//概要//ーー
MicroRNA(miRNA)は細胞外小胞の積載物で
細胞間の相互作用に関係します。
miRNAは遺伝子の発現を調整する役割もあるため、
遺伝子発現が細胞の形質に影響を色濃く与えるという
広く知られている事実から、
細胞外小胞によるmiRNAの細胞間の輸送は
傍分泌、内分泌の機序で他の受け細胞の形質に
影響を与えると考えられます。
-ー
病気の状態、遺伝子/代謝の変化、細胞タイプ内での相違
のような細胞の環境への反応は
細胞外小胞への輸送物仕分けを強く制御します。
しかしながら、
細胞外小胞形成中の表面形状(形態:morphological)の特徴や
miRNA積載に関与する分泌は知られていません。
この研究では
細胞リシーリング(再封鎖)を使った
新しい細胞外小胞積載の方法を開発されています(1)。
これは細菌毒素により一旦穴を形成し、
その後、自己組織化によって穴が閉塞する
ことを意味します。
その中で、
基本的なmiRNA積載プロセスを再構築します。
再封鎖されたHeLa細胞から得られた
細胞外小胞の表面形状、分泌反応、細胞取り込み能力は
無傷の細胞と同等です。
外因的に加えられた可溶性因子は
Multivesicular endosomes(MVEs)の中に導入され
細胞外領域へのその後の分泌が再封鎖されたHeLa細胞内で生じました。
加えて、
miRNAはMVEsへ輸送され、
細胞外小胞へのmiRNA封入は
RNA結合タンパク質によって制御された特定の生理経路の後に
生じました。
そのRNA結合タンパク質は
〇Argonaute
〇Y-box binding protein 1。
これらであり、miRNAタイプに依存します。
この細胞再封鎖システムは病気モデル細胞から放出された
病気特異的な細胞外小胞を分析する事ができます。
そこでは病理の細胞質ゾルが細胞内に導入されています。
再封鎖された細胞の細胞外小胞の形成は
細胞外小胞封入の機械的な見識を与えるための
再構築システムを生み出すだけではなく
細胞外小胞へ様々な分子を積載する事へ応用する事や
病気特異的な細胞外小胞マーカーを見つける事に役立ちます。
↓
(考察)
細胞外小胞へ任意の物質を積載できる事は
細胞外小胞を使った治療の一つの基礎となる事です。
さらに、細胞外小胞から不必要な物質を
流出させる技術があれば、さらに応用性は高まります。
特にRNA結合タンパク質が細胞質内にあるmiRNAを
エンドソームにあるエクソソームの前駆物質である
腔内膜小胞の中に引き付け、封入する機序は重要です。
//背景//ーー
マイクロベシクル、アポトーシス小体、エクソソームを含む
細胞外小胞は環境に依存した様式で細胞によって放出されます。
マイクロベシクル、アポトーシス小体は
細胞膜の直接的に萌芽、突き出しによって形成、
細胞外へ放出されます。
一方で、
正規のエクソソームはもっと複雑で、制御性のある機序で
生成されいます(2,3)。
初めに後期のエンドソーム膜が腔内膜小胞(ILVs)を形成するために
multivesicular endosomes (MVEs)内へ陥入させます。
次に、MVEsは細胞膜と融合し、細胞外領域でILVsを放出させます。
ILVsの径はおおよそ100nmで
それはエクソソームとこの研究では参照されます。
細胞外小胞はドナー細胞に由来する様々な物質を含みます。
脂質、タンパク質、RNA、DNA。
これらを含みます。
細胞外小胞が細胞から放出された後、
それらは受け細胞によって取り込まれます。
直接、細胞膜と融合して取り込まれる場合、
エンドサイトーシスを通じて生じる場合、
これらがあります(4,5)。
↓
(考察)
受け細胞による取り込み過程の違いは
細胞外小胞を介した細胞間の連携が
どのように生理に影響を与えるか?に
違いを与えると考えられます。
例えば、細胞膜と直接、融合する場合には
細胞外小胞の表面(糖)タンパク質が
受け細胞の表面(糖)タンパク質に受け継がれる
という現象が起こる可能性があります。
これは生理において大きなことです。
膜融合するか、エンドサイトーシスするかの選択は
細胞外小胞が受け細胞に結合するときに関与する
受容体-リガンドペアが影響を与えると考えられます。
--
受け細胞に取り込まれた細胞外小胞によって
輸送された積載物は受け細胞の生物化学的環境を
変化させ得ると考えられます。
〇信号変換経路
〇代謝経路
〇遺伝子改変(4)
これらに影響を与える事によって生じます。
これらの経路は
〇癌の進行
〇代謝性疾患
〇神経疾患
〇老化
〇感染症
これらの原因となります(6)。
様々な細胞外小胞の機能は
〇生成効率
〇被膜構成物質(膜材料、表面リガンド(受容体)など)
〇積載物質(脂質、タンパク質、RNA、DNAなど)
これらに依存します。
それゆえに
細胞外小胞の形成、分泌に関与する生理機序を理解する事は
それらを治療に応用する、病気の診断に利用するために
細胞外小胞を使用する上において極めて重要です。
--
miRNAは細胞外小胞の積載物の一つですが、
広範なたんぱく質を抑制し、
細胞の環境を改変させます。
細胞核内でのmiRNA前駆体(pre-miRNA)が
Drosha formによって転写、プロセスされた後、
pre-miRNAは細胞質へ輸送されます。
そこで
Dicer、an RNaseⅢファミリー酵素が
pre-miRNAの螺旋部位をへき開、
2重螺旋構造のmiRNA中間物質(miRNA inntermediate)。
これを形成します(7,8)。
Argonaute(Ago)は
RNase H-like PIWI domainを持ち、
2重螺旋構造のmiRNAに結合し、
RNA誘導型サイレンス複合体
(RNA-induced silencing complex (RISC))。
これを形成します。
これはRNAベースサイレンス機能を持ちます(9,10)。
多くの研究では細胞外小胞の形成を基礎とする
分子的なメカニズムを報告しています。
それは細胞内、細胞からの
特異的なmiRNAを含みます(11)。
〇Rab families
〇Endosomal sorting complexes
これらのような様々な分子は
〇Transport (ESCRT) machinery
〇RNA-binding proteins (RBPs)
〇Soluble NSF attachment protein (SNAP) receptor (SNARE),
これらの為、必要とされます。
これらの事は細胞外小胞の形成、仕分け、分泌に関わっています。
Argonaute 2 (Ago2)と相互作用をする(12)
RISCと
Trans-activation-responsive RNA-binding protein (TARPB)。
これらの構成物質も
miRNAが積載された細胞外小胞の形成に関与します。
--
いくつかの研究では
生細胞内での細胞外小胞の関わる
タンパク質、遺伝子の細胞内での機能について
〇特定の遺伝子をノックアウト、ノックダウン
〇主要なアクティブ/ネガティブタンパク質を発現
〇修正されたimRNAを利用
これらを実施する事を通して調べられてきました(11,13,14)。
隔離されたMVEsへの輸送物質仕分けの
細胞フリーの再構成は
異なる表現型を持つ細胞に由来する
特定の細胞外小胞群に対する
特定の仕分け機序を決定するためにとりわけ関心がありました(15-19)。
近年の超高分解能顕微鏡は細胞内で
MVEsの詳細な構造を観測する事、
MVEs内のDNA, EV関連のタンパク質の動的機序を観測する事、
これらを可能にしました(14,20)。
細胞内、細胞から細胞外小胞の形成の機械的な理解は
近年進んできています。
--
Yuki Sonoda, Fumi Kano & Masayuki Murata(敬称略)は
semi-intact cellsとevolutionary resealed cell coupling
を使って被膜と細胞内小器官の動きについて調べてきました
それは
Quantitative image-based microscopic analysis。
これによって実施されました(21)。
Semi-intact cellsは
Streptococcal toxin streptolysin O (SLO)を浸透させた
細胞膜を持ちます。
SLOは細胞膜内でコレステロールと結合し、
30nm径の細孔を形成するために重合化します。
このSLOに誘導された細孔、穴は
タンパク質、核酸、被膜非浸透性分子など
様々な物質を細胞内へ輸送する事を可能にします。
それゆえに
細胞質内の環境を変える事ができます。
それによって様々な細胞質内の現象を再構成できます。
例えば、
〇有糸分裂の間の細胞内小器官の表面形状改変
〇小胞輸送
〇細胞内小器官特異的なたんぱく質標的化
これらのような現象です(22,23)。
以前の報告では(24)、
細孔はCaイオン依存的な様式で修復され
SLOはマイクロベシクル分泌を通して細胞から取り除かれ
再び、無傷なintact cellsに戻るとされています。
これらの細胞は「resealed cells(再封鎖された細胞)」
と呼ばれます。
修正された細胞質環境を持つResealed cellsは
細胞タイプ「test tube」として使われ、
修正された細胞質依存的な細胞内イベントを再構築できます。
また生物化学的、形態学的な基礎的な機序についても
分析する事ができます(25,26)。
また、蛍光発光するmiRNAを細胞内に入れ
細胞を再封鎖することによって
細胞質依存的な転座、局在化、タンパク質との共局在化
動的機序について超高感度顕微鏡によって分析することができます。
Yuki Sonoda, Fumi Kano & Masayuki Murata(敬称略)は
このSLO導入によって可能になった細胞の細孔形成、再封鎖によって
細胞内の細胞外小胞の形成の分子機序について
調べる事に応用しています(1)。
研究チーム(1)はエクソソームの典型的なバイオマーカーである
テトラスパニンCD63陽性のMVEs, ILVsと共に
蛍光発光させたmiRNAの分布、動的機序をHeLa細胞で分析しています。
さらに
Ago-/Y-box binding protein 1 (YBX1)誘導性の
細胞外小胞の仕分け、引き寄せ機序についても決定しています(1)。
本日は、その概要、背景、結果の概要、議論、考察について
読者の方と情報共有したいと思います。
//結果//ーー
ネズミのリンパ腫L5178Y細胞の細胞質でHeLa細胞の細胞質を
再封鎖しています。
これは細胞内被膜ダイナミクスの再構築のための
利用として成功しているケースです。
これらの改変によって
細胞外小胞の形成や放出が活性化されます。
(参考文献(1) Fig.1e)
--
無傷、再封鎖された細胞外小胞の形態、
大きさの分布は大きな変化はありませんでした。
(参考文献(1) Fig.1b,c)
--
細胞外小胞保有のタンパク質は
CD63、Flotillin-1, GAPDH, Calnexin
これらの細胞外小胞マーカーは
無傷、再封鎖細胞外小胞両方で見られています。
一方
FITCに関しては
細胞質の改変の際に外因的に流入したタンパク質であり
それが強く再封鎖細胞外小胞にみられています。
(参考文献(1) Fig.1d)
--
CD63、CF568-dexの蛍光発光像による
これらの発光の共局局在化は
再封鎖されたHeLa細胞内の可溶性細胞質構成物質は
エクソソーム内に封入されている事を示しています。
(参考文献(1) Fig.2a)
--
外因的に加えられたmiR-39は
細胞、細胞外小胞両方に含まれ、
無傷の細胞、それ由来の細胞外小胞よりも
再封鎖されたそれらのほうが顕著に多いことが
確かめられました。
(参考文献(1) Fig.2c)
--
