2024年8月6日火曜日

4つの技術開発、医療応用の為の4次元CT測定の仕様と改善項目

(S)細胞種特異的薬物送達システム
(1)特注細胞外マトリックスパッチ治療
(2)フック弾性組織回復治療
(3)コーラゲン回復治療
これら重要な4つの医療技術があるわけですが、
すべて「夢物語」ではなくて、本気で実現を考えています。
笑う人もいるかもしれないけど、私は真剣であり、
一方で、冷静に一つ一つ確認している状況です。
これらを人に対して安全性を確保しながら、臨床応用、医療普及を目指すにあたり、
「共通的に」必ず要することがあります。
それが◎解析です。
この解析には一般的な解析とコンピューター解析(AIも含む)があります。
いずれにしても実空間で実際に事実として起こっていることに対して
できるだけ正確な、客観的な情報を取る必要があります。
極端なな話、実際に人の身体の中で何が起こっているかわからないのに
全体的になんとなく示される結果だけで進めると、
上の4つのような非常に高度な技術は決して医療(臨床)応用できません。
私も「できる事には限界がある」とは思っていたんだけど、
案外、今までの知識、知恵、経験、調査能力や生
成系AIの力を借りながら
真剣に時間をかけて考えていったら
解析技術の発展に何らかの貢献ができるかもしれません。

スイス、アメリカのグループがX線で4nmの解像度の断層撮影に成功した(1)。
この報告がネイチャー(Nature)で2024年7月31日に出ました。
但し、これはトランジスターの分析などへの利用の報告で
人(生物)の身体のなかをこの精度で造影することに成功した報告ではありません。
X線撮影技術には静止画の3次元撮影と動画の4次元撮影があります。
私が目指しているのは、
身体の中の臓器の動きの非侵襲の解析なので
この場合、4次元のCT画像の取得が目的としてあります。
幸いにも、すでにX線を解析線源とした
動的CT(four dimensional CT)は開発されています。
例えば、日本のCanonはYoutubeで肺の映像を提供しています(2)。
GE Health CareのRevolution Maxima CT Machineでは
空間分解能が0.28 mm3となっています。
仮にこの解像度とした場合、
大動脈であれば2.5cm~3.5cmなので
0.28 mm3が直方体ボクセルであれば、一辺が0.65mmなので
直径2.5cmの円盤の断面に対しては
画像として1161ピクセルあることになります。
この解像度で血管の細かい動きを評価する事ができるか?
それについて計算、考察します。
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動脈の拡張性は通常0.01-0.04の範囲にあります。
従って、最大で4%程度しか径は大きくなりません。
では、こうした動きを仮に一桁落ち、つまり10%の精度で動画として捉えるには
どれくらいのピクセル数が必要か?Open AIに計算させました。
そうすると必要なピクセル数は「785440」となりました。
上の計算では約1000ピクセルですから800倍程度の改善が必要です。
このピクセル数を実現するためには1辺0.025mm(25μm)でなければなりません。
ボクセルの体積は1.5×10^-5mm^3となります。
800倍の改善ですから相当な技術革新が必要です。
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こうした解像度を実現する場合には
◎数十μm単位の解像度をもつ検出器
◎X線焦点径の縮小(少なくとも10μm程度)
◎データ処理能力の向上、計算能力
◎スキャン速度と位置精度の向上
◎体の動き(呼吸など)による影響を補正する技術が必要
X線焦点径を縮小するとX線焦点のエネルギー密度が大きくなるため
細胞の被ばく、ダメージ(遺伝子など)の影響が大きくなります。
従って
◎検出器の検出精度の向上
これも必要です。
検出器は基本的に光子を電子に変換する光電変換素子を使用します。
基本的に検出器の解像度はピクセル上に加工して、
ピクセルごとに異なる光電変換をし、独立した電気信号を送る必要があります。
従って、少なくとも解像度に応じた微細加工技術が必要になります。
おそらく、Tomas Aidukas(敬称略)らが
4nmの精度の断層撮影に成功しましたが(1)、
その精度を律速しているのは受光機側の加工精度であると考えられます。
今、半導体の加工精度がちょうど数nm程度だからです。
