2024年8月17日土曜日

敗血症医療に対する細胞外小胞の付加価値の定義

(要約、背景)(1)
敗血症は細菌やウィルスの循環器の侵入による
制御不能な全身性の炎症、免疫反応であると考えられています。
それによって臓器の損傷を引き起こします。
適切な医療の提供により死亡率は低下しています。
しかし、敗血症には段階があります。
軽い症状から重篤まであります。さらに、
最も重篤な敗血症の分類に当たる、敗血性ショックは
異常な乳酸値の高まり(hyperlactataemia)、
それと同時に起こる低血圧を呈します。
低血圧なので血管を収縮させる昇圧剤による治療が必要ですが、
病院内の死亡率は30-50%に当たります。
アメリカを筆頭にThe Lancet誌に2020年に報告された
2017年の年間推計によれば(3)、
死亡率は75代以上の後期高齢になればやや高くなります。
なぜなら、高齢になると容態が急変するリスク
すなわち敗血症ショックに急速に移行することが高まるからです(2)。
子どものケースでは全世界で2017年の年間発生件数は
5歳以下:2030万人 死亡 290万人
5-19歳:490万人 死亡 45万人
これらの推計となっています(3)。
従って、年齢幅を考慮すると
死亡率差よりも発生確率の差のほうが圧倒的に大きくなっています。
この背景にはおそらく免疫機能(13)、腸内細菌叢(14)の発達(未熟さ、不安定性)も
関連していると考えられます。
早くに診断がつき、適切な治療を受ければ
今や敗血症もすぐに命を脅かすような疾患ではなくなっていますが、
救命が実現されても、長期的な身体への悪影響は免れないとされています。
持続する炎症、免疫抑制、臓器損傷、組織の衰弱など
多岐にわたる体への悪影響が考えられます。
その様な長期的な影響は体細胞からなる身体だけではなく
脳、それに伴う認知機能にも影響を与えます。
身体と脳の連携に関わる実行機能障害も生じることがあります。
(参考文献(4) Figure 2)
上述したように現在示されている最適な治療を受ければ、
病院内での急性期の死亡確率を下げることができますが、
免疫調整を行う薬物による結果は今のところ良好ではありません。
また、治療における子ども特異的な信頼性の高いエビデンスはありません(4)。
今のところ敗血症の予期や臨床結果を予測する
効果的なバイオマーカーは見つかっていません。
敗血症に対する治療は単純ではないため、
臨床効果の改善は徐々に起こる可能性はあるが、
急激に改善する可能性は低いかもしれないとされています(1)。

(内容)
敗血症の発症率は1990年から2017年まで持続的な減少傾向にあります。
この期間でおおよそ全世界で30%程度、減少しています。
(参考文献(3) Figure 1)
しかし、国ごとに発症率は異なります。
例えば、平均寿命の長い日本、スイス、韓国は
世界の中で最も低い水準となっています。
ヨーロッパ、カナダ、オーストラリアなども同様に最も低い水準です。
世界的に最も高いのは東南アジア、南アジア、アフリカです。
(参考文献(3) Figure 3上図)
国で定められた子どものワクチンプログラムが確立しているか?
