2020年7月3日金曜日

COVID-19:Ⅰ型インターフェロンの抗ウィルス作用と重症化ケースの不足について

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

今世界でワクチンが開発されていて
日本でも治験が始まっています。
有効なワクチンが生まれれば、
体内で新型コロナウィルスが増えにくくなるわけですから
体内を含めた社会の中の新型コロナウィルスが
時間とともにその絶対量が少なくなるので
感染リスクも下がります。
また個人のウィルス増殖力も下がるので
重症化のリスクも下がってきます。
ゼロにはならない中でも
社会の中の安心感が上がってきて、
経済活動に力を入れられるようになります。
あるいは余暇を心から楽しめるようになります。

そのワクチンの私が今把握している機序は
液性免疫の機序によって
B細胞から中和抗体が出て
それがウィルスのエンベロープ(膜)の
周りに複数存在する突起であるSタンパク質(スパイク)の
ドメインについて極性を弱めて(中和して)
ACE2エントリー受容体への結合活性を弱めます。
そして、細胞の飲食作用(?)により
細胞内にウィルスが浸入することを防ぎます。
その抗体が体内に存在する、
あるいはメモリーB細胞が迅速に抗体を出すことにより
実際に新型コロナウィルスが体内に入った時の
増殖を弱めることができるというものです。
(と今は理解しています。)

しかし、免疫機能がウィルス増殖を弱める機序は
これだけではないと考えられています。
ウィルス撃退に対して重要な役割を果たす
Ⅰ型インターフェロンというサイトカインがあります。
このサイトカインは、
複数の経路で抗ウィルス作用を示すと言われています。
一つは、
タイプIインターフェロンそのものが(?)、
細胞に結合することで特定の酵素が働きます。
その酵素の働きにより
ウィルスの複製を制御する伝令RNAを分解します。
それによってウィルスを撃退します。
もう一つは、
NK細胞(ナチュラルキラー細胞)の制御を行います。
このNK細胞がウィルスが感染している細胞「だけ」に働いて
感染細胞「ごと」死滅させるように
MHCクラスI分子の発現を細胞ごとにコントロールします。
従って、
ウィルスそのものの増殖も防ぐし、
ウィルスが感染した細胞もNK細胞を通じて死滅させます。
ゆえに
新型コロナウィルスの体内増殖を防ぐうえで
非常に重要な分泌物、サイトカインです。

しかし、参考文献によると
新型コロナウィルスで重症化しているケースでは
このタイプⅠインターフェロンの数が少なかった
と言われています。

従って、少なくとも症状があって
新型コロナウィルスで経過観察が必要な場合には
このサイトカインのモニターをするということは
今後必要になってくるかもしれません。

ただタイプⅠインターフェロンを増やす薬を
いれるとどうなるか?
というのは、過去のウィルス感染の例では
タイミングが難しいらしく
そのタイミングを間違えると副作用が大きく出た
という研究もあり、
事は単純ではないと考えられます。
しかしながら、
重症化した患者さんでタイプⅠインターフェロンが
少ないかもしれないという事実は
医療において重要なデータとなりえます。

以上です。

(参考文献)
(1)
Wikipedia:I型インターフェロン
(2)
Dhiraj Acharya, GuanQun Liu & Michaela U. Gack 
Dysregulation of type I interferon responses in COVID-19
Nature Reviews Immunology volume 20, pages397–398(2020)
doi.org/10.1038/s41577-020-0346-x

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