(背景)-------------
FOXP3+CD4+制御性T細胞は制御性なので抑制系として働き
細胞傷害性細胞の働きを弱めたり、
免疫系統の恒常性を保つために必要な細胞です。
その中でも上述したFOXP3、CD4に陽性な制御性T細胞は
リンパ系組織の中で発展を遂げるのではなく
局所的な組織に常在する中で細胞のサイクルが回ります。
このような組織常在型のT細胞は、
身体全体の免疫監視の影響を受けず、
組織の代謝、修復、再生、増殖などを制御する細胞の一つです。
従って、例えば、胃の組織の損傷、癌などを治したいとき
そこに存在するローカルなFOXP3+CD4+制御性T細胞に対して
それらを修復するように誘導できれば、
身体全体に大きな影響を影響を与えることなく
胃「だけ」に作用させる事が可能です。
この点においてAndrés R. Muñoz-Rojas & Diane Mathis(敬称略)は
「Precision immunotherapeutics」と言っています。
つまり精密な免疫療法ということです。
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(主要に参照した科学論文)---------
アメリカ合衆国のAndrés R. Muñoz-Rojas & Diane Mathis(敬称略)らは
FOXP3+CD4+制御性T細胞に対して
組織として可塑性の大きい脂肪組織、筋組織、皮膚について
詳しく総括されています(1)。
本日は脂肪組織の情報に絞って
その内容について読者と情報共有したいと思います。
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//やせ型と肥満の脂肪細胞の免疫的違い//-----------
Ref(1)Fig.1で示すように
肥満になると細胞の数が増えるよりも
肥満細胞が大きくなるという特徴があります。
また血管生成も組織の中で起こります。
抗炎症性マクロファージが多くなります。
制御性T細胞が少なくなります。
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//脂肪組織の制御性T細胞の転写因子//-----------
#:Encoding transcription factor
Pparg, Rora and Gata3
-
#:Chemokines and their receptors
Cxcl2, Cxcr6, Ccr1 and Ccr2
-
#:Co-stimulatory molecules
Pdcd1, Ctla4 and Cd80
機能を活性化するために必要な信号
-
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//脂肪組織の制御性T細胞の特徴//-------------
#:Polyclonal, heterogeneity
-
#:FOXP3 expression
ケモカイン、組織吸着受容体の可能性
-
#:IL-2 dependent
-
(代謝的特徴)
Phosphorylation of proteins downstream of insulin signalling,
Glucose and Insulin tolerance,
Insulin resistance
インスリン感受性を上げる(2-7)
女性の方が代謝機能に優れる
IL-33の活性が高いほうが代謝機能に優れる(8,9)。
-
(組織修復、再生)
#:組織別
皮膚(10,11)
肺(12-14)
心臓(15-17)
中枢神経系(18,19)
腸(20)
周辺血管系(21)
-
#:関与する免疫細胞
T細胞:TH1, TH2, TH17, CD8, γδ
好中球、マクロファージ
これらの細胞が修復モードになるように
制御性T細胞は働く(10,11,15,22)。
そのときにはIL-10が関与(23,24)。
ケモカインはまだわかっていない。
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//考察//------------
私の推測では組織の可動性を与える細胞なので
脂肪細胞、皮膚、筋肉など恒常性において動性の高い
組織に多く存在すると考えています。
ー
Ref(1)Fig.1で示されているように肥満で
制御性T細胞が減っている事は生理的にインスリン感受性を
下げている事と関連している可能性があります。
従って、制御性T細胞を活性化させることは
2型糖尿病など生活習慣病の治療になる可能性があります。
ー
組織への常在性の必要条件は何でしょうか?
免疫監視の有無を決める条件は何でしょうか?
その組織に強く結合する装飾因子があるということでしょうか?
それがFOXP3?
それが分かれば、体外でCAR技術によって
常在性を満たす条件の細胞を作り出し
それを体内に注入することで
免疫監視を逃れた形で治療できる可能性があります。
ー
(細胞特異的輸送系統の観点)
組織常在型で局所的に存在する免疫細胞に対して
特異性を持って免疫細胞に好ましい形で働きかける
物質を輸送する事ができれば、
「2重の」精密医療が実現する事になります。
身体に本来備わっている免疫機能を巧みに利用して
あるいは補助的な役割として治療していく事は
一つの方向性として有望です。
しかし、免疫細胞は拒絶反応など非常に
外部信号に対して敏感な性質を持っています。
従って、免疫監視に関与しにくい組織常在型の細胞に
働きかける事は大きな可能性を生みます。
ゆえに、組織常在型の免疫細胞が
特異的に持つエピトープを調べ、
それに対して高い親和性を持つ装飾因子を
輸送媒体であるナノ粒子に高密度で構築できれば
免疫細胞に働きかけるだけではなく
その組織近傍での薬剤放出を実現できる可能性があります。
その免疫細胞が免疫監視から逃れている事が
標的とするうえで拒絶反応寛容性を考えると
大きな意味がある事です。
異種性の中から優れた標的エピトープを探す必要があります。
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