あるいは生活環境、衛生管理
(水資源管理、調理プロセス、ゴミ処理、空気汚染、交通整備、人畜環境)などは
当然、感染症に影響を与えますから、敗血症発症率に影響を与えます。
また、死亡率は発症率とおおよそ正関数でありますが、
アメリカ、中国、イギリスは発症率に対して死亡率が低いです。
(参考文献(3) Figure 3下図)
これらの国の医療レベルは世界最高峰ですから、
この事は敗血症に発症した時の医療機関へのアクセス、
治療プログラムの重要性を投影します。
--
上述したように敗血症の主な原因は細菌の侵入であることが
乳酸値の高まりなどが敗血症ショックと関係性を持つ事から推定されます。
上の段落で述べた発症率の高い低中所得国での
敗血症に繋がる細菌は高所得国に比べて多様です。
それらについて参考文献(4)のFigure 1に従ってより詳細にまとめます。
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低・中所得国 (LMICs) の病原体
1. Plasmodium spp
特徴: マラリアの原因となる原虫。ヒトに感染し、赤血球を破壊することで発熱や貧血などを引き起こす。主に蚊によって媒介される。
感染領域: 熱帯・亜熱帯地域。
2. Dengue virus (デングウイルス)
特徴: 蚊が媒介するデング熱の原因となるウイルス。高熱、発疹、関節痛を引き起こす。
感染領域: 熱帯地域。
3. Escherichia coli (大腸菌)
特徴: 腸内に常在する細菌の一部が病原性を持ち、腸炎や尿路感染症、敗血症を引き起こす。
感染領域: 全世界。
4. Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌)
特徴: 皮膚感染症、肺炎、骨髄炎、敗血症の原因となる細菌。
感染領域: 全世界。
5. Streptococcus pneumoniae (肺炎球菌)
特徴: 肺炎や髄膜炎、敗血症を引き起こす細菌。
感染領域: 全世界。
6. Klebsiella pneumoniae (クレブシエラ肺炎菌)
特徴: 肺炎、尿路感染症、敗血症を引き起こす病原性細菌。
感染領域: 全世界。
7. Salmonella typhi (and non-typhoidal Salmonella) (腸チフス菌および非腸チフス性サルモネラ)
特徴: 腸チフスの原因となる菌で、感染性胃腸炎を引き起こす。
感染領域: 熱帯・亜熱帯地域。
8. Neisseria meningitidis (髄膜炎菌)
特徴: 髄膜炎および敗血症の原因となる細菌。主に飛沫感染による。
感染領域: 全世界。
9. Streptococcus pyogenes (化膿連鎖球菌)
特徴: 喉の感染症、皮膚感染症、猩紅熱、敗血症を引き起こす細菌。
感染領域: 全世界。
10. Acinetobacter (アシネトバクター)
特徴: 医療関連感染症、特に多剤耐性菌として注目されている。敗血症を引き起こすことがある。
感染領域: 全世界。
11. Enterobacter (エンテロバクター)
特徴: 腸内細菌で、尿路感染症、肺炎、敗血症を引き起こすことがある。
感染領域: 全世界。
12. Burkholderia pseudomallei (バークホルデリア・シュードマレイ)
特徴: メリオイドーシスの原因となる細菌で、敗血症や肺感染を引き起こす。
感染領域: 熱帯地域。
13. Streptococcus suis (豚連鎖球菌)
特徴: 主に豚からヒトへ感染し、髄膜炎、敗血症、難聴などを引き起こす。
感染領域: 東南アジア、ヨーロッパなど。
14. Rhinovirus (ライノウイルス)
特徴: 風邪の主な原因ウイルス。重篤化することは少ないが、免疫低下者では合併症が起こりうる。
感染領域: 全世界。
15. Influenza spp (インフルエンザウイルス)
特徴: 季節性インフルエンザの原因。重症化すると肺炎や敗血症を引き起こす。
感染領域: 全世界。
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高所得国 (HICs) の病原体
1. Influenza spp (インフルエンザウイルス)
特徴: 季節性インフルエンザの原因。特に高齢者や免疫低下者で重症化しやすい。
感染領域: 全世界。
2. Escherichia coli (大腸菌)
特徴: 尿路感染症や腸炎の原因。敗血症を引き起こすことがある。
感染領域: 全世界。
3. Streptococcus pneumoniae (肺炎球菌)
特徴: 肺炎、敗血症、髄膜炎の原因となる。
感染領域: 全世界。
4. Streptococcus pyogenes (化膿連鎖球菌)
特徴: 扁桃炎、皮膚感染症、猩紅熱、敗血症の原因。
