2024年8月25日日曜日

エクソソーム内外の可逆的物質交換技術

(背景、概要)
私が2039年7月末までに臨床試験開始を目指す4つの医療技術
(s)細胞種特異的薬物送達システム
(1)特注細胞外マトリックスパッチ治療
(2)フック弾性誘導組織回復治療
(3)コラーゲン回復治療
(s)Cell-type-specific drug delivery system
(1)Customized ECMs patch medicine
(2)Hooke's elasticity-induced tissue recovery medicine
(3)Collagen healing medicine
(※(1)-(3)はいずれも仮名)
これらのうち(1)を除く(s)(2)(3)は内科的治療であり、
それを底辺で支えるのが細胞種特異的薬物送達システムです。
私が人生を終える前、寿命が85歳までだと仮にすると、
今から40年後ですから、2064年となります。
その5年前、すなわち2059年には
アンチエイジングの為の臨床試験を開始します。
成功すれば、私の孫世代はこの医療が受けられます。
その人生のゴールを見据えると、炎症部位を利用できないため、
循環器からの積極的な滲出が必要なため、
細胞外小胞のサイズはできるだけ小さい方がいいです。
細胞外小胞のサイズは30-1000nm径ですから、
できれば、30-100nmくらいにしたいということがあります。
このサイズは術語体系では「エクソソーム(Exosome)」となります。
このエクソソームはサイズが非常に小さいですから
非破壊で内容物を任意に抜き出したり、
あるいは特定の物質を封入したりすることが難しいです(1)。
しかし、
エクソソームを上述した(s)(2)(3)の技術の
薬物送達媒体として利用するためには
iPS細胞技術によって分化、増殖した
質の良い任意の細胞種から分泌されたエクソソームは
形成過程で細胞内の物質を取り込みますから、
エクソソームから一旦、このような物質を抜く工程と
抜いた後、任意の物質を封入する工程が基本的に必要となります。
例えば、
線維芽細胞からのエクソソームを利用すれば、
線維芽細胞で生み出されるトロポエラスチンやコラーゲンを
生物技術革新(Biomedical innovation)によって
後工程で封入しなくても形成過程で自然に入れられる技術が生まれるかもしれません。
当然、あらゆる意味で原価低減になりますから、
こうした技術を追究する事を委任する代表者に
その監査役として私は要求しますが、
普通に考えると任意に出し入れする技術は必要なので、
その高い生産技術を獲得する事は必ず実施する事です。
従って、この封入(Cargo Loading)に関する独立した詳しい記事を書くことは
その基盤を整える今の段階で取り組みとして必須であるという事です。
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現在知られている有力な封入方法は以下です(1)。
Incubation(培養) - 細胞や試料を特定の環境下で一定時間保持し、反応や成長を促すこと。
Electroporation(電気穿孔法) - 細胞膜に一時的に孔を開けるために電気パルスを使用し、遺伝子や薬剤を細胞内に導入する方法。
Sonication(超音波破砕) - 超音波を用いて細胞や分子を物理的に破砕・混合する技術。
Extrusion(押し出し成形) - 材料を一定の圧力で微細な孔やノズルから押し出し、特定の形状やサイズにする方法。
Freeze–thaw cycling(凍結融解サイクル) - 凍結と融解を繰り返すことで、試料の性質や構造を変化させる方法。
Transfection(遺伝子導入) - 外来の遺伝子や分子を細胞内に導入し、その細胞で発現させる技術。
しかしながら、
いずれの方法も高い効率での封入には至っていません(1)。

