2020年7月26日日曜日

COVID-19:他の疾患のために開発された薬の適用可能性

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

新型コロナウィルスの感染者数が日本で増えています。
気になるが7月くらいからオーストラリアでも
急激に増えている事です。
オーストラリアは今、冬を迎えているので
季節性の要素があり、
寒くなってくると感染力が上がる可能性がないか?
懸念しています。
そのような先行きが不安な中で
安心材料となるのがワクチン、薬剤の開発ですが、
ワクチンの開発は
少なくとも12カ月から18カ月かかるといわれています。
つまり、今年の3月から開発したとして
円滑に進んでも来年の春くらいになるだろう
ということです。
また、世界にいきわたるまで量産されるのは
さらに時間を要すると思われます。
薬も同じようにいろんなプロセスを経て承認されます。
そういったなかで「Repurposing」という
「今まで別の疾患の治療で使われていた薬を使う。」
という方法があります。
人に使われた実績があるので、
承認プロセスも簡略化できるという利点があります。
実際にアビガンやレムデシビルはそうです。

今FDA(アメリカ食品医薬品局)で承認されている
臨床段階にある薬は12000種類になります。
これらの薬は何らかの生態機序に対して
亢進や抑制の役割を持ちますが、
ウィルス(新型コロナウィルス?RNAウィルス?)に関して、
複製を防ぐだろうと考えられている分子、物質は
100種類に上るといわれており、
これらの分子に対して働きかける薬は
21種類あるといわれています。
ウィルスのライフサイクルには様々な段階があり、
それらに対して多くの分子が関わっている
と考えられています(Extended Data Fig.5)。

このうちPIKfyveキナーゼを抑制する
アピリモドという薬は
培養するために取り出した人の肺において
抗ウィルス作用を示したといわれています。
PIKfyveキナーゼは、エンドソームと呼ばれる
細胞質にウィルスが入り込む過程に
関連する酵素なので
この酵素の働きを抑制すれば。
ウィルスの細胞への感染を防ぐことが期待されます。
このアピリモドは炎症に関連するサイトカインを
抑制する働きがあり、
自己免疫疾患のために開発されましたが、
臨床結果は思わしくなく、
継続的な使用は断念されていました。
しかし、
抗ウィルス作用を示す可能性が示唆され、
エボラ出血熱や新型コロナウィルスへの適用が
検討されています。

そのほかMDL-28170,ONO 5334も
人口多能性幹細胞における肺の細胞において
ウィルスの複製に拮抗作用を示した
と言われています。
ただし参考文献によれば
現在承認されているレムデシビルの方が
高い抗ウィルス性を示す結果となっています。
一方、アピリモドは
人口多能性幹細胞における肺の細胞において
ウィルスの複製に強い拮抗作用を示し、
生体外での肺組織の評価では
ウィルス滴定量はレムデシビルよりも
小さな値になっています。(Fig.5(c-g))

日本、アメリカで規制当局の承認が得られている
6つの薬にについて
新型コロナウィルスの複製を抑制する可能性が
示唆されています。
例えば、抗マラリア薬であるクロロキン、
抗ヒスタミン剤のアステミゾール
抗乾癬のアシトレチン
が含まれます。
しかしクロロキンに関しては
別の報告で薬効に対する懐疑性が提示されています。
またアシトレチンに関しては副作用が懸念されています。

さらに
世界保健機関の必須医薬品リストに掲載されている
最も効果的で安全な医療制度で必要とされる医薬品
としてクロファジミンがあり、
ハンセン病の治療に用いられます。
抗マイコバクテリアや抗炎症作用が確認されており、
新型コロナウィルスに対しても効果があったという報告もあり、
今後さらなる検証が必要だと言われています。

すでにレムデシビルのように
一定の奏功を示している薬もありますが、
他の感染症の現在の治療戦略のように
複数の薬剤投与を検討する場合や
効果を示さなかった場合の代替の薬として
いくつかの有効な候補の既承認薬を
用意しておく必要があると考えます。

以上です。

(参考文献)
Laura Riva, Shuofeng Yuan, Xin Yin, Laura Martin-Sancho, Naoko Matsunaga, Lars Pache, Sebastian Burgstaller-Muehlbacher, Paul D. De Jesus, Peter Teriete, Mitchell V. Hull, Max W. Chang, Jasper Fuk-Woo Chan, Jianli Cao, Vincent Kwok-Man Poon, Kristina M. Herbert, Kuoyuan Cheng, Tu-Trinh H. Nguyen, Andrey Rubanov, Yuan Pu, Courtney Nguyen, Angela Choi, Raveen Rathnasinghe, Michael Schotsaert, Lisa Miorin, Marion Dejosez, Thomas P. Zwaka, Ko-Yung Sit, Luis Martinez-Sobrido, Wen-Chun Liu, Kris M. White, Mackenzie E. Chapman, Emma K. Lendy, Richard J. Glynne, Randy Albrecht, Eytan Ruppin, Andrew D. Mesecar, Jeffrey R. Johnson, Christopher Benner, Ren Sun, Peter G. Schultz, Andrew I. Su, Adolfo García-Sastre, Arnab K. Chatterjee, Kwok-Yung Yuen & Sumit K. Chanda 
Discovery of SARS-CoV-2 antiviral drugs through large-scale compound repurposing
Nature (2020)
doi.org/10.1038/s41586-020-2577-1

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