感染領域: 全世界。
5. Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌)
特徴: 肺炎、皮膚感染症、骨髄炎、敗血症を引き起こすことがある。
感染領域: 全世界。
6. Coagulase-negative staphylococci (凝固酵素陰性ブドウ球菌)
特徴: 医療機器関連感染症の主な原因。敗血症の原因となることがある。
感染領域: 全世界。
7. Neisseria meningitidis (髄膜炎菌)
特徴: 髄膜炎および敗血症の原因。飛沫感染で広がる。
感染領域: 全世界。
--
ここからも重要です。
日本ではワクチンプログラムが遵守されていますが、
1. Influenza spp (インフルエンザウイルス)
これに対しては
ヒブ (Haemophilus influenzae type b, Hib)
ワクチン名: ヒブワクチン
対象: 2か月~5歳未満の子ども。細菌性髄膜炎や敗血症など、ヒブによる重症感染症を予防します。
-
3. Streptococcus pneumoniae (肺炎球菌)
特徴: 肺炎、敗血症、髄膜炎の原因となる。
これに対しては
ワクチン名: 肺炎球菌ワクチン (PCV13: 13価肺炎球菌結合型ワクチン)
対象: 2か月~5歳未満の子ども。肺炎や髄膜炎、敗血症を予防します。
-
これらがあります。
しかしながら、日本のような新生児死亡率が低く(0.8%)(15)、
年少の子どもの健康(肥満率の低さ)が極めて高い国(特に女の子)。
(参考文献(5) Fig.1)
これであっても、一定のリスクがあります。
例えば、大腸菌や黄色ブドウ球菌に対するワクチンは存在しません。
大腸菌は主に食中毒で生じます。
食肉や乳製品が非適切に処理されると混入される事があります。
汚染された水も感染源となるため、
上水、下水などの水資源の適切な管理も求められます。
近年、日本を始め、世界的に多発する洪水などの自然災害時には
汚染された淡水への暴露が増える為、
小さい子ども、高齢者に対しては特に感染症へのケアが必要になります。
黄色ブドウ球菌も自然に存在する菌ですが、
大腸菌と同じように大量に暴露されたり、
免疫が弱っていたり、
あるいはカテーテルや人工呼吸器などにおいて
身体への暴露性が高まっている医療介入時に感染しやすいです。
私は日本人で他の国よりも状況を詳しく知っているので
日本の現状にあてはめて世界の人に情報共有しました。
一方で
発展途上国の場合は上述したように
感染源となる細菌やウィルスの種類が圧倒的に多く管理が難しくなります。
従って、敗血症の予防、治療、予後管理など
敗血症への医療貢献を考える時には、
低中所得国を基準として考える必要があります。
その基準内に部分集合として高所得国の対策も共通化されるからです。
本日、この記事で紹介する
細胞外小胞をバイオマーカーとする提案は
こうした敗血症への重要な医療貢献因子となりうるものです。
非常に重要な観点が含まれるため独立に記事を立ち上げる事にしました。
--
細胞外小胞は人を含めて、一般的な動物だけではなく、
細胞膜を持つ細菌の生態においても重要な役割を果たします(6)。
こうした細菌(ウィルスではない)と細胞外小胞は
その生態において密接な関わりがありますから(6)、
細胞外小胞によって人、動物の生体内にいる細菌種を
細胞外小胞の膜情報、膜タンパク質、内容物を分析することによって
原理的に特定する事が可能です。
これが、発展途上国を中心とした子どもの公衆衛生(Public health)(7)改善に
大きく将来的に貢献する可能性があります。
例えば、敗血症では5歳以下の子どもが亡くなる上位の疾患であり(1,4,8)
先進国でも病態が急変して、死亡に至るため(3日以内)、
敗血症ショックに発展してしまうと現在の発達した医療においても
救命を実現できない事があります。
また、救命を実現できたとしても、後遺症が残るケースもあります。
上述したように敗血症は多くの場合、細菌の生体内の侵入が関わっているため、
こうした細菌を取得が簡便な尿や血液などのバイオマーカーで
高精度に検出できれば、
敗血症がどういった細菌と密接に関わっているかの分析や
その分析に基づいたバイオマーカーによるリスク因子の特定、
敗血症ショックへの進展確率など早期の成果な診断につながります。
早期の適切な治療は確実に高い救命率につながるので(9)、
敗血症における高精度なバイオマーカーへの期待は大きいです。
その検出モダリティー(手段)の候補の一つは間違いなく細胞外小胞です。
ただし、迅速かつ正確な判定の為には
迅速かつ多様な細胞外小胞の物質解析があります。
但し、これを実現するためにはある程度の労力も必要です。
上述した敗血症のリスクとして挙げられる細菌種が
どういった特性の細胞外小胞を放出するか?
