2024年8月1日木曜日

フィブリリンの構造、機能、応用

フィブリリンは糖たんぱく質からなる細胞外マトリックスで
そのマイクロ繊維構造は
体中に存在する上皮細胞組織、内皮細胞組織、筋組織(骨格筋、平滑筋、腱)など
結合組織(Connective tissue)を機械的に支持、保護する働きがあります。
細胞間の接合に関わるカドヘリンなどの接着結合、
オクルーディン、クローディンなどの密着結合などの細胞接着分子も
同様に結合組織を細胞間で支える細胞接着分子です。
また、こうした機械的支持のためには細胞との機械的な伝達ができる
機械的ネットワーク形成、その機械的ネットワーク形成の為の「節」が必要です。
その節の働きをするのがインテグリン、シンデカン、
サルコグリカン、ジストログリカン、ラミニン複合体です。
サルコグリカン、ジストログリカン、ラミニン複合板は主に筋系の組織で観られ、
筋系の組織はとりわけ強い機械的ストレスがかかりますから、
これらの複合体で形成される節は強く、シグナル伝達をあまりしません。
そのかわり、複合体として強い連携性を持っています。
シンデカンは側鎖として多様な糖鎖構造をとり、
この糖鎖が糖鎖と結合性の高い各種細胞外マトリックスに
構造的に絡み、多点結合を形成する事で節としての機能性を高めます。
この時、実質的に細胞外マトリックスは細胞の機械的特性を決める、
あるいは機械的ストレスを支える細胞骨格と連結していることになります。
これにより細胞、細胞の連結性、細胞外マトリックス繊維構造が
連携して、身体の機械的ストレスに対して機能性を持ちます。
例えば、心臓は生を受けてから、死ぬまで動き続けます。
血液を拍出するためには体積を変え、フック弾性(元に戻る弾性)が必要になります。
その為にはゴムのような特性が必要であり、
そのフック弾性を主に支えるのが心筋組織であり、
その心筋組織を機械的に支えるフィブリリン、エラスチンを含めた
弾性のある細胞外マトリックス繊維構造があります。
これは実質的に心筋組織の細胞骨格と細胞外マトリックスが
機械的なネットワーク構造を形成していることになります。
それによって連動した動きが可能になります。
フィブリリン、エラスチンを含む(含まない場合もある)繊維構造は
上述した細胞接着分子、インテグリン(5)とシンデカン(6)との結合性を持ちます。
フィブリリンは「糸を通したビーズ(beads-on-a-string)」のような
繊維構造を取ります。このビーズに当たるが高い弾性をもつエラスチンです。
(参考文献(3) Figure 1B)
このマイクロファイバーの径は10-12nmで(8)
エラスチンがあるビーズは57nm周期で存在する事(9)が
一例として確認されています。
これらのポリマー複合体からなる繊維構造は
成長初期の胎児では~1400kDa程度まで高分子化されます。
一方で、大人の組織ではさらに大きく~2500kDaまで巨大化されます(10)。
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フィブリリンは主に2つの主要なサブタイプがあります。
フィブリリン-1(Fibrillin-1): 
これは最も広く分布しているサブタイプで、エラスチン繊維の形成に重要な役割を果たします。
主に皮膚、血管、肺、靭帯などで見られます。
フィブリリン-1の異常は、マルファン症候群などの結合組織疾患と関連しています。
主に大人の組織で多く見られます。
2871アミノ酸数をとる糖たんぱく質であり、分子量は~320kDaです(7)。
フィブリリン-2(Fibrillin-2): 
主に胎児の発育段階で発現し、成体では少量しか存在しません。フィブリリン-2は胎児のエラスチン繊維の形成に関与しています。フィブリリン-2の異常は、低エラスチン症(などの疾患)と関連しています。
上述したようにフィブリリンはエラスチンと複合体化し、弾性ある繊維構造を提供します。
エラスチンやフィブリリンが機械的な力を調整することで
成長期の骨の形成を調整します。
フィブリリン-2と共にフィブリリンは骨の組織の足場として機能し
