細胞外小胞の分離技術はS/N比10^7-10^8、
これくらいの感度を目指しますが、
これは微小残存病変を想定した
組織として非常に小さなものを想定した感度です。
実際にはこれよりも数桁落ちたとしても
それでも劇的な改善です。
これができるとなると
生物学、薬学、医学、医療において
私は利用の仕方をちゃんと最適化すれば
地味なことだけど、劇的な影響を与えると考えます。
私は小児脳腫瘍に焦点を当てているため、
基本的には脳腫瘍の治療のためにどうすればいいか?
それを考える事が中心ですが、
ここでは、違った疾患に対する価値について考えます。
といっても、ほんの少しの考察です。
例えば、主に高齢期で生じ、
日本を始め、世界の平均寿命が延びて、
同時に出生率が下がった時に問題となる
アルツハイマー病、パーキンソン病、
それらと独立ではないですが認知症。
これら、高齢期に好発する脳神経系変性疾患があります。
医療資源、
それを経済的、体力、精神的にも支える
特に若い世代に対しての社会問題も想定されます。
すなわち、単に医療の問題だけではないということです。
少し、口語的に言い方を変えると
「その重い負担を誰が支えるんだ?」
「それ、私たちの子供の世代だぞ。」
ということです。
ジリジリと、徐々に静かな有事として
この問題が大きくなります。
今の時点であまり明言しないです。
今日はきっかけがあったので(4)、
私の頭の中にある事の一部をこの記事で説明します。
当然、小児脳腫瘍は脳神経系のがんなので
それに対して開発していく医療技術、医療システムは
脳神経系に高い親和性を持つ事になります。
例えば、
磁気共鳴分析/全頭部固定集束超音波装置の開発は
主に脳神経系の組織を観察したり、
あるいは、脳神経系の病変を治療するためのものです。
これは、上述した疾患、精神疾患を含め
脳神経系の疾患に広く適用可能です。
例えば、
超音波で特定の脳神経を刺激する事は
すでに治療として提案されています。
私の技術の中で非常に重要な項目です。
もう一つ、私の技術の中で最重要なのは
細胞種特異的な、細胞種解像度を持った
非常に高い選別性を有する細胞外小胞分離技術です。
これを高次元の分離方法で実現させる事を考えます。
考え方、方法としては比較的シンプルなので
低中所得国でも、うまくいけば普及する可能性があります。
この細胞種特異的薬物送達システムは
少し大げさですが、私の人生そのものです。
私の生涯、切って離せる技術ではないということです。
従って、一番の思い入れがあるということです、
本当なら、この技術を最優先でやるのが筋ということになります。
しかし、私は、技術して
言い方は悪いですが「泥くさい部分も含む」
細胞外小胞の分離技術を最優先、最重要として定めています。
少なくとも科学技術として、全然、華々しくはないです。
なぜだと思われますか?
出来た時に、私の中では総合的に考えて
医療、社会、産業、安全保障(公衆衛生)あらゆる意味で
一番、早く、広範に付加価値をもたらすことができる技術だからです。
本当は個人的な思いとしては
細胞種特異的薬物送達システム。
これを最優先にしたいけど、
技術としても共通な部分もあるし、
分離技術を先にやるべきだという結論になっています。
この分離技術は私の取り組みとしては
脳神経系の小児脳腫瘍の
診断、(病理)分析、(個別)治療のために行います。
具体的には、脳神経系の病変部位、構成される細胞種からの
細胞外小胞を超高精度に検出する事を目指します。
脳神経系の細胞外小胞の循環器滲出は
血液脳関門があるので少し特別な要素があります。
従って、この先行した研究開発、そして産業化は
上述したような社会問題にもなりうる
脳神経系の神経変性疾患や精神疾患の
同じような診断、(病理)分析、(個別)治療に生かす事ができます。
より具体的には
アルツハイマー病のアミロイドβを細胞外小胞から取得し、
今までよりもさらに高感度に分析することができます。
バックグラウンドの参照データとして
アルツハイマー病の病理をもつ神経系細胞の
表面タンパク質(糖も含む)マーカーをある程度、特定して
それを標的にして、
脳腫瘍と同じような手順で
病変部位の細胞種特異的な細胞外小胞分離技術を行い、