昨今、生成系AI半導体の高精度化がありますが、
この性能に関わっているのが加工精度であり、
2nm程度の加工精度は第3世代です。IBMが達成しています。
ただし、これは静止面だから可能になっています、
動画を取るとなると身体の動きがあるため、
呼吸などの相対的な位置変化のノイズをキャンセルする必要があります。
当然、ボクセルが細かくなると、
それぞれのボクセルが受ける位置的なノイズが大きくなるため
その補正が難しくなります。
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高い精度で動画を取るとなると
静止画よりも長い時間のX線照射が必要になるため
光線の制御性、検出器精度、画像解析技術などの向上が必要であり、
重要な項目の一つが昨日提案したパルス照射です。
X線のDutyを落とす事ができるほど
人工知能は少ないデータから連続した画像を予測して生成する必要があります。
また、パルス幅をフェムト秒(1フェムト秒 10^15)まで落とせるとなると(4)、
その高い時間分解能で一定のDutyで人工知能にオフ周期を予測させて
連続動画を生成するシステムを考えた場合、
線源としての求められる特性にパルス動作時間分解能がありますから
レーザー駆動の軟X線の光源としての需要は高まります。
但し、下述しますが深部画像が取れないことが難点です。
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血管の拡張と収縮を分析するためには
その周期の情報が必要です。
血管の拡張と収縮は心拍周期に同期しており、一般的には約0.6〜1秒の周期なので
1分間動画を取れば、最大で約100周期の動きを分析できます。
この1分間という測定時間に固定して
X線のパルス駆動の条件を少し考えてみます。
人工知能技術に期待するという意味合いも込めて
「Duty」は「1/10」と設定します。
従って、人工知能は10%の途切れた情報から連続画像(動画)を生成する必要があります。
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胸部CTでは約5-10mGyに抑えられています。
従って、約5mGyという目標設定にします。
時間が1分間であり、Dutyが1/10ですから照射総時間は6秒です。
そこから線量率は約 0.833 mGy/秒(約3Gy/h)と計算できます。
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大動脈の血管径の拡張率が血管の動きですが、
その動きを10%の精度で分析するためには
少なくとも2.5μm径の円盤に対する画像のピクセルは「785440」でなければいけません。
1辺0.025mm(25μm)のボクセルとすると
ボクセルの体積は1.5×10^-5mm^3となります。
これを達成するためには数十μm単位の解像度をもつ検出器が必要ですが
これは今の半導体加工技術からすると問題のないレベルです。
X線焦点径が10μm程度である必要があります。
これでX線の出力は8.33×10^-12Wとなります。
医療用のX線装置は出力は数mWなので
これよりも9桁大きな出力出ないといけません。
上の条件で照射できる時間はわずか490nsです。
かりに600nsとすると8桁も乖離がでてしまいます。
従って、この条件は現実的ではありません。
ゆえにいくつかの工夫が必要になります。
私は患者さんの安全が第一なので被ばく量はあげません。
そうすると
①Dutyを1/100にできないか?人工知能アルゴリズムの向上
②放射系機構内で吸収板を用いて、数桁程度出力を落とせないか?
③受光素子の検出感度を上げる必要があります。光、電子信号増幅、ノイズ除去
④動画撮影時間を1桁落とす(6秒)
⑤Dutyが1/100で99%がオフなので周期を最適化し、より安全にできないか?
つまり、オン時間幅によってトータルのオン時間が同じでも
組織へのダメージは変わる可能性があるという事。
X線発生装置は最大で数ns程度までの時間分解能を持つパルス動作が可能です。
また、Laserで駆動すれば10fsまでパルス幅を短くできます(4)。
(しかし、このタイプの線源は医療用機器には使われません。)
例えば、
6ns(On)、594ns(OFF)、600ns(Period)×10^7回、6秒照射。
これと6秒連続照射を同じ線量で行ったときに
細胞のDNAなどに対するダメージは同じか?