骨の成長、代謝、パターニングに関わるTGFβ and BMPシグナルを調整します(2)。
従って、マルファン症候群では骨の異形成が生じる事が特徴ですが、
こうした極端な変異だけではなく、
フィブリリン1、エラスチンが少ない状態であると骨の健全な成長が阻害されます。
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フィブリリンの構造はトータルで59ドメイン構造をとります。
従って、類似した構造を持つ同じドメインが繰り返されます。
N-terminal domain
構造: N-terminal domainはフィブリリンの最初の部分に位置し、タンパク質の開始部にあたります。このドメインは、他のドメインと比べて比較的短い部分で、全体の構造において安定性を提供します。
機能: このドメインはフィブリリンの初期の折りたたみと安定性に寄与し、他のドメインとの相互作用を助けます。エラスチンとの結合の前駆体として機能することがあります。
EGF-like domain
構造: EGF-like domain(エピデルミス成長因子様ドメイン)は、エラスチンとの結合を助ける多くのリピートユニットから構成されます。これらのドメインは、内部にジスルフィド結合を含むことが多く、安定した構造を提供します。
機能: EGF-like domainはカルシウムイオン(Ca²⁺)と結合し、構造の安定性を保つ役割があります。また、エラスチンと結びつくことで、弾性繊維の形成を助けます。
hybrid domain 
構造: Hybrid domainは、異なるタイプのドメインが組み合わさった複合的な領域です。これはフィブリリンの内部で複数の機能的な要素が融合している部分です。
機能: Hybrid domainは、フィブリリンがエラスチンと結びつくための重要な役割を果たし、弾性繊維の形成に必要な複雑な構造を提供します。この領域は、フィブリリンがエラスチンと相互作用するための柔軟性を持っています。
Prolin-rich domain
構造: Proline-rich domainはプロリンが豊富に含まれる部分で、フィブリリンの中で繰り返し構造を形成します。
機能: このドメインは、フィブリリンの弾性繊維の伸縮性や柔軟性を提供します。また、エラスチンとの結合に関与し、全体の構造における柔軟性を確保します。
Ca2+-binding EGF-like Domain
構造: Ca²⁺-binding EGF-like domainはカルシウムイオンと結びつく特定のEGF様ドメインです。これらのドメインはカルシウムイオンによって安定化され、構造的な変化を防ぎます。
機能: カルシウムイオンの結合により、ドメインの構造が安定化され、エラスチンとフィブリリンの結合を補強します。この安定性は弾性繊維の強度と弾力性に寄与します。
TB domain
構造:TB domainsは7つあり8つのシステインと4つのジスルフィド結合をもちます。
機能:エラスチンとの結合や弾性繊維の形成に関与しています。
C-terminal Domain
構造: C-terminal domainはフィブリリンの末端部に位置し、フィブリリンの全体的な構造を締めくくります。このドメインは、他のドメインとの相互作用において重要な役割を果たします。
機能: C-terminal domainは、フィブリリンの最終的な折りたたみと安定性を提供します。また、エラスチンとの結合や弾性繊維の形成に関与し、全体の構造を維持します。
これらからなります。
Ca2+-binding EGF-like Domainは構造的に繰り返され、大部分を占める事は
フィブリリンの3次元立体構造の安定化に寄与します
(参考文献(3) Figure 2)
エラスチンは皮膚、血管壁(動脈、静脈)、肺、心臓、骨格筋など
弾性が求められる組織に多く配置されています。
なぜエラスチンはSacha A Jensen(敬称略)らがFigure1A,B,Cに示すように(3)
周りにフィブリリンからなるマイクロファイバーがあって
それが一方向につならなるように繊維構造を取ると思われますか?
