2024年9月29日日曜日

細胞種特異的細胞外小胞分離技術のiPS細胞技術再生医療と遺伝子医療の評価への貢献

細胞種分解能で細胞外小胞を分離できるようになったら
評価という意味でいくつかの先端的医療に貢献できます。
その具体的な方法を示していきます。
その方法は
(DT1)遺伝子的バーコーディングと
(DT2)結合親和性バーコーディングです。
後者(DT2)は、多分、リスクがあると判断されると思いますが、
それは先入観も含まれます。
下にそれについて、詳細に説明しますが、
これができるようになると非常に便利です。
(DT2)の結合親和性バーコーディングは
細胞種特異的細胞外小胞の
高精度な分離手順と高度に関連、紐づきます。

多分、今日述べる事の一部は
昨日(9/28)の私の記事を読まれていたら
ハーバード大学の先生方は
絶対に既に気付いている事だと思われます(2)。
多分、それは日本の先生も同じだとおもいます(3)。
しかし、(DT2)はないと思う。


iPS細胞技術で脳、心臓、肺、肝臓、腎臓、消化器、骨、骨格筋。
これらの組織、臓器をその人の細胞の時計を戻して、
より状態の良い若い細胞で書き換えていく事をします。
そうした臓器書き換えがどういったプロセスで生じるか?
それについてはわかっていません。
おそらく人ではできないので、
マウス、ゼブラフィッシュ、あるいは豚などで
行う事が前実験としてあると思われます。

臓器を書き換えていくプロセスで
iPS細胞技術由来の細胞を追跡可能な形でマーキングする事を考えます。
わかりやすくいうと
「これが書き換えた細胞だよ。と印をつける。」
ということです。
それを最終的に人から継続的に採血する事によって、
どういった細胞種、量で書き変わっていくかを確認できるようにします。
その印は「識別可能な遺伝子配列(バーコーディング)」
これが一つの有力な候補です。
分化、増殖を経ても高度に保持されるDNAの
miRNAコーディング領域があります。
実際にmiRNAは特定のDNA配列をコピーして産生されます。
従って、miRNAの配列はDNAの特定の配列を引き継ぐことになります。
(参考文献(1) Fig.1)
従って、iPS細胞技術の初期化プロセスの中で
分化前の初期の段階で高度に保持されるDNAに
miRNAに転写される領域内で識別可能な特異的な配列になるように
遺伝子改変を加える事で、miRNAに識別可能な特異的な配列が転写されます。
そのmiRNAはエクソソームに搭載されるため、
そのエクソソームを細胞種特異的に分離する事で、
そのmiRNA依存的にiPS細胞由来の細胞を永続的に追跡できます。
これは(DT1)遺伝子的バーコーディングの手順です。

では、(DT2)結合親和性バーコーディングとは?
これは、最終的に細胞種特異的に細胞外小胞を分離する過程で
高い確率で結合親和性で細胞外小胞を高精度に分離する事をします。
従って、予め、
特定の識別可能な結合親和性をもつ細胞外マーカーが
発現するようにiPS細胞のDNAの配列を書き換えるという事です。
例えば、高度にエクソソームに発現される
テトラスパニン、インテグリン、コネクソンなどがあります。

もう少し具体的かつ詳しい説明が必要でしょう。
例えば、
細胞外小胞をインテグリン-細胞外マトリックス依存的に
沈降させ、分離するプロセスを考えます。
その時に沈んだ後、一定の結合親和性で乖離する
物理的、化学的、機械的ストレスで結合を解消させ
結合親和性依存的に分離するプロセスが想定されます。

バーコーディングを含めて考えると
このプロセスを成立させる事は非常に重要です。

例えば、インテグリンと細胞外マトリックスの
結合親和性(Kd:The equilibrium dissociation constant (Kd))
10^-6 - 10^-8 M
これが一定の条件で最適化された細胞外マトリックスに対する
「自然な」インテグリンの結合親和性の範囲がこれくらいだとします。
これは、「仮の」の値です。