その把握が前提として必要になります。
その前提の元、バイオマーカーとして特定するために
迅速かつ多様(あるいは有効な)解析が必要です。
その速度と正確性向上実現のためには当然、AIの力(10)が必要です。
--
敗血症のバイオマーカとして細胞外小胞の価値を見出すためには
現時点で挙げられている様々なバイオマーカーに対して
それ以上の付加価値を提供する必要があります。
ここで今、挙げられている血液検査でわかるバイオマーカーを示します(16-19)。
--
(炎症や感染症のバイオマーカー)※値は一般的な正常値
C-reactive protein (CRP)    < 3.0 mg/L
Procalcitonin (PCT)    < 0.05 ng/mL
IL-18    0 - 100 pg/mL (値は状況によって異なる)
CD64    正常範囲は標準化されていない(MFIで測定)
sFAS    < 1 ng/mL (参考値)
sVCAM-1    390-724 ng/mL (成人の範囲)
PERSEVERE 専用のアルゴリズムでリスクを予測するため、単純な基準値はない
-
(血液検査・他の検査項目)
Full blood count (FBC)    各成分ごとに異なる(下記参照)
- 赤血球 (RBC)    男性: 4.7-6.1 x 10^12/L 
                女性: 4.2-5.4 x 10^12/L
- 白血球 (WBC)    4.0-11.0 x 10^9/L
- ヘモグロビン (Hb) 男性: 13.8-17.2 g/dL 
                    女性: 12.1-15.1 g/dL
- ヘマトクリット (HCT)    男性: 40.7-50.3% 
                        女性: 36.1-44.3%
- 血小板数 (PLT)    150-450 x 10^9/L
Procalcitonin (PCT)    < 0.05 ng/mL (前述)
Platelet count    150-450 x 10^9/L
Clotting screen    PT: 11-16秒 
                APTT: 30-40秒
Renal function tests    血清クレアチニン: 0.7-1.2 mg/dL 
                        eGFR: > 60 mL/min/1.73m²
Liver function tests    ALT: 7-56 U/L 
                        AST: 10-40 U/L 
                        ALP: 44-147 U/L 
                        Bilirubin: 0.1-1.2 mg/dL
Blood culture    無菌であることが正常
--
では、これらに対して細胞外小胞は具体的にどういった付加価値を提供するか?
それは、単にバイオマーカーとしての価値だけではありません。
また、バイオマーカーもその瞬間の精度だけではなく、
炎症が現れる前の初期で示されるか?
それも重要です。
上述したような炎症マーカーは一定の遅れがあるからです。
なぜなら、免疫機能が高まるのは
当然、細菌や細菌が放出する有毒物質の高まり、
あるいはそれが血管内に侵入した後の結果だからです。
従った、その細菌や細菌が放出する物質「そのもの」を検出できれば、
当然、精度だけではなく、より早く検出する事が可能です。
また、細胞外小胞は「物質の集合体」ですから、
個別にバラバラの物質を独立して評価するのとは違います。
物質同士の関連性を含めた
相関係数の高い高次の分析が可能になります。
これは細胞外小胞をバイオマーカーとして利用するときに
細胞外小胞が示す付加価値の一般的な事です。
物質の集合体としての情報は特異性を高めます。
従って、原理的に細菌種の特定もできるはずであると推測します。
実際に敗血症の血中バイオマーカーとして
細胞外小胞を利用することは最新の研究報告として存在します(11)。
この時に理想的なのは細菌が放出した細胞外小胞を検出することです(12)。
細菌種の特定は敗血症の精密治療(Precision medicine)(10)につながります。
例えば、上で挙げた低中所得国で敗血症の原因となる
15種類の典型的な細菌に対する抗菌薬は共通性もありますが、
当然、理想的にはその細菌に最も適した抗菌薬があるはずです。
今、現時点の治療薬を列挙します。
-