これには少し深い理由があります。
エラスチンの構造は疎水性ドメイン、親水性ドメイン、架橋ドメインからなり
疎水性ドメインが集まったり、広がったりすることで
体積変化が大きく、戻る力があるためフック弾性(Hookean Elasticity)を持ちます。
しかし、こうした伸縮の方向が安定しないというデメリットがあります。
筋肉、肺、心臓、血管の動きでは上皮組織、内皮組織、筋組織の方向に一致して
伸縮する特性が求められます。そうした場合、エラスチン単独の場合
ベクトルがバラバラになることから有効に伸縮特性を生かすことができません。
こうした伸縮の力の方向性を整えるための重要な繊維構造がフィブリリンです。
Sacha A Jensen(敬称略)らのFigure1A,B,Cのように
エラスチンの周りにマイクロファイバーを形成して
多点的な結合を実現する事で結合状態を安定化させ、
全体として繊維構造の方向をおおよそ1方向に揃える事で
エラスチンが持つフック弾性の特性のベクトルをその方向に収束させる機能があります。
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(思い描くストーリー)
特注細胞外マトリックスパッチ治療(Customized ECMs patch medicine)(仮名)、
これで病院の医師が先天的に心臓に疾患のある子ども、青年(4)の
心拍数、血圧、心臓の形、心臓の大きさ、
心臓の動き(メッシュによるトポロジカル3次機械的特性)をAIで分析して、
この子供、青年の循環器に整合する形で心臓の目標の動きを設定し、
その実現のために外側から外科的にアプローチするときに
どの部分にどういった機械的特性のパッチを貼れば、
おおよそ任意の割合で目標に近づくことが明示された。
医師はそれを確認して、
私が監査役を務める信頼あるデータ解析センターに注文します。
データ解析センターはそれらのデータを見て、問題がないかどうかを確認し、
医師にその旨を伝え、製造センターへ発注をかけます。
製造センターではiPS細胞技術を使った主に
非常に良質な繊維芽細胞から生み出されたエラスチン、フィブリリンを
遠心分離機で分けて、精製し、材料の元となる物質が貯蔵されています。
(ここでは人工合成の廉価品は使われません。)
データ解析センターから受注を受けて、
目標の大きさ、形、機械的特性、心臓との結合特性になるように
それらの繊維構造が専用の装置で組み立てられます。
ある程度の大きさのシートになったら、
精度をしっかり合わせて目標の形となるように切り取ります。
シートは予備を含めて2枚作られます。
(デリバリーを含めて、何らかの理由で喪失されることを防ぐためです)
これらは全部自動で行われます。
心臓の最外周部は繊維性心膜であり、主要な細胞種は線維芽細胞です。
この細胞外マトリックスパッチは
この心膜の繊維芽細胞に発現されるインテグリン、シンデガンに
しっかり結合するように設計されます。
目標の機械的特性になっているかは出来上がったシートに
伸張歪を機械的にかけて、それをモニターして
その映像から目標の機械的特性になっているか確認が行われます。
これをクリアしたら、今度はコンタミネーションのチェックが行われます。
これらは真空のボックスの中で行われます。
大気に触れないように自動でパッケージングされ、外部に出されます。
これらの全工程は通常、一週間で終了します。
無事、日本の大阪大学病院に届けられました。
今回の患者さんは5歳の女の子(匿名)です。先天的に心臓に疾患(4)があります。
大阪大学の心臓外科の執刀医は
人工知能が示した正確な位置にシートを貼り付ける必要があります。
それはどうしたら実現が可能か?
執刀医の加藤先生(仮名)は専用のゴーグルをつけています。
それによって心臓の位置に対してメッシュが切られ、
目標位置が正確にゴーグルから見える映像に映し出されています。
しかし、この映像は「ほとんど透明」です。
従って、加藤先生の実際の視野はほとんど失われません。
正確に貼り付けるためのメッシュ、補助線がでるだけです。
その補助線に合わせて、加藤先生はシートを貼り付けます。
これは将来的には全て自動で行われる予定です。
この手術の映像は東京大学病院、
ハーバードメディカルスクールなどを含めて
世界の多くの病院にリアルタイムで映像が送られています。
無事、ほとんど誤差なく、
細胞外マトリックスシートを貼り付けることができました。
開胸した胸部を縫合し、閉鎖しました。
