フィブリノゲンは細胞外マトリックスではありませんが、
細胞外マトリックスと密接に関連する重要な役割を果たします。
フィブリノゲンは血液中のタンパク質であり、
損傷した血管や組織で凝固カスケードを通じてフィブリンに変換され、
フィブリンネットワークを形成します。
このフィブリンネットワークは、血液凝固における血栓の形成や傷口の修復に重要です。
また、フィブリンネットワークは、一時的な細胞外マトリックスのように機能し、
傷口の治癒過程で細胞の足場を提供する役割を果たします。
従って、このブログでは細胞外マトリックス関連物質として扱います。
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上述したようにフィブリノゲンは血小板を架橋する重要なたんぱく質で
血管が損傷を負ったときに止血する機能がある
血液凝固と関連があります。
先天性フィブリノゲン疾患には量と機能の2軸の問題があります。
無フィブリノゲン血症(afibrinogenemia)は
血液中にフィブリノゲンが全く存在しない状態です。
低フィブリノゲン血漿(hypofibrinogenemia)
血液中のフィブリノゲンの量が通常よりも少ない状態です。
これらは当然「量」の異常です。
異常フィブリノゲン血症(dysfibrinognemia)は
血漿中のフィブリノゲンの機能に異常が出る状態です(1)。
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フィブリノゲンはEmanuele Bellacchio(敬称略)らがFigure 1に示すように(2)、
アスペクト比の非常に大きなcoiled-coil構造を持つ
α、β、γチェーン構造が互いに巻き付いて横長(or 縦長)の構造をとります。
両サイドとセンターに高度に折りたたまれたmodule構造を取ります。
センターはnode E、二つの再度のノードは nodes Dと呼ばれます。
フィブリノゲンは45nmの長さの糖たんぱく質で分子量は340KDaです。
これらの異なるチェーン構造は17か所の重要なジスルフィド結合を取ります。
この結合が複合体としての構造的な安定性を支持します(3)。
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活性化されたトロンビンとFactor II (FIIa)は
フィブリノゲンをフィブリンに変えます。
これは出血反応として生じます。
このフィブリンは血小板に絡みつき、血小板の塊を形成し、
出血が生じている組織破壊が生じている内皮組織に引き付けられ、
これらの塊が空間を塞ぎ、止血します。
(参考文献(1) Figure 1)
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冒頭で述べた様に先天的に(遺伝子的に)フィブリノゲンに異常が生じる事もありますが、
一方で、獲得型、つまり後天的にフィブリノゲンに異常が出る事があります。
フィブリノゲンは主に肝臓で産生されるので、
肝臓に機能障害が出ると、フィブリノゲンの産生が低下します。
あるいは癌によってフィブリノゲンの消費が異常に多くなることで
癌以外の領域において相対的に機能が低下する事もあります。
(参考文献(4) Table 1)
このフィブリノゲンはコラーゲン、アクチン、ミオシン、ヘモグロビン
これらの次に多い5番目に多く含まれるたんぱく質です。
循環器は全身に及んでいて、あらゆるところが
程度の差はあれ、損傷のリスクがあるため、
常に全身の血管内に一定のフィブリノゲンが必要です、
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フィブリノゲンは血小板のGPIIb/IIIa受容体と特異的に結合する能力があります。
細胞外小胞などの表面タンパク質は血液中でコロナ形成されることがあります(5)。
フィブリノゲンが血小板凝固の機能を維持するためには
こうした他のタンパク質との相互作用を極限まで減らす必要があります。
従って、フィブリノゲンがどういった4次元的な構造、
すなわち3次元構造の時間的変化を取るか?
それを詳細に知る事は細胞外小胞に装飾するタンパク質の
標的特異性を血液内でも維持するための技術のヒントになります。
フィブリノゲンは通常は結合部位が
折り畳み構造によって露出しない構造となっています。
しかし、出血に伴うpH、イオン濃度、凝固因子、酵素の作用で
その折り畳み構造を変化させます、
これは静電引力やタンパク質相互作用(疎水性相互作用)などによって
3次元構造を変えられることを意味します。
こうした細かい3次元構造の変化は詳しくは知られていません。
しかし、血液中でどのように真性な構造を維持して、
かつ、必要な時に結合活性を高めているか?