これについてははっきりわかっていません。
⑥焦点径に対する像解像度を上げる技術向上。
6-1:画像再構成技術:
X線画像を取得した後、画像再構成アルゴリズムを使用して解像度を改善する方法があります。例えば、超解像技術や最適化アルゴリズムを用いて、得られた画像からより詳細な情報を再構成することができます。
6-2:焦点と受像体の距離を調整する:
焦点から検出器までの距離を調整することで、像の解像度を改善できる場合があります。焦点と検出器の距離が適切であれば、像の鮮明さが向上することがあります。
6-3:画像処理技術の利用:
画像処理ソフトウェアを使用して、ノイズ除去やシャープ化などの技術を適用することで、解像度を向上させることができます。これにより、焦点径が大きくてもより鮮明な画像が得られる可能性があります。
6-4:高エネルギーX線源の使用:
高エネルギーのX線を使用することで、より細かい構造を透過できるため、解像度の向上が期待できる場合があります。ただし、高エネルギーX線には安全性や機器の耐久性に関する考慮も必要です。
6-5:マルチビューイメージング:
異なる角度からの複数のX線画像を取得し、それらを合成することで、解像度を向上させる方法もあります。これにより、焦点径の制限を補うことができます。
6-6:位相差イメージング(3)
 技術:受光機側にグレーティング構造体を設置(参考文献(3) Fig.2b)
 機能:位相差イメージングは、X線が異なる材料を通過する際に発生する位相の変化を利用します。この位相変化は、材料の密度や原子番号の違いによって引き起こされます。
 メカニズム:位相差技術は、さまざまな構造を通過するX線の位相差によって作成される干渉パターンを利用します。この方法により、コントラストが低い詳細が強調され、従来の吸収ベースのイメージングでは検出が難しい微細な構造が見えるようになります。
 応用:位相差イメージングは、生物学的および医療イメージングで特に有用であり、ソフトティッシュを観察する際に従来のコントラスト手法では不十分な場合に役立ちます。細胞成分や組織の境界などの微細構造を明らかにすることができます。
 制限:位相差イメージングには、位相板やグレーティングなどの専門的な機器とセットアップが必要であり、従来のイメージング方法と比べて複雑で時間がかかることがあります。
6-7:コントラスト剤(経口で人に投与)(3)
 機能:コントラスト剤(コントラストメディア)は、画像内の構造のコントラストを強化するための物質です。これにより、X線と組織との相互作用が変わり、放射線密度の違いが増します。
 種類:ポジティブコントラスト剤: 高い原子番号の元素(例: ヨウ素やバリウム)が含まれ、X線をより多く吸収し、画像上で明るく見えます。
 ネガティブコントラスト剤: 低い原子番号の元素(例: 空気やガス)が含まれ、X線を少なく吸収し、画像上で暗く見えます。
 応用:コントラスト剤は、X線、CT、MRIなどのイメージングで特定の臓器、血管、病変を強調するために使われます。これにより、組織間の違いが強調され、細部が見やすくなります。
 制限:コントラスト剤はコントラストを改善しますが、空間分解能自体を向上させるわけではありません。イメージングシステムの基本的な空間分解能はそのままです。
◎X線波長の最適化
軟X線は1 keV以下のエネルギーの低いX線で高解像度のナノCTで利用されます(3)。
これはこの波長帯の光子が体のタンパク質などの構成物質に対して
波長依存的な散乱、吸収メカニズムがあり、
こうした散乱、吸収は物質、密度依存性があるため、
この散乱光、吸収による光の量を計算により識別し、
画像生成のアルゴリズムに組み込むことで
高解像度、高コントラストの像を得る事ができます。
しかしながら、散乱信号を拾うためには検出系の大幅な変更が必要です。
(例えば、全方位検出)
但し、深部画像を取る事に適していないため
人体の造影には適していない可能性があります。

いずれにしても
(S)細胞種特異的薬物送達システム
(1)特注細胞外マトリックスパッチ治療
(2)フック弾性組織回復治療
(3)コーラゲン回復治療
これらのプロジェクトを進めて、医療応用するためには
人の身体の中の臓器、組織、細胞の動きや
分子レベルのタンパク質や多糖などの構造を分析する事が求められます。
当然、臓器の動きよりも血管、それよりも細胞、
それよりも細胞外小胞の動きを非侵襲で観る事は難しくなります。
さらに、分子レベルのタンパク質、多糖の構造は困難を極めます。
但し、多種多様なたんぱく質、多糖の構造は原理的に
光学的な非侵襲の方法で計測可能かもしれません。
例えば、
非侵襲で光学的に実施しようとすると
非常に異種的な物質固有の情報を取り出すことが必要になります。
例えば、散乱、吸収などの情報を360度高感度検出する必要があります。
タンパク質の固有の情報検出の原理
散乱と吸収の特性:
 散乱: タンパク質の種類や構造によって、光の散乱パターンが異なります。例えば、レイリー散乱やミー散乱といった異なる散乱メカニズムがタンパク質のサイズや形状に応じて異なる散乱特性を示します。
 吸収: タンパク質は特定の波長の光を吸収します。各タンパク質のアミノ酸組成や二次構造によって、吸収スペクトルが異なります。