女の子の容態が安定した数日後、
再び、加藤先生は女の子の心臓の動きを造影し、
人工知能が示した結果通りになっているか確認します。
当然、シートの細胞の接合の効率ロス、
未知の細胞骨格の分布の影響などがあるため、一定の誤差が生じます。
細胞実験、マウスの実験、コンピューター解析、専用AIの構築、
データベース化も含めて涙ぐましい労力を費やし
15年間ここまで積み上げてきました。
今日は2039年7月31日です。私ももう60歳になりました。
今日が、世界で初めての症例です。
その精度は58%でした。目標は80%でしたが届きませんでした。
(後日、この事実を国民、国に報告し、謝罪することになります。
結果に対する全責任は私あるからです。
原因を解明し、目標の80%に必ず到達させます。
但し、最も防がないといけない急死、機能不全は免れました。)
しかし、心臓の弾性は顕著に改善しました。
それの数字データを丁寧な説明を添えて、
女の子の両親に手渡しました。
今回は臨床試験の為、万が一のリスクに対する合意がとられているかわりに
費用な全額負担で、親御さんへの請求は一切ありません。
そのデータをもとに加藤医師は他の医療スタッフを含めて
この女の子のその後の人生をずっと定期的に管理していきます。
加藤医師が定年になっても、そのデータは確実に他の医師に引き継がれます。
この患者さんの数十年の経過はデータベースとして記録され、
その経過も臨床試験の一部であるため、
少なくとも半分の費用は患者さん負担になりません。
、、、、
(ストーリーは続く)
エラスチンの弾性を生かした繊維構造のパッチを作る時には
その弾性の方向を揃えるためにはフィブリリンの複合体化
規則正しい繊維構造は必要になります。
Sacha A Jensen(敬称略)らがFigure.3Cに示すように
特定の方向におけるモデル化においては
フィブリリン同士の重合体化が必要であり、
それにはN-terminal C-terminal domainが関与します。
また、フィブリリンの繊維構造を中間で支えるクロスリンカーも必要です。
それがtrans-glutaminaseです。
トランスグルタミナーゼは、フィブリリンの繊維構造を形成する際に
重要なクロスリンクを作り出します(11)。
この酵素は、フィブリリン分子間のグルタミン酸とリジンの残基を結びつけ、
強固なクロスリンク構造を形成します。
これにより、フィブリリンの繊維が安定し、弾性が保持されます。
このトランスグルタミナーゼは「共通的な」
細胞外マトリックス構造のクロスリンカーなので
これがないと繊維構造の弾性が顕著に損なわれてしまいます。
なぜならポリマー架橋形成ができないからです。
例えば、胎児の気管支異形成症などの原因にもなります(12)。
気管支異形成症では上皮細胞組織に異常が見られますから、
成長過程で上皮細胞組織の基底などに
固定的で安定な細胞外マトリックス繊維構造形成が広範囲にできれば、
適性な成長へ強力に駆動する事ができます。
トランスグルタミナーゼの半減期は数時間から数日間ですが
これは単体としての半減期であり、
エラスチン、フィブリリン、フィブリン繊維構造に
クロスリンカーとして取り込まれたトランスグルタミナーゼは
入れ替わるわけではなく、数十年、同等の寿命を持ちます。
従って、もし、胎児の身体に
エラスチン、フィブリリン、フィブリンが十分にあれば、
トランスグルタミナーゼを気管支の上皮組織に特異的に届けて、
これらの繊維形成を促すようなことができれば、
適性な成長を強力に支持できる可能性があります。
しかし、通常、上皮組織は血管内腔から遠い位置にありますが、
呼吸器から粘膜を通じて吸入で送達できる可能性もあります。
トランスグルタミナーゼは約80kDaであり、
クロスリンカーなので重合体化させる必要はありません。
この大きさであればエクソソームに入れる事は少しムズイですが、
少し大きめのナノ粒子、あるいはマイクロベシクルであれば、
封入可能な大きさで有り、
このナノ粒子を使って吸入で気管支の上皮細胞に
粘膜浸透性が高い様式で届ける事は可能です。
このトランスグルタミナーゼは送達されて、
うまく寿命の長いエラスチン、フィブリリンなどにクロスリンカーとして作用すれば、
構造的な安定性が増すため、
1回の投与で長期間の子どもの組織の
連結機能の保護を実現できる可能性があります。
この年齢の子どもはエラスチン分泌が多いことも
この場合、正に作用します。
-
Lysyloxidases LOX and LOX-like1。