このmiR-39と細胞外小胞の分布が調べられています。
それを重ね合わせると
いくつかの重なりを見出すことができます。
腔内膜小胞の方が当然大きいため、
3つ程度のmiR-39がこれと共存している
様子が拡大されています。
(参考文献(1) Fig.2d)
--
miRNAを含むMVEの割合は時間の経過とともに
上昇してきます。
初めの30分で大きく上昇します、
(参考文献(1) Fig.3c)
--
AgoとYBX1はRNA結合性タンパク質であり、
多くのRNAと結合性を持っている事が知られています(9,10,16)。
従って、これらの働きを抑えるモノクローナル抗体を
導入し、それによって
HeLa細胞に含まれるmiRNA
miR-122, miR-34a, miR-423-3pの
腔内膜小胞への取り込みの変化を調べています。
それによると
共局在化の数が腔内膜小胞の数に対して
モノクローナル抗体を作用させた方が小さくなっています。
これはmiR-122, miR-34aで顕著で
miR-423-3pではあまり変化がみられていません。
(参考文献(1) Fig.4e)
これらの変化、感受性は
miRNAそれぞれがどの結合タンパク質と
どれくらいの結合親和性を持っているかによる
と考えられます(1,11)。
従って、いくつかのmiRNAでは
AgoとYBX1は共に腔内膜小胞への取り込みに
影響を与え、促進していると考えられます。
Agoによるこのような効果は
他の報告でも確認されています(27)。
//議論、考察//ーー
Streptococcal toxin streptolysin O (SLO)という細菌毒素
一旦、細胞膜に穴をあけて、
そこから外因的に
最終的にエクソソームに封入したい物質を導入し、
細胞内の機序を利用して
エクソソームの前駆体である腔内膜小胞に導入できると
エクソソームを使った薬剤輸送の
一つの大きなマイルストーンになります。
SLOで穴をあけて、それが修復する(再封鎖)する
という機序は利用する大きな価値があります。
Yuki Sonoda, Fumi Kano & Masayuki Murata(敬称略)も
議論(1)の中でその可能性について言及しています。
miRNAも治療に利用できる一つの大きな物質であるので
今回確認されたRNA結合タンパク質AgoとYBX1による
引き寄せは、任意のmiRNA封入に利用できる可能性があります。
また、もっと抽象的、広範な見識では
miRNAはこのような結合タンパク質に結合し
それが複合体として引き寄せられることによって
腔内膜小胞内への走化性を獲得し、
封入されるということです。
そこに一定の仕分けが存在します。
Rab families、Endosomal sorting complexes。
これらも仕分けに関わると考えられます。
これらの複雑な物質間の関わりにおいて
細胞内での時空間での理解、分析が進むと、
より直感的な理解につながると考えられます。
(参考文献)
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免疫系は精緻なネットワークを築いていて
免疫細胞同士がサイトカイン分泌や
表面リガンドによる直接的な結合によって
その活性を制御していると考えられます。
しかし、それだけではなく
免疫細胞が放出する細胞外小胞も
免疫細胞が持つ表面リガンドを持ち、
細胞内にある形質に影響を与える
miRNAなどを輸送する事から
免疫系に大きな影響を与えていると考えられます。
--
Edit I. Buzas(敬称略)は
免疫細胞から放出される細胞外小胞の役割の総括の中で
免疫制御について述べています。
その部分を丁寧に参照させていただき、
考察を加えました。
その内容を読者の方と情報共有したいと思います。
//免疫制御//ーー
免疫の制御に関わる多数の分子が
細胞外小胞の表面で見つかっています。
例えば、
〇Immune-checkpoint molecules cytotoxic T lymphocyte antigen 4(CTLA4)
〇Programmed death ligand 1 (PDL1)
〇Apoptosis-inducing ligand FASL (CD95L)
〇Ectoenzymes CD39 and CD73
これらです。
制御型T細胞(Treg)は細胞外小胞を放出し、
その細胞外小胞は制御型T細胞の免疫抑制活性に貢献します。
それは上述したCD73の表面発現のような
様々な機序によって生じます。
--
実際、CD73によるアデノシンの産生は
Treg細胞によって生成された細胞外小胞の
免疫抑制効果において重要です(2)。
Treg細胞由来の細胞外小胞の活性は
細胞外小胞に関連するmiRNAs(miR155, Let7b and Let7d)。
これらによって制御されています。
TregによるCD4+T細胞反応のmiRNAsとエクソソームの
鍵となる役割は
〇Dicer-deficient Treg細胞
〇RAB27A and RAB27B double-deficient Treg細胞
これらを使うことで生じます。
これらの細胞はそれぞれ、
miRNA, エクソソームの生合成が乱されています(3)。
--
T細胞に加えて、
樹状細胞はTreg細胞由来の細胞外小胞における標的です。
Treg細胞由来の細胞外小胞に関連する
特異的miRNAs(miR-150-5p and miR-142-3p)。
これは細胞外小胞の取り込みの後、
樹状細胞のサイトカイン産生を改変します。
その改変はLPS露出樹状細胞によって
IL-10産生の増加、IL-6産生の減少を導きます。
これは、自己免疫反応が寛容原生を持つ樹状細胞によって
抑制される機序です(4)。
癌細胞由来の細胞外小胞はPDL1を輸送し
PD1発現CD8+T細胞の活性を抑制します(5)。
--
幹細胞由来の細胞外小胞の免疫制御の役割は
注目に値します。
幹細胞由来、前駆細胞由来の細胞外小胞の特徴が
細胞外小胞ベースの治療においてどのように生かされるか?
それについてはEdit I. Buzas(敬称略)は後述してます(1)。
幹細胞由来、前駆細胞由来の細胞外小胞は
多くの種類の免疫細胞の機能を抑制します。
例えば
〇T細胞
〇B細胞
〇NK細胞
〇樹状細胞
〇単球
〇マクロファージ
これらなどです(6)。
幹細胞由来の細胞外小胞によって引き出される機能の
生理機序は
〇Induction of T cell apoptosis via adenosine A2A receptor
〇Transfer of miR-155-5p to B cells
〇Downregulation of the PI3K–AKT pathway
〇Suppression of NK cells by transforming growth factor-β(TGFβ) mediating downstream signalling through SMAD2 and SMAD3
〇Upregulation of miR-146a expression
〇Downregulation of FAS (also known as CD95) expression in DC
〇miR-182- mediated targeting of the Toll-like receptor 4 (TLR4)–NF-κB–PI3K–AKT pathway in macrophages
これらを含みます(6)。
細胞外小胞を炎症性疾患の治療のツールとして用いる事の
関心は高まってきています。
--
細胞外小胞によって仲介された免疫制御は
妊娠の免疫機能に関与します。
セミ同種異系の胎児への免疫寛容の維持に関して
これが関与します。
健康な妊娠女性では合胞体栄養細胞由来の細胞外小胞が
いくつかの方法で胎児-母体の境界で
通常の免疫抑制的な機能に貢献します。
その細胞外小胞は
NK細胞の活性化受容体MKG2Dに対して
リガンドを輸送します。
そのリガンドは
〇MICA, MICB and UL16 binding proteins。
これらで、輸送された結果
活性化受容体MKG2Dを抑制します(7)。
↓
(考察)
子供の栄養の供給元である血中に存在する
リンパ球のうち7割がNK細胞です(11)から
その活性が精密に制御されているという事は
母児の健康において重要な意義を持つと考えることができます。
--
その細胞外小胞は
〇Pro-apoptotic proteins FASL
〇TNF-related apoptosis inducing ligand (TRAIL)
これらも輸送します(8)。
また、
〇HSPE1 and 輸送されたmiRNA
これらを通してTreg細胞の分化を促します(9)。
--
上述したように
細胞外小胞は鍵となる自然、獲得、制御型免疫系において
それぞれ機能を有しています。
それは細胞外小胞を介した基礎的な免疫機能が
健康や病気の中で予防、病理に関わる免疫反応に
どのように関わっているか?
この疑問を与えます。
//考察//ーー
細胞外小胞が病理とどのように関わっているか?
という疑問に対する一つの重要な視点は
それぞれの免疫細胞や免疫系に影響を与える細胞が
放出する細胞外小胞の量にあると思っています。
免疫シナプスを形成したり、
アポトーシスをしたり、
組織が炎症、癌化したり、、、
そういったときに細胞外小胞の放出量はどうなるか?
想定では増えると考えられます。
例えば、癌の患者さんでは
循環している細胞外小胞は健康な人の
3倍であるという報告もあります(10)。
但し、癌細胞由来の細胞外小胞によって
3倍に増えているかどうかはわかりません。
このように、
細胞外小胞の量が増えれば、
ドナー細胞の影響が周りに広がりやすくなるため
例えば、癌細胞であれば、
その影響を色濃く免疫系も影響を受けてしまいます。
例えば、PDL1-PD1の免疫チェックポイントも一つです。
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Nature Communications volume 13, Article number: 4398 (2022)
Author correction: 細胞外小胞と免疫シナプスの関係と表面受容体動性と治療展望
細胞表面には多種多様な無数の表面(糖)タンパク質があります。
そのたんぱく質は固定されているわけではなく、
動く性質を持っています。
それを裏付けるのは免疫シナプスという現象です。
免疫シナプスを形成するために
T細胞の受容体は結合部位に集まる事ができます。
そして周辺にインテグリン、接着受容体を発現します。
例えば、
これは免疫細胞だけに限らず
癌細胞と免疫細胞の間でも結合シナプスを形成する
可能性があります(15)。
結合シナプスが形成されるのであれば
癌細胞と免疫細胞の物質交換、信号伝達は
非常に活発になります。
癌細胞が持つ免疫チェックポイントを介した
免疫逃避も一つの結合ではなく
多くの結合の並列によって
より強いシナプスを形成している可能性があります。
しかし、これの確かな証拠は見つかっていません。
現時点では仮説です。
ただし、表面受容体が動く、ダイナミックである
という事はおそらく真なので、
それを前提に考えると
普段目にする1種類の受容体-リガンドペアが1つである
細胞結合の図から生まれる先入観を払拭する事に成功します。
但し、異種の接合が同時に実現している
細胞間の図は広く見られ、描かれています。
しかし、その数は想像しているよりも実際は
多い可能性があります。
細胞内のミトコンドリアのようにです。
普段細胞を見ている人ならこうした先入観はないかもしれません。
但し、光学顕微鏡で表面リガンドが見えるわけではありません。
その動きはどういった機序で制御されているのでしょうか?
