGMP):
cGMPもまた、細胞内シグナル伝達に関与し、アポトーシスの調節に関わる可能性があります。
カルシウムイオン(Ca²⁺):
カルシウムイオンは多くの細胞機能を調節する重要なシグナル分子であり、細胞死のプロセスにも関与しています。高濃度のカルシウムイオンはアポトーシスを誘導することがあります。
イノシトール三リン酸(IP3):
IP3はカルシウムの放出を促進し、細胞内カルシウム濃度を調整するシグナル分子です。これもアポトーシスに関与する可能性があります。
ATP(アデノシン三リン酸):
ATPはエネルギー供給の役割だけでなく、シグナル伝達にも関与し、ギャップジャンクションを通じて隣接する細胞に信号を伝えることができます。ATPが分解されて生成されるアデノシンも、アポトーシスを誘導することがあります。
--
他方で、ギャップ接合は径がおおよそ1.4nmのNAD+の細胞間の連絡に関わっています。
このNAD+は還元反応によって水素イオンを生み出し、
この水素イオンの濃度勾配によって
細胞のエネルギーであるATPを生み出すための合成酵素を駆動します。
従って、NAD+はミトコンドリアに作用して
細胞のエネルギー生成、代謝機能に多様な影響を与えます(13)。
このNAD+を細胞間で調整するのがギャップ接合のコネキシンです(1)。
--
コネキシンはチャンネル機能があるため細胞間の物質交換に関与しますが、
それとは独立した機能も有します。
具体的にはCターミナルの末端部位に結合する代表的な
Scaffold proteinであるZO-1はERK/PI3K経路の活性化を行い、
細胞の遺伝子発現に影響を与えます(1)。
つまりZO-1は間接的な転写因子として機能します。
このZO-1は接着結合や密着結合の細胞接着分子である
カドヘリンやクローディンなどに対してのアダプタータンパク質であるので
同様の作用があると考えられます。
重要なのはこれらの細胞接着分子はZO-1を塊、plaqueとして引き付ける
「固定的な場所」を用意し、
そこから様々な効率的な輸送経路、
例えば、細胞骨格をミオシンが荷台として輸送する経路や
リソソームによる経路。
これらによって細胞核まで分解されずに送達され、
細胞核に存在する染色体、遺伝子構造に対して
タンパク質発現に関わる転写因子として機能するということです。
こうした経路は一段階ではなく、
例えば、ERK/PI3K経路と直接的に関わるタンパク質などに連絡します。
コネキシン、以上。
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Nature volume 415, pages198–205 (2002)
(13)
Marie E. Migaud, Mathias Ziegler & Joseph A. Baur
Regulation of and challenges in targeting NAD+ metabolism
Nature Reviews Molecular Cell Biology (2024)
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