精製された病変部位特異的な物質を
内容物、膜、表面物質にわけて
マルチオミックス解析をすることで、
非常に高度な診断、病理分析、個別治療を提供できる可能性があります。
こういった方法(Methods)、手順(Protocol)は
小児脳腫瘍とほとんど共通なので、
一旦、個人の患者さんに適用できるような
装置処理能力の向上、人的労力、コスト低減。
これらのシステムを構築すれば、
それは他のあらゆる疾患に多く適用可能ということです。
このシステムを有効に構築するため
私も主要に関与して
別で医療機関に対してサービスを提供する法人を立ち上げてもいいです。
最終的にデータに基づいて薬の提案を先生(医師)にするまでの
手順を完全に病院ごとわけてするよりも
特定の法人がすべてそこまでを請け負って、
責任を持ってサービスとして集中的に行う。
私は、どちらかというとそういうシナリオが現実的であると考えています。
当然、今の私の頭の中にも素案として、
ラージ言語モデルを含めてどういう風に人工知能を使い
それに対して、結果出力したいかというのがあります。
今、重要な情報としてValeria Governa先生らが報告してる
グリオーマ(膠芽細胞腫:GBM)の
人の細胞由来のSurfaceomeの論文を観ています(4)。
背景の所では、細胞の表面を標的にした現在承認された薬剤は
おおよそ2/3(67%)にあたるとされています(7)。
抗体薬物複合体も含めた抗体薬剤も含まれます(5,6)。
これだけ承認される(全体の67%)という事は
臨床で確かな効果があるという統計的な示唆です。
表面タンパク質は細胞種特異的薬物送達の基本的概念にもあるように
薬物送達のための標的としても利用できるし、
例えば、細胞接着分子では様々なアダプタータンパク質、細胞骨格を
細胞内で引き付ける為、
細胞接着分子の結合による配座などの変化は
そうした物質を介して、細胞の機能に関わる細胞内経路を誘導します。
従って、
標的としても利用できるし、
結合した時の細胞内機能の制御にも関与できるという事です。
逆言えば、それがあるからこそ
表面マーカーを標的とした薬物も薬効を示すということです(5,6)。
従って、細胞表面にある物質を包括的の評価する事は大切ですが、
個別の患者さんに対して組織取得して分析する事には限界があります。
でも、そういう課題を取っ払った状態で
潜在的にある個別医療の需要には
表面タンパク質が重要なのであれば、
それぞれの患者さんに対してリアルタイムで
病変部位の様々な細胞種の表面タンパク質を分析して
それを標的として定めたいという事があります。
確認ですが、この分離技術とは関係なく
確かに需要としてありますよね?
でも、組織を都度、あらゆる患者さんに対して
とても取得できないから、現実的にはできません。
数少ない脳腫瘍のSurfaceomeの報告も
マウスや人のケースですが、
実際に人の身体の中の環境で生育した病変細胞ではありません。
特殊な細胞株で任意の条件で培養した細胞です(4)。
人の身体の中では免疫細胞による免疫的作用
細胞外マトリックスによる機械的作用(8)
代謝物質、細胞外小胞による内分泌的作用
細胞同士の相互作用(組織的作用)
いろんな影響を受けて、
細胞は表面タンパク質を調整しています。
従って、分析されたSurfaceomeの結果は
条件によって異なる可能性があるし、
患者さんによっても異なるし、
もっといえば、1人の患者さんでも毎日変化しているかもしれません。
そうした中で正確性にはある程度、限界がありますが、
それでも患者さんごとリアルタイムに
病変部位の表面タンパク質を高精度に分析出来たら
こうしたケースよりも正確性は上がると考えられます。
確かに細胞外小胞では細胞全体の情報は取れません。
例えば、高度に組織的に保持された
細胞核にある染色体の情報を取る事は難しいです。
しかし、
あらゆるサイズの細胞外小胞を特異的に分離すれば、
リアルタイムで、患者さんごと、
病変部位の細胞の物質の「一部」を分析する事ができます。
もちろん、難しさはある。
例えば、循環器で関係のない物質を付着させたり
取り込んだりします。
そうしたのは全てノイズであり
それをどうハード、ソフト(データ処理(9))で除去するか?
