位相アレイ超音波学は
多くの小さな超音波トランスデューサーからなります。
1つのトランスデューサーのピエゾ素子から
円弧上に放出される超音波信号が
トランデューサーの複数のピエゾ素子に対して
タイミングを変えて、放出する位相を変えることで
それらの波の干渉効果を利用して
任意の方向に超音波を伝搬することができます。
従って、1つのトランスデューサーが1つの超音波の方向を決めます。
それが多数存在することによって、
超音波を集束させる事が可能になります。
実際に焦点スポットサイズの理論値は
D(Focal spot size) = (F * λ) / A (式1)
A:アパーチャーサイズ(開口径)
F:焦点距離
λ:超音波波長
これで示され、
焦点距離が短く、超音波周波数が大きく(波長が短く)、
開口径が大きい方がスポットサイズは小さくなります。
すなわち大きなレンズで
波長の短い音波を
大きく超音波を曲げて、近くで集めるほうが
スポットサイズは小さくなります。
しかし、これは開口部分が直線状に並んでいる時の計算式で有り、
私が想定する全頭部固定式の集束超音波では
球状の曲面にトランスデューサーを配置することから
この数式に対して改変が必要になります。
球の直径と一致する平面のアパーチャーよりも
焦点位置に対して円弧を描いて、3次元的に配置されるわけですから
そのスポットサイズは理論限界の2/λまで届かなくても
それに近い値になる可能性があります。
少なくとも直径から式1で計算される
スポット径よりは小さくなります。
しかしながら、実際には
各トランスデューサーからの強め合った超音波信号が
理論的なスポットサイズよりも高い精度で、
焦点位置に正確に合う必要があります。
それにおいて、
トランスデューサーを配置する半径、
ピエゾ素子の配置の精度、
位相差を制御する回路、ピエゾ素子時間分解能が
スポット位置における位置精度に関わると考えられます。
おそらく、簡単に計算する限り、
位相差を制御する回路、ピエゾ素子時間分解能が
主要に空間分解能の性能に律速していると思います。
正確な計算は専門家に委ねるとしますが、
仮に15cmの焦点距離に対して、100μmの精度を出そうとすると
そのための角度正確性は
ArcTan(0.1/150)(rad) ≒ 6.67 * 10^-4 rad = 0.038°
これです。それに対して
経頭蓋集束超音波で使われる超音波周波数は800kHzくらいなので
その周期は 1.25μsです。
仮にその周期1.25μsをフルに使って
位相アレイトランスデューサーで120°動かせるとし
その120°の中で0.038°の精度が必要だとすると
1.25(μs) * 0.038/120 ≒ 400(ps)
この時間正確性が必要になります。
この計算がおおよそ実情に沿うかわかりませんが、
150cmの距離の所に対して100μmのずれは0.038°であり、
周期が1.25μsの超音波の中で位相を変化させるわけですから、
それくらいのオーダーの時間正確性が必要ではないか?
そうすると
今のイスラエルのExAblate Neuro 4000の
1mmというスポットサイズを律速しているのは
おそらく、タイミング回路とピエゾ素子の時間正確性ではないか?
このように推測しました。
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