それに対して Kd = 10^-2 - 10^-4 or 10^-10 - 10^-12
このように「通常ではありえない」結合親和性を持つ
インテグリンをインテグリンDNA配列部位に対して
遺伝子改変を行う事でできるようにします。
もちろん、これはいくつかのリスク、チャレンジ(困難性)があります。

インテグリンは非常に細胞生物学上、重要な細胞接着分子のため
こうした構造改変は機能に影響を与える可能性があるため、
細胞の機能を異常にしてしまう可能性があります。
ただし、特定の細胞外マトリックスに対して
そうした結合親和性の改変を加える事が必ずしも
全体的な細胞の健康に大きく被害を与えるとは限りません。

もう1つのチャンレンジはDNAの遺伝子配列が1対1で
インテグリンの高度な3次元構造と一致しないという事です。
転写因子多様性やチャペロンなどを含めた3次元折り畳み因子によって
遺伝子配列とは独立の構造制御因子がある事です。
従って、DNAの遺伝子配列を任意の変えたとしても
それが、インテグリンの狙いの構造、結合親和性を保証する
ことにはならないということです。
しかし、これも実験しないことにはわかりません。

では、遺伝子コーディングがあるのに
なぜ、結合親和性コーディングなど難しいことを
あえて挑戦する必要があるか?
その付加価値は一体どこにあるのか?

それは、もし、表面タンパク質の結合親和性によるコーディングができたら
細胞種特異的分離技術のプロセスそのもので識別が可能になる事です。
すなわち、遺伝子コーディングで必要となる
細胞種特異的分離技術の為の表面マーカーの
バックグランド、参照データを必要としなくなる
ということがあります。
その表面タンパク質を頼りに追跡することができます。
これができるようになることは
この技術において非常に重要なことです。
私たち(少なくとも私は)この可能性がある事
すなわち、結合親和性コーディングを
常に頭に置いておく必要があります。

但し、細胞種によって当然、発現されるインテグリンの型が異なるし
転写因子も異なるので、上の方法は全ては網羅できない可能性が高いです。
そもそもiPS細胞で臓器形成していく過程は
いろんな細胞種に分化して、勢力を増していく事を考えると
当然、その過程の中でインテグリンはDNAと独立した形で
発現量、3次元構造を変える可能性があるからです。
しかし、
臓器介入を行う場合において、色んなケースが考えられるため
特定のケースではこれが成立するかもしれません。

この記事では、
結合親和性でバーコーディングする方法が存在する。
これを目指す価値は確かにあるという事は述べたい。

iPS細胞技術を使った再生医療では
iPS細胞技術を使って若い細胞に書き換えた細胞を識別して
追跡したいという事があります。
どのようにその若い細胞種が勢力を増して
組織、臓器を書き換えていくかを知る事は重要です。
こうした知見は、おそらく今は存在しません。
なぜなら、iPS細胞技術ができて、
まだ数十年も経っていないことと
再生した臓器を生体内で評価する手法が
おそらく確立していないからです。

この評価ができるようになると、
将来的に人に対して組織、臓器を生体内で
制御、確認しながら書き換えていくことが可能になるかもしれません。
当然、液体生検によるバイオマーカーは
視覚的な情報は得られませんから、
確かに存在する需要として、「視覚的に確認したい」ということがあります。
それも可能になるかもしれません。

具体的には
細胞種特異的細胞外小胞分離技術で
iPS細胞技術で書き換えた細胞から発現される
細胞外小胞を特定できるようになります。
その細胞外小胞には、膜タンパク質の情報がありますから、
高度な技術を要しますが、
その膜タンパク質情報に基づいて視覚的な追跡を試みます。

例えば、磁気共鳴分析で識別可能な
赤血球、血小板、白血球、
それと複合体化した細胞外小胞を設計します。
例えば、
細胞膜を重水素、細胞内の水を重水に変えます。
その複合体は
事前にiPS細胞技術によって同定した
細胞種の膜表面に含まれる膜タンパク質に対して
非常に高い結合親和性を持つ膜タンパク質が装飾されています。
従って、生体内でその細胞種に強く引き付けられます。
その赤血球-細胞外小胞複合体の
生体内の濃度分布、リアルタイム追跡によって
視覚的に確認するという方法です。