--
Edit I. Buzas(敬称略)は
免疫システムの中の細胞外小胞の役割について述べています。
その中で本日は冒頭で述べた免疫シナプスに関する
項目の内容の一部を参照し、
独自の調査、考察を加えました。
そして、免疫シナプスの考え方を広範に考え
そこから細胞種特異的輸送系統への応用を視野に入れ
さらに考察を加えました。
その中でAkiko Hashimoto-Tane(敬称略)らの
免疫シナプスの研究は非常に重要な見識を与えました(16)。
その内容を読者の方と情報共有したいと思います。
//免疫シナプス//ーー
細胞外小胞はリンパ球と抗原提示細胞の間の
免疫シナプス機能に関与します。
免疫シナプスに関与する細胞外小胞は
近年免疫シナプスで見つかった
CD8+T細胞由来のSupramolecular attack particles。
これと区別されます(2)。
これはThrombospondin 1 shellによって収納された
非細胞外小胞性の自立性の致死性粒子です。
--
十年以上前、T細胞多胞体由来の細胞外小胞(エクソソーム)
とそれらmiRNA積載物の抗原提示細胞への輸送は
免疫シナプスサイトで生じる事がわかっていました(3)。
それ以降に、抗原誘発性、T細胞膜由来の細胞外小胞分泌が
免疫シナプス中心で観測されました。
それはT細胞受容体を豊富に含む細胞外小胞です。
細胞外小胞内のT細胞受容体のソートや放出は
免疫シナプスの特徴とされています(4,5)。
近年のデータでは
T細胞受容体信号に誘発されたT細胞トランスシナプス性小胞は
構造的に放出される細胞外小胞よりも
免疫エフェクターを多く含むとされています(6)。
例えば、
T細胞受容体, CD40L, RNA結合性タンパク質、miRNAです。
↓
(考察)
免疫シナプスはT細胞受容体が樹状細胞との間で結合すると
その受容体が引き合い集まる性質があります。
100個程度集まることもあります。
それで多数の並列結合が生まれます。
やがてその周りには接着性を高めるインテグリンが囲むようになり
そこで大きな結合性集合体を作ります。
信号伝達が非常に密になっていることから
それを「免疫シナプス」と呼びます(7,16)。
上述したCéspedes, P. F.(敬称略)らの報告(6)。
これと併せて考えると
細胞外小胞をエンジニアリングする上で
非常に重要な示唆が得られます。
免疫シナプス領域内では
T細胞受容体を初め多数の関連する受容体が集まっている
と想定できます。
あるいはそれに引き寄せられるT細胞質内の物質
例えば、miRNA(?)もあるかもしれません。
免疫シナプスに誘導される様式で
細胞外小胞が作られると
その細胞膜には多くの受容体が密集していますから
その細胞膜の情報を引き継ぎ、
結果として
Céspedes, P. F.(敬称略)らの報告(6)で示されたように
放出された小胞の表面リガンドや内容物が
そうではなく構造的に放出された細胞外小胞と
大きく異なるということが生じる
と考える事ができます。
--
T細胞表面の微繊毛はT細胞-抗原提示細胞の
接触界面で見つかります。
これは抗原提示細胞の表面に結合する
構造であると従来は考えられていました。
しかしながら、
微繊毛はT細胞受容体を豊富に含む細胞外小胞
T細胞微繊毛粒子
T cell microvilli particles (TMPs)。
これを形成する事が近年示されました。
これは抗原提示細胞表面に配置されます。
CD4+T細胞由来のT細胞微繊毛粒子は
〇T細胞受容体複合体
〇共刺激性分子(CD2, CD28)
〇サイトカイン(IL-33, IL-4, IL-7, TNF)。
これらを輸送します。
T細胞微繊毛粒子は
免疫性Synaptosome
(シナプスによって生じた物質群)。
これを表現すると提示されています。
それら免疫性Synaptosomeは
物理的に相互作用をするT細胞と樹状細胞の間の
特異的かつ急速な積載物物質輸送を可能にするとされています。
それによって、最小のバイスタンダー効果を持つ
樹状細胞の活性化を制御しています(8)。
--
B細胞はT細胞と抗原提示シナプスを形成する事ができます。
この結合の束であるシナプスを通じて
〇miR-20a-5p
〇miR-25-3p
〇miR-155-3p
これらをT細胞からB細胞へ輸送する事ができます。
輸送媒体はシナプス領域で出来たエクソソームです。
それによって
〇The genes encoding phosphatase and
〇Tensin homologue (PTEN)
〇Bcl-2-interacting mediator of cell death (BIM; also known as BCL-2L11)
これらのB細胞の遺伝子サイレンシングに関与します。
PTEN, BIMはB細胞生物学、胚中心反応に
非常に重要な役割を果たします。
BIMは
〇BCR activation-induced cell cycle entry
〇apoptotic killing of low- affinity BCR- expressing B cells
これらに対して必要とされています(9,10)。
一方で、
PTENは成熟B細胞のIgD B細胞受容体の発現を制御しています。
また、胚中心反応を制御しています(11)。
T細胞からB細胞へのmiRNA含有のエクソソームの
免疫シナプス性輸送は
胚中心形成と抗体産生において重要な役割を果たしています(12)。
T細胞の抗原提示シナプスの形成に加えて、
B細胞は抗原捕獲、プロセスの目的のため
濾胞性樹状細胞とシナプスを形成します。
生体内で
B細胞と濾胞性樹状細胞のシナプスは
pMHCクラス2輸送のエクソソームを含み
濾胞性樹状細胞表面に接着しています。
MHCクラス2分子は濾胞性樹状細胞によって発現されていない
事を考えると、
pMHCクラス2複合体はB細胞から放出された
細胞外小胞によって濾胞性樹状細胞に輸送されたと
仮説を立てることができます。
↓
(考察)
少し見方を変えて言い換えると
細胞外小胞は内容物だけではなく
表面リガンド、受容体そのものを受け細胞に輸送し
受け細胞表面に発現させる機序があるかもしれない
という仮説です。
--
濾胞性樹状細胞関連pMHCクラス2輸送エクソソームは
胚中心でB細胞分化の共刺激のため
抗原特異的T細胞を誘導します(13)。
濾胞性樹状細胞は
Iccosomesとして知られる細胞外小胞を産生します。
それは濾胞性樹状細胞の糸状の突起物のビーズに
よって形成されます。
また抗原-抗体複合体によってコートされます。
この濾胞性樹状細胞由来の細胞外小胞は
B細胞によって取り込まれ、
輸送された抗原は
B細胞による抗原提示のためのプロセスに入ります(14)。
//細胞種特異的輸送系統の観点//ーー
(※)Cell-type-specific delivery system
受容体による束、シナプス形成は
細胞種特異的輸送系統にも生かすことができます。
例えば、
特定の受容体に結合するように
エンジニアリングした細胞外小胞を輸送するときに
「予め」標的細胞側の受容体が集まる事を想定して
密集して標的受容体に対するリガンドを形成しておきます。
そうすると、細胞外小胞の標的性や
内容物の細胞内への輸送効率が上がる可能性があります。
もし、受容体があつまりシナプス形成する条件、機序がわかれば
それを組み込むことによって
細胞種特異的輸送系統の特異性、効果が上がる事が想定されます。
ひょっとすると細胞外小胞表面に形成されている
表面リガンドの分布が密であれば、
それに引き寄せられてシナプス形成する事も考えられるかもしれません。
細胞が表面受容体を動かす機序を持っている可能性は高いですが、
細胞外小胞はないのか?
ない可能性がありますが、未知の部分があります。
序章で述べた様に
細胞の表面にある受容体やリガンドは動性を持っていて
位置を変える事ができるし、
エンドソームや小胞の形成によって
発現量、密度を変える事も出来る可能性があります。
また、外的に細胞外小胞を取り込むことによって
新たな受容体、リガンドを形成する事もできるかもしれません。
従って、それぞれの細胞の表面(糖)タンパク質は
非常にダイナミックであると考えることができます。
その中で、前述したように
集まる性質を生かして標的性、取り込み効率を上げる
ことができるかもしれないし、
逆の視点として
減る、離れる性質を生かして、
オフターゲットを抑制する事も出来るかもしれません。
(追記)
受容体-リガンドの結合はよく論理回路でAND, OR, NAND回路などで表現されることがあります。実際に発現の有無で考えるとデジタルの1、0の考え方でいいかもしれないですが、シナプスの考え方で重要なのはONになっている時の信号伝達に段階があるという事です。結合している受容体の数が場合によれば集合になっていて100くらいになっているということです。ここまでいかなくても実際には10程度並列して結合している受容体もあるかもしれません。あるいは2かもしれません。それによって電気回路の可変抵抗のように信号の電流値が連続的、段階的に変わり得るということです。実際に脳のシナプスでもそのように流れる電子の量には連続性があるかもしれません。そのような事が神経細胞以外の細胞同士でも起こっている可能性があるということです。エクソソームと細胞の場合は、エクソソームの径が100nmとすると球の表面積が125664(nm2)になります。細胞は鉄球のように硬くなく、柔らかいので、そのたわみによってある程度の接触面積があるとして、エクソソームの場合は仮に全表面積の1/100程度接触できるとすると1256.64(nm2)になります。仮にリガンドの断面積が100(nm2)という事は高分子なのでないと思うので、1000(nm2)だとするとその時点で1つ程度ということになります。そうすると上で述べたエクソソームで並列に結合できるリガンドは限られるという事になりそうです。たわみが大きく接触できる面積が大きくなると状況はもう少し変わってくると思います。いずれにしても細胞は柔らかくたわむということを考えると、細胞同士、細胞-細胞外小胞、細胞-ナノ粒子の接触は点ではなく、面であり、その面積は頭でイメージしているよりも大きいかもしれません。
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//背景//ーー
Clustered regularly interspaced short palindromin repeat
(CRISPR)-associated protein (Cas9)は
培養環境において人の細胞の遺伝子編集を効率的に
行うことができます。
そのことは人の病気を治療するための潜在性を与えます(2,3)。
しかしながら、
試験管と異なり、生体内で
CRISPR-Cas9を輸送しようする事は
病因となっている組織、細胞への標的性が必要になります。
--
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は
X染色体上のジストロフィン遺伝子変異によって
引き起こされる重篤な筋肉劣化疾患です(4)。
主に男児にみられ、症状は幼児期から現れます。
骨格筋細胞や心筋細胞内での
ジストロフィンタンパク質の欠如は
筋肉安定性を損ね、筋肉摩耗の結果となります(5)。
CRISPR-Cas9は
〇iPS細胞(6)、
〇生体内動物DMDモデル(7-10)。
これらのエクソンスキッピングにおいて
効果的なツール、方法であると報告されています。
--
アデノウィルスは生体内での遺伝子輸送に対する
第一候補でCRISPR-Cas9システムを輸送する事による
ジストロフィンタンパク質の治療に利用されます(7-10)。
しかしながら、
いくつかの制限があります
〇ウィルスゲノムDNA輸送容量の低さ(<5kb)(11)
〇アデノウィルスカプシドに対する中和抗体の影響(12,13)
〇Cas9タンパク質に対する免疫原性(14)
〇長期的な遺伝子導入の効果(数年)(15)
〇オフターゲット遺伝子変異生成(16-18)。
従って、
これらの制限要因を克服する新たな
CRISPR-Cas9輸送システムが望まれています。
--
標的性gRNAとCasタンパク質複合体を直接輸送する
CRISPR-Cas9のリボ核タンパク質輸送は
DNAへ輸送する事において
いくつかの利点があります(19)。
〇オンターゲット性が高まる
〇望ましくないオフターゲット効果を減らせる
〇リボ核酸タンパク質は急速に分解される(20)ので
遺伝子編集のタイミングを制御しやすい。
つまり、一時的な編集が可能で、
長期にわたる望ましくない遺伝子編集が生じにくい。
これらがあります。
しかし、
このリボ核酸タンパク質を
遺伝子導入が難しい(hard-to-transduce)組織、細胞まで
輸送するためには、効果的に収納できる
適切な輸送系統が必要になります。
また、内容物を守り、標的化された輸送媒体である
必要もあります。
--
細胞外小胞はウィルス核酸ゲノムを含んでいません。
この事はタンパク質やRNA輸送に生かすことができます。
すでに臨床試験が行われています(21)。
レトロウィルス、Gagからのポリタンパク質は
細胞から生じた細胞外小胞の中の
積載物の理想的な候補です。
--
すでに細胞外小胞を輸送媒体とした
CRISPR-Cas9 RNP輸送方式は報告されています。
〇Cas9P LV(22)28
〇NanoBlades(23)29 systems that fuse SpCas9 with retroviral Gag
〇VEsiCas30 system that passively incorporates SpCas9,
〇Gesicle31 system that uses dimerization based incorporation of SpCas9,
これらです。
しかし、筋組織への生体内の輸送は明らかではありません。
さらに
SpCas9とGagの直接的な融合は
プロテアーゼ仲介へき開を通じて
Cas9をGagから引き離すために
Gag-Polの補充が必要になります。
このことはパッケージされるSpCas9分子の数を減らします。
Polの中でプロテアーゼを導入する事は
標的タンパク質内の暗号サイトで
プロテアーゼ仲介の劣化のリスクを向上させます。
それによって機能的タンパク質の輸送効率が下がります。
従って、
Cas9タンパク質とsgRNAのための
活発な封入駆動システムが必要になります。
これはGagとCas9タンパク質の直接的な融合に関与しません。
--
Peter Gee(敬称略)らは一体化された細胞外小胞輸送系統
NanoMEDIC
(nanomembrane-derived extracellular vesicles for
the delivery of macromolecular cargo)。
これを開発しました。
NanoMEDICは
〇T細胞
〇単球
〇iPS細胞
〇iPS由来皮質ニューロン
〇筋原細胞
これらのような様々な人の細胞の
効果的な遺伝子導入が可能であると確かめられています。
NanoMEDICは
DMD患者さんのiPS細胞の
splicing acceptor (SA)、donor sites(SD)。
これらを同時に標的化することもできます。
--
Peter Gee(敬称略)ら医療研究グループは
細胞外小胞を輸送キャリアとして
CRISPR-Cas9を一体的な様式で
標的細胞へ輸送し、
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの遺伝子治療の
基礎的研究を行っています(1)。
その背景、結果の概要、
細胞外小胞を観点とした考察について
読者の方と情報共有したいと思います。
//結果概要(1)//ーー
Producer cells(HEK293T細胞)からの
細胞膜の萌芽によって生じた
細胞外小胞を利用。
その萌芽する過程で、SpCas9、sgRNAを引き付けて
細胞外小胞内に収納すると理解しています。
--
N-terminal fused FRB-SpCas9を細胞外小胞に
導入する能力を評価。
〇VSV-G-FKBP12
〇LM-FKBP12-Gag
〇LM-FKBP-EGFP
(評価結果は??)
--
FRB N-terminal fused SpCas9が
最も高い細胞外小胞封入効率、輸送効率、
標的細胞での放出効率を実現しています。
--
sgRNAを細胞外小胞萌芽位置に局在化させるために
レンチウイルス構成物質を利用しました。
〇The Tat activation response element (TAR) in the 5'LTR promoter region
〇An extended Psi(Ψ+) packaging signal that binds specifkcally with nucleocapsid of Gag
Tatタンパク質陽性条件では
Fig.2(ii)に示される5'LTR-Psi-RGRでは
sgRNAの収納効率が高く
遺伝子編集効率が上の2つのリンカーがないFig.2(i)
U6-sgRNAに比べて3倍になっています。
--
SgRNAとAP21967は相乗的にCas9を引き付けました。
AP21967;Rapamycin analog。FRBとの結合親和性が高い。
--
DMDのエクソンスキッピングの効率は
sgRNA-DMD1, sgRNA-DMD23
SA, SDサイト標的
これが最も高いとされています(Fig.3c)。
--
50%を超える高indel頻度がSA, SDサイトで
それぞれ得ららたとされています。
--
DMDの治療の標的となるエクソン45スキップは
DMD1, DMD23陽性で高い頻度で得られています(Fig.4c)。
この条件でジストロフィンタンパク質の発現がみられています。
※iPS細胞で確認。
--
NanoMEDICのオフターゲット効果は
DNAプラスミドに比べて顕著に低い。
ほとんど確認されませんでした(Fig.5d)。
--
マウスによる発光による確認で
タンパク質輸送、寿命の効果は一時的(1-2日)
程度でした(Fig.6a)。
また、肝臓、他の臓器などへのリークも
見られていません。
--
マウスにおいて
エクソンスキッピング持続効果は
少なくとも160日間ありました(Fig.6d)。
//細胞外小胞の観点での考察//ーー
Peter Gee(敬称略)らがFig.1aに示す
細胞外小胞へのCRISPR-Cas9システムの導入は
NanoMEDICと呼ばれます。
これがどのような機序で出来るか?
