2020年8月3日月曜日

COVID-19ワクチンによって亢進したヘルパーT細胞

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

免疫機能というのは天秤に例えられることがあります。
つまり強めようとする作用と抑えようとする作用があって
それらのバランスによって成り立っている
と考えられます。
サイトカインストームというのは
免疫の暴走といわれます。
それが肺炎などの原因となっていると考えられている
と理解しています。
その暴走とは、上で述べた均衡状態が崩れて
免疫を強めようとする物質の中で
炎症を引き起こすような物質をうまく抑えられていない状態
だと考えています。
体の適正な恒常性のために重要な役割をになっている
一つの細胞群は、ヘルパーT細胞だと考えられます。
Th細胞、CD4+T細胞といわれます。
このヘルパーT細胞には
Th1、Th2と二つの亜型があるといわれています。
Th1は細胞を仲介した様々な生体反応を強めるものです。
作用サイトカイン:IL-12, IFN-γ, IL-2
作用細胞: CD8 T細胞, IgG B細胞, IFN-γ CD4 T細胞
だと考えられています。
一方、
Th2は体液性の免疫反応を導くとといわれています。
作用サイトカイン:IL-2, IL-4, IL-5, IL-9, IL-10, IL-13, IL-25
作用細胞:好酸球, 好塩基球, 肥満細胞, B細胞, IL-4/IL-5 CD4 T細胞
だと考えられています。
従って、
ヘルパーT細胞は様々な免疫細胞、サイトカインに作用して
それらの司令塔のような役割をしていると考えられます。

参考文献によれば、
ChAdOx1Cov-19という複製を無効化した
アデノウィルスワクチンによって
バランスのとれたTh1/Th2細胞の機能を引き出すことができた
と言われています。
つまりヘルパーT細胞の機能を全体的にうまく
引き出すことができたといえます。
その中で、
人でははなくアカゲザルのケースですが、
肺炎を防ぐことができたといわれています。
考えられる理由の一つとして
気管支肺胞、気道下部のウィルス量を劇的に減らすことが
できたことが考えられます。

このワクチンに対して
プライムブーストという投与方法では
IgG抗体、中和抗体は56日間、
つまり2か月近くは維持しています。
ただ、抗体価が最大値まであがるまでは
少し時間がかかっていることが特徴です。

ワクチンを接種することで
ヘルパーT細胞の活性化がみられるので、
罹患した後に速やかにワクチンを摂取するという
治療戦略も考えられます。
抗体の感染の増加だけではなく
免疫細胞やサイトカインに働きかける機序もあるので
薬のような役割として
ワクチンを使うという治療も考えられると思います。

以上です。

(参考文献)
Neeltje van Doremalen, Teresa Lambe, Alexandra Spencer, Sandra Belij-Rammerstorfer, Jyothi N. Purushotham, Julia R. Port, Victoria A. Avanzato, Trenton Bushmaker, Amy Flaxman, Marta Ulaszewska, Friederike Feldmann, Elizabeth R. Allen, Hannah Sharpe, Jonathan Schulz, Myndi Holbrook, Atsushi Okumura, Kimberly Meade-White, Lizzette Pérez-Pérez, Nick J. Edwards, Daniel Wright, Cameron Bissett, Ciaran Gilbride, Brandi N. Williamson, Rebecca Rosenke, Dan Long, Alka Ishwarbhai, Reshma Kailath, Louisa Rose, Susan Morris, Claire Powers, Jamie Lovaglio, Patrick W. Hanley, Dana Scott, Greg Saturday, Emmie de Wit, Sarah C. Gilbert & Vincent J. Munster 
ChAdOx1 nCoV-19 vaccine prevents SARS-CoV-2 pneumonia in rhesus macaques
Nature (2020)
doi.org/10.1038/s41586-020-2608-y


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