こうした循環器を通る細胞は
組織内に張り巡らされる毛細血管にも滲出するため、
ある程度は組織内の情報も取る事が出来きます。
しかし、
循環器から遠い上皮組織、内腔の情報は
この方法では少し難しさがあるかもしれません。

ただ、視覚的な確認の中で、
私が広島大学、東京大学と開発する(したい)
磁気共鳴分析/全頭部固定集束超音波装置の
重水、重水素を使った濃度分析、追跡技術が
将来的にiPS細胞の再生医療の評価に役立つ可能性があります。

その可能性を含めると最終的に
複数の重要な目的を果たせるため
重水、重水素を使った濃度分析、追跡技術は
ここで説明したことも含めて、
出来た時の付加価値をしっかり訴求しながら
一時的な結果に振り回されず、
持続的に、あきらめずに開発していく必要があります。


iPS細胞の分化技術以外にも
Crispr Cas9などの遺伝子改変が
「実際にどの細胞で生じたか?」
その確認を行う事も可能です。

例えば、Crisper Cas9など遺伝子改変媒体と同時に
遺伝子バーコーディングした識別可能なmiRNAを入れます。
それによって
遺伝子改変が確かに細胞内で生じたという証拠は得られませんが、
その媒体が確かにその細胞種に送達された。
この事は確認できます。
すなわち、miRNAをエクソソームで分離して
検出する事で、どの細胞種に送達されたかの確認が可能です。

では、実際に遺伝子が書き換えられた。
それを確認するにはどうしたらいいでしょうか?
1つは
Crispr Cas9で遺伝子改変した時の
物質的、幾何学的、電気的機能が
分泌される細胞外小胞に特異的に搭載されれば、それが可能になります。
但し、遺伝子改変した機能が特異性を持って
細胞外小胞に必ずしも搭載されるとは限りません。

もう1つは「AND」の機能です。
すなわち、Crispr Cas9で遺伝子改変するためには
「AND」として、エクソソームで識別可能な
miRNAのコーディング領域も遺伝子改変する必要があるシステムです。
その「AND」の機能を含めるためには
gRNAとプロモーターなどを最適化する必要があります。

遺伝子改変が人の身体の中で
どういった細胞種で実際に生じているか?
オフターゲットなども懸念されるので、
本当に変えたい細胞だけ、特定の遺伝子改変を行い、
それをリアルタイムで評価できるシステムを構築する事は、
遺伝子治療の可否に関わる根本的な事なので、
この細胞種特異的細胞外小胞分離技術は
遺伝子治療の評価において非常に重要になる可能性があります。


(参考文献)
(1)
Julia Winter, Stephanie Jung, Sarina Keller, Richard I. Gregory & Sven Diederichs
Many roads to maturity: microRNA biogenesis pathways and their regulation
Nature Cell Biology volume 11, pages228–234 (2009)
(2)
Jocelyn Y. Kishi, Ninning Liu, Emma R. West, Kuanwei Sheng, Jack J. Jordanides, Matthew Serrata, Constance L. Cepko, Sinem K. Saka & Peng Yin
Light-Seq: light-directed in situ barcoding of biomolecules in fixed cells and tissues for spatially indexed sequencing
Nature Methods volume 19, pages1393–1402 (2022)
(3)
Erica Carolina, Yoshiki Kuse, Ayumu Okumura, Kenji Aoshima, Tomomi Tadokoro, Shinya Matsumoto, Eriko Kanai, Takashi Okumura, Toshiharu Kasai, Souichiro Yamabe, Yuji Nishikawa, Kiyoshi Yamaguchi, Yoichi Furukawa, Naoki Tanimizu & Hideki Taniguchi
Generation of human iPSC-derived 3D bile duct within liver organoid by incorporating human iPSC-derived blood vessel
Nature Communications volume 15, Article number: 7424 (2024) 

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