そうした課題は確かにあります。
しかし、これは多分、乗り越える事はできます。
例えば、細胞外小胞の膜情報は
元々はそれは細胞内の膜ですから
エンドソーム、細胞膜の2重脂質膜の情報そのものです。
表面タンパク質も同様。
内腔の内容物は細胞質にある物質です。
非常に高精度に分離する技術がもし成功すれば、
単に、今までのように病気があると診断するだけではなく、
病変部位にある細胞種の細胞の情報を
特異的に分離して分析するチャンス、機会が与えられるという事です。
しかも、その手段は液体生検、
すなわち血液、尿、(高度化すれば)唾液で可能です。
組織取得よりも極めて現実的な方法で
リアルタイムの患者さんの情報を得られる可能性がある
ということです。
私が行おうとしていることは
個別の患者さんに対して医療現場でそれが機能するような
システムを組むことを開発する事です。
非常に精度の高い分離技術を開発したとしても、
その物質情報を分析する能力(装置能力、コスト、情報処理能力)。
これらがなければ、私たちの努力の半分は無駄になります。
だから、同時にやらないといけない事は
そうした一連の分析がその時の資源で実現可能で、
その分析に対して有効な結果を出力するシステムの構築です。
それを、個別の医療機関の医師を始めとした
医療スタッフに届けるという事です。
当然、私の対象疾患は小児脳腫瘍なので
それに対してこうしたシステムが機能するように動きますが、
説明からわかるように、
これは小児脳腫瘍にしか当てはめる事の出来ない
システムではありません。
方法と手順からして、全ての疾患に適用可能です。
ただ、今わからない事の一つとして
細胞外小胞だけからの情報で、
どこまで正確に病変部位の細胞種の情報を分析できるか?
その前提に対する不確定性は残ります。
それに対しても、より有効になるように
「あらゆるサイズ」
「あらゆる小胞の物質(表面物質、膜、内容物)」
これらを分析対象とすることで
その限定性の程度を緩和するということです。
展望として確かな潜在性はあるものの、
この事も含めて、実際にシステムとして
どれくらい有効に機能するかはわかりません。
従って、
それを私は優先的に検証するということです。
同時にこれは医療だけでなく
環境、食品、安全保障(主に感染症、パンデミック)。
これらにも関わります。
技術として地味で、華々しくはありません。
沈んでいく物質を分けるだけです。
一流の科学雑誌に掲載されるような技術ではありません。
でも、だからこそ、シンプルで普及可能ということです。
高尚な設備を必要としないかもしれません。
細胞種特異的薬物送達システムを超えて、
なぜ、私が最も注力して分離技術をするのか?
私が本当に医療のことを強い思いを持って考えているからです。
言い換えると
私の独自の技術を成立させるよりも
運悪く難しい疾患を抱えた人たちの命を救い、
その人の幸せの一部に貢献する事のほうがずっと大事です。
素直に私の頭の中にある技術を俯瞰した時、
この地道な分離技術が一番大事である。
その判断によるものです。
ただし、私は今は「頭の中」「文章」だけで考えています。
実際に実験、検証するとなると状況には必ず相違があります。
血液中の細胞外小胞を1ppmの精度で特異的に分けるという事は
はっきりいって「むちゃくちゃな」目標です。
これの難しさは細胞外小胞を実際に扱っている人は
私以上に知っていることです。
従って、
日本政府も含めて、
「できる」という前提で考えてもらっては困ります。
また、私が想定している付加価値が
何らかの理由で出せないかもしれない。
でも、今は、
非常に限られた情報の中で知恵を絞って
何とかできるように考えている段階です。
文章を読むとあたかもできるように錯覚するかもしれないですが、
まだ、実験の一つもしていないということです。
それが絶対的な事実です。
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(3)
Melanie Generali, Yoshihiko Fujita, Debora Kehl, Moe Hirosawa, Maximilian Y. Emmert, Jun Takahashi, Simon P. Hoerstrup & Hirohide Saito
Purification technologies for induced pluripotent stem cell therapies
Nature Reviews Bioengineering (2024)
(4)
Valeria Governa 1, Hugo Talbot 1, Kelin Gonçalves de Oliveira 1, Myriam Cerezo-Magaña 1, Anna Bång-Rudenstam 1, Maria C Johansson 1, Ann-Sofie Månsson 1, Karin Forsberg-Nilsson 2, György Marko-Varga 3 4 5, Julio Enríquez Pérez 6, Anna Darabi 6, Johan Malmström 7, Johan Bengzon 6 8, Charlotte Welinder 1, Mattias Belting 9
Landscape of surfaceome and endocytome in human glioma is divergent and depends on cellular spatial organization
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