少なくとも筆者において
明示できる知識、経験レベルにありませんが、
示された図、文章からは
細胞膜からの「直接の」萌芽(budding)であると
解釈しました。
この機序で出来る細胞外小胞は
マイクロベシクルと呼ばれ、
エクソソームよりも大きく、
おそらく大きさにもばらつきがあると考えられます。
径が大きいので、CRISPR-Cas9のシステムを一体化して
収納する事が可能になったのかもしれません。
しかしながら、
文章中にはエクソソームの記載があり、
そのマーカーであるテトラスパニン(CD63, CD81)が
細胞外小胞に豊富に発現されていたとあります
そうであるとするならば、
Fig.1aの図よりももう少し複雑な機序で
細胞外小胞が放出されていることになります。
この点について関心があります。
Fig.1aに示されるように
放出される細胞外小胞の表面タンパク質は
遺伝子によってコントロールすることができます。
ここを制御する事によって
遺伝子治療で必須となる特異的輸送が可能になる
可能性もあります。
人の場合、身体の厚みもある事から
患部への直接投与が難しい場合もあります。
従って、輸送キャリアの細胞種特異的輸送系統(※)の
利用はその場合必要になります。
(※)Cell-type-specific delivery system。
但し、今回、Peter Gee(敬称略)らのマウスでの
患部投与(?)の結果において
肝臓や他の臓器へのリークは見られなかったとされています。
これは一つ重要な結果です。
--
またNanoMEDICのように
細胞内での細胞外小胞の形成過程において
結合親和性による引き寄せを利用して
薬理機能のある物質を自発的に封入する技術は
CRISPR-Cas9以外でも利用できる可能性があります。
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targeting -globin and CCR5 genes have substantial off-target activity. Nucleic
Acids Res. 41, 9584–9592 (2013).
(17)
Fu, Y. et al. High-frequency off-target mutagenesis induced by CRISPR-Cas
nucleases in human cells. Nat. Biotechnol. 31, 822–826 (2013).
(18)
Hsu, P. D. et al. DNA targeting specificity of RNA-guided Cas9 nucleases. Nat.
Biotechnol. 31, 827–832 (2013).
(19)
Xu, H. et al. Targeted disruption of HLA genes via CRISPR-Cas9 generates
iPSCs with enhanced immune compatibility. Cell Stem Cell 24, 566–578.e7
(2019).
(20)
Kim, S., Kim, D., Cho, S. W., Kim, J. & Kim, J.-S. Highly efficient RNA-guided
genome editing in human cells via delivery of purified Cas9
ribonucleoproteins. Genome Res. 24, 1012–1019 (2014).
(21)
Fuenmayor, J., Gòdia, F. & Cervera, L. Production of virus-like particles for
vaccines. Nat. Biotechnol. 39, 174–180 (2017).
人の疾患における細胞外小胞の影響とそれを利用した治療
明日は日曜日です。
週に1度は休みが欲しいと思っているところで、
明日は気分転換にショッピングモールにでも行って
貯蔵している医療関係の本の読書でもしようと思っていました。
普段、目を通せない科学論文を読もうと思っていました。
それでも今の私にとっては貴重な気分転換です。
誰もいない家でこもって作業するのとは違います。
しかし、その予定は大きく変わりました。
私にとって大切な方たちが
私の気持ちを動かしてくれたからです。
ここでその気持ちにこたえなければ、
「私ではない」とすら思いました。
このような気持ちにさせてくれて
とても嬉しく思っています。
ブログでは専門家としての意見を言うべきで
このようなプライベートに関わる言論は避けるべきである
という面もありますが、
本日はそういう自分を許すことにします。
--
毎日、毎日、私が目にする科学論文の中で
小児医療、青年医療に関する報告で
気持ちが動かされることが度々あります。
記事にしたいと思うことも多くあります(5)。
しかし、今は強い気持ちを持って
自分の目標である
細胞種特異的輸送系統
(Cell-type-specific delivery system)。
これの実現に集中しています。
日本のメディアで
広島大学のある小児科医が
「もっと良い薬があれば、、、。」
というコメントを残していたのが
ずっと頭にあります。
その言葉の続きはきっと
「多くの命が救える。」
「治療中の痛みを軽減できる。」
「良い予後をお子さんに提供できる。」
というものでしょう。
アメリカ合衆国、ヨーロッパよりも
日本の小児医療において
選択できる薬が少ないという現状もあります。
そして、私の母国は日本であり生粋の日本人です。
従って、この状況を良くしたいという気持ちは強いです。
細胞種特異的輸送系統が実現して、
私が大きく貢献して、社会から力が与えられたなら
その力の全てではもちろんないですが、
多くの部分を小児医療、青年医療に注ぎたい
と小児医療の報告を見る度に思います。
従って、我慢しています。
「良い薬ができれば、きっと変えられる。」
このように思っているからです。
広島大学の小児科医の言葉を思い出します。
--
その様な背景があり、
明日、更新する際に参照する科学論文は
「妊娠女性の肥満の影響」(2)を選択するか
迷いましたが、やはり、
日本で強い技術に育てていきたい
細胞外小胞に関する報告(1)を選択する事にします。
しかし、
今日、このような気持ちを抱かせてくれたのは
日本ではなく、
アメリカ合衆国やヨーロッパの方々です。
日本人として母国を大切にするという気持ちを持ちながら
「医療を含め、自然科学には国境はない。」
という考え方も大切にしたいです。
また、人の気持ちを動かすというのにも
国境はありません。
本日は、私の気持ちを動かしてくれて感謝します。
--
Ravi Shah, Tushar Patel, and Jane E. Freedman(敬称略)
からなる医療研究グループは
人の疾患における細胞外小胞の循環について
総括しています(1)。
その内容を丁寧に一つ一つ参照させていただき
可能な限り、付加価値を読者の方に提供したいと思います。
//概要//ーー
細胞死やアポトーシスが起こる際には
細胞外の環境に細胞から小胞が放出されることは
よく知られています。
しかし、健康な細胞も通常の機能の中で
そのような小胞を放出するかもしれない
ということが認識されるようになりました。
その小胞は細胞外小胞と呼ばれますが、
研究が活発になったのはここ20年といわれます。
この細胞外小胞は
〇エクトサム
〇微小胞
〇マイクロベシクル
〇エクソソーム
〇オンコサム
これらに分類されます。
形成のプロセスや大きさによって分類できます。
これら細胞外小胞は
循環器の中で見つかり
細胞由来の分子である
RNA、タンパク質、代謝生成物を含みます。
細胞外小胞は細胞間の分子のやり取り、交換に関与します。
その中で生理的な機能に対して効果を持ちます。
また、病気の診断のためのバイオマーカーとしても
利用できます。
しかしながら、
いくつかの困難性、制限要因があります。
〇低い濃度
〇どの細胞、組織に由来しているかの判別
〇どの積載物が最も病状を反映しているかの特定
これらなどが挙げられます。
この総括論文のゴールは
細胞外小胞の簡潔な序章を提供することです。
その中で、この総括論文は
トランスレーショナル医療、臨床研究に
特別に焦点を当てます。
従って、人の病気を意識したものになります。
しかし、この分野はまだ未発達であり、
幅広い病気を網羅することは難しいです。
基礎医学を含めたもう少し詳しい報告は
他の報告に譲ります(3,4)。
//細胞外小胞とは何か?//ーー
細胞外小胞は被膜を持つ小器官で有り、
異なるタイプの分子積載物を含む
組織、細胞から放出されいます。
その分子積載物とは
RNA, タンパク質, 代謝生成物を含みます。
細胞外小胞の古典的な分類(2分するもの)は
その径(サイズ)と生合成プロセスに依ります。
例えば、
エクソソームは150nm以下の径を持つ小胞であると
定義されます。
一方で、
エクトサム、マイクロベシクルは
それ以上の大きさから1000nmまでの径を持つ
小胞をとして定義されます。
細胞外小胞の形成に関しては
エクソソームは多胞体(multivesicular bodies)から
生成され、広範囲の様々な細胞種から放出されます。
現存している報告では
このサイズを基礎とした定義に依りますが、
近年の専門家の意見の一致(Consensus)では
生合成や内容物の違いが分類に関係するかもしれない
と認識され始めています(6)。
現在では
これらの放出に関わる細胞外小胞の生合成
細胞内の生理信号の機序に関して
継続的な研究が行われています。
これらの基礎医学、基礎生物学に関わる内容は
Ravi Shah, Tushar Patel, and Jane E. Freedman(敬称略)
が示す総括では対象外となっています。
彼らは臨床を前提に考えた、
トランスレーショナル医療、臨床との
細胞外小胞の関わりについて総括しています(1)。
その中で
生理学的、生物化学的性質のさらなる調査についての
必要性に対して警鐘をならしながら、
循環器に存在する細胞外小胞を多様な視点で述べます。
//生理学的な機能のバイオマーカーと疾患//ーー
正常な循環器系では、
多数の細胞外小胞が血小板や巨核球から
生じているかもしれません(7)。
他方で、ほとんどの細胞は細胞外小胞を放出する
と考えられています。
細胞外小胞は血液に加えて
他の多くの生体液中に存在します。
例えば、
母乳、唾液、尿、脳脊髄液などです。
他には胸膜液、腹水、精液、汗、涙などもあります。
それぞれ組織や臓器と関連の深い生体液があるため、
それぞれの生体液に存在する細胞外小胞は
ある程度の臓器、組織特異性を持っていると考えることができます。
--
細胞外小胞は内容物として
タンパク質、脂質を含む代謝生成物、核酸を含みます。
これは放出されたドナー細胞の性質、機能を反映している
かもしれません。
参考文献(1)図1を参照してください。
エクソソームにおいては
(表面マーカー)
Integrins
CD81 and CD9
HSPA8 and HSC70
(内容物)
Proteins
MHC I and II
Lipid rafts
Targeting and adhesion proteins
mRNAs
miRNAs
circRNAs
IncRNAs
これらを含みます。
マイクロベシクルも内容物に関して類似します。
従って、免疫系の抗原提示にも関わるし、
多くのエピジェネティック因子も輸送します。
またインテグリンなどによって
細胞外マトリックスや組織に吸着する能力もあります。
一方で、
自然な機序でこれら多様な物質を輸送することができますから
潜在的にはこれらの物質と類似し、
かつ薬理性を持たせた物質の輸送媒体として利用できます。
多様なRNAを輸送する事ができる為
標的型RNA治療に応用することができます。
図で示されている様に表面には多様な表面リガンドがある事から
これらを管理、エンジニアリングする事に寄って
特定の細胞種、組織への輸送効率を高めることができる
可能性があります。
細胞種特異的輸送系統を実現するため、
細胞外小胞は一つの輸送媒体としての選択肢となります。
また、細胞外小胞と細胞は
膜融合する事もできる可能性がある事から(8)
細胞間の内容物の輸送だけではなく
表面リガンド、受容体も細胞との膜融合の中で
伝達している可能性も示唆されます。
--
循環器の中での細胞外小胞の機能は
継続的に調べられています。
細胞外小胞はタンパク質、RNAを通して
細胞間のコミュニケーションの機能を持っているかもしれません。
これは免疫機能(9)、炎症(10)、
病気特異的な生理経路、臓器特異的な生理経路など
身体全体の生理経路に関する効果を伴います。
細胞間の信号、細胞間のコミュニケーションの
観点で考えると
病気の診断、検出、予後診断、管理のための
非侵襲的なバイオマーカーとしての
潜在的な役割に対する関心は高まってきてます。
元々、細胞外小胞はバイオマーカーに関する研究が
多いという筆者の印象があります。
治療の為の薬剤輸送の観点だけではなく
今まで積み上げれてきたバイオマーカーとしての価値、
あるいは化粧品、農業、植物による海山陸の保全など
産業としての価値、
それら包括的な事を全て歓迎して、
協調しながら進めていくことで、
課題である管理された生産性の課題の解決にも
関わってくると考えられます。
様々なノウハウは一致する部分もあります。
--
しかしながら、
臨床的な応用をするにあたって
上述した関心を弱めるいくつかの課題、制限要因があります。
ただ、考えられる様々な課題も
上述したように細胞外小胞の応用のすそ野を広げていき、
その相乗効果を高める事で
一部乗り越えられるものがあると考えています。
//癌//ーー
細胞外小胞のは
癌生成、転移、
化学療法耐性、癌免疫など
癌形成、治療に関わる様々な因子と関わりがあります。
その中で癌生物学の中での
細胞外小胞の研究は広がっています。
細胞外小胞は胞内、活性な流出機序を伴う
バルク輸送を通した癌細胞外の
化学療法媒体となりうるとされています(11,12)。
そのことは薬剤を含む生物学的物質を
悪性細胞から遠ざける分子を放出する場合も
あるかもしれません。
例えば、
乳がんにおける
Human epidermal growth factor receptor 2[HER2]。
これなどです(13)。
卵巣がんでは細胞外小胞によって
体細胞と癌細胞の中での細胞間相互作用において
microRNA21が輸送される可能性があります。
これは化学療法の抵抗性を誘発します(14)。
従って、このような事実が確認されたなら
