2021年4月13日火曜日

世界へのワクチン供給を考える

 新型コロナウィルスのワクチン接種は
歴史上、最大のワクチンプログラムで
少なくとも50億人くらいは接種する事になると思います。
そうすると2回接種を原則とすると
100億本必要で、仮に120億本だとすると
年中、ワクチンの供給を続けたとしても
1か月10億本のワクチンを世界に届ける必要があります。
1年に1回の接種を原則とすると
しばらくは常に10億本のワクチンを生産しつづけなくてはいけません。
ワクチンの生産能力は追加承認されれば
上がってくると思われますが、
感染する人が少なくなればフェーズⅢの治験が難しくなるため
供給できるメーカーもある程度は頭打ちになると思います。
設備を増強するにあたっては
メーカーは投資する必要があるため
その投資を回収する必要があります。
新型コロナウィルスが収まり、ワクチン余りの状況も
想定すると投資のリスクは伴います。
従って、そのリスクを軽減するには
〇生産設備の投資を補助、共同出資により分散させる
〇他の感染症ワクチンと共通に使えるような仕様にする
といったことが考えられます。

基本的に黄熱病、デング熱、マラリア、ジカ熱、
エボラ出血熱、コレラなどの感染症は
赤道付近の低中所得の国に集中しています。
これらの地域は経済発展の余地がありますし、
実際にアフリカへの投資が進んでいますから
今後、人や物の移動が活性化されると考えられます。
そうした場合、感染症が広がるリスクもあります。
エボラ出血熱の遺伝子系統樹が
Ref.(2)Fig.2に示されていますし、
マラリアでもそれは同様です(Ref.(3)Fig.2)。
国際的な移動(1)の中でどのような環境適応を示すか
分からない中で先進国も感染症への脅威は
グローバル経済の中で高まっています。

新型コロナウィルスでも同様ですが、
今後生じる可能性がある感染症においては
低中所得の国も含めて世界的にどうやったら
早く規模拡大を抑えられるかにかかっています。
早ければ早いほどよく
そのためにはワクチン開発、治験、承認、製造、接種の
迅速な手続きが必要です(1)。
そのための資金をどうするか?
これについては具体的に考える必要が少なくともあります。
新型コロナウィルスに関しても
仮に高所得の国がワクチンにより免疫を獲得しても
そうではない地域で感染が拡大していれば、
変異なども考えると再度、脅威にさらされることはあります。
従って、感染症は地球全体で考える必要性があります。

違う感染症に対してどれくらい設備を共通化できるか?
という事に関しては私は未知ですが、
世界の地理的にバランスよく
ワクチン製造の拠点を作っておいて
有事の時にはそこでワクチンを作れるようにしておくことが
大切になると思います。
今回新型コロナウィルスでかなり設備が入れられていますから
今後、その設備をどう将来の感染症に有効活用できるか?
そういった視点も必要になります。

(Reference)
(1)
Jean-Louis Excler, Melanie Saville, Seth Berkley & Jerome H. Kim 
Vaccine development for emerging infectious diseases
Nature Medicine (2021)

Author information
Affiliations
International Vaccine Institute, Seoul, Republic of Korea
Jean-Louis Excler & Jerome H. Kim
Coalition for Epidemic Preparedness Innovations (CEPI), London, UK
Melanie Saville
Gavi, the Vaccine Alliance, Geneva, Switzerland
Seth Berkley

(2)
Eddy Kinganda-Lusamaki, Allison Black, Daniel B. Mukadi, James Hadfield, Placide Mbala-Kingebeni, Catherine B. Pratt, Amuri Aziza, Moussa M. Diagne, Bailey White, Nella Bisento, Bibiche Nsunda, Marceline Akonga, Martin Faye, Ousmane Faye, Francois Edidi-Atani, Meris Matondo-Kuamfumu, Fabrice Mambu-Mbika, Junior Bulabula, Nicholas Di Paola, Matthias G. Pauthner, Kristian G. Andersen, Gustavo Palacios, Eric Delaporte, Amadou Alpha Sall, Martine Peeters, Michael R. Wiley, Steve Ahuka-Mundeke, Trevor Bedford & Jean-Jacques Muyembe Tamfum 
Integration of genomic sequencing into the response to the Ebola virus outbreak in Nord Kivu, Democratic Republic of the Congo
Nature Medicine (2021)

(3)
Daniel E. Neafsey, Aimee R. Taylor & Bronwyn L. MacInnis 
Advances and opportunities in malaria population genomics
Nature Reviews Genetics (2021)



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