2020年8月15日土曜日

COVID-19:Ⅰ型インターフェロンの作用と副作用

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

Ⅰ型インターフェロンは自己分泌、傍分泌の作用機序で
一般的に宿主細胞に対する抗ウィルス性を
示すことで知られています。
しかし、SARS-CoV-2の初期の調査、研究結果では
このⅠ型インターフェロンが分泌不足、
一方で炎症性を示すサイトカイン(TNF,IL-6,NF-κB)の
産生が多くなっていることが確認されています。
それが重症化と関係している可能性が示唆されています。

しかしながらⅠ型インターフェロン(IFN-Ⅰ)については
このことが単純に当てはまらないような結果も出てきています。
例えば、重症の新型コロナウィルスの患者さんの中には
このIFN-Ⅰが多く分泌されている人もいます。
従って、IFN-Ⅰが少ないことが
一方的に、あるいは普遍的に関係しているか
という点において懐疑性を与えるものです。
これらの結果を総合的に考えると
検出の方法、場所、あるいはタイミングなどによって
IFN-Ⅰの分泌量に差があり、
この影響を見るときには、
これらの要素を考慮する必要があるということです。

またIFN-Ⅰは抗ウィルス性を示しますが、
一方で炎症性を亢進する働きがSARS-CoVのマウスの
研究結果から得られています。
従って、
今では逆にIFN-Ⅰの信号経路を抑える
JAK抑制剤を使う臨床研究が行われています。
JAK抑制剤の一つとして、
バリシチニブが挙げられています。
ただ、この薬は他の炎症性サイトカインの
活性を弱める働きもあるので、
排他的にIFN-Ⅰの抑制の効果を見ているわけではない
という点において注意が必要です。

またインターフェロンは3つタイプがあり、
そのうちの一つであるⅢ型インターフェロンは
炎症効果を引き起こさずに
抗ウィルス性を示す可能性が示唆されています。

あくまで私の仮説ですが、
おそらくⅠ型インターフェロンは
ウィルスが増殖を初期でこの働きによって
抑えられると重症化を防ぐことができるかもしれません。
十分にウィルスが増えてしまった状態では
Ⅰ型インターフェロンが異常に分泌しすぎて
副作用である炎症性の効果が大きく出てしまう
ということがあるのかもしれません。
従って、感染した時の初期に
うまくこのⅠ型インターフェロンが働いた場合、
症状の悪化を防ぐ一翼を担う可能性を考えました。

以上です。

(参考文献)
Jeong Seok Lee & Eui-Cheol Shin 
The type I interferon response in COVID-19: implications for treatment
Nature Reviews Immunology (2020)
doi.org/10.1038/s41577-020-00429-3


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