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新型コロナウィルスに罹患された患者さんのうち
重症になった場合には、
Ⅰ型インターフェロンの量が少なかった
という報告があります。
このインターフェロンは抗ウィルス性を示すので
その分泌量減少に注目が集まっています。
一方、
Ⅲ型インターフェロンは粘膜表面で主に機能を示す
ということで注目されています。
最近の報告では、抗ウィルス活性を示すとともに
好中球による組織のダメージを制限する
というものがあります。
しかし、肺でⅠ型、Ⅲ型インターフェロンが
長期的に作用した時の
肺組織に対する影響はわかっていません。
つまりウィルスを撃退することができるかもしれない
一方で、肺の正常な組織に対する影響は
わかっていないということです。
Ⅲ型インターフェロンの肺での影響を
調べるために「マウス」で
その分泌量を上げるpoly(I:C)を投与して
肺での影響を調べた結果、
肺胞の上皮細胞の組織修復を抑制して
上皮バリアを損傷させると同時に
細菌などによる2次感染が起こりやすい可能性が
示唆されました。
このⅢ型インターフェロンは樹状細胞によって
放出され、TLR3経路が活性化された時のみに
誘発されることが樹状細胞の試験管内の実験によって
明らかになっています。
またpoly(I:C)にtriphosphate hairpin RNA
を細胞内に運ぶことができれば、
Ⅰ型インターフェロンだけを亢進させ
Ⅲ型インターフェロンを抑えることができる
ことがわかっています。
一方、Ⅰ型インターフェロンについて。
インフルエンザウィルスに感染させたマウスの実験において
(※新型コロナウィルスではない)
インターフェロンの放出を制御する受容体の活動
を抑えたマウスとの比較において
Ⅰ型インターフェロンも同様に
細胞分化の抑制の関連性が示唆されています。
これらの結果から
Ⅰ型、Ⅲ型インターフェロンは
おそらくウィルス感染細胞に対する攻撃には
効果を発揮するかもしれないけど、
それが長期間、肺胞の上皮細胞に放出され続けた時には
回復期において組織の修復に悪影響を与えるかもしれない
ということが示されました。
つまり
治療において少なくなっている
インターフェロンの量を薬剤によって
制御しようとしたときには、
そのタイミング、期間、
同時に肺の状態のモニターは欠かせないかもしれない
ということが示唆されます。
また、すでに肺組織の機能が落ちている状態では
細菌などによる2次感染のリスクが高まる可能性があります。
以上です。
(参考文献)
(1)
Achille Broggi et al.
Type III interferons disrupt the lung epithelial barrier upon viral recognition
Science 07 Aug 2020:
Vol. 369, Issue 6504, pp. 706-712
DOI: 10.1126/science.abc3545
(2)
Jack Major et al.
Type I and III interferons disrupt lung epithelial repair during recovery from viral infection
Science 07 Aug 2020:
Vol. 369, Issue 6504, pp. 712-717
DOI: 10.1126/science.abc2061
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