(内容)
特に大きさが30-100nmのエクソソームに対して
内容物を非破壊で出し入れする事は容易ではない事は想像可能です、
基本的には一時的に膜を破壊して、内容物を取り出し、
その後、膜を再度、自己形成によって連続化させる、回復させるという事が必要です。
超音波の気泡生成だけでは、良い条件が見つからない可能性があります。
従って、同時に駆動できる別の条件があれば、最適化による実現可能性は高まります
その一つが凍結-融解プロセスです(2)。
このプロセスでは細胞膜を凍結による氷の結晶が一時的に変形、穴をあける効果を
持たせる事が溶液、温度、温度変化速度、サイクル数などの最適化によって可能かもしれません。
そうした状態で融解させた段階で拡張するので内容物が外に出るルートが生まれます。
そうしたプロセスの中で圧力変化を与える超音波をタイミングよくかけることで
内容物の取り出し、あるいは逆のプロセスで入れることが可能かもしれません。
いずれいしても凍結-融解は超音波処理と組み合わせてできる事と
系の温度を変える事は比較的容易にできるので、
超音波だけで条件が見つからないなら検討の価値があります。
また、系の温度を変える事は電気穿孔法のような電界を掛ける事とも組み合わせることができます。
エクソソームは特にテトラスパニン、細胞接着分子を装飾している場合には、
互いに干渉して凝集しやすい性質があります。
凝集すると浸入するための物理的、幾何学的ルートが制限されるため、
薬物、RNAなどを細胞外小胞内に入れる効率が低下します。
従って、ベースとなる電場、磁場、音場などによって
細胞外小胞を分散させながら、封入条件を探す必要があるかもしれません。

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いずれの方法においても、エクソソーム内に入れる内容物の特性によって
封入効率が変化します。
例えば、脂溶性、脂質親和性の高く(lipophilic)
かつ、低分子の材料はエクソソームへの封入効率が高い傾向にあります。
なぜなら、薬物がエクソソームの細胞膜に引き付けられやすい
近接して分布する方が細胞膜に穴が開いたときに、
中に入る確率が高まるからです。
従って、本質的には細胞外小胞に入れたい物質を近づける事が大切なので、
それ以外の方法も考えられます。
例えば、
細胞膜が電場、磁場、音場などによって破壊されやすいところに傾向があるとします。
そこに存在する傾向にあるたんぱく質や糖があれば、
そのたんぱく質や糖に引き付けられやすいメカニズム(複合体化)などを組み込んで
より細胞外小胞近傍に集合しやすいように最適化することです。
当然、複合体化などはプロセスを複雑にするため、
より簡便な方法で実現することが好ましいです。
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例えば、脂溶性が高く低分子量の脳腫瘍の薬は以下です。
これらの薬は原理的に細胞外小胞に小児脳腫瘍の薬として
封入するのに適した薬剤の候補となりえます。
(1)Everolimus (エベロリムス)
LogP: 4.1 (高脂溶性)
分子量: 958.22 g/mol ≈ 0.958 kDa
適応症: 上衣腫、星状細胞腫など
特徴: mTOR阻害薬で、脂溶性が高く、脳腫瘍に対して使われることがあります。タビスト系疾患に関連した脳腫瘍に効果的です。
mTORは細胞の成長、増殖、アポトーシスの停止など癌の特性に関わっている可能性があります。
(参考文献(7) Figure 6)
また、小児脳腫瘍に対して効果があるかどうかのエビデンスは揃っていませんが、
髄芽腫(Medulloblastoma)(3)、グリオーマ(4)などへの適用が検討されています。
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(2)Selumetinib (セルメチニブ)
LogP: 2.99 (中程度の脂溶性)
分子量: 456.74 g/mol ≈ 0.457 kDa
適応症: 脊髄性神経膠腫、NF1関連神経膠腫など
特徴: MEK阻害薬で、低分子で脂溶性があります。神経膠腫やその他の小児脳腫瘍に対する効果が期待されています。
例えば、以下の癌はいくつかの遺伝子変異が伴います。
(参考文献(5) Table 1)
(A)膠芽腫 (Glioblastoma)
関連遺伝子: BRAF, NF1, KRAS
膠芽腫は、BRAFやNF1の変異を伴うことがあり、これがMEK経路の活性化に寄与します。
(B)神経膠腫 (Glioma)
関連遺伝子: BRAF, FGFR1, FGFR2/3
神経膠腫は、BRAFやFGFRの変異により、MEK経路が活性化されることがあります。
(C)毛様細胞性星状細胞腫 (Pilocytic Astrocytoma)
関連遺伝子: KIAA1549-BRAF, FGFR1
この腫瘍はBRAF遺伝子の融合やFGFR1の変異によってMEK経路が関与します。
(D)多形黄色星状細胞腫 (Pleomorphic Xanthoastrocytoma)
関連遺伝子: BRAFV600E
このがんは、BRAFV600E変異がMEK経路を活性化することが知られています。
(E)悪性黒色腫 (Melanoma)
関連遺伝子: BRAFV600E, NRAS
悪性黒色腫は、特にBRAFV600EやNRASの変異を持つ場合に、MEK経路が主要な役割を果たします。
これらがMEK経路と関連している可能性があり、MEK阻害薬での介入余地があります。
MEKは癌細胞の生存に関わり(6)、悪性のグリオーマで活性化されているケースがあります。
(参考文献(7) Figure 6)