光学技術の利用:
 ラマン分光法: 分子の振動モードによって固有の光学的な「指紋」を提供します。タンパク質の異なる構造や化学環境に応じて、ラマンシフトが変化します。
 フーリエ変換赤外分光法 (FTIR): タンパク質の特定の化学結合に対応する赤外線吸収ピークを検出することで、タンパク質の種類や構造を識別できます。
 近赤外分光法 (NIR): タンパク質の分子内の水分や脂質の吸収特性を利用して、タンパク質の情報を得ることができます。
 光干渉法: 光の干渉パターンを用いて、サンプルの厚みや屈折率の変化からタンパク質の情報を得ることができます。
高精度な分析の実現
高精度に散乱や吸収の情報を分析するためには、以下の要素が必要です:
 高解像度の測定技術: 光学的な測定技術の高解像度化が求められます。例えば、ラマン分光法やFTIRで高解像度なピークを検出できることが重要です。
 データ解析の精度: 得られた光学的データから、複数のタンパク質の情報を正確に解読するためには、強力なデータ解析技術が必要です。機械学習や人工知能(AI)を用いた解析が有効です。
 サンプルの均一性: 高精度な測定には、サンプルの均一性が重要です。サンプル内でのタンパク質の分布や濃度の均一性が、測定結果に影響を与える可能性があります。
この場合、深部測定も実現したいので、
光源として選択するX線の波長を適切に選択、
場合によれば、多種類の波長を持つX線光源が個別に必要になるかもしれません。
また、検出する検出器も散乱、吸収によるX線の位置情報、光子量、位相だけではなく、
微妙に変化する波長(ラマンシフトなど)の情報も検出する必要があるかもしれません.
他方で、量子計測などの技術も必要になるかもしれません。
但し、この場合、量子もつれに基づく、暗号化された、凝縮された情報を
古典的な解析方法なしに、どうやって「そのまま」扱う事ができるか?
これは量子コンピューターの求められるアルゴリズムにも関係することがですが、
そのような現時点で解読が難しい大きな根本的な壁を超える必要があります。
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このような手法とは違っても(Spatial proteome分析など)、
代替の方法を探すにしても、
人の身体の中の空間物質的な事実をしっかりとることが
上述した技術開発を進めていくための前提になっています。
目的が明確化されているので、
上の内容も含めて「何が足りないか?」という事がわかります。
例えば、CT画像検査では機械的特性を
人工知能で分析する事が前提になっています。
仮に大動脈で定めましたが、求める性能を決して満たしていません。
その条件でも、今の製品レベルでは到達しない仕様です。
この技術に限らず、一般的な医療において役に立つことである
という事はここで強く主張します。


(参考文献)
(1)
Tomas Aidukas, Nicholas W. Phillips, Ana Diaz, Emiliya Poghosyan, Elisabeth Müller, A. F. J. Levi, Gabriel Aeppli, Manuel Guizar-Sicairos & Mirko Holler
High-performance 4-nm-resolution X-ray tomography using burst ptychography
Nature volume 632, pages81–88 (2024)
(2)
Aquilion LB 4D CT
https://www.youtube.com/watch?v=1uBkvOyp1b8
(3)
Philip J. Withers, Charles Bouman, Simone Carmignato, Veerle Cnudde, David Grimaldi, Charlotte K. Hagen, Eric Maire, Marena Manley, Anton Du Plessis & Stuart R. Stock 
X-ray computed tomography
Nature Reviews Methods Primers volume 1, Article number: 18 (2021)
(4)
Matthias Fuchs, Raphael Weingartner, Antonia Popp, Zsuzsanna Major, Stefan Becker, Jens Osterhoff, Isabella Cortrie, Benno Zeitler, Rainer Hörlein, George D. Tsakiris, Ulrich Schramm, Tom P. Rowlands-Rees, Simon M. Hooker, Dietrich Habs, Ferenc Krausz, Stefan Karsch & Florian Grüner
Laser-driven soft-X-ray undulator source
Nature Physics volume 5, pages826–829 (2009)

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