いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
ワクチンの開発が世界で鋭意進められています。
今最終治験段階にあるのは
アメリカ、中国、イギリスの3つであります。
そのワクチンで期待されるのは、
ワクチンによって抗体が産生され、
それが新型コロナウィルスのSタンパク質を中和させて、
エントリー受容体との結合を防いで
細胞内への浸入、つまり感染を防ぐというものです。
これは
体の生理でいう獲得免疫を利用するものです。
もしうまくいけば、
新型コロナウィルスを根絶することは難しくても
インフルエンザのように共存しながら
症状の程度を無症状、軽症に制御することができることです。
それが「ウィズコロナ」に貢献すると思います。
しかし、
これを実現するためには獲得免疫だけではなく
人の体に本来備わっている自然免疫の生理を
理解することが大事です。
今の時点で、自然免疫と獲得免疫の境界が
私の理解では曖昧ですが、
新型コロナウィルスや
他の風邪の原因となる(コモンコールドな)コロナウィルスへの
暴露によって鍛えられた、あるいは影響を受けた
リンパ球(T細胞、B細胞,NK細胞など)も自然免疫だとします。
その中で自然免疫は
思っている以上に複雑に症状の程度と関わっている
かもしれないと考えられます。
中国やアメリカの今までの報告で
新型コロナウィルスで重症になった患者さんの傾向として
CD4+、CD8+というT細胞が少ない傾向にある
と言われていました。
実は、もっと広範なリンパ球全体に対して
その絶対数が一時的に下がることがある
と言われています。
例えば、
インフルエンザに罹患すると
数日はリンパ球が下がるケースがあるようです。
でも、それは回復すると言われています。
しかし、新型コロナウィルスの場合は
インフルエンザなどに比べて
リンパ球の減少が長く続くと言われています。
また、高齢、あるいは男性は
少ない傾向にあると報告されています。
従って、高齢や男性が重症化する傾向に強いことは、
リンパ球減少と紐づけられる部分があると考えられます。
一方で、新型コロナウィルスは
Ⅰ型インターフェロンというサイトカインが
少ないケースがあり、
このサイトカインは抗ウィルス性を示すため
それとの重症化の関連も指摘されています。
その他さまざまなサイトカインのバランスがあります。
免疫を助けるものもあれば、阻害するものもあります。
それらのサイトカインが
直接、上皮、内皮細胞などに影響を与えて
組織の炎症に関連することもあると思いますが、
このサイトカインは
リンパ球の分化にも影響を与えているかもしれない
ということが考えられています。
例えば、
無症状、軽症で済んだ人は、
T細胞の分化において
抗ウィルス性のためにより有効に働くような
細胞に多く分化する仮説が立てられています。
これは、B細胞、NK細胞でも当てはまるかもしれません。
つまり
T細胞、B細胞、NK細胞といった
リンパ球の絶対数とともに
それらの免疫細胞の「質」が
症状の程度に影響を与えているかもしれない
ということです。
これらは抗体がどのように
ウィルスの細胞の感染を防ぐかという獲得免疫の
背景として効果を発揮してくる可能性があります。
言い方を変えれば、
ワクチンを接種しても
その効力は人によって変わるかもしれない
ということです。
治療の戦略としては
ステロイドのように免疫抑制剤のように
サイトカインに働きかける薬剤、
(tocilizumab、ruxolitinib、dexamethasoneなど)
あるいは
リンパ球の量を適正に制御する薬剤、
あるいは
それらと関係する食事や生活習慣など
が考えられると思います。
今、ステロイドが病院で使われているという話ですが、
炎症を抑えるだけではなく、
参考文献の仮説が当てはまるとすれば
リンパ球の分化にも影響を与えている
可能性が考えられます。
以上です。
(参考文献)
Zeyu Chen & E. John Wherry
T cell responses in patients with COVID-19
Nature Reviews Immunology (2020)
doi.org/10.1038/s41577-020-0402-6
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