このmicroRNA21の働きを抑制する物質を
癌細胞に特異的に輸送する事によって
化学療法の効果を高める事ができる可能性があります。
その時に、標的化ができているのであれば、
化学療法に使う薬剤も一緒にmiRNA抑制物質と
同時に輸送する事を考えます。
例えば、GLP1アゴニストとtesaglitazarを
2型糖尿病の治療の為、リンカーにより結合して
「同時輸送する」ことで
マウスのケースですが、
肥満とグルコース代謝が改善したという報告もあります(15)。
抗体薬物複合体の例ももちろんのことですが、
標的性のある輸送媒体、細胞外小胞などを使って
薬剤耐性を防ぎながら、化学療法を
同時輸送で行う事の人のケースでのメリットは
将来的に証明される可能性はあります。
--
細胞外小胞は上皮間葉転換に関与する
分子を内的に持つことによって
転移を促す効果もあるかもしれません(16)。
また転移のための標的組織を用意する
つまり癌微小環境を作る事もあります(17)。
乳がん細胞由来の細胞外小胞は
microRNA仲介の遺伝子サイレンシングのために
必要なたんぱく質を含んでいます。
それが悪性細胞ではない正常な細胞の
性質を変えてしまうかもしれません(18)。
つまり、乳がんが存在し、
そこから細胞外小胞が放出される事に寄って
周辺の、あるいは遠い組織の正常な細胞に
細胞外小胞による連携を通して
悪影響を及ぼしてしまう可能性があるという事です。
--
癌細胞由来の抗原を持つ細胞外小胞は
親癌細胞から由来するかもしえないという根拠に
基づいて、研究者は
細胞外小胞を急性骨髄白血病を持つ患者さんの
血液から細胞外小胞を分離しました。
それでこれらの細胞外小胞は
免疫機能においてそれに関わる分子の発現を
変える事に影響を与えるかどうかについて
評価しています(19)。
この知見は癌生成、治療反応の様々なステップで
細胞外小胞が関与していることを暗示し、
その時々の癌特有の病理、病状において
機能的な役割を果たしているかもしれないことを
示しています。
--
研究に参加した人々は
癌治療の診断、予後、治療において
細胞外小胞がどのような役割を担っているかを
明かにする事を目的に集められ、
研究がスタートしています。
卵巣がんでは
癌表面のマーカーに基づいた腫瘍組織にからの
細胞外小胞の循環器中の量は
癌のステージに比例する事が示されています。
健康な人よりも量が多くなっています(20)。
加えて、
細胞外小胞とその積載物は
様々な癌種に対しての診断、予後管理戦略の
一部として調べられました。
それは
肝胆道、乳房、肺、胃腸、皮膚
前立腺、鼻咽頭、
これらにできる癌を含みます(21-31)。
これらの挑戦的な取り込みは
それぞれの癌に関連のある
複数の生体液中の細胞外小胞に含まれる
バイオマーカーの発見に焦点を当てています。
それは
大腸がんのタンパク質(32)
前立腺がんのmicroRNAs(33)
膀胱がんのタンパク質(34)
脳腫瘍のmicroRNAs(脳脊髄液)(35)
これらをそれぞれ含みます。
細胞外小胞の特異的な分子は
診断と癌ステージと関連性があります。
例えば、
食道がんのmicroRNA21(36)。
--
癌細胞の増殖、発展の病理、生理学的に
影響を与えるこれらの潜在性の観点から
細胞外小胞は
癌治療の新しいモードの一部として
今、活発に調べられているところです(37)。
特異的かつ継続的な献身は
抗癌性を持つ免疫機能を促すための
細胞外小胞の利用も含みます(38)。
あるいは
小分子の輸送のための輸送媒体として
利用する事も含みます(39)。
特異性の為の基礎的、かつ臨床的な調査と
細胞外小胞のオフターゲット効果は
臨床応用される前に
精緻な様式で調べられる必要があります。
例えば、
細胞外小胞の仕分け、サイズ管理、
表面リガンド、受容体の管理、
内容物の管理、
これらなどは生体内で影響を与える因子であるため
最先端の技術を駆使して、
多様な様式で品質管理する必要があります。
また、何を含ませればいいかという理解のための
基礎的な細胞外小胞の研究も必要です。
//心血管代謝性疾患//ーー
心臓血管、代謝性疾患の細胞外小胞の機能は
癌に対する特徴と共有できる部分があります。
細胞外小胞によって仲介された
心臓の異なる細胞種間の相互作用、クロストークの
証拠が生まれています。
例えば、
アンジオテンシン2が心臓線維芽細胞から
細胞外小胞の放出により引き出されています。
それは心筋細胞内の遺伝子発現を改変する事を通して
心臓肥大を引き起こしうるとされています(40)。
加えて、
マクロファージ由来の細胞外小胞に含まれる
microRNA155は線維芽細胞増殖を減少させ
マウスのケースで炎症反応を高めました(41)。
この事は心筋細胞以外の細胞種の
細胞外小胞を介したクロストークが
心臓の組織学的な構造に影響を与えるかもしれない
ことを示しています。
拡張型心筋症を持つ患者さんから得られた
循環器にある細胞外小胞は
培養環境内で病理に関わる分子表現型を
心筋細胞に輸送する事を示しました(42)。
これは癌で確認された病理に関わる分子を
細胞外小胞が輸送する機序と類似します。
--
人のケースにおいて
心臓血管疾患を持つ患者さんでは
循環している細胞外小胞の数が増加する事が示されています。
その疾患とは心不全などです(43)。
ほとんどの現在進められている
コホート研究は血漿から
直接、代謝生成物、タンパク質、転写物質の
分析に焦点を当てています。
一方で、これらのバイオマーカーを
定量化するための細胞外小胞の分離は
診断のための新たな領域です。
血漿中の循環エクソソームの濃度は
心臓トロポニンの循環レベルと比例関係にあります。
冠動脈バイパス手術の後
24~48時間の間で上昇します(44)。
循環している細胞外小胞の量は
心臓血管疾患のリスク因子と関連があります。
またその長期的な予後にも関連があります(45,46)。
心臓移植を受けた人の
循環している細胞外小胞のタンパク質の研究は
免疫機能に関わるいくつかのタンパク質の存在を
急性の拒絶反応を持つ患者さんにおいて確認しています(47)。
心筋梗塞後の心不全の有無を持つ患者さんの
ケースコントロール研究では
心不全や左心室リモデリングの予後と関連のある
いくつかのmicroRNAは循環している
細胞外小胞の中において豊富に含まれていました(48)。
--
細胞外小胞内のタンパク質発現の調査は
急性冠動脈系心疾患に関連する
いくつかのタンパク質を明らかにしました。
そこには
免疫グロブリン受容体、
シスタチンC、補体なども含まれていました(49)。
心筋梗塞を持つマウスでは
心臓前駆細胞から由来した細胞外小胞の
梗塞領域周辺への注入は
その後の組織改変を緩和しました。
前駆細胞の注入後の結果と類似します。
例えば、
外科的にアクセスしにくい心臓、心臓血管の
任意の細胞種が損傷を受けて、
創傷治癒が必要な場合、
前駆細胞から放出される細胞外小胞を
その細胞種に特異的に届くように
エンジニアリングして、回復を促す
ということが可能かもしれません。
--
細胞外小胞の利点は
心筋細胞や心筋線維症に対する効果にある
と考える事ができるかもしれません(50,51)。
--
心臓血管疾患に類似して、
心臓代謝系疾患(肥満)は循環している微粒子の
数が多くなることが示されています(52)。
マウスモデルによる近年の研究では
脂質組織からの細胞外小胞は
肝臓の遺伝子発現を
noncoding RNAsに依存した様式で
改変することを示しています(53)。
このことは
長距離の臓器間のコミュニケーションが可能な
細胞外小胞の潜在的な病理を暗示します。
microRNAsを含めたnoncording RNAsは
細胞外小胞が活発に輸送する物質の一つなので
それに依存して遺伝子が変わる事は
さらに細胞外小胞の関与を裏付けます。
--
これに関する臨床的なデータは
まだ多くは示されていませんが、
糖尿病、肥満、心臓血管疾患の間の
重要な関わりを示しています。
例えば、
糖尿病の患者さんの細胞外小胞の
microRNAにおいては
microRNA 126, 26aが減少することが知られています。
これは血管内皮細胞から放出されています。
これは心臓血管疾患と関連があるかもしれません(54)。
逆に
低血糖に対する直接的な治療は
循環する細胞外小胞を改変する事にあるかもしれません。
肥満手術を受けた患者の小さな研究では
インスリン抵抗性における
手術後のシフトは
インスリン信号に関わる細胞外小胞内にある
microRNAsの変化が関わるとされています(55)。
まだ、動物モデルから人へ
トランスレーショナル医療が十分に
進んではいませんが、
細胞外小胞が心臓血管疾患や心臓代謝性疾患の
機能的バイオマーカーとして働きうることを
提案しています。
//神経疾患//ーー
癌や心臓血管疾患と同様に
神経変性、トラウマ、脳卒中など
神経疾患に対して、
研究者は細胞外小胞の潜在的な役割を明らかにする事に
関心を集めてきています。
トラウマ性脳損傷のモデルでは
マイクログリアからの細胞外小胞内の
microRNA 124の増加が
炎症の減少や損傷後の回復のための再成長に
関わっている事を示しています(56)。
脳卒中のモデルの中で
間質細胞からの細胞外小胞に含まれる
microRNA133bは神経構造の改善に関与している
かもしれないとされています(57)。
従って、
このような回復に関わるmicroRNAを
損傷を負っている領域特異的に輸送できるように
プログラミングした細胞外小胞を輸送媒体として
輸送する事で、治療の一環として
神経組織の回復を実現できる可能性があります。
--
細胞外小胞が病気と健康の間の表現型の移動、
つまり健康から病気にどのように移り変わるか
またその逆はどうか
といったことに関わるかもしれないとされています。
細胞外小胞は認知症の治療にも利用できる
可能性があります(58)。
--
新たな研究は神経認知疾患の
細胞外小胞の輸送物質の役割について
その価値を提案しています。
リン酸化されたタウタンパク質は
初期のアルツハイマー病の脳脊髄液の
細胞外小胞と関連があります(59)。
またタウを含む細胞外小胞は
アルツハイマー病において
機械的に重要な役割を担っているかもしれません(60)。
シナプス性の生理学的な機能に
直接関与する鍵となるたんぱく質の改変された発現は
アルツハイマー病の大人の患者さんの
認知機能と直接的な関連があります(61)。
そのたんぱく質は細胞外小胞の中に見つかっています。
細胞外小胞がバイオマーカーとして優れているのは
他の癌や心臓血管疾患も同じですが、
その小胞内に収納されることによって
酵素による分解から守られる事にあると想定しています。
従って、遊離しているバイオマーカーを
分析するよりも比較定量的に優れている
ということは言えるかもしれません。
--
これらの細胞外小胞内のタンパク質を分析する事によって
臨床的な診断がつく数年前からリスクを洗い出す
ことができる可能性があるとされています(62)。
--
血液からの細胞外小胞の
次世代RNAシーケンスPCRアッセイは
アルツハイマー病で機能不全を示している
16種類のmicroRNAsを明らかにしました(63)。
加えて
脳脊髄液からの細胞外小胞に含まれる
特異的なmicroRNAは
異なる神経認知疾患において特異的かもしれません。
例えば、パーキンソン、アルツハイマー病です(64)。
これは大きな研究においても
診断として応用できる可能性を示しています。
1つの研究では
タウタンパク質を含む細胞外小胞の
循環量は健康な群より
脳の衝撃を度々経験する
アメリカンフットボール選手に多いとされています。
これはこれらの選手が認知機能が
低くなる傾向と関連があります(65)。
また、慢性トラウマ性脳症に生じる
認知障害でも同様です。
これらの結果は循環している
神経細胞由来のエクソソームの
診療現場での検出の観点からとりわけ
医療的な価値を見出すことができます。
実際に脳震とう性の損傷でマウスのケースでも
変化が生じています(66)。
癌治療と類似する様式で
神経変性疾患に対する細胞外小胞を使った
治療が急速に発展してきています。
例えば、
βアミロイド蓄積の生成に関わる
酵素の発現を改変させる
siRNAsを含む細胞外小胞のエンジニアリングです(67)。
細胞外小胞を使った治療は
表面リガンド、受容体の探索、形成技術が
進めば、また一段エンジニアリングの水準が
向上することになります。
//感染症//ーー
ウィルスはいくつかの目的のために
細胞外小胞の細胞機能を利用します。
それは感染性を上昇させたり、
免疫逃避の機能を獲得することも含みます(68)。
C型肝炎ウィルスに感染した
ヘパトーマ細胞由来の細胞外小胞は
ウィルスと標的細胞の活性な相互作用の欠如の中で
感染を促進する遺伝子情報やタンパク質を含みます。
さらに
この細胞外小胞仲介の感染は
抗体を介した免疫によるウィルス排除の機能から
逃れるかもしれません(69)。
--
バイオマーカーから
細胞外小胞の表面状態や量は
ウィルス感染の活性と関わりがあります。
HIV-1に感染した人では
循環している細胞外小胞のサイズと量が
CD4/CD8 T細胞(比)と反比例するといわれています。
つまり、CD4レベルが下がると
細胞外小胞のサイズと量が増えるという事です。
HIV-1感染の制御は
細胞外小胞の表面状態、その特徴と関連があります(70)。
さらに
抗レトロウィルス療法による治療は
細胞外小胞内の
microRNA155、microRNA223の量の減少に関連があります。
この事は
細胞外小胞の内容物が
治療の反応の分子信号と関連がある事を示しています(70)。
細胞外小胞の感染力は
プリオン病に拡張することができます(71)。
この疾患では病原性の非融解性conformerへ
転換されるプリオンタンパク質を生む
細胞外小胞が病気を伝染させます(72)。
治療、早期検出、感染経路追跡のための
バイオマーカーとして
細胞外小胞のさらなる研究が求められます。
//挑戦的な課題//ーー
細胞外小胞の基礎、臨床、トランスレーショナル
研究の研究開発に関わる関心は
いくつかの国際機関の設立によって
高められてきました。
例えば、
The American Society for Exosomes and Microvesicles and the International Society for Extracellular Vesicles
これらは細胞外小胞の研究、バイオマーカー発展のために
標準的な手順、プロトコルを作成しています(73)。
このような高い関心にも関わらず
主要な技術的、生物学的な挑戦的な課題への対処は
まだ発展途上、黎明期にあります。
--
どの様に細胞外小胞を形成するか?