Plasmodium spp (マラリア)
特異的抗菌薬: クロロキン、アトバコン・プログアニル、アルテミシニン系薬剤、メフロキン。
Dengue virus (デングウイルス)
治療法: 抗ウイルス薬は存在しないため、対症療法(解熱剤、十分な水分補給など)を行う。
Escherichia coli (大腸菌)
特異的抗菌薬: セフトリアキソン、シプロフロキサシン、トリメトプリム・スルファメトキサゾール(病原性株に対して)。
Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌)
特異的抗菌薬: メチシリン(メチシリン感受性)、バンコマイシン(メチシリン耐性MRSA)。
Streptococcus pneumoniae (肺炎球菌)
特異的抗菌薬: アモキシシリン、ペニシリンG、セフトリアキソン、バンコマイシン(耐性株に対して)。
Klebsiella pneumoniae (クレブシエラ肺炎菌)
特異的抗菌薬: セフトリアキソン、カルバペネム(多剤耐性菌に対して)。
Salmonella typhi (and non-typhoidal Salmonella) (腸チフス菌および非腸チフス性サルモネラ)
特異的抗菌薬: セフトリアキソン、アジスロマイシン、シプロフロキサシン。
Neisseria meningitidis (髄膜炎菌)
特異的抗菌薬: ペニシリンG、セフトリアキソン、リファンピシン(予防目的)。
Streptococcus pyogenes (化膿連鎖球菌)
特異的抗菌薬: ペニシリン、アモキシシリン、クリンダマイシン。
Acinetobacter (アシネトバクター)
特異的抗菌薬: カルバペネム(多剤耐性株にはポリミキシンやチゲサイクリンが使用される)。
Enterobacter (エンテロバクター)
特異的抗菌薬: セフトリアキソン、カルバペネム。
Burkholderia pseudomallei (バークホルデリア・シュードマレイ)
特異的抗菌薬: メロペネム、ドキシサイクリン、セフトリアキソン。
Streptococcus suis (豚連鎖球菌)
特異的抗菌薬: ペニシリン、セフトリアキソン。
Rhinovirus (ライノウイルス)
治療法: 抗ウイルス薬は存在しないため、対症療法が行われる(解熱剤や鼻詰まり解消薬など)。
Influenza spp (インフルエンザウイルス)
特異的抗ウイルス薬: オセルタミビル(タミフル)、ザナミビル(リレンザ)。
-
従って、細胞外小胞によって血液中に影響を与えている細菌種が分かれば、
その細菌にあった抗菌薬を適用できるため精密医療につながるはずです。
さらに、炎症の部位が炎症マーカーや他の組織からでる細胞外小胞の分析、
あるいは患者が直近どういった環境にさらされたか?
患者が呈する臨床症状。
これらの総合的に分析によって明らかになれば、
特定の抗菌薬をどこに(呼吸器、消化器)に送達させたら効果的かもわかります。
こういう観点での精密医療(Precision medicine)もあります。
また、そうした治療実績を電子カルテで記録していく事は、
世界的に敗血症がどういった細菌で生じやすいか?
こういった今現時点でわかっていない詳細な疫学データの蓄積に繋がります。
また、敗血症に罹った患者さんの細胞外小胞を分析する事は
敗血症の病理の理解につながる可能性ももちろんあります。
「細菌を直接、検出すればいいのでは?」
このような意見も当然あると思いますが、
細胞外小胞は細菌よりも2桁程度大きさが小さく、拡散性も高いです。
また、数が圧倒的に多いため、検出できる数も多いです。
従って、少ない細菌の循環器侵入、
あるいは消化器や呼吸器で細菌の影響が高まっている場合に
早期にそのシグナルとして炎症マーカーよりも
正確に特異的に検出できる潜在性を有しています。
最終的に最も特異性の高い細胞外小胞の物質を特定できれば、
細胞外小胞からプロテオーム解析など時間のかかる測定をする必要がないため、
医療設備が整っていない低中所得国への医療への適用の現実性も出てきます。
しかし、細胞外小胞は普遍的な物質のため、
どうやって細菌から出た細胞外小胞を分離するかは最低限必要です。
--
従って、こういった価値の高い出口戦略を
私が手掛ける細胞外小胞の開発には派生的に存在するので、
今述べた様に細胞外小胞を簡便な様式でより細かく分離する技術(20)。
こうした技術開発を出口戦略を見据えて進めていく事が極めて重要です。


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