自閉症スペクトラム障がい(ASD)は
反復的な行動、制限的な興味、
社会コミュニケーション能力の低さなどが挙げられています(2).
興味範囲が限られることで
それに集中して取り組むことができれば
大きな価値に結びつく事もあると思いますが、
何か負荷がかかった時に
そのストレス解消手段として
分散的な行動選択を取りにくいという事が
あるかもしれません。
また、人とのコミュニケーションは
健全な社会生活で重要な事なので、
お子さんの場合は
学校生活などを通した中での
生きづらさを感じる事もあると思います。
近年、ASDに気付くことが多くなったことや
診断評価基準が変わったことで
ASDと診断される人が多くなったとされていますが、
それだけでは説明できない部分もあるとされています(1)。
現在では決定的な治療法はないのですが、
乳児のうちに早く気付いて、
早く介入すれば一定の効果が出る
という報告もあります(3,4)。
The Early Start Denver Model (ESDM)(3)は
大人との遊びや共同作業を通じて
前向きな関係を気づくことで
社会的案結びつきや共有する事の喜び、
感情の制御などを学びます。
生後9-14カ月の乳児に対して
ビデオを用いた全10回の社会的コミュニケーション介入
(iBASIS-VIPP)も検討されています(4)。
これらの事から
何かに集中しがちで
自分の中に閉じこもる傾向にあるお子さんに対して
社会的に開けた良好な環境を提供し
そこで適切な介入を行うことで、
ASDを軽くし、社会の中で生きやすい
健全な成長を促すことができる可能性がある
ということです。
実際にASDと診断されるのは
3歳程度と言われていますが、
多くの研究で子供の運動、動きなどで
その兆候はもっと若い時から現れている
ことが示されています(5-8)。
--
そこでHirokazu Doi, Naoya Iijima, Akira Furui(敬称略)らは
日本人の子供42人に対して、
4か月の時点で
子供の運動機能、動きについて分析し、
18カ月の時点で
M-CHATによる母親に対するアンケートで
自閉症のリスクを高い、低いにわけ、
動きの特徴を分析し、カットオフを設け、
その運動機能、動きから
事前に自閉症のリスクを予測できるかどうかを
調べています(1)。
その結果、
自閉症のリスクが高いグループは、
①膝より下の下肢の動きが弱い
②体を回すなど、身体全体の統合的、バランスの取れた
動きができにくい(Figure.4)。
higher central frequency and larger standard deviation
of body center movement along medial-lateral axis.
③リズミカルな動きができにくい
ということがわかっています。
--
実際に生後4か月に調べたのは理由があります。
ASDの子供の脳を調べると
動きに関連する神経領域
〇大脳基底核(Basal ganglia)
〇小脳
これらに異常があることがわかっています(9,10)。
生後3か月から6か月は
これらの領域が活発に代謝活動を行い
組織として成長する時期にあります(11,12)。
従って、
成長途中の4か月の時点で
少なくとも動きに多少の違いがある事は
これらの脳の成長初期段階ですでに
違いが出ている可能性も暗示されます。
一方で、
この動きに関わる脳神経領域の成長期に
適切な介入を行うことができれば、
より根本的なASDの治療につながる事も考えられます。
従って、
Hirokazu Doi(敬称略)らの
早期(生後4か月時点)でのASDリスク評価を
洗練させていくことは
医療的かつ社会的意義があると考えられます。
また、そのお子さん、親御さんの今後長い
将来の幸せな生活に関わる事でもあります。
--
Hirokazu Doi(敬称略)らの今回の研究では(1)
評価人数が少ない事と、
高リスク群の予測が70%程度であったこと、
そのリスク評価M-CHATが
ASD診断の上でまだ信頼性において課題がある事などから
精度の問題でまだ課題はあるとされています(1)。
さらに詳しい研究が行われるということです(1)。
//追記//ーー
20歳未満の精神疾患の患者数は
日本の厚生労働省の統計によると
平成26年(2014年)ごろから急速に増えており、
30万人に迫る数となっています。
おおよそ20歳以下の1.5%程度ですが、
コロナ禍以降、
あるいは診断されていない人も含めると
その割合はもう少し高いかもしれません。
子供の健康に関わる
主要な疾患群であると考えられます。
そのような事情もあり、
子供の報告を選択する際には
心の病に関わる報告に
少なくとも平均以上の注意を向けることは
すでに決定しています。
もう1つはコロナ禍以降で
子供の間で深刻になった疾患も
そのように決定しています。
それが世界の心の病で苦しむお子さんにも
伝われば、それは幸いなことです。
精神疾患は心の病ですので、
組織学的なアプローチだけでは難しい部分もあります。
自分の気持ちを少なくとも少しは
記事に乗せていくという事を考えています。
(参考文献)
(1)
Hirokazu Doi, Naoya Iijima, Akira Furui, Zu Soh, Rikuya Yonei, Kazuyuki Shinohara, Mayuko Iriguchi, Koji Shimatani & Toshio Tsuji
Prediction of autistic tendencies at 18 months of age via markerless video analysis of spontaneous body movements in 4-month-old infants
Scientific Reports volume 12, Article number: 18045 (2022)
(2)
American Psychiatric Association. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5 edn. (American Psychiatric Association,
Arlington, VA, 2013).
(3)
Dawson, G. et al. Randomized, controlled trial of an intervention for toddlers with autism: the early start Denver model. Pediatrics
125, e17–e23 (2010).
(4)
Green, J. et al. Parent-mediated intervention versus no intervention for infants at high risk of autism: a parallel, single-blind,
randomised trial. Lancet Psychiatry 2, 133–140 (2015).
(5)
Adrien, J. L. et al. Blind ratings of early symptoms of autism based upon family home movies. J. Am. Acad. Child. Adolesc. Psychiatry
32, 617–626 (1993).
(6)
Baranek, G. T. Autism during infancy: a retrospective video analysis of sensory-motor and social behaviors at 9–12 months of age.
J. Autism Dev. Disord. 29, 213–224 (1999).
(7)
Osterling, J. A., Dawson, G. & Munson, J. A. Early recognition of 1-year-old infants with autism spectrum disorder versus mental
retardation. Dev. Psychopathol. 14, 239–251 (2002).
(8)
Klin, A., Lin, D. J., Gorrindo, P., Ramsay, G. & Jones, W. Two-year-olds with autism orient to non-social contingencies rather than
biological motion. Nature 459, 257–261 (2009).
(9)
Rinehart, N. J. et al. Gait function in newly diagnosed children with autism: cerebellar and basal ganglia related motor disorder.
Dev. Med. Child Neurol. 48, 819–824 (2006).
(10)
Qiu, A., Adler, M., Crocetti, D., Miller, M. I. & Mostofsky, S. H. Basal ganglia shapes predict social, communication, and motor
dysfunctions in boys with autism spectrum disorder. J. Am. Acad. Child. Adolesc. Psychiatry 49, 539–551 (2010).
(11)
Chugani, H. T., Phelps, M. E. & Mazziotta, J. C. Positron emission tomography study of human brain functional development.
Ann. Neurol. 22, 487–497 (1987).
(12)
Choe, M.-S. et al. Regional infant brain development: an MRI-based morphometric analysis in 3 to 13 month olds. Cereb. Cortex
23, 2100–2117 (2013).
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