2021年8月17日火曜日

ACE2エントリー受容体をRBDタンパク質で蓋する構想

最近、日本において入院していない状態でも
医療スタッフがいる状態でのホテルなどの施設において
薬剤による治療(抗体カクテル療法など)が可能になっています。
今、入院している人は中等症以上であり、
呼吸器が損傷を受けている状態なので、
その原因となる免疫調整などを行う必要性があります。
一方、まだ症状が軽い段階では、
体内のウィルスを減らすことが優先されます。
ウィルス量の最大値を減らすことができれば、
中等症以上になる確率を減らすことができると考えられるので
罹患してから速やかに予防的な観点も含めて
抗体カクテル療法や抗ウィルス薬などの投与が有効である
と考えられます。
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ウィルスを減らすためには
体内でのウィルスの様々な経路が標的となります。
抗体カクテル療法ではワクチンと同様に
新型コロナウィルスのSタンパク質に抗体が結合することにより
ACE2受容体との結合を防ぎ、細胞内の感染確率を減らすことができます。
従って、ウィルスが細胞に感染する前の細胞外の介入です。
一方、
レムデシビルなどの抗ウィルス薬の場合は、
細胞内のRNAの増殖を防ぐ役割があるため、
新型コロナウィルスが細胞内に感染した時の
増殖率を下げる役割があります。
従って、細胞内を標的とした医療介入となります。
その他の観点として
ACE2受容体を任意に作製した結合部位(RBD)を
ウィルスの構造と独立した状態で単体として結合させ
ACE2受容体と新型コロナウィルスが結合する前に
この受容体に「蓋をする」方法があります。
これは細胞外の介入で
ウィルスではなく細胞に作用する薬です。
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Jiří Zahradník, Shir Marciano, Maya Shemesh(敬称略)らは
RBD-62というじACE2受容体結合面(RBD)が
ワイルドタイプよりも数千倍強く
変異(α、β、γなど)に対して大きく変化しない(Fig.4b参照)
ユニバーサル性に優れた構造を見出しています(1)。
Jiří Zahradník氏らは
鼻腔からこのRBD-62を投与して、
呼吸器の細胞のACE2受容体を蓋することを想定しています。
このRBD-62は正に強く帯電しており
ACE2受容体の結合面が負に帯電している事から
静電引力によって強い結合力を生み出していると考えています。
この電気的な特徴は重要であると考えられます。
後は、個別の残基の結合上の相互作用や
空間的な整合性などが結合力に関係すると考えられます。
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これらの薬の有用性を評価するにあたっては
副作用の程度などの安全性もありますが、
中心的な項目はウィルスをどれだけ効率的に減少させる事ができるか
ということです。
また、継続的に生じている変異に対する感受性もあります。
変異に対して効果があまり変化しない
「ユニバーサル性」に優れていれば、
薬剤としての価値が高いという事になります。
おそらく、ウィルスそのものに作用するよりも
身体(細胞)に作用する薬のほうが変異に強いのではないか?
と推測しています。
ウィルスの場合は
一定の確率で変異を繰り返し、
感染力が高い系統、株が主要になります。
自然選択の法則から維持能力が高いものが残るからです。
一方、身体、例えば細胞に作用するものも
生き残る細胞が主要になります。
従って、ウィルスや外敵に弱い細胞は淘汰され、
それらに強い細胞が生き残る事になります。
前述した
ACE2受容体に蓋をするRBDを体内に入れる薬剤では、
その薬に対して効き目の高い細胞が生き残ることになります。
RBDが効かなくなるケースを考えると
細胞が変異して、ACE2受容体の構造、配座を変える事を意味します。
しかし、そのような細胞はウィルスの侵入を受けやすく
生き残ることが難しくなります。
このような観点で考えると
細胞側の不利な変異は生じにくいと考えられます。
一方、ウィルスは結果的には
そのような身体の防御機能が
社会規模で大きくなった場合においては
それをすり抜けるウィルスが残ることになります。
他方で、ウィルス側に結合する抗体においては
少しの構造変化で親和性を大きく変えてしまいます。
もし、ACE2を蓋する場合においては
それをすり抜けるために多くの構造変化が必要な場合においては
変異に対して強いと言える可能性があります。
従って、
持続性、量、発現場所(部位)、安全性などの
可能性の是非は置いておいて、
ワクチンにおいてもユニバーサル性を上げるためには
ウィルスそのものに作用するよりも
ACE2受容体を蓋するような
あるいはTMPRSS2を抑制するような
物質が細胞によって生まれるような
ワクチンが望ましいと考えられます。
なぜならこれらは体、細胞側に作用するからです。
しかし、身体側に作用するという事は
身体の生理機能を変えるという事を意味します。
ACE2受容体を通した機能に影響を与える可能性があり、
この点から健常者に対する身体側への介入において
安全性の障壁は大きい可能性があります。