どの様にドナー細胞を追跡するか?
細胞外小胞がいくつく先はどこか?
こういったことが課題になります。
人への応用を考えた時
それぞれの病気に最適なバイオマーカーを
どうやって見つけるか?
といったこともあります。
--
例えば、
人の生体液から
細胞外小胞を分離、性質分析するための
標準化の方法がありません。
このことは世界で共有される細胞外小胞に関連する
報告の信頼性に関わります。
なぜなら、ある素晴らしい成果を上げた研究を
他の研究所で再現しようとしたときに
標準的なプロトコルが細かく設定され
それが明記されていないと、
異なる条件で実験する事になります。
細胞外小胞が非常に繊細な特質を持っているならば
再現性に関する大きな問題が生じても不思議ではありません。
--
加えて、臨床因子の影響に関する
情報も欠落しています。
例えば、年齢、性別、人種などです。
また血液から採取できる細胞外小胞も
採取できる血液量に制限がある事から、
信頼性を得るために十分な量を確保できるかは
不透明です。
--
細胞外小胞を分離するためのいくつかの方法があります。
例えば、
〇Density gradient centrifugation
〇Antibody affinity columns,
〇Precipitation–ultracentrifugation
これらが世界共通的な方法です(74)。
Density gradient centrifugationは
遠視分離するステップを組み合わせて
細胞外小胞をサイズ別に分離する方法です。
しかし、時間がかかるとされています。
また、量や熟練性も必要です。
従って、
臨床現場で採用するとなると
少なくとも多くの自動化、効率化が必要になります。
抗体を使った方法では
表面たんぱく質に依存して分類します。
細胞外小胞の表面タンパク質は異種性が高いため
それに依存した分類によって
上手く仕わけられるかが不透明です。
それぞれの細胞外小胞だけではなく
患者さんごとのばらつきもあります。
しかし、
高いスループットを持つ
優れた遠心分離機により
細胞外小胞を分離する事に寄って、
「off the shelf」
つまり在庫を持つことが可能になり、
この事は臨床現場での採用や
バイオマーカー発見のための
トランスレーショナルな取り組みに
繋がる可能性があります。
しかし、ゴミの流入や価格の問題があります(75)。
--
加えてサイズや表面状態を分析する
いくつかの方法があります。
例えば、
〇Flow cytometry,
〇Atomic force microscopy
〇Particle-tracking technology
これらです。
--
少量から分離を可能にすることは
細胞外小胞を使ってバイオマーカーを分析するためには
必要不可欠です。
いくつかの基準を作る事が大切です。
しかし、こうした優れたノウハウは
細胞外治療を用いた産業の
利益の源泉となるため
それを価値に応じて確保しながら、
どのように基準を作るかというのは
1つ難しい命題です。
その中で知的財産管理は一つの考え方です。
--
一般的なバイオマーカーの妥当性に関連する
臨床因子は細胞外小胞の配置と内容物に関して
影響を持つかもしれません。
例えば、
細胞外小胞の収集、分離のための時間は
特性に影響を与えるかもしれません。
細胞外小胞を放出する血小板による
ベースラインの揺らぎも考えられます。
--
どの細胞から放出された細胞外小胞かを
識別する事は非侵襲的な分析においては欠かせません。
生体液を適切に選択する事で
その精度が上昇する可能性がありますが、
細胞種ごとのより精巧な分析を目指すにあたっては
細胞種特異的な表面マーカーを
見つける事が重要です。
この細胞種特異的な表面タンパク質を
人の全身で地図的に明らかにしていく事は
(Surfaceome)
非常に骨の折れる作業ですが、
細胞外小胞を使ったバイオマーカーの診断制度を
上げる事だけではなく、
細胞種特異的輸送系統を使った
様々な媒体での治療にも貢献します(76)。
細胞表面タンパク質が細胞外小胞とどのような
関わりがあるかというのが明らかになれば、
細胞種の表面タンパク質の解析が生きてきます。
--
細胞外小胞だけはなく、
ナノ粒子、ジェル、直接的なリンカー、
これらなどでも適用可能です。
臨床応用する際には
確率的な分離になると思いますので
機械学習なども組み込んだ自動化されたシステムが
導入されることになるのではないか
と想定されます。
しかし、そうするとコストの問題が
やはり浮上してきます。
良い装置が生まれたら、
地域でシャアすることも想定内になります。
//臨床実践に関する影響//ーー
人の疾患の新しく見つかったバイオマーカーは
病理を反映し、医療介入を変え、
現状の診断を超えて診断、予後の管理における
付加価値を提供する必要があります。
細胞外小胞は病気において
機能性を持つかもしれませんが、
それが上述した臨床実践の中で
本当に付加価値を持つかどうかは明らかではありません。
しかし、
細胞外小胞の内に含まれるmicroRNAや
細胞外小胞の量、サイズが
病状と比例、反比例するデータもあるので
それによって
進行の度合いを診断する
1つの大切な評価項目になる可能性はあります。
他の従来の診断、検査と組み合わせることで
信頼性を上げる事につながるかもしれません。
また、
将来的には今行われている
細胞外小胞と病気の関連の研究が
治療に応用されることも期待されます。
例えば、
標的細胞のmicroRNA量を適正に調整するなども
考えられます。
また、患者さんの大切な今後の人生において
1つとても大切な予後の管理においても
細胞外小胞を利用した診断、治療、管理が
付加価値を生む可能性もあります。
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Author correction: 細胞外小胞と獲得免疫、細胞膜との膜融合とその潜在的可能性
人の思考には必ず何らかのバイアスがある
と言われています。
その短絡経路によって、
何らかの情報、概念が見えなくなっています。
それを独力で埋める事は
仮にどんなに努力して知識を高めていっても不可能です。
従って、その空白をより小さくするためには
集団的な知能が重要になると考えられます。
教科書、科学論文などの書物を読んだり、
直接人と議論、話をすることもそうです。
そういった情報をまとめてシャアすることもそうです。
時には自分の分野と関連性の小さい
異分野の情報をとったり、
その専門家と話する事も有効です。
そうした中で先入観によって見えていなかったことが
見える事があります。
時には本日の記事のように
一時的な勘違いによって気づきがあることがあります。
--
本日はEdit I. Buzas(敬称略)の
獲得免疫と細胞外小胞の総括部分について
内容の一部を参照しています(1)。
そこから独自の視点、記述を加えています。
また、直接的なつながりはないものの
派生的に生まれた
細胞外小胞と細胞膜融合について調べ、
記述しています。
それがどういう意味を持つかについても
考察しています。
その内容を日本、世界の読者の方と
情報共有したいと思います。
//リンパ球分化//ーー
細胞外小胞はT細胞分化において重要な役割を持っています。
それは胸腺の上皮細胞から放出される
胸腺由来の細胞外小胞が主に関わります。
胸腺上皮細胞由来の細胞外小胞は
組織限定的な抗原を胸腺の樹状細胞まで
抗原提示の為に輸送します。
このような様式で
細胞外小胞は自己抗原の為の特異性を持つ
T細胞の中枢性免疫寛容に貢献します(2)。
つまり、自己に反応するリンパ球を排除する
負の選択が行われます。
加えて、
胸腺上皮細胞由来の細胞外小胞は
単一陽性(CD4+, CD8+)のT細胞の成熟にも関わります。
それは成熟自身や胸腺退出に関わるたんぱく質を
輸送することによって生じます。
そのたんぱく質とは
〇Sphingosine-1-phosphatase lyase 1 (SGPL1)
〇Rho GDP- dissociation inhibitor 1 (GDIR1)
〇Dedicator of cytokinesis protein 2 (DOCK2)
〇p21 protein- activated kinase 2 (PAK2)
これらです(3)。
--
B細胞においては
未成熟プリマリー骨髄性B細胞は
CD24+血漿膜由来細胞外小胞を放出します。
それはCD24の抗体の誘発によって生じます。
CD24の細胞外小胞を介した交換は
B細胞種の間で記録されます(4)。
このCD24はB細胞分化や骨髄での選択性において
重要な役割を担っています。
従って、このCD24をB細胞間で輸送する
細胞外小胞はB細胞の分化に潜在的に影響を与えます。
近年、
anti-IgM,
架橋結合された第一、第二の抗体で
マウスのB細胞において
B細胞受容体、CD24を刺激する事で
細胞外小胞の産生を促します。
それが、
他の受けB細胞に対して、
機能的なB細胞受容体、CD24を輸送します(5)。
この輸送は、受け側のB細胞が
付加的なB細胞受容体を受け取る事によって
新手の抗原を刺激する事を可能にします。
それがCD24媒体のアポトーシスに対する
感受性を持つ細胞を生み出します。
この細胞外小胞仲介のB細胞受容体輸送の効果は
B細胞分化の間
あるいは活性化の間において
時間と空間、
両方において局在性を与えるかもしれません。
なぜなら、テストされた細胞群の中の
B細胞少数群(5-20%)は
この機序によって
新しいB細胞受容体を手に入れたからです。
//抗原提示//ーー
細胞外小胞の抗原提示能力は
細胞外小胞が獲得免疫系において
重要な役割を持つかもしれない事を示す
第一マイルストーンの発見です。
--
もし、pMHCを輸送する細胞外小胞を
樹状細胞表面に取り付ける事が出来たら
抗原提示の効果は上昇します(6)。
このケースでは
樹状細胞取り付けがないエクソソームより
それがあって抗原提示能力が上がっている
エクソソームが100倍少なくても
同程度のT細胞活性化が達成されます。
↓
(考察1)
この事は、細胞外小胞を体内に投与するときに
特にドナー細胞が免疫細胞である場合には
免疫機能を異常に高めてしまわないか
注意が必要です。
少なくとも細胞外小胞を体内に
薬剤(キャリア)として投与する場合には
その細胞外小胞のドナー細胞の管理はもちろんの事
細胞外小胞の表面に発現されている
受容体、表面リガンドの種類を分析、管理する事は
安全に運用する上で不可欠な可能性は高いです。