その過程で3次元構造の変化があるはずなので、
それを知る事は細胞種特異的薬物送達システムにも関わる事です。
私が提案する4つの技術
(s)細胞種特異的薬物送達システム
(1)特注細胞外マトリックスパッチ治療
(2)フック弾性誘導組織回復治療
(3)コラーゲン回復治療
(s)Cell-type specific drug delivery system
(1)Customized ECMs patch medicine
(2)Hooke's elasticity-indueced tissue recovery medicine
(3)Collagen healing medicine
((1)-(3)は仮名)
これらにおいて細胞種特異的薬物送達システムの実現は
(2)(3)を含めたすべての内科的治療に影響を与えます。
私が注力する送達キャリアである細胞外小胞は
循環器を多く場合通るので、
血液中で設計した構造を安定的に保つ必要があります。
他のタンパク質を複合体として巻き込んでしまうと
当初の設計指針が大きく崩れてしまいます。
従って、理想的には初めは高度の折りたたんで
結合を不活性にしておき
病変部位の特異的な信号を拾って、
3次元構造を変えて、結合活性を高めるようなシステムを組みたいです。
その場合、フィブリノゲンのように
血液中で非常に重要な機能を持つたんぱく質が
どのように3次元構造を変えているのかを知る事は
細胞種特異的薬物送達システムの装飾タンパク質の
4次元構造の設計指針に繋がります。
具体的に、
こうした配座の変化を病変部位の特異的な環境条件で
インテグリンやコネクソンなどの
細胞接着分子でも誘導できないか?という事は検討の余地があります。
こうしたことはすでに自然に起こっているかもしれないので、
病変部位の環境を再現して、
不活性状態から活性状態への3次元構造の変化が
環境駆動で生じないか?の詳細な構造解析を
生体外でもいいので実施することは重要です。
あるいはコンピューター上で計算、解析する事も意味があります。
(参考文献)
(1)
Giovanni Luca Tiscia1 and Maurizio Margaglione
Human Fibrinogen: Molecular and Genetic Aspects of Congenital Disorders
Int J Mol Sci. 2018 Jun; 19(6): 1597.
(2)
Emanuele Bellacchio
Mutations Causing Mild or No Structural Damage in Interfaces of Multimerization of the Fibrinogen γ-Module More Likely Confer Negative Dominant Behaviors
Int. J. Mol. Sci. 2020, 21(23), 9016
(3)
T M Pozdniakova, V N Rybalchuk, A V Il'ina, Iu A Davidovich, S V Rogozhin
[Effect of peptides--structural analogs of NH2-terminal sites of fibrin alpha- and beta-chains--on specific binding of the NH2-terminal disulfide bond of fibrin with fibrinogen]
Ukr Biokhim Zh (1978). 1986 Mar-Apr;58(2):10-5.
(4)
Martin W Besser1 and Stephen G MacDonald
Acquired hypofibrinogenemia: current perspectives
J Blood Med. 2016; 7: 217–225.
(5)
Eszter Á. Tóth, 1 Lilla Turiák, 2 , 3 Tamás Visnovitz, 1 Csaba Cserép, 4 Anett Mázló, 5 Barbara W. Sódar, 1 , 6 András I. Försönits, 1 Gábor Petővári, 7 Anna Sebestyén, 7 Zsolt Komlósi, 1 László Drahos, 2 , 3 Ágnes Kittel, 8 György Nagy, 1 , 9 Attila Bácsi, 5 Ádám Dénes, 4 Yong Song Gho, 10 Katalin É. Szabó‐Taylor, 1 and Edit I. Buzáscorresponding author
Formation of a protein corona on the surface of extracellular vesicles in blood plasma
J Extracell Vesicles. 2021 Sep; 10(11): e12140.
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