//Discussion//---
 Fundamentally, if we can sufficiently decrease the maximum and/or total virus road after infection, the symptom becomes mild. However, if such treatment is delayed and the virus road increases, our immune system is disturbed, resulting that respiratory organ is damaged. Therefore, early administration of anti-viral drug is necessary even in the persons without risk factor, because current variants have high infectivity. Hence, setting the medical protocol able to prescribe anti-viral drug in any medical center early is urgent in the world. 
 Jiří Zahradník, Shir Marciano, Maya Shemesh et al. demonstrate effective and universal anti-viral drug candidate, in which RBD-62 protein itself binds to ACE2 receptor independent of SARS virus structure, meaning covering ACE2 receptor so that SARS-CoV-2 virus cannot bind to this receptor(1). This RBD-62/ACE2 can maintain blockage from several variants of SARS-CoV-2 including α, β, γ. Many structural changes may be needed to penetrate this strong binding (RBD-62/ACE2). On the other hand, S protein-antibody complex is affected with tiny structural change in this binding affinity. Therefore, initial binding strength in RBD-62/ACE2 makes influence of blockage from virus, and is easy to maintain. RBD-62 highly has positive charge and ACE2-binding domain has negative change, so electrostatic attractive force contributes to binding strength. 
 They assume that this drug is administrated intranasally after infection. Can we take advantage of this concept for vaccine and prophylactically? 

(Reference)
(1)
Jiří Zahradník, Shir Marciano, Maya Shemesh, Eyal Zoler, Daniel Harari, Jeanne Chiaravalli, Björn Meyer, Yinon Rudich, Chunlin Li, Ira Marton, Orly Dym, Nadav Elad, Mark G. Lewis, Hanne Andersen, Matthew Gagne, Robert A. Seder, Daniel C. Douek & Gideon Schreiber 
SARS-CoV-2 variant prediction and antiviral drug design are enabled by RBD in vitro evolution
Nature Microbiology (2021)
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Author information
Affiliations
Department of Biomolecular Sciences, Weizmann Institute of Science, Rehovot, Israel
Jiří Zahradník, Shir Marciano, Maya Shemesh, Eyal Zoler, Daniel Harari, Ira Marton & Gideon Schreiber
Chemogenomic and Biological Screening Core Facility, Institut Pasteur, Paris, France
Jeanne Chiaravalli
Viral Populations and Pathogenesis Unit CNRS UMR 3569, Institut Pasteur, Paris, France
Björn Meyer
Department of Earth and Planetary Sciences, Weizmann Institute of Science, Rehovot, Israel
Yinon Rudich, Chunlin Li & Ira Marton
Department of Life Sciences Core Facilities, Weizmann Institute of Science, Rehovot, Israel
Orly Dym
Department of Chemical Research Support, Weizmann Institute of Science, Rehovot, Israel
Nadav Elad
Bioqual, Rockville, MD, USA
Mark G. Lewis & Hanne Andersen
Vaccine Research Center, National Institute of Allergy and Infectious Diseases, National Institutes of Health, Bethesda, MD, USA
Matthew Gagne, Robert A. Seder & Daniel C. Douek


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