--
'cross-dressed'
つまり、交差的な装飾因子を持つ
樹状細胞は免疫系の信号やT細胞の活性化に対して
多くの数の細胞外小胞関連のpMHCsを集中化させます。
細胞外小胞による直接的、2次的、間接的な
抗原提示機序に加えて、
ナイーブで影響を受けていない抗原と同様に
pMHCを輸送する輸送媒体は
間接的な抗原提示のための
抗原提示細胞による効果的な取り込みプロセスに
関わりうるとされています(7)。
--
近年、細胞外小胞による
交差性のある受容体発現、抗原提示(Cross-presentation)
は注目を浴びています。
CD8+T細胞へのMHCクラスⅠ複合体上の
外因性抗原の交差性提示は
ウィルス感染や腫瘍組織に対する免疫機能において
重要な役割を担っています。
ワクチン接種や免疫寛容性誘発に対する
免疫反応においても同様です。
pMHCクラスⅠを輸送する細胞外小胞によって
刺激された樹状細胞は
ナイーブCD8+T細胞を発生させました(8)。
細胞外小胞の樹状細胞ドナーと受け樹状細胞の間の
継続的な輸送は癌特異的なCD8+T細胞の
交差発生(cross-priming)に関与します(9)。
このケースでは
癌抗原を輸送する拡散樹状細胞は
癌微小環境に固着し、
近隣のリンパ節に移動します。
このリンパ節の中で
拡散された樹状細胞はpMHCクラスⅠを輸送する
細胞外小胞を放出します。
これらは免疫シナプス
(抗原提示とリンパ球の接合界面形成)。
これを実現し、
リンパ節常在樹状細胞に輸送されます。
つまり、キラーT細胞を誘発する
pMHCクラスⅠ抗原提示樹状細胞が
免疫シナプス様に癌組織近傍リンパ節に常在している
樹状細胞を抗原提示させるということである
と理解しています。
この機序はCD8+T細胞への抗原提示の為の
リンパ節常在樹状細胞への
主要な生理経路であるとされています。
ナイーブCD8+T細胞への交差性抗原提示の為の
樹状細胞への抗原輸送における
形質細胞様樹状細胞由来の細胞外小胞の関与が
近年のデータで示されています(10)。
形質細胞様樹状細胞由来の細胞外小胞は
交差性装飾(Cross-dressing)類似性プロセスや
細胞外小胞の取り込みのプロセスを通して
樹状細胞による抗原提示を可能にしています。
これは間接的抗原提示プロセスを示します。
--
興味深い新手の発見は
中程度サイズの血小板由来の細胞外小胞
(マクロベシクル)が
抗原提示の完全な機能ユニットとしての
機能を持ちうるということです。
それはpMHCクラスⅠ複合体や
共刺激性分子(CD40L, CD40, OX40L)を
表面装飾物質として輸送するだけではなく
抗原提示の為のペプチド生成を可能にする
20Sプロテアソームを含みます。
実験の条件では
血小板由来の細胞外小胞のプロテアソームは
外因性抗原をプロセスし、
MHCクラスⅠ分子上のペプチドを積載します。
それによって、それを認識する
抗原特異的なCD8+T細胞の増殖に繋がります(11)。
細胞外小胞表面関連性酵素が
抗原の細胞外プロセスにおいて役割を持つか
どうかはまだわかっていません。
表面関連酵素とは例えば
マトリックスメタロプロテアーゼです(12)。
//細胞外小胞と細胞膜の膜融合とその可能性//ーー
細胞外小胞は表面リガンドによる「結合」や
装飾物質、内容物を輸送する役目もありますが、
表面リガンドそのものを
細胞膜に輸送する機序もあるかもしれません。
Edit I. Buzas(敬称略)の記述から
最終的には筆者の勘違いでしたが、
上述した重要な視点が生まれました。
実際に細胞外小胞の表面リガンドが
受け細胞の細胞膜に引き継がれることを暗示する
機序についての報告があります(13)。
Ilaria Prada, Jacopo Meldolesi(敬称略)が
Figure,2に示すように(13)、
細胞外小胞と細胞膜が「膜融合」すれば、
細胞外小胞の受容体や表面リガンドは
細胞膜表面に受け継がれる可能性が高いです。
なぜなら、細胞外小胞のエンベロープ膜が
そのまま受け細胞の細胞膜に残ると考えられるからです。
細胞膜に残れば、エンベロープ膜上にある
表面リガンド、受容体も残ると考えるのが自然です。
--
細胞外小胞が細胞に取り込まれるときには
エンドソームを介して取り込まれるなど
エンドサイトーシスの機序はいくつか考えられますが、
細胞膜との融合を促すリガンドがある
とされています。
それが
〇クラスⅠタンパク質。
〇syncytin-1
〇syncytin-2
これらです。
これらは細胞膜融合プロセスに関わる事が
知られています(14,15)。
これは栄養芽層由来のエクソソームで
発現されていることが知られています(15)。
他の細胞外小胞でも見つかるかもしれません(13)。
これがFigure.2に示すように
細胞膜上の
the receptors Major Facilitator Superfamily Domain 2a (MFSD2a)。
これと結合することで
細胞外小胞と細胞膜の膜融合が実現する可能性があります。
このMFSD2aは血液脳関門の内皮細胞に発現されているとありますが、
全体的な視野としては、
細胞の融合プロセスに関わる受容体を理解します。
その受容体の片側を細胞外小胞に
人工的に装飾させる事によって
あるいは
それがすでにある細胞外小胞を選ぶことによって
細胞外小胞との膜融合が可能になるかもしれません。
このように
細胞外小胞を膜融合しやすくするように
エンジニアリングする事も出来ると思います。
--
これをすることによってどのような可能性が生まれるか?
例えば、
標的にしやすい表面タンパク質を
病変部位の細胞に装飾できるかもしれません。
あるいは、
すでに標的細胞に発現されている表面タンパク質のうち
その密度を増やしたいときに利用できます。
これによって、
細胞種特異的輸送系統
(Cell-type-specific delivery system)。
これの実現性が高まります。
上述したように標的細胞と膜融合しやすいように
エンジニアリングした細胞外小胞に
標的性を上げるための任意の表面タンパク質を装飾し、
それによって標的細胞の表面タンパク質を
標的化しやすいように好ましい形に変え、
その後、薬理機能の強い細胞外小胞やナノ粒子を投与します。
--
例えば、
CD19は急性リンパ性白血病において
ターゲットとなる受容体です。
B細胞に発現するCD19受容体の量を増やすため
CD19を同様に表面に持つ、
細胞外小胞を投与します。
この細胞外小胞がB細胞と膜融合するようにします。
そうすれば、
CAR-T治療の感受性が高まる可能性があります。
--
但し、細胞表面の表面リガンドが変わる(変わりやすい)事が
どんな副作用、悪影響があるかわかりません。
細胞外小胞は臓器間の長距離のネットワークにも関わっていますが、
細胞種特有の表面リガンドの恒常性を守るために
自然な機序として
表面リガンドの種類があまり劇的に動かないような機序が
あるかもしれません。
そうすると上述した医療工学の
デメリットの方が大きくなる可能性もあります。
そうした中で、
オフターゲットが起きたときにはどうか?
そういう負の側面も考える必要があります。
--
そうであっても
細胞外小胞が自身が持つ表面リガンド、受容体を
受け細胞膜に表現させることができるか?
それが、膜融合を通じて起こるか?
そういったことを基礎実験的に確かめる事は
細胞外小胞、ナノ粒子を用いた
細胞種特異的輸送系統や
その他の標的治療において
重要な医療的意義を持つと考えます。
//追記//ーー
勘の良い方は、この記事の欠陥に気付いたと思います。
結局、初めの細胞外小胞の投与の時点で十分に標的化してなければ
メリットは生かせないので、それならシンプルに
1回目の投与での質の良い標的化を考えたほうが筋がいい
と考えるかもしれません。
しかし、癌の化学療法などでもいえることですが、
基本的に治療を続ければ続けるほど
薬剤の効き目が良くなるよりも、悪くなるケースのほうが
多いといえるのではないか?と思います。
薬剤耐性が生まれるからです。
それを考慮に入れると、細胞外小胞で治療をするにあたって
標的化に有利な機序を組み込んでおくと
治療するにしたがって、表面タンパク質は標的化に有利な様に
変わっていく可能性があるので、
それによって薬剤耐性の勢力を弱め、持続的な治療に貢献する
可能性があります。
従って、修正するとすれば、
初めから薬理機能のある細胞外小胞による治療を行いながら
細胞膜表面に有利な表面タンパク質を残すような機序を
同時に組み込むことです。
それによって治療するにしたがって
標的性が上がっていくので、
どうしても生じてしまう薬剤耐性に対抗できる可能性があることです。
これはこの記事の欠陥を埋めるものである
と私は考えました。
Author correctionとして追記いたします。
この問題については継続的に考えていきます。
(参考文献)
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Edit I. Buzas
The roles of extracellular vesicles in the immune system
Nature Reviews Immunology (2022)
(2)
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(13)
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Potgens, A.J.; Drewlo, S.; Kokozidou, M.; Kaufmann, P. Syncytin: The major regulator of trophoblast fusion?
Recent developments and hypotheses on its action. Hum. Reprod. Update 2004, 10, 487–496.
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The endogenous retroviral envelope protein syncytin-1 inhibits LPS/PHA-stimulated cytokine responses in
human blood and is sorted into placental exosomes. Placenta 2012, 33, 933–941.