これはエラスチンのクロスリンカーとして機能します(13)。
フィブリリンからなるマイクロ繊維構造の
Scaffolds protein、つまり足場となるたんぱく質です。
従って、iPS細胞から非常に良質な若い線維芽細胞を培養し
そこから自然に生み出されたエラスチンとフィブリリンを精製し、
そこから繊維構造を組み立てていくときには
トランスグルタミナーゼ、Lysyloxidases LOX and LOX-like1が
「Glue(のり)」として必要となります。
また、ヒドロゲルで血管内皮組織の狙いの位置に
エラスチンを送達させる
エラスチン誘導組織回復治療
(Elastin-induced tissue recovery medicine)。
これの実現において、内皮細胞にうまく組織形成させるために、
「糊(のり)」であるトランスグルタミナーゼ、Lysyloxidases LOX and LOX-like1
これらを一緒に届ける事は重要かもしれません。
--
フィブリンはJennifer Thomson(敬称略)らがFig.2に示すように(1)
多様な細胞外マトリックス、細胞接着分子と結合性を持ちます。
各ドメインが複合的に結合性を持ちますが、
一番、多様な結合性を有しているドメインが
最も端にあるN-terminal domainです。
また、エラスチンはフィブリンと多点的に結合します。
従って、多くのドメインと結合性を持ち、
フィブリリン構造を中心とした結合性もつタンパク質ネットワーク構造の
異種的な中枢の物質となります。
従って、特注細胞外マトリックスパッチ医療
(Customized ECMs patch mediicne)(仮名)。
このフック弾性シート形成のために
エラスチンを使って繊維構造を形成する際には
自然な構造を再現する上でフィブリンとの複合体化は欠かせません。
それが基本的構成要素となります。
フィブリリンと結合親和性をもつたんぱく質と結合親和性の値です。
FBN1(フィブリリン1)の結合タンパク質と結合親和性
ADAMTSファミリー
ADAMTS10: N-ter, SPR: 11-35 nM; 245 nM
ADAMTS6: N-ter, SPR: 1-7 nM
ADAMTSL2: N-ter, SPR: 200 nM
ADAMTSL3: N-ter, SPR: 6 nM
ADAMTSL5: N-half, IP: N/A
ADAMTSL6: N-half, SPR: 80 nM
その他のタンパク質
Aggrecan: N-half, SPR: 49 nM and 42 nM
Integrin αVβ6: cbEGF22-TB4-cbEGF23, SPR: 1 nM
BMP-2, 4, 5, 7, 10, GDF5: N-ter, SPR: 6-34 nM
Brevican, Neurocan, Versican: N-ter, SPR: 20 nM, 2 nM, 7.1 nM
Calsyntenin-1: N-ter, SPR: 240 nM
フィブリリン自身との結合
FBN1 (自身): N- and C-ter, Solid Phase: 5-11 nM
FBN1 (N-ter): FBN1 (C-ter), SPR: 3-25 nM
FBN1 (N-ter): FBN2 (C-ter), SPR: 10-74 nM
Fibulinファミリー
Fibulin-2: N-ter, SPR: 160 nM
Fibulin-4: N-ter, SPR: 74 nM; 54 nM
Fibulin-5: N-ter, Solid Phase, SPR: 63 nM; 23 nM
Fibronectin: C-half, SPR: 55 nM
Heparan Sulphateファミリー
Heparan Sulphate: N- and C-ter, SPR: 27 nM, 93 nM; 16 nM
LTBPファミリー
LTBP1: N-ter, SPR: 21 nM
LTBP2: N-ter, Solid Phase: 22 nM
LTBP-4: N-ter, SPR: 24 nM
その他の結合タンパク質
Lysyl Oxidase: N-ter, Solid Phase: 26 nM
MAGP1: N-ter, SPR, Solid Phase: 140-240 nM; 36.5 nM
Perlecan: N-half, SPR: 6-9 nM
MFAP4: N-ter, SPR: N.D.
