2020年8月27日木曜日

COVID-19:免疫系の性差

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

新型コロナウィルスにおいて、
高齢の方、あるいは糖尿病、肥満、癌などの
既往歴のある方は重症化しやすいという
事はわかっています。
私が今までニュースを見る限り、
性差に関しての情報が繰り返し取り上げられる
事はあまりありません。
しかし、世界では新型コロナウィルスで
亡くなられた方の60%は男性であるといわれています。
イギリスの1700万人の調査でも
男性の方がリスクが高いと言われています。
一般的に
他のウィルス(A型肝炎、結核、HIVなど)に対しても
男性の方がウィルス量が多い、
あるいは罹患しやすいといわれています。
新型コロナウィルスに関しては未知ですが
女性の方がワクチンに対する免疫応答が
基本的に良いといわれています(2)。

日本に関しては詳しいデータは公表されていませんが、
治療を行っている医師の方は
現場で何となく性別の差について感じているかもしれないし、
実際にデータでも表れているかもしれません。

アメリカのイェール大学による
イェールニューヘブン病院の患者さんにおける
5月の数十人規模の調査によれば、
免疫機能の中のT細胞に統計的な有意差がある
ことが示されました。
特にキラーT細胞であるCD8+T細胞の差が
罹患した時の男女で顕著に表れています。
女性の方が多くなっています。
このキラーT細胞のいくつかの表現型は、
重症化した患者さんで少なくなっていることが
わかっているので、
女性が重症化しにくい、あるいは命を失いにくい
理由としてこの差が関係している可能性が示唆されます。
このキラーT細胞は自然免疫系であり、
ウィルスに感染した細胞を死滅させる役割がある
と考えられるので、
罹患後のウィルスの増殖率に差が出ている可能性を
考えました。
日本でもこのキラーT細胞において
同じような傾向がみられるか気になるところです。

以上です。

(参考文献)
(1)
Takehiro Takahashi, Mallory K. Ellingson, Patrick Wong, Benjamin Israelow, Carolina Lucas, Jon Klein, Julio Silva, Tianyang Mao, Ji Eun Oh, Maria Tokuyama, Peiwen Lu, Arvind Venkataraman, Annsea Park, Feimei Liu, Amit Meir, Jonathan Sun, Eric Y. Wang, Arnau Casanovas-Massana, Anne L. Wyllie, Chantal B.F. Vogels, Rebecca Earnest, Sarah Lapidus, Isabel M. Ott, Adam J. Moore, Yale IMPACT research team, Albert Shaw, John B. Fournier, Camila D. Odio, Shelli Farhadian, Charles Dela Cruz, Nathan D. Grubaugh, Wade L. Schulz, Aaron M. Ring, Albert I. Ko, Saad B. Omer & Akiko Iwasaki 
Sex differences in immune responses that underlie COVID-19 disease outcomes
Nature (2020)
doi.org/10.1038/s41586-020-2700-3
(2)
Fink,A et al.
Biological sex affects vaccine efficacy and protection against influenza in mice. 
Proc. Natl Acad. Sci. USA 115, 12477–12482 (2018). 
doi.org/10.1073/pnas.1805268115.


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