細胞外小胞は全ての細胞生物から放出されている
と考えられています(1)。
グラム陰性、グラム陽性の細菌からも
放出されています(1)。
従って、細菌の生息圏では
菌膜を通じて細胞外小胞が遺伝子や栄養分を
運んでいる可能性があります。
空気中に飛沫して伝染する事は考えにくいですが、
菌膜という液状の物質を遊動して
細菌の細胞同士を連携する事は十分に考えられます。
実際に細胞外小胞が菌膜の形成を制御している
という報告もあります(2)。
この菌膜は腸内細菌を通じて胃腸でも形成され、
人の健康や病気に関わっているとされています(3)。
従って、人を宿主として腸、肺、皮膚、膣などに
存在する細菌は体液や粘膜、
あるいは菌膜を通して細胞外小胞を媒体として
様々な物質の交換を行い、
人の健康や病気に関わっている可能性も考えられます。
ゆえに、人体の細胞外小胞の役割を考える上においては
人が組織として持つ細胞間だけではなく、
寄生する細菌、あるいはウィルスなども
考慮する必要性があります。
--
しかし、細胞外小胞はもともと細胞のデブリとして
扱われていたため、研究の歴史が浅いとされています。
2000年代初頭から徐々に注目を浴び始めてきましたが、
まだ20年程度しか経っていません。
従って、まだ理解されていない事も多く、
例えば、決定的な分子マーカーも
十分に見つけられていないとされています(1)。
非常に多様でそれぞれの細胞の影響を受けると考えられるため
テトラスパニンやインテグリンなどすでに
見つかっているマーカーもありますが、
まだまだ探求の余地はあります。
多様な細胞外小胞に対してそれぞれの分子マーカーの
理解が進めば、病気の診断や治療に貢献すると考えられます。
例えば、治療においては
細胞種特異的輸送系統(Cell-type-specific delivery system)
の標的としての選択肢が増え、
その中で細胞種特異的なマーカーに対する
親和性の高いリガンドを見つけ装飾、保持(輸送時)できれば
標的化治療のレベルが一段上昇することが想定されます。
このような事を想定すると
細胞外小胞の表面マーカーを探索する事の
医療的価値のすそ野は広いと考えられます。
--
細胞外小胞は細胞が生きて活動している時にも
放出されますが、細胞死した時にも放出されます。
また、細胞外小胞の生成は
〇ウィルスの放出
〇オートファジーによる分泌(secretory autophagy)
〇細胞老化随伴分泌現象(SASP)
〇DNAダメージ反応
これらと関わるとされています(5,29)。
従って、潜伏しているものも含めた
ウィルス性感染症にも関わっています。
あるいは
オートファジー、細胞老化随伴分泌現象、
DNAダメージは細胞の老化と深いかかわりがあるので
多くの疾患との結びつきを見出すことができる
細胞の老化と細胞外小胞は関わりがあると考えられます。
--
しかしながら、
細胞からの放出に由来する細胞外小胞以外の
胞を持つナノ粒子が体内にはあります。
例えば
〇リポタンパク質
〇Exomeres(6)
〇Supermeres(7)
これらです。
従って、分析や精製する際においては
これらの細胞外小胞ではない物質を除外する
必要があります。
--
細胞外小胞はいくつかの機能があります。
〇細胞から不要な分子を取り除く
〇細胞の成熟
〇環境変化に対する馴化
〇血液凝固の活性化
〇他の細胞への信号伝達(8)
これらです。
--
以上、序章として細胞外小胞の雑多な情報について
記載してきました。
Edit I. Buzas(敬称略)が
背景で述べている部分を中心に
独自の知識、調査を加え記述しました。
全体としては
Edit I. Buzas(敬称略)は免疫システムにおける
細胞外小胞の役割について総括されています(1)。
そのサイトカインと自然免疫系の内容の一部を
参照し、独自の調査、視点、考察を加えて
読者の方と情報共有したいと思います。
//サイトカインとの関係//ーー
細胞外小胞は免疫系において重要な役割を果たす
サイトカインと関わりがあります。
具体的にはサイトカインの輸送媒体となります。
表面に結合させて輸送する場合と
内包して輸送する場合があります(9,10)。
表面に結合する場合においては
TNF受容体にTNFが結合するケース、
多糖にCCL2, TGFβが結合するケース、
これらが確認されています(9)。
細胞外小胞に結合、内包されたサイトカインは
輸送中の安定性が向上します。
経路で存在する酵素による分解から守られます。
//自然免疫と炎症//ーー
炎症と関連のある免疫細胞種の全ては
細胞外小胞を分泌します。
その細胞外小胞は炎症プロセスにおいて
いくつかの役割を有しています。
アラキドン酸由来の生理活性脂質媒体、
(arachidonic acid-derived bioactive lipid mediators)
これを輸送します。
これは、エンコサノイドなどを含みます。
この物質は免疫細胞を引き付ける走化性効果を持ちます(11,12)。
好中球由来の細胞外小胞は
この走化性を持つアラキドン酸を血小板まで輸送します。
これはアラキドン酸からトロンボキサンA2を生みだし、
好中球溢出を誘導するために
シクロオキゲナーゼ1(COX1)を使います(13)。
アラキドン酸を代謝する酵素
platelet-type 12-lipoxygenase(12-LO)は
血小板由来の細胞外小胞によって輸送されます。
分泌されたphospholipase A2 type IIAと一緒に
上述した細胞外小胞関連12-LOは
アラキドン酸から
12- hydroxyeicosatetraenoic acid、
これを生成します。
この生合成は好中球によって
血小板由来の細胞外小胞の細胞内移行(internalization)
を誘発します。
このプロセスは関節炎に関わります(14)。
細胞外マトリックスの分子に結合する
細胞外小胞の能力を考慮に入れると
拡散された炎症細胞によって分泌された
細胞外小胞は2次的な走化性効果を生みだします。
それは他の細胞に対する細胞外マトリックス内で
生じる事も考えられます(15,16)。
--
敗血症では
細胞外小胞は向炎症性、抗炎症性の
両方の性質を持ちます(17)。
細胞外小胞の効果はドナー細胞種に依存します。
また細胞外小胞が分析された
敗血症の病状にも関連します。
向炎症性効果は細胞外小胞に関連した
〇サイトカイン、
〇ダメージ関連分子パターン、
damage-associated molecular patterns(DAMPs)
と関連します。
これにより
〇マクロファージのM1極性化、
〇サイトカイン分泌、
〇ナイーブT細胞からのヘルパーT細胞分化、
〇白血球走化性効果。
これらを誘発します。
それに反して
敗血症の中の特定の細胞外小胞は
抗炎症効果を持ちます。
これは
〇補体効果の抑制
〇急性期信号(acute phase signalling)の抑制
〇白血球走化性効果の減少
〇血中向炎症性サイトカインレベルの減少
〇内皮細胞上の吸着分子発現の減少
これらの効果が挙げられます。
これらの抗炎症性効果は
マクロファージ由来細胞外小胞の
リポ多糖体(LPS)共受容体CD14の放出によります。
これは、
マクロファージ細胞CD14レベルの減少、
LPSの反応性の減少。
これらを導きます。
同様に
HSPA12B含有内皮細胞由来の細胞外小胞によって
LPSに刺激されたマクロファージ中の
NF-κBも抑制されます(18)。
--
(考察)
ここは考察の余地があります。
マクロファージから細胞外小胞を放出するときに
細胞外小胞の表面受容体として(?)、
リポ多糖体共受容体CD14を放出すると
マクロファージ表面に発現しているCD14レベルが
下がるという事です。
細胞外小胞の細胞内の形成過程では
おそらく高い確率でドナー細胞の
細胞表面の受容体やリガンドの情報を引き継ぎます。
なぜなら陥入の際に
細胞膜である脂質2重層が繋がっているからです。
その時に、何らかの生体反応によって
受容体選択性を持ち(?)、
CD14が多く細胞外小胞に引き継がれると
ドナー細胞であるマクロファージの表面の受容体
CD14のレベルが変わるということか?
あるいはそうではないのか?
ここは考える余地があります。
Edit I. Buzas(敬称略)が示した文章からは
細胞外小胞の形成によって
ドナー細胞の表面受容体の活性、レベルが変わる
と解釈する事ができます。
この機序は具体的にどういうことなのか?
ということです。
--
向炎症性、抗炎症性どちらかのタイプによって
細胞死するときに放出された細胞外小胞は
食作用によって細胞に取り込まれるときに
形質が異なる効果(discordant effects)を
持つことが多くのエビデンスで示されています。
つまり、細胞外小胞の取り込みの際に
受け細胞の形質が大きく変わるきっかけが生じる
ということです。
--
細胞のネクロトーシス由来の細胞外小胞の
マクロファージによる取り込みは
向炎症性サイトカイン(TNF, CCL2)の
分泌を導きます(19)。
ピロトーシスの間のインフラマソームの活性化は
エクソソームの放出を促し
〇Rab-interacting lysosomal protein(RILP)のインフラマソームによるへき開
〇細胞外小胞内のmiRNAsの選択的積載
これらの間で関連性が生じます(20)。
従って、病原体、ウィルス、細菌などの細胞感染によって
細胞が壊死するときに放出される細胞外小胞は
免疫系の炎症反応と関連があるということです。
インフラマソームの活性化は
抗炎症性のmiRNAの細胞外小胞への積載を促します。
これはAAUGCモチーフ。
例えば、
hsa-miR-124-3p, hsa-miR-155-5p, hsa-miR-126-3p。
これらが挙げられます。
一方で、
インフラマソームによって誘発された細胞外小胞は
IFNβを積載しています。
これはHyperinflammationを防ぐとされています(21)。
細胞外小胞によって輸送された
IFNβは隣接する細胞(bystander cells)内の
インターフェロン反応遺伝子の発現を変えます。
また、
The NLR family pyrin domain containing 3 (NLRP3)。
このインフラマソーム活性化を制限します。
--
(考察)
従って、
病原体、細菌、ウィルスなどの感染によって
細胞が壊死した時の細胞外小胞は炎症性を有していますが、
同時に過剰に炎症反応を起こさないような
システムも含まれていると考える事ができます。
新型コロナウィルス感染症で
このインターフェロンと重症化の関係について
報告されています(22)
また、インターフェロン産生を抑制する
メカニズムも発見されています(23)。
従って、インターフェロンがバイスタンダー効果も含めて
細胞間で輸送される際に、過剰な炎症を抑えますが、
遺伝子的に産生能力が弱い人や
新型コロナウィルスの毒性が強く
インターフェロンを抑える物質が多い株に感染した時には
炎症反応を超えた、過剰な炎症反応によって
組織がダメージを受けたり、サイトカインストームが
生じる可能性が示唆されます。
その際にインターフェロンの輸送媒体として
細胞外小胞が重要な役割を担っている可能性があります。
なぜなら、細胞外小胞は
循環器、血液中、細胞内なども含めて
インターフェロンを分解する酵素から守る
働きがおそらくあるので、
細胞外小胞にインターフェロンが効率的に収納される事は
感染症から免疫機能によって身体の過剰な炎症から守る上で
重要な役割を果たしている可能性があるからです。
但し、インターフェロンが遅れて多く出てくることで
症状が重くなることも示唆されています(28)。
この時にはダメージを受けている組織、細胞が非常に多くなって
全体としての細胞外小胞やインターフェロンの
絶対量が増えている事を示しているかもしれません。
ここにあえて触れたのは
感染症の治療としての細胞外小胞によるインターフェロンの
投与がタイミングによっては逆効果になる可能性が
あると考えたからです。
--
自然免疫系の溶解性の媒体は
重要な細胞外小胞関連の機能を有しています。
細胞外小胞は
急性期のタンパク質
C反応性タンパク質(CRP)を肝臓から輸送します。
それは循環器を通じて全身に拡散されます。
ほとんどの血漿中C反応性タンパク質は
5量体の構造を構造をしています。
一方で、敗血症の循環している細胞外小胞中の
C反応性タンパク質は単量体の構造をしています。
これは向炎症性特性を持っています。
細胞外小胞に結合した単量体のC反応性タンパク質は
単球からCXCL8を放出します。
これは好中球の走化性、引き寄せを促し、
炎症が広がります(24)。
さらに
細胞外小胞の表面では
液性免疫のエフェクターにもなる補体因子と
補体受容体となる補体制御タンパク質
(Compleent regulatory proteins)。
これら両方を結合できます(25)。
抗体結合部位(エピトープ)を持つ哺乳類の細胞外小胞は
細胞外小胞を放出したドナー細胞の
補体による細胞死を防ぐためのデコイとしての
機能を有しています(26)。
--
細胞外小胞は
生理活性脂質、急性期タンパク質、サイトカインなどの媒体、
危険信号、酵素、RNAsを輸送する事に寄って
向炎症性機能を持つことができます。
これら向炎症性は自然免疫系に働きかけます。
一方で、
特定の環境では抗炎症性の機能も持ちます。
自然免疫系と炎症の調整の中で
細胞外小胞は環境、条件による(Context-dependent)
複数の活性、役目を持つことがわかります。
--
(考察)
免疫機能は天秤に例えられることがあります。
マクロファージなど自然免疫系細胞が
M1, M2などの極性を持っている事もその証拠です。
その中で偏りすぎないように絶妙に制御され、
私たちの健康は維持されていると考えることができます。
しかし、
新型コロナウィルスやインフルエンザなど
免疫系統を乱す病原体が身体の中に入ると
あるいは何らかの疾患が生じると
治癒も含めた免疫機能の働きによって
健康な時に維持していたバランスが崩れ始めます。
例えば、
新型コロナウィルスの中等症の治療で
デキサメタゾンが使われましたが、
この免疫抑制剤は慎重な投与が必要になります。
強くなりすぎている免疫を抑える働きがありますが、
逆に抑えすぎても悪影響があるからです。
このような免疫機能のバランスに対して
免疫細胞自身やサイトカインだけではなく、
細胞外小胞も重要な役割を持っていることが
Edit I. Buzas(敬称略)の記述(1)から想定できます。
一方で、免疫治療の中には
CAR-NK細胞やCAR-T細胞治療があります。
外部からNK細胞(T細胞)を入れる事は
少なくとも免疫系の副作用が強く出る事が
すでに臨床で報告されています(27)。
これは免疫機能のバランスが精緻に制御されている
ことの一つの証明であると理解しています。
同様に細胞外小胞が免疫系において
とりわけサイトカインやケモカインの
安定的な輸送に関わっているとしたら、
細胞外小胞をCAR-NK治療のように投与することで
免疫機能のバランスが崩れる可能性もあります。
従って、デキサメタゾンの投与のように
臨床応用において慎重な管理が必要な可能性があります。
こういった免疫系の影響は
マウスの実験でも確認できるかもしれません。
ただ、細胞外小胞は
代謝機能を持っていないので
それ自体が細胞のように増殖しない事と、
表面受容体、内容物、ドナー細胞など
制御できる因子が多いことから、
うまく免疫系のバランスを整えながら投与する事も
可能かもしれません。
また、一旦、病原体によって崩れた免疫を
精緻な様式で整える事ができる可能性もあります。
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