2020年7月19日日曜日

COVID-19:一部の人が保有しているかもしれない事前の免疫

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

おそらく多くの人が興味のある事だと思います。
「一度新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)に罹ったら
どれだけ免疫が持続しますか?」
ということです。
免疫の持続性を評価するうえで
抗体検査があります。
SARS-CoV-2に特異性を持つ抗体を調べる
と理解してます。
日本で罹患した人が抗体検査をしたときに
初めは陽性だったけど、
数週間たったら陰性だったという話もあり、
その点で怖さを持っている人がいると思います。
つまり、
「一度罹っても、すぐに免疫の効力が消えて
再度かかる可能性があるのではないか?」
ということです。

実はその免疫については
もっと複雑な生態機序があります。
私が知っている限りでは、
記憶性のB細胞があります。
B細胞はウィルス抗原を認識して、抗体を放出するものですが
それが記憶性になることによって
迅速にできるようになるために
免疫機能が上がるかもしれないということです。
後は記憶性T細胞もあります。
それによって免疫の調整や活性化が起こります。

つまり何が言いたいかというと
抗体が陰性になってなくなる、
あるいは少なくなっても
「細胞が覚えている。」
「T細胞、B細胞が記憶している。」
かもしれない
ということです。

参考文献によれば、
SARS-CoVという2003年に流行し後、
17年間、記憶性T細胞は持続して存在していて、
それはSARS-CoV2と交差反応、
つまり新型コロナウィルスにも効果があった
といわれています。
また、SARS-CoV1やSARS-CoV2
旧型、新型コロナウィルスに対して既往歴がない
人においても記憶性T細胞は存在している
といわれています。
理由は、
すでに存在している
少なくとも4種類のコモンコールド(毒性の低い)コロナウィルスや
動物が持っているコロナウィルスが
関係しているからかもしれません。

「シンガポール」在住の人において
SARS-CoV(2013)とSARS-CoV-2(2020)に罹った人は
それぞれ23人、36人において、回復後
いくつかのタンパク質部位において
反応性を示したタンパク質の構造部位は異なるものの
「全ての人」のおいていずれかの構造で
SARS-CoV-2に対して反応性を示しました。
つまりT細胞に記憶性が認められたといわれています。
また、いずれにも罹っていない人も
約半数の人がT細胞の記憶性を示しました。

同じように「アメリカ」の報告でも
40~60%の人がSARS-CoV-2にさらされていない人が
SARS-CoV-2に反応性を示すT細胞が確認されています。

どのタンパク質部位に反応性を示すか?
というのは個人差があって、
それぞれに対して働くT細胞が異なります。
CD4の場合もあるしCD4,CD8両方の場合もあります。
それぞれ免疫機序が異なります。
コロナウィルスに罹患した時に
無症状、軽症、中程度、重症の程度のばらつきの
要因の「一つ」として、
記憶性T細胞の有無、違いが関係しているかもしれません。

長く続く可能性があるということですから
すぐに急いでする必要はないですが、
日本でも大規模では難しくても
研究としてでもいいので、
抗体検査だけではなく
記憶性のT細胞、B細胞があるかどうか?
疫学データが欲しいなと思います。

以上です。

(参考文献)
Nina Le Bert, Anthony T. Tan, Kamini Kunasegaran, Christine Y. L. Tham, Morteza Hafezi, Adeline Chia, Melissa Hui Yen Chng, Meiyin Lin, Nicole Tan, Martin Linster, Wan Ni Chia, Mark I-Cheng Chen, Lin-Fa Wang, Eng Eong Ooi, Shirin Kalimuddin, Paul Anantharajal Tambyah, Jenny Guek-Hong Low, Yee-Joo Tan & Antonio Bertoletti 
SARS-CoV-2-specific T cell immunity in cases of COVID-19 and SARS, and uninfected controls
Nature (2020)
doi.org/10.1038/s41586-020-2550-z

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