Tropoelastin(トロポエラスチン)の結合タンパク質と結合親和性
Biglycan: Solid Phase: 195 nM
フィブリリン
FBN1 (N-ter, Mid, C-ter): SPR: 280 nM, 5 nM; 27 nM
Fibulinファミリー
Fibulin-1C: SPR: 18 nM
Fibulin-2: Solid Phase: 1-2 nM; SPR: 18 nM
Fibulin-4: Solid Phase: 8 nM, 131 nM
Fibulin-5: Solid Phase, SPR: 2 nM; 64 nM
その他の結合タンパク質
Lysyl Oxidase: Solid Phase: 49 nM
MAGP1: SPR: 22 nM
Perlecan: SPR: 21 nM
(参考文献(1) Table 1)
-
上の段落の情報をわかりやすく整理しました。
<<細胞接着分子>>
(Integrin αVβ6)
結合親和性: SPR: 1 nM
発現細胞種: 上皮細胞、内皮細胞
機能: ECM(細胞外マトリックス)との接着および細胞移動の調節。上皮細胞の形態形成や機能に関与し、炎症や癌の進展にも関与しています。
(Calsyntenin-1)
結合親和性: SPR: 240 nM
発現細胞種: 神経細胞
機能: 神経細胞のシナプス形成や神経伝達の調節に関与しています。

<<細胞外マトリックス>>
(Aggrecan)
結合親和性: SPR: 49 nM and 42 nM
組織: 軟骨
機能: 軟骨の構造を支え、弾性を提供。関節のクッション機能に寄与します。
(BMPs(Bone Morphogenetic Proteins): BMP-2, -4, -5, -7, -10, GDF5)
結合親和性: SPR: 6-34 nM
組織: 骨、軟骨
機能: 骨形成、軟骨形成を促進し、骨の再生や修復に関与しています。
(Brevican, Neurocan, Versican)
結合親和性: SPR: 20 nM, 2 nM, 7.1 nM
組織: 神経系
機能: 神経系の発達や神経細胞の接着に関与。シナプス形成や神経再生にも寄与します。
(Perlecan)
結合親和性: SPR: 6-9 nM
組織: 基底膜
機能: 基底膜の構造を支え、細胞の接着や移動を調節します。
(Fibronectin)
結合親和性: SPR: 55 nM
組織: 多くの組織のECM
機能: 細胞接着、移動、ECMの構造形成に関与します。
(Heparan Sulphate)
結合親和性: SPR: 27 nM, 93 nM; 16 nM
組織: 基底膜、血管内皮
機能: 成長因子や他のマトリックス成分との相互作用を調節し、細胞の移動や増殖に影響します。
(Lysyl Oxidase)
結合親和性: Solid Phase: 26 nM
組織: 結合組織全般
機能: コラーゲンやエラスチンの架橋反応を触媒し、マトリックスの強度と弾力性を提供します。
(MAGP1)
結合親和性: SPR: 140-240 nM; 36.5 nM
組織: 血管、肺
機能: エラスチンと関連し、マトリックスの弾性をサポートします。

<<トロポエラスチンの結合タンパク質>>
(Biglycan)
結合親和性: Solid Phase: 195 nM
組織: 結合組織
機能: ECMの構造維持に関与し、エラスチンとの相互作用を通じて弾性繊維の形成に寄与します。

<<フィブリリン自身との結合>>
(FBN1(自身))
結合親和性: Solid Phase: 5-11 nM
機能: フィブリリン1が自己結合し、繊維の安定性と形成に関与します。
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フィブリリンの半減期は具体的な数値で概算するのが難しいですが、
一般的な見積もりとして10年程度とされています。
この長い半減期は、フィブリリンが体内の弾性繊維として
長期間安定して機能するために重要です。
例えば、研究によっては以下のような値が報告されています:
フィブリリン-1:およそ15年
フィブリリン-2:およそ5年
これらの値はあくまで概算であり、個人の年齢、健康状態、
組織の種類などによって変動する可能性があります。
従って、エラスチンと共に繊維構造を組むとき、
その繊維構造の寿命は10年以上、長く体に留まる事を示すものです。
一方で、コーラゲンは1週間程度で分解されるため、
コラーゲンはヒドロゲルとして送達させる媒体として特化させます。
あるいは、パッチにしても粘弾性によって
組織になじませるために使うという利用方法もあります。
エラスチンとフィブリリンは生体適合性の
フック弾性(構造可逆性)を持つ長寿命のゴムとして機能し、
繊維構造を違う方向に複数層形成して、
身体の複雑な動きに適応できるようにします。
こうした構造の最適化は一緒にしていきましょう。
--
では、なぜフィブリリンは寿命が長いか?