電気穿孔法(Electroporation)は外部から電界をかけ、
脂質膜に一旦穴をあける事によってエクソソーム内に内容物を入れる方法です(8)。
高い電圧の時間幅の短いパルス信号を溶液中のエクソソームに印加します。
こうして穴が開いても、また細胞膜は一定の時間で元に戻ります(9)。
例えば、印加される電圧は400V~1000Vで時間は1ms-10msです(9)。
従って、比較的高い電圧が印加されます。

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超音波はエクソソーム被膜を機械的シェアストレスにより変形させ、
エクソソームを中に入れる事ができます。
これによる処理でも37℃1時間後にはエクソソーム回復したと報告されています(10)。
しかし、形が変わったり、凝集を促進したりすることがあります(1)。
超音波を加えると時間に正の相関をもって気泡が成長していくことが
一般的に知られています(12)。
(参考文献(11) Figure 1)
一定時間で破裂するので、超音波を掛ける時にも
電場を掛ける時と同様に時間を調整する必要があります。
実際に電気穿孔法を含めて細胞外小胞に電場、磁場、あるいは音場を掛けるときには
細胞外小胞に均一にかかる事が好ましいため、
液体中に分散するように浮力と重力のバランスがとれた
液体を選択する事が好ましいです。
超音波を掛ける時にできる気泡は大きさによって
それが溶液中で浮くか、沈むかがきまりますが、
質量の大きな細胞外小胞が液中に留まる条件の液体を選択しますから、
通常は細胞外小胞の外にできる気泡は浮上すると考えられます。
そのような位置を制御するためには重力と気泡のバランスを考える必要があります(12)。
しかし、細胞外小胞の内部にできた気泡は、
その発展、破壊によって内部圧力を変えるために、
細胞膜に内側から力を与える事に貢献します。
従って、細胞外小胞の中にできる気泡をどのように制御するか?
それについて主要に考える必要があります。

--
エクストルージョンは、薬物と細胞外小胞の混合物を通すために、
孔径の異なる膜を備えたリピッドエクストルーダーを使用します。
孔径は通常、100~400 nmの範囲で設定されます。
この時に、高圧で細胞外小胞を通過させるため、
その圧力によって膜が変形、穴が開くことで
その環境内に存在する薬物が自然に中に入るというメカニズムです。
従って、エクスとルージョンでは細胞外小胞が溶解している
溶液内の圧力を空間的に制限しながら高める事で
膜を一時的に破壊する事によって薬物を挿入する事を試みます。

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実際に入れる薬物、RNAなどを細胞内で細胞外小胞が生成される段階で
自然な細胞内プロセスを利用して、封入する事を試みる事も大切です。
テトラスパニンなど細胞外小胞に引き付けられやすい
タンパク質と複合体化させるとか、
細胞外小胞が細胞内で形成されるプロセスを理解、
それを利用して、分泌細胞内に薬物やRNAを入れる事で
エクソソーム形成段階で入れる事を考えます。
この方法は、原理的に設備投資、製造工程を減らし、原価低減に貢献します。


(参考文献)
(1)
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Current Strategies for Exosome Cargo Loading and Targeting Delivery
Cells 2023, 12, 1416
(2)
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(4)
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