2021年4月1日木曜日

脂肪組織常在制御性T細胞の展望

(背景)-------------
FOXP3+CD4+制御性T細胞は制御性なので抑制系として働き
細胞傷害性細胞の働きを弱めたり、
免疫系統の恒常性を保つために必要な細胞です。
その中でも上述したFOXP3、CD4に陽性な制御性T細胞は
リンパ系組織の中で発展を遂げるのではなく
局所的な組織に常在する中で細胞のサイクルが回ります。
このような組織常在型のT細胞は、
身体全体の免疫監視の影響を受けず、
組織の代謝、修復、再生、増殖などを制御する細胞の一つです。
従って、例えば、胃の組織の損傷、癌などを治したいとき
そこに存在するローカルなFOXP3+CD4+制御性T細胞に対して
それらを修復するように誘導できれば、
身体全体に大きな影響を影響を与えることなく
胃「だけ」に作用させる事が可能です。
この点においてAndrés R. Muñoz-Rojas & Diane Mathis(敬称略)は
「Precision immunotherapeutics」と言っています。
つまり精密な免疫療法ということです。
--------------

(主要に参照した科学論文)---------
アメリカ合衆国のAndrés R. Muñoz-Rojas & Diane Mathis(敬称略)らは
FOXP3+CD4+制御性T細胞に対して
組織として可塑性の大きい脂肪組織、筋組織、皮膚について
詳しく総括されています(1)。
本日は脂肪組織の情報に絞って
その内容について読者と情報共有したいと思います。
-------------

//やせ型と肥満の脂肪細胞の免疫的違い//-----------
Ref(1)Fig.1で示すように
肥満になると細胞の数が増えるよりも
肥満細胞が大きくなるという特徴があります。
また血管生成も組織の中で起こります。
抗炎症性マクロファージが多くなります。
制御性T細胞が少なくなります。
------------

//脂肪組織の制御性T細胞の転写因子//-----------
#:Encoding transcription factor
Pparg, Rora and Gata3
-
#:Chemokines and their receptors
Cxcl2, Cxcr6, Ccr1 and Ccr2
-
#:Co-stimulatory molecules
Pdcd1, Ctla4 and Cd80
機能を活性化するために必要な信号
-
----------------

//脂肪組織の制御性T細胞の特徴//-------------
#:Polyclonal, heterogeneity
-
#:FOXP3 expression
ケモカイン、組織吸着受容体の可能性
-
#:IL-2 dependent
-
(代謝的特徴)
Phosphorylation of proteins downstream of insulin signalling,
Glucose and Insulin tolerance, 
Insulin resistance 
インスリン感受性を上げる(2-7)
女性の方が代謝機能に優れる
IL-33の活性が高いほうが代謝機能に優れる(8,9)。
-
(組織修復、再生)
#:組織別
皮膚(10,11)
肺(12-14)
心臓(15-17)
中枢神経系(18,19)
腸(20)
周辺血管系(21)
-
#:関与する免疫細胞
T細胞:TH1, TH2, TH17, CD8, γδ
好中球、マクロファージ
これらの細胞が修復モードになるように
制御性T細胞は働く(10,11,15,22)。
そのときにはIL-10が関与(23,24)。
ケモカインはまだわかっていない。
-------------

//考察//------------
私の推測では組織の可動性を与える細胞なので
脂肪細胞、皮膚、筋肉など恒常性において動性の高い
組織に多く存在すると考えています。

Ref(1)Fig.1で示されているように肥満で
制御性T細胞が減っている事は生理的にインスリン感受性を
下げている事と関連している可能性があります。
従って、制御性T細胞を活性化させることは
2型糖尿病など生活習慣病の治療になる可能性があります。

組織への常在性の必要条件は何でしょうか?
免疫監視の有無を決める条件は何でしょうか?
その組織に強く結合する装飾因子があるということでしょうか?
それがFOXP3?
それが分かれば、体外でCAR技術によって
常在性を満たす条件の細胞を作り出し
それを体内に注入することで
免疫監視を逃れた形で治療できる可能性があります。

(細胞特異的輸送系統の観点)
組織常在型で局所的に存在する免疫細胞に対して
特異性を持って免疫細胞に好ましい形で働きかける
物質を輸送する事ができれば、
「2重の」精密医療が実現する事になります。
身体に本来備わっている免疫機能を巧みに利用して
あるいは補助的な役割として治療していく事は
一つの方向性として有望です。
しかし、免疫細胞は拒絶反応など非常に
外部信号に対して敏感な性質を持っています。
従って、免疫監視に関与しにくい組織常在型の細胞に
働きかける事は大きな可能性を生みます。
ゆえに、組織常在型の免疫細胞が
特異的に持つエピトープを調べ、
それに対して高い親和性を持つ装飾因子を
輸送媒体であるナノ粒子に高密度で構築できれば
免疫細胞に働きかけるだけではなく
その組織近傍での薬剤放出を実現できる可能性があります。
その免疫細胞が免疫監視から逃れている事が
標的とするうえで拒絶反応寛容性を考えると
大きな意味がある事です。
異種性の中から優れた標的エピトープを探す必要があります。
--------------


0 コメント:

コメントを投稿

 
;