それはタンパク質分解酵素が作用しにくい構造になっているからです。
フィブリリンの3次元構造は安定で、入り組んでいて
タンパク質分解酵素が空間的に作用しにくい構造で、
それがさらに安定で変わりにくいことが挙げられます。
一方で、そうしたアクセス性の悪さは
他の必要な細胞外マトリックス、例えば、エラスチンとの結合も
不活性にしそうですが、
実は、他の細胞外マトリックスとの結合性を維持しつつ、
タンパク質分解酵素からのアクセスを下げることができます。
一つの大きな理由はタンパク質分解酵素の作用点よりも
エラスチンなど重要な細胞外マトリックスタンパク質が
結合できるサイトの数が顕著に多い事です。
これが差別的な作用を可能にしています。
もう1つは、必要な物質と複合体を形成する事で
構造的に保護されるからです。
単独の構造よりも特に内側にある物質においてさらに露出が減るからです。
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(フィブリリンを分泌する細胞種)
線維芽細胞:線維芽細胞は、皮膚、結合組織、腱、靭帯などの組織に広く存在し、フィブリリンを大量に分泌します。
平滑筋細胞:血管や気道の平滑筋細胞もフィブリリンを分泌します。これにより、血管壁や気道の弾性繊維の形成に寄与します。
軟骨細胞:軟骨細胞もフィブリリンを分泌し、軟骨組織の弾性繊維の形成に関与します。
上皮細胞:いくつかの上皮細胞もフィブリリンを産生し、基底膜の構造と機能をサポートします。
フィブリリンを放出する組織は
皮膚、血管、骨格筋、靭帯、腱、肺、骨、軟骨、心臓、腎臓など様々です。
しかし、腱や腎臓の糸球体などフック弾性をあまり必要としない組織では
フィブリリンの繊維構造がエラスチンがない状態で形成されます。
(参考文献(3) Figure 1A)
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フィブリリン単体の弾性係数
フィブリリンの弾性係数: 約 200–800 MPa
2. フィブリリンを含む弾性繊維の弾性係数
弾性繊維全体の弾性係数:エラスチン、フィブリリンを含む弾性繊維の弾性係数は、
一般的に 10–100 MPa の範囲とされています。
フィブリリンの弾性は以下のドメイン構造が関与しています。
1  EGF様ドメイン(Epidermal Growth Factor-like Domains)
機能: フィブリリンには複数のEGF様ドメインが含まれており、これらはカルシウムイオンと結合することで構造を安定化させます。カルシウム結合により、これらのドメインは弾性繊維の柔軟性を高め、繊維が伸縮する能力を提供します。
役割: EGF様ドメインは、フィブリリンの繊維がストレッチしても元の形状に戻る弾性を持つための基盤を提供します。これにより、弾性繊維の伸縮性が確保され、組織の弾力性が維持されます。
2. TBドメイン(Tropoelastin-like Domains)
機能: TBドメインは、エラスチンのような構造を持ち、弾性繊維の伸縮性を向上させる役割を果たします。このドメインは、フィブリリンの構造に弾性を加え、伸展と収縮に対する耐性を提供します。
役割: TBドメインは、フィブリリン繊維が引き伸ばされたときに、弾性を保持するための重要な役割を果たします。この弾性は、組織の弾力性と機能に直接貢献します。
3. Fibrillin-1のCys-richドメイン
機能: フィブリリンのCys-rich(システインが豊富な)ドメインも弾性に寄与します。これらのドメインは、フィブリリン繊維の間でジスルフィド結合を形成し、繊維の構造を安定化させます。
役割: システインリッチなドメインは、フィブリリン繊維の弾性を維持するために必要な強固な構造を提供し、フィブリリンが機械的なストレスに耐える能力を高めます。
--
フィブリリンとエラスチン弾性繊維構造においてフィブリン(Fibulin)も
重要な役割を果たします。
フィブリンの分子量は140-200kDaであり
フィブリリンの分子量300-400kDaよりも小さい構造を取ります。
フィブリンはフィブリリン繊維から成る構造のクロスリンカーとしての役割、
エラスチン粒子構造の適切な配置に貢献します。
--
フィブリリンとエラスチン繊維構造を形成する絵で
フィブロネクチンを繊維構造の構成に入れたい場合には
細胞外マトリックスであるADAMTS10の役割が重要になります。
これはフィブリリンの末端のN-terminal domainと強い結合性を持ち、
(参考文献(1) Fig.2)
ADAMTS10はフィブロネクチンと結合性を持ちます(1)。


(参考文献)
(1)
Jennifer Thomson,a,b Mukti Singh,a,b Alexander Eckersley,b Stuart A. Cain,a,b Michael J. Sherratt,b and Clair Baldocka,b
Fibrillin microfibrils and elastic fibre proteins: Functional interactions and extracellular regulation of growth factors
Semin Cell Dev Biol. 2